2017年8月25日金曜日

抗生物質 「テトラサイクリン」 と
その改良型 「ミノサイクリン」 の開発史

テトラサイクリンの発見者は製薬会社 「レダール」 のベン=ダッガー。 1940 年代後半に米国で土壌の放線菌から、「オーレオマイシン」(クロロテトラマイシン) として発見された。その主な作用メカニズムは「蛋白合成阻害」である。リボゾームの30Sサブユニットで、アミノアシル転移RNAの結合を抑えるといわれている。 それでは、一体何故、病原菌には毒性で、我々人類や家畜には無毒であるのか、私には良く理解できなかったが、哺乳類では 「TET」 と呼ばれる "G蛋白" がこの抗生物質のリボゾーム(70S) への結合を抑え、"耐性" の一因になっているらしい。  やがて、病原菌の中にも、テトラサイクリン耐性菌が登場し、テトラサイクリン自身は余り使用されなくなった。

その代わりに合成された誘導体 (より持続性のある改良型)が 「ミノサイクリン」 である。1961年にレダール社で合成され、1971年に市販に成功した。 以来、市場に40年以上、活躍してきたが、特許期限が既に切れたので、現在は種々の 「ジェネリック」 製品が安価に出回っている。

さて、"ミノサイクリン"  (MC) に 殺菌作用以外に色々な作用が発見され始めたのは、今世紀に入ってからである。 先ず、精神分裂症 (統合失調症)、鬱病、パーキンス氏病、認知症など一連の神経疾患の治療に効果が見られ、更に抗炎症作用や抗癌作用、 抗マラリア作用も観察されるようになった。 従って、ペニシリンのような単純な 「殺菌」 のみの抗生物質ではなく、"総合治療薬" である可能性が出てきた。 しかしながら、その分子メカニズムがごく最近までずっと不明のままだった。

 その分子メカニズムがほぼ解明されたのは、昨日のことである。「MC が血小板凝集を抑える」 という論文を偶然に発見した瞬間のことである (我が頭中に"七色の蛍光" が閃いた!) 。著者はCEP1347 同様、MCが 「MLK」 と呼ばれる別のキナーゼを阻害するからだと結論しているが、それは間違いだ!  CEP1347 には、もう一つ重要な作用がある。 「PAK阻害作用」 である。 恐らく、このグループは 「CEP1347/MC の持つ二面性」に未だ気付いていないのだろうが、我々が15年以上も昔に発見していた 「秘密」 である。 従って、九分九厘、MCは 「PAK阻害作用」 により、上述した様々な薬理作用を発揮しているに違いない!

 実は、PAK とMLKは、「似ていて非なる」 キナーゼ同志なのである。最大の違いは 「PAKには発癌性があるが、MLKには全くない」! 

医療界の 「大衆路線=Switch OTC」: ミノサイクリンなど
の「PAK遮断剤」 は 「処方箋制度」 から除外すべき!

アスピリン、睡眠薬、胃腸薬やビタミン類など, いわゆる「大衆薬」には処方箋が必要ありません。これらの薬には、殆んど毒性がないからでしょう。 従来の抗癌剤は、言わば「毒薬」に属し、副作用が強く、飲み過ぎれば必ず死にます。 こういう毒薬類には、(適切な投薬量を指示する)  医師の処方箋が当然必要です。

さて、ミノサイクリンやプロポリスなどの「PAK遮断剤」は、副作用がないばかりではなく、一般健康人の長寿にも役立つ薬です。つまり、日々の 「食材」に匹敵するものです、従って、私の「革命的な」(科学的な) 解釈によれば、処方箋を必要としない「大衆薬」に再分類すべき (Switch OTC) です。それを医師会の "ドン" や厚生省( 薬事審議会) に訴える 「大衆運動」 を起こしましょう。 そうすれば、癌患者や少数派のNF患者にも、恩恵が訪れます。 いかがでしょうか?  

「15K」 などのPAK遮断剤が次々に市場に登場すれば、(日本ばかりではなく、世界中で) 「薬事法」 は当然、改正されるべきです。 これは、医療界にもたらす(平和的な) 「革命」です。 もはや、患者は 「医師の虜」 状態に甘んじる必要がなくなるからです。

2017年8月23日水曜日

「NF」ビッグニュース: 安価な市販抗生物質
「Minocycline」 は「PAK阻害剤」 に違いない!

もう40年以上前から、抗生物質 (「テトラサイクリン」の誘導体) として、種々の感染治療や血栓症の予防や治療に使用されて来た 「Minocycline」 という医薬品が、どうやら、「PAK阻害/遮断剤」である可能性が極めて高いことがごく最近、判明した。 しかも、血管脳関門を明らかに通過する (1) ことから、NFなどの脳腫瘍にも効く可能性が十分に高い。

この意外な発見のきっかけは、例の蛍光キノコのルシフェリン (「アルファーピロン」環を有する化合物) に関する文献を検索している内に、「Warfarin」 と呼ばれる血栓症の治療薬には、Bleeding (出血) などの副作用があるが、"Minocycline" (MC) には、副作用なしに、血小板の凝集(血栓) を抑える作用がある(2) ことが判明したという論文に、偶然に遭遇した。 面白いのは、その分子メカニズムである。

その論文には、"MCは 「CEP1347」 と同様、「MLK-p38 キナーゼ」 経路を阻害する" と書いてあった。 実は、「CEP1347」 と呼ばれる化合物は、協和発酵と米国のCephalon という会社が共同で開発したパーキンソン氏病 (PAK依存性難病の一つ) の治療薬だが、臨床テストの中途でとうとう 「没」 になったという不幸な 「いきさつ」 がある。

ともあれ、今から15年以上前に、我々は 「CEP1347」 が (MLK以外に) PAKを直接阻害して、癌細胞の増殖を抑えることを発見していた (3)。 従って、「水平思考の名人」 ならば、直ぐぴんと来るはずである。 「MC」 もPAK阻害剤に違いない!  もう一つ見逃せない 「臨床証拠」 がある。 「MC」 を常用すると、(グリーベック同様) 肌の色が白くなる (つまり、「PAK依存のメラニン色素合成」 が抑えられる)!  更に、細胞培養系で、MPNST (NF1遺伝子欠損の癌) 細胞の増殖が 「MC」によって有意に抑えられたという報告もある (4)。

実は、我が高校の先輩、利根川さん (ノーベル医学受賞者) も 「CEP1347」に一時興味をもっていたが、Cephalon と折り合いがつかず、とうとう自分で 「Afraxis」 というベンチャー会社を立ち上げ、"自閉症の治療" をめざして、独自にPAK阻害剤を開発し始めた。


 「CEP1347」事件でCephalonが学ぶべき教訓は、秘密主義を捨てて、広い分野の研究者たちに柔軟に対応することである。 最近、脳炎性マラリアの研究グループにこの試薬を提供していることが判明した (1) 。いくらか進歩の形跡がみられる。 しかし、未だに 「脳」 だけに拘っているのは大いに問題 (ケツの穴が狭ま過ぎる) と私は思う。 

実はCephalonの失敗を聞いて、CEP1347より千倍も強力な ST (Staurosporin) 誘導体 (ST-3009) の開発を、我々は長期的に計画している。しかし、原料になる "ST" は極めて高価なので、「15K」 の特許 (ライセンス) を製薬会社に売却して、多額の「軍資金」を得るまで、しばらく 「待機状態」 を続けている。  もし 「ST-3009」 の合成に成功すれば、(彫刻家ミケランジェロの作品に喩えれば、「ダビデ」像に相当する) 「我が人生最後の芸術作品」(「科学の粋」を集めた作品) になるだろう。

 ミノサイクリン錠剤

https://allabout.co.jp/r_health/healthdb/medicinedb/detail/847046/

日本国内では、例えば、ジェネリック医薬品会社 「沢井製薬」 が100 mg 錠剤、一粒30円程度で市販しています。大人、朝晩1錠づつ (一日の薬価はたった60円!) .  ただし、薬局で購入するためには、医師の処方箋が必要!  


Minocycline (MC) については、シンガポールの日本語通販サイト (下記) を通じて、処方箋なしで、輸入できるようです。 もっとも、値段は日本や豪州の2-3倍ですが:  
https://www.sorashido.com/item/detail?item_prefix=TF&item_code=008380&item_branch=002

注意:  ただし、 NF などの遺伝子病の治療は 「生涯療法」ですから、MC の常用による 「MC耐性菌/腫瘍」 発生の可能性をなくするために (MC単独ではなく) 「プロポリスとの併用」 (多剤療法)  をお勧めします。 

最も印象的なのは、メラトニンと同様、"MC が睡眠を深くし、記憶力を高める" ことである(5)。 この研究は(驚くなかれ) 動物実験ではなく、(ドイツで最近行なれた) 若者を対象にした臨床(人体) 実験の結果である。 健康な 受験生諸君にも、是非お勧めしたい薬である (一日60円で記憶が増進すれば、受験前には、飲まずにはいられない!)。 

2、3年前の研究論文によれば、MC 処理により、ショウジョウバエの寿命が4割も延びることがわかっている(6) 。従って、MC の副作用は殆んどないと考えれる。

参考文献:

1. Apoorv TS, Babu PP. Minocycline prevents cerebral malaria, confers neuroprotection and increases survivability of mice during Plasmodium berghei ANKA infection. Cytokine. 2017 ; 90 :113-123.
2. Jackson JW, Singh MV, Singh VB et al.  Novel Antiplatelet Activity of Minocycline Involves Inhibition of MLK3-p38 Mitogen Activated Protein Kinase Axis. PLoS One. 2016 ;11(6):e0157115.
3. Nheu TV, He H, Hirokawa Y, Tamaki K, Florin L, Schmitz ML, Suzuki-Takahashi , Jorissen RN, Burgess AW, Nishimura S, Wood J, Maruta H. The K252a derivatives, inhibitors for the PAK/MLK kinase family selectively block the growth of RAS transformants. Cancer J. 2002 ;8(4):328-36. 
4. Lee MJ, Hung SH, Huang MC, Tsai T, Chen CT. Doxycycline potentiates antitumor effect of 5-aminolevulinic acid-mediated photodynamic therapy in malignant peripheral nerve sheath tumor (MPNST) cells. PLoS One. 2017; 12(5):e0178493.
5. Besedovsky L, Schmidt EM, Linz B, Diekelmann S, Lange T, Born J. Signs of enhanced sleep and sleep-associated memory processing following the anti-inflammatory antibiotic minocycline in men. J Psychopharmacol.  2017 ; 31(2):204-210.
 6. Mora . M. et al.  Minocycline, but not ascorbic acid, increases motor activity and extends the lifespan of Drosophila melanogaster. Invest. Clin. 54 (2013), 161-70.

2017年8月22日火曜日

照明用 「キノコ」 太陽電池の構築

下村脩さんはオワンクラゲGFPの研究の後、蛍光キノコの研究に没頭し、実は1993年に、あるキノコから ルシフェリンを発見した。 それは 「パナール環」 を有するカルボン酸だった (1)。 蛍光の発生は "化学反応のみ" で進み、酵素 (ルシフェラーゼ) を必要としない!

 Both PS-A and PS-B (Panals) were converted into chemiluminescent luciferins by treatment with 50 mmol/l methylamine in a pH 3.5 buffer solution containing an anionic surfactant Tergitol 4 at 25-35 degrees C. The luciferins emitted chemiluminescence in a pH 7-8 buffer solution containing a cationic surfactant in the presence of O2 and O2-.

今回発見された蛍光キノコのルシフェリンは 「アルファーピロン環」を有する全く別の化合物で、ヒスピディン誘導体 (3-OH Hispidin) である。 このルシフェリンは酵素「ルシフェラーゼ」によって酸化され、炭酸ガスを発生しながら、蛍光を発する。 その際、アルファーピロン環が開いて、最終的には、コーヒー酸になる。

コーヒー酸はプロポリスにも含まれ、"CAPE" と呼ばれるエステルの生合成の原料にもなる。 さて、大場裕一博士 (名古屋大から 中部大学へ最近転勤) らの研究によれば、蛍光キノコでは、このコーヒー酸をヒスピディンに還元/再生することによって、再び蛍光を発するルシフェリンを確保することができるようである(2) 。 従って、電気回路に喩えれば、この再生回路が「電池」の役割を果たしている。  

コーヒー酸からヒスピディンを再生するには、ATP、マロニル補酵素(CoA)、(NADPH 依存性) 再生酵素 (Recyclase) の3つが必須である。 これが 「蛍光キノコの電池部品」に当たる。 従って、この太陽電池を構築するためには、先ず 「Recyclase」をキノコのエキスから精製する必要がある。 この酵素はATP 依存性なので、ATP/ADP ビーズで、恐らく精製が可能であろう。

References:


1. Shimomura O, Satoh S, Kishi Y. Structure and non-enzymatic light emission of two luciferin precursors isolated from the luminous mushroom Panellus stipticus. J Biolumin Chemilumin. 1993 ; 8: 201-5.

2. Oba Y, Suzuki Y, Martins GNR, et al.  Photochem Photobiol Sci. 2017 Aug 2. doi: 10.1039/c7pp00216e. Identification of hispidin as a bioluminescent active compound and its recycling biosynthesis in the luminous fungal fruiting body.