2022年1月25日火曜日

森鴎外著「高瀬舟」: (弟の) "安楽死" を補助し、島流しになった兄の話 (「ヒューマニズム」は犯罪ではない!)

森鴎外 (1862-1922) は、東大医学部出の(陸軍) 軍医だったが、(ビタミンC 欠乏 で起こる) 「脚気」を "伝染病" 扱いしていた いわゆる「やぶ医者」ながら、 ドイツ留学 (1884-1888) から帰国後、「文才」に長じ、大文豪として活躍し、多くの名作を残しているが、その中 で、現代にも通ずる作品は、短編 「高瀬舟」である。 我が輩は中学生時代に、 この作品を教科書で、読んで感銘を受けたという記憶がある。
京都の罪人を "遠島" (流刑のための離れ小島) に送るために高瀬川を下る舟に、弟を殺した喜助という男が乗 せられた。護送役の同心である羽田庄兵衛は、喜助がいかにも晴れやかな顔をし ていることを不審に思い、訳を尋ねる。
喜助の話によれば、両親を若くしてなく し、兄弟2人になった喜助は弟の面倒を長らくみていたが、ある日、弟がとうとう 重病にかかり、貧しい兄弟の家には、医者にかかる費用 (銭) もなく、兄にこれ以 上迷惑をかけまいと、弟が小刀で喉を突いて自殺しようとしたが、力足らず、 血だらけで死にかかって苦しんでいるのを、外出から戻ってきた喜助が見つけた。
弟は喜助に、「自殺補助」を懇願した。もう 助かる見込みがない自分に、最後の 一刀を加えて、一気に殺し、苦しみから解放してくれ、と叫んだ。喜助は弟の目 をしばし、じっとみつめてから、 意を決して、弟の喉に深く小刀を突いて、死な せ、番所に自首した。 番所 (判所) では、複雑な事情を考慮し、喜助を死罪では なく、島流しに処した。
さて、鴎外の「ヒューマニズム」 (=医魂) 溢れた この作品が発表されたのは、今から100年以上昔であるが、同じような事件 が、古今東西、繰り返えされてきた。ごく最近、大阪市内で、知的障害を持つ弟 を、長年独りで世話していた兄が、とうとう精魂尽きて、弟を窒息死させ、自分も その場で自殺し、弟のあとを追った「悲しい」事件が報道されていた。。。「理 3 志望」を叫ぶ (利己主義の) 高2 による東大受験場前の殺傷事件とは、質がす こぶる違う (段違いの) 事件である。。。もし、この高2が少年院で完全に改心し、更に「文才」を培い、 後世「高瀬舟」に匹敵するような作品を世に出すような "奇跡" が起これば、素晴らしい!
言い換えれば、「ヒューマニズム」の欠如した人間には、「医者」になる資格など ない!
注: 実は、「安楽死」の問題に関しては、鴎外の長女 (茉莉) が幼い頃 (5歳) 、 重病にかかり、我が子の安楽死を真剣に考えた体験があったという説が残ってい る (「おじさんは文学通」という文学評論から) 。。。。幸い、茉莉は重病から 九死に一生を得て、鴎外に溺愛され、鴎外の死後、作家として目覚め、活躍後、 長寿を全うした。。。
自殺、安楽死、尊厳死 は勿論、犯罪ではないが、それを「ヒューマニズム」に基 づいて (本人の意志や希望に基づいて、主に医師の手で) 補助する行為も、最近、欧米 諸国や豪州のメルボルン等で、犯罪ではなくなった (つまり、「合法」になった ) 。 日本では、安楽/尊厳死を補助することは、未だに「犯罪」扱いされているが、(病 院現場では) 「不治の病」にかかった患者にモルヒネなどで安楽死を与えるのは、 かなり昔から、 常套手段のようである。。。従って、それが悪用されぬよう、むしろ「合法化」したほうが、安全であると、我 が輩は思う。

2022年1月22日土曜日

「医魂」なくして、東大「理3」受験は、日本の「悲劇」
「アスペルガー 」なら、「医者」よりも「棋士」向き !

(旧制「東大医学部」出身でもある) 北里柴三郎の後半生を描いた小説「闘う医魂」(#) を読んだ経験のある読者は、最近、東大入試受験場 (弥生門前)で発生した高校生 (高2!) による殺傷事件に、ただ亜然とするばかり! 受験生 (予備軍) に対する、親 (教育ママ/パパ) による「心のケア」が先ず必須! 犯人は、名古屋にある有名な 私立「東海高校」の生徒で、ある私大の事務員 の 長男らしい。「職業や進学先に関する選択の自由」が、家庭あるいは学内に欠けていた (?) 可能性あり。。。 しかしながら、成績を苦にして「自殺する」つもりなら (独り寂しく、断崖から海へ身を投げれば良いのに) 、わざわざ上京して、 赤の他人 (しかも受験生やその父兄) まで道連れにする、という "飛躍的" (「理3」志望の数学的?) な論理が、我々 (凡人) には良く理解できない。。。 メディア向けの ("受験地獄" を訴える) 過激な「抗議」デモ??? (平成時代の「ゆとり教育」のお蔭で、もはや「受験地獄」などなくなった、と我が輩は思っ ていたが) 。。。
この犯人の両親や担任 (進学指導) 教師 は、東大「理2」からでも、例外的ではあるが、医学部へ進学 できるチャンスがあることを、知らなかったのだろうか? "不勉強" 極まる! 更に、(恐縮ながら) 豪州の自宅にある 2017年の資料 (週刊誌) によれば、私立「東海」からは、東大 "理3" に は 〇 (より最近の情報では、一浪で 1名) だが、京大医学部には (現役) で7名も合格している! どうして、京大を狙 わないのだろう? 少なくとも医学研究では、自由主義の京大 (医) の方が、権威主義の東大 (医) を遥かに凌駕している! 無知と石頭にこり固まっていては、お先「真っ暗」だ! 臨機応変に対応できる「柔軟な頭」を持たないと、「島国」でも暮らし難い。まし てや、「海外」では全く通用しない! 前途に "障壁" を見つけたら、それを巧みに "迂回" する知恵を養って欲しい!
入試 (本番) まで、もう「丸一年」ある。 更生して、「自分の意志で選んだ進学先」に是非パスすることを、心から祈る! (Give him a "second" chance!)
最後に一言付け加えれば、東大の "校歌" (実は、運動会歌=応援歌) の中に、「唯一つ」という言葉が登場する。 これは大きな「間違い」である! 人生には、無数の選択肢がある! その中から、自分の "現状" に最も合った選択肢を探すべきである。
残念ながら、この 高2 (精神異常者/誇大妄想狂/強度のアスペルガー!) には「医魂」の一欠片もなかったようだ: 患者の相手をする「医者」より、「棋士」を目指すべき (「アスペルガー」でも十分通用) ! https://mesomablog.com/2996.html#toc_id_1_9

https://mainichi.jp/articles/20220121/k00/00m/040/228000c

https://news.yahoo.co.jp/articles/22b3eedc773df3a03a58dfda9c6cdd744a520f88
#: コッホ研究所で、ジフテリアの血清療法などを開発し (世界有数の) 細菌学者になった北里柴三郎はドイツ留学から帰国後、福沢諭吉の援助により発足した私立の伝研 (伝染病研究所、今日の東大付属の医科学研究所の前身) の所長になったが、ライバルの東大医学部長 (青山胤通、細菌学専攻) と文部大臣の策略 (結託) によって、自分の伝研が勝手に文部省の管理下にある東大医学部の付属研究所にされたのを不服に感じ、伝研の所長を潔く辞めて、新たに私立の研究所 (北里研究所) や(福沢諭吉が創立した) 慶応義塾大学に医学部を新設するに至る歴史的な経過をドラマチックに描いた作品である。
実は、青山は昔から北里に恨みを感じていた。殊に1894年ごろ発生した香港ペスト事件で、青山が北里に体面をひどく汚されたからだ。ペスト調査団のメンバーとして、伝研を代表して北里、東大を代表して青山が香港に派遺された。青山はペスト患者の屍体解剖をやっているうちに、ペストに感染して、九死一生を得た。他方、北里はペスト菌を世界に先駆けて発見するという華々しい功績を挙げた。そこで、青山は北里を何とかして、自分の尻に敷く機会を虎視眈々と狙っていたのだ。
(私学と官学との対立を巡る)この事件を通じて、「九州男児」(熊本出身)北里の激しい「医魂」(医学者としての強い独立精神) が浮き彫りにされている。「理3」受験をめざす前に、「数学」のガリ勉のみならず、("教養" を積むために) この小説を一読する ことを、受験生諸君に是非お勧めしたい! 皮肉な話だが、(「線虫」を医学研究に初めて導入して、ノーベル医学賞に輝 くシドニー=ブレナーによれば) 医学、薬学、生物学、農芸化学 などの "研究" には、義務教育時代に修得した「算数」(四則計算) の知識だけで十分!
我が輩は決して、(高等)数学を軽視しているわけではない。我が輩の妻 (ギリシャ系, ピタゴラスの子孫?) は 数学者だし、その末っ子も数学者 (英国ケンブリッジ大学教授)、更に孫の一人も同大学 の数学科に在籍中 (3代目にして、遂に「フィールズ賞」を秘かにめざしている?) 。 「フィールズ賞」の対象は、「ノーベル賞」と違って、40歳まで。息子は既に還暦 近いので、もはやチャンスはないが、孫は成年に達したばかりだから、あと20年 近い余裕がある。。。なお、2002年には、ノーベル賞により性格の近い「アーベル賞」(数学者が主な対象) が設立。 更に、2014年 には、ノーベル賞を超越する莫大な賞金額を誇る「ブレイクスルー賞」(数学部門) が創 設された。 両者とも、「年令制限」はない。。。「ブレクスルー賞」(数学部門) では、2022年に、望月拓郎 (京大理学部) が50歳で、日本人と して初めて、受賞している。。。
蛇足になるが、「生命科学」ブレイクスルー賞 (Breakthrough Prize in Life Sciences) も、2013年に創設されている。 ユーリ・ミルナー(米国の「シリコンバリー」で活躍するロシア出身の著名投資家。 デジタル・スカイ・テクノロジーの創業者)の提唱による。「難病を治療し、人 間の寿命を延ばす」ことを目的とした研究 が対象。。。「PAK遮断剤」の開発研 究には、 正にピッタリの賞!

2022年1月17日月曜日

英文単行本出版: "Inspirins" : Invention of 1% Inspiration
and 99% Perspiration (執筆中)

序: 発明王「トマス=エディソン」(1847-1931) によれば、天才的な発明は、1% の閃き と99% の努力の賜物である。 この有名な言葉に因んで、我々が2015年に、鎮静剤「ケトロラック」から (クリック 化学により) 開発した強力なPAK遮断剤 「15K」 (1,2,3 Triazolyl-ester of Ketorolac) に、「インスピリン K」(Inspirin K) と言う 商標を与えることに決定した! 1899年頃に、ドイツの製薬会社「バイエル」が、新しく開発した鎮痛剤「Acetylsalicylate」に「アスピリン」と言う商標をつけて、その後 (一世紀以上に渡って) 「大成功」を修めたのにあやかって。。。因みに、我々の「インスピリン K」の薬効は、「アスピリン」のそれに比べて、10万倍以上強力である! 「化学的進化」の賜物である。。。今後、市販に向けて、「臨床テストの開始」への努力を重ねる!
ついでながら、十年ほど昔、帝京大 (薬学) の橘高教授らによって開発されたビタ ミン D3 の誘導体 (MART-10) も、強力なPAK 遮断剤で、前述したが、CYP24 によって代謝 (水酸化) されないために、ビタミンD3 の千倍以上の抗癌作用が、動物実 験によって実証されている。 MART-10 に「インスピリン D」という商標を与えて、今後、市販をめざして、臨床テスト開始への努力を続けたい。
これら2種類の (化学構造的に全く異なる) インスピリン剤を併用すれば、「鬼に金棒」は間違い無し!
参考文献:
Hiroshi Maruta, Atsushi Kittaka (2020). Chemical evolution for taming the 'pathogenic kinase' PAK1. Drug Discov Today.;25 (6): 959-964.
目下、この単行本の出版先を摸作中であるが、幸い、メルボルン市内に、Oxford University Press (OUP) の支社があるので、OUP と交渉するのも一案だと考えて いる。実は、もう30年ほど昔、OUP 出版のバーネット (1960年にノーベル賞をも らった免疫学者) の評伝の 「邦訳」版「バーネット: メルボルンの生んだ 天才」を, 我々が出版した経験がある。。。

2022年1月9日日曜日

アカシア由来の「アラビア ゴム」 (多糖類) の効用:
どうやら、"健康長寿" をもたらす「PAK遮断剤」!

アカシア (正確には「フサアカシア」) の幹に傷をつけると、黄褐色の樹液がにじみ出て、樹脂状に固まる。水に溶かすと、ゼラチン様の粘性の溶液となる。主成分は多糖類であり、毒性は全くない。これを通常、「アラビア ゴム」と称して、日本では、その昔 (我が輩が幼年の頃) 、郵便切手や封筒の糊付けに、よく使用されていた。驚くなかれ、アラビアゴムは、今日、様々な飲料 (例えば、赤ワイン、コーラなど ) に安定/抗酸化剤や乳化剤として、使用されている!!!
さて、今から十年近く昔、ドイツのチュービンゲン大学のフローリアン=ラング教授らが、アラビア ゴムにマラリア治療薬の作用があることを発見した。 アフリカ大陸では、昔から、アラビア ゴムの水溶液を、(典型的な "PAK依存性" 感染症である) マラリアの予防に使用する習慣があったことから、この動物実験が始まったようである。 前述したが、酪酸には、PAK遮断作用があり、マラリアにも効くが、IC50=3 mM で、高濃度が必要であるが、アラビア ゴムは その "3千倍" 強い効果を発揮することを突き止めた (IC50= 1 micro M)!
従って、アラビア ゴムは, 「海のダイヤモンド」 (フコイダン=硫酸多糖類) と同様、PAK遮断剤である可能性が高い (アカシア由来の「ダイヤモンド」!) 。
Adil Ballal, Diwakar Bobbala, Syed M Qadri, Michael Föller, Daniela Kempe, Omaima Nasir, Amal Saeed, Florian Lang (2011). Anti-malarial effect of gum Arabic. Malar J. ;10:139.
前述したが、 この研究グループは、その後 (2017年頃)、 ビタミン D3 にも、PAK遮断作用があることを突き止めている。。。ひょっとすると、(ビタミン D3 や「アラビア ゴム」 が) COVID 予防に効果的かもしれない。。。実際、我々の手で、少なくとも細胞培養系で ビタミン D3 の「抗COVID」作用が, 既に観察されている。。。
驚くなかれ、2020年頃から、アフリカ大陸東海岸のスーダン (アラビア ゴムの主産地) を中心にして、COVID の入院患者を対象にして、「アラビア ゴム」 による臨床テストが実施されているそうである。。。
Lamis Kaddam , Rasha Babiker , Sara Ali et al (2020). Potential Role of Acacia Senegal (Gum Arabic) as Immunomodulatory Agent among newly diagnosed COVID 19 Patients: A structured summary of a protocol for a randomised, controlled, clinical trial. Trials.; 21: 766.
十数年昔、オランダに実施された ”臨床テスト” (4 週間) の結果によると、アラビアゴムを、毎日 10 g づつ 経口すると、腸内の「善玉菌」 (乳酸菌やビフィズス菌など) が有意に増加するということが判明した! しかも、アラビアゴム(飴) は 「イヌリン」(飴) より効果的! 従って、 アラビアゴムは ”健康長寿” に結び付きそう。。。更に、2021年になって、森永乳業と鹿児島大との共同研究で、アラビアゴムによる ビフィズス菌の誘導メカニズムが解明された:
Wim Calame, Antje R Weseler, Christer Viebke, et al (2008). Gum arabic establishes prebiotic functionality in healthy human volunteers in a dose-dependent manner. Br J Nutr.;100: 1269-75.
メルボルン郊外にある我が家の裏庭 (健康長寿の森) にも、アカシアの大木 (樹齢12年) が一本 (空高く) そびえている。 最近、枝の一本が、余りに横に伸び過ぎ、幹にとうとう亀裂が入ったので、つい最近、この太い枝を切り落とした。 切り株は、もちろん「薪」にもなるが、「アラビア ゴム」の原料として、切り株 (スライス) の「水抽出」(水耕栽培法) を開発中。。。アカシアの切り株を一晩、バケツの水に漬けておくと、(案の定) アラビアゴムが滲み出て酸化され、 水が 真っ赤になる! 水を蒸発させれば、赤「ダイヤ」が析出するはず!
特許 (案 1 ): フサアカシアの幹や枝を粉砕して、水道水に2-3昼夜 (撹拌しながら ) 浸した後、赤い (アラビア ゴム) 粘液をろ過し、上清を 日干しあるいは凍結 乾燥後、15% (水) 溶液として、マラリア、COVID、 あるいは様々の炎症等 (PAK依 存症) に対する「経口薬」として、使用する。 (少なくともマウス実験では、 治療に 成功!)
注: (アフリカ大陸、特に "スーダン" からの移民/難民が多い) 豪州では、抗炎症剤として、「アラビアゴム」粉末 (1 kg) を 5千円 程度 (安価) で通販して いるが、日本では、天然物はもう市販されていないかもしれない (全て、合成糊 =ポリビニールアルコール)。 スーダンでは、「アラビア ゴム」の採集が、女性向けの家内産業として、発達し てきた。。。この樹脂の"語源"は、昔から「アラビア商人」がその売買を殆んど独占していたから。。。しかし、最近は、スーダンのインテリ女性起業家らがアラビア商人に入れ替わりつ つあり、「スーダン ゴム」と改称せねばならない日が訪れるかもしれない。。。

2022年1月7日金曜日

テニス #1 「ジョコビッチ」抜きの「全豪テニス」!
焦点: ワクチン接種に関する「選択 / 思想 の自由」
決勝 (5時間半の接戦): 古豪Nadal が Medvedrev に勝つ!


メルボルンで「全豪テニス」開催直前に、 #1 Djokovic (セルビア出身) が、豪州への入国を禁止されたため、(目下) “裁判沙汰” (10日に裁定) になっている! ワクチン接種を拒否しているからだ。 接種を拒否している (医学的な) 理由は、(風の便りによれば) 彼は過去2年間に数回、COVIDに感染したから、既に「COVID に免疫」! それが "事実" ならば、(医学的な常識を尊重すれば) 裁判所の判定は、「入国を許可する」のはず! ところが、豪州政府は、何故か「過去の感染歴は接種免除の理由にならない」との 立場を取る(??)。 「大岡裁判」だったら、「ノバック、そちの血液に "COVIDの抗体" が検出されれば、 入国許可。検出できなければ、(「嘘の証言」とみなし) 即刻、 国外追放を命ずる!」 (江戸時代なら、結果が出るまで、何十年もかかるが、今世紀なら、数分で答えが 出る)。
幸いにも、「全仏テニス」には「ワクチン接種無し」でも、「COVID テスト陰性」ならば、参加できる! さすがフランスは「自由」を尊重する国だ! 結局、「全英テニス」(ウインブルドン) も、ワクチン接種無しで、参加しうるようになった。 ただし、"ロシア国籍"の選手は駄目!

(何回も接種せねばならぬ= "出来損ない" の) COVID ワクチンに (「副作用」の危険まで冒して)、接種の価値が果してあるのか? 我が輩自身は、ワクチンよりも 「PAK遮断剤」に有効性を確信しているが、日本への渡航で (ジョコビッチの ”二の舞” を避ける) ために、(予め) 2度のワクチン接種済! しかし、それ以上はもう御免だ! 2度目のワクチン接種直後、急死した (親しい) ご老人が近所にいた!! ワクチンの「押し売り」をする製薬会社の利潤追及に加担する意志は毛頭ない!
さて、セルビアの首相が 「豪州は、セルビアの英雄に泥を塗った!」と、豪州の首相に、長い抗議電話!裁判の結果次第では、 "国交断絶"になるかもしれない。。。豪州は、「COVIDの発祥」や関税問題などを巡って、既に中国とは国交断絶! フランス政府とも (原潜問題で) 一時国交断絶!
一つ理解できないのは、一体なぜ、日本は敗戦後、 "昔の敵" (海のかなたにある米国や豪 州) とばかり、軍事同盟を結びたがるのだろうか? アジア (あるいは極東) の「孤児」 になりたいのだろうか? ベトナム戦争、イラク戦争、アフガン戦争などの前例から、"外人部隊" は、結局信頼できない。。。米軍は沖縄などで "COVID" をまき散らしているだけだ! むしろ、他国との軍事同盟をキッパリ辞めて、(スイスのごとく) 「永世中立国」宣言をするのが賢明であると、我が輩は信じる。 永世中立国が他国から侵略された例は、未だな いからだ!
注: 子宮頸や卵巣がんの予防ワクチン: これらの女性癌はHPV (Human Papilloma Virus) の感染によって発症する! それを発見したドイツの Harald zur Hausen (ハイデルベルグの癌センター) が2008年にノーベル医学賞をもらったが、あのウ イルス感染も "PAK遮断剤" (例えば、ビタミン K2 やイベルメクチンなど) で予防できることを、我々 は、翌年に実証した。従って、ワクチンは単に、「選択肢の一つ」(ワクチン屋の「押し売り/押し付け」) に過ぎない!

2022年1月3日月曜日

抗癌剤:「DNA 合成」阻害から 「発癌シグナル」阻害へ
副作用を失く (軽減) するための「Paradigm」 シフト!

DNA合成阻害剤の "副作用":
1950年代後半のコンバーグによるDNA polymerase の発見を切っ掛けにして、抗癌剤の開発研究は、主に「DNA 合成阻害」へ、一斉にシフトした。しかしながら、正常な細胞も、癌細胞同様、増殖にDNA 合成を必要とする。 従って、DNA 合成阻害剤は、当然のことながら、正常な細胞の増殖、特に、分裂の速い育毛細胞、(骨髄の) 造血細胞、小腸膜の繊毛細胞などにも悪影響 をもたらし、脱毛、白/赤血球の減少、食欲不振など、一連の「副作用」が生ずることが避け難い!
"発癌遺伝子" の下流「シグナル」 ?
そこで、1980年代初頭に、DNA 塩基配列の決定法や DNA Recombinant テクノロジーが確立するや、いわゆる分子癌生物学者たちは、「発癌に必須な特定の遺伝子変異」に注目し始めた。 そして、MIT のボブ=ワインバーグ等が、RAS と呼ばれる「G 蛋白」 (GTPase) に、 ある一連の変異が起こると、発癌性になることを発見した! 更に、ソーク研究所のトニー=ハンター等が、SRC と呼ばれる 「チロシン キナーゼ」の一種にも、ある一定の変異が起こると、発癌性になることを、突き止めた! 従って、これらの発癌変異を (遺伝学的に) 元に戻すことは不可能であるが、その下流にある、一連の (発癌に必須な) キナーゼ (蛋白燐酸化酵素) を選択的に阻害/遮断する物質の探索が世界的に開始された!
固形腫瘍は「PAK」依存、しかも "健康長寿" をもたらす「PAK遮断」
その努力の一環として、浮かび上がってきたのが、PAK と呼ばれる「病原キナーゼ」である。最初のPAK は、我々が1970年代後半に土壌アメーバから「ミオシンキナーゼ」として発見したものであるが、1994年になって、シンガポール大学のエド=マンサーらによって、哺乳類からもクローンに成功した! 数年後に、我々との共同研究により、ある「PAK遮断ペプチド」により、RAS による癌化が抑制されることが判明した! 勿論、このペプチドは正常細胞の増殖には全く影響を与えなかった。 こうして、少なくとも、RAS による癌化は、PAK遮断剤によって、副作用無しに、抑えることが実証された! 更に、一連の実験から、凡ゆる固形腫瘍の増殖や転移にも、PAK が必須であることが判明した。 それだけではない。 (少なくとも) 線虫やマウス実験で、PAKを欠損あるいは遮断すると、寿命が6割も延長されることも判明した。即ち、PAK 遮断剤は、明らかに健康長寿を促進する!
PAK 遮断剤 1: "鎮静剤" の誘導体 (15K)
次の課題は、臨床でも有効な (即ち、水溶性で、しかも細胞透過性の高い) 、更に願わくば (家計の負担にならぬ) 「安価な」PAK 遮断剤を、如何に開発するか、であった。この難題も、数年前に、我々の手で、ほぼ解決された! 「クリック化学」という手法 (新兵器) を駆使して、鎮痛剤として、30年以上昔に開発された「Ketorolac」という酸性のPAK遮断剤をエステル化して、 水溶性で、しかも細胞透過性が500倍以上高い「15K」と呼ばれる新誘導体を開発した。少なくともマウス実験で抗癌作用が実証され、更に線虫で、寿命延長効果が実証された。 従って、あとは、臨床テストで、その薬理効果を試すだけである!
参考文献:
BCQ Nguyen, H Takahashi, Y Uto et al (2017). 1,2,3-Triazolyl ester of Ketorolac: A "Click Chemistry"-based highly potent PAK1-blocking cancer-killer. Eur J Med Chem.;126: 270-276.
PAK 遮断剤 2: "ビタミンD3" の誘導体
さて、ビタミン D3 に抗癌作用があることは、1980年代末以来、既知だったが、その抗癌メカニズムが長らく不明のままだった。 ごく最近、ドイツの研究グループによって、D3が「PAK遮断剤」であることが判明した! しかしながら、D3は体内で、ステロイド環の24位が 「CYP24 」という酵素によって、水酸化され、失活し易い。 そこで、10年ほど昔、帝京大 の 橘高教授 (東大薬学出身) らによって、水酸化されない D3 誘導体 「MART-10」が既に合成されていた。 この誘導体の抗癌作用は、(マウス実験では) 何んと「D3 の約千倍」だそうである! 更に、CYP24 遺伝子の発現は "PAK依存" であることも 判明した。 従って、他のPAK遮断剤、例えば、納豆由来のビタミンK2 (MK-7) と、D3 を併用すると、D3 の不活化が起こり難くなる から、その抗癌作用が 「MART-10」 並 (つまり「鬼に金棒」!) になる。。。
参考文献:

N Zeng, MS Salker, S Zhang, et al (2016). 1α,25(OH)2D3 Induces Actin Depolymerization in Endometrial Carcinoma Cells by Targeting RAC1 and PAK1. Cell Physiol Biochem. ;40: 1455-1464.
H Maruta, A Kittaka (2020). Chemical evolution for taming the 'pathogenic kinase' PAK1. Drug Discov Today.;25: 959-964.
The "paradigm" shift in our choice:
from “dead or alive” to “only live longer in good health”.

2022年1月1日土曜日

「新井賢一 」氏の残した邦訳 (コンバーグの自伝) から:
コンバーグ博士は、栄養学者から 分子生物学者へ進化!

我々の母校「日比谷」の同窓で、20年ほど昔、東大医科研の所長をしていた 新井賢一 (くん) が4年ほど前 (2018年4月9日) に急死したことを、偶然、この正月明けに知った! 遅ればせながら、彼の冥福を心から祈る。。。
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/04/17/04136/
彼は1977年に、(DNA polymerase で) ノーベル医学賞をもらったアーサー=コンバーグの研究室 (スタンフォード大学) で、奥さんと共に、ポスドクを始め、12年間の米国滞在後、帰国して医科研に戻って間もなく、(恐らく、主に「院生やポスドク」向けに執筆された) コンバークの自伝 「それは失敗から始まった」の邦訳 (1991年) を (米国サンフランシコ郊外 Palo Alto の) "DNAX研" 勤務の奥さんや (日本人) 研究職員らと、出版して以来、2010年頃まで、 (メルボルンへ永住後の) 我が輩は、海を隔てて、 彼と研究上の長い付き合いをしていたが、彼の急死 (心臓麻痺?) を知って、ショックを受けた。 高校時代には、彼は、いわゆる「文系」のクラスにいたので、(我々「理系」とは) 全く付き合いはなかったが。。。 彼は生涯、名「オーガナイザー」 (Sydney Brenner の 言わば "日本版" ) として、エネルギッシュに活躍し続けたので、短命 (75歳!) ながら、(本人に) 思い残すことは殆んどなかろう、と私は信じている。。。 因みに、 彼 と (「麹町中」時代からの) 同級生の思い出によれば、「大学紛争」時代には、 医学部内の「民青」の活動家だったという。。。
さて、彼が出版した邦訳 (遺稿) を改めて読み返してみて、先ず気付いたことは、最初の100ページ (訳本の1/4 弱) ほどは、「栄養学」や 「酵素論」に関する記述で、我が輩は例によって「飛ばし読み」で、実際には殆んど読んでいない (少なくとも記憶に残っていない) ことが判明! 当時の私は、「病原酵素」 (PAK) の草分けとして、 (副作用のない) 抗癌剤 (=PAK 遮断剤) の開発研究に没頭していて、栄養学 (ビタミン類など) には、全く興味がなかったからだ。。。 最近、ビタミン (少なくとも K2 や D3 etc) にも、「PAK遮断作用」が見つかり、 多少の "見直し" (再評価) は しているが。。。
1942年頃から、コンバーグ医師は米国NIH (国立予防研究所) で、先ず栄養学に関する研究を始めた。 当時、様々な病気、例えば、脚気、くる病、壊血病、ペラグラなどが、伝染病ではなく、ビタミンB1 (チアミン)、D3、C (アスコルビン酸)、 ニコチン酸、などの「ビタミン類の欠乏症」であることが判明し始めた時期だった。 コンバーグが取り組んだ最初の研究テーマは、サルファー剤が引き起こす副作用 (貧血症など) の原因解明だった。
結論的には、貧血の主因は、「葉酸」という核酸様物質の欠乏によって生じるもので、通常は、この葉酸が我々の腸内細菌によって十分に供給されているが、サルファー剤が腸内細菌を殺すと、葉酸の補給が止まるため、葉酸を 外部から (例えば、ホーレンソウ等の野菜から) 補給せねばならなくなる、という事実が判明した! つまり、「善玉」菌を殺すと病気になる、ということを初めて発見した。 その後、葉酸の誘導体 (拮抗剤) が癌の増殖を抑えるという、報告が幾つか出た (勿論、副作用はあるが) !
コンバーグは、この葉酸に関する研究から、先ず ("ATP" を基質とする) 酵素学に飛躍し、最終的には、DNA を合成する酵素を発見して、1959年にノーベル賞を貰う。。。彼はいわゆる「八艘飛び」の名人だった!
最後に一言 (ノスタルジーを) 付け加えれば、我が輩が1977年に、土壌アメーバ から「PAK」を 発見し た NIH の 3階だて「ビルディング 3 」(赤レンガの建物) は、かつて、ビタミン C やアクト=ミオシン (筋肉収 縮) を研究していたセント=ジョルジー (1937年ノーベル医学賞), RNase を研究していた クリス=アンフィンゼン (1972年ノーベル化学賞)、コンバーグ などが "酵素学" の研究で 大活躍した「由緒ある場 」(生化学の殿堂) であった! 因みに、当時の "我がボス" (コーン博士、NIH には1952年から70年近く勤務!) はアンフィンゼンの弟子だった。 現在は (内部が) 改装され、事務所 (Admin) になってしまい、外装のレンガだけが、昔の面影を保っているが。。。改装に伴い、研究所員らは、新築の高層コンクリート「ビルディング 50」に引っ越したそうである。
最後に (やや専門的な) 「訳注」を加えれば、DNA Polymerase を発見したコンバーグは、RNA Polymerase を発見した (先輩の) オチョアと、ノーベル賞を分かち合うが、後者の酵素 (いわゆる"Ochoa Enzyme") は、実は、生体内では、RNase (RNA を分解する酵素 ) として働き、RNA 合成には関与しない! 従って、ノーベル賞は言わば「勇み 足」だった! この訳本 (自伝) では、その点を敢えて "曖昧" にしているが、我が輩 は修士時代、この酵素を「RNA を分解するために」常時使用していたので、確信 をもって証言できる。。。勿論、酵素とは条件次第で、「逆反応」を触媒しうるので、全くの「間違い」では ない。。。
なお、コーンバーグの弟子の中で、最も卓越していたのは、1980年にノーベル化学 賞をもらったのは、スタンフォード大学のポール=バーグで、いわゆる「Recombinant DNA テクノロジー」を開発した。彼は、DNA 塩基配列決定法を開発したウオルター =ギルバート (ハーバード大学) とフレッド=サンジャー (英国のMRC) と共に、ノー ベル賞を分かち合った。 実は、もう一人、彼の弟子で、2006年にノーベル化学賞をもらった人物がいた! 酵母におけるRNA 合成の分子メカニズムを解明したコーンバーグ夫妻の長男、 ロジャー=コンバーグ (スタンフォード大学) である!