2020年9月30日水曜日

夢の 「PAK」 遮断剤 「MBQ-202」 : プエルトリコ大学発の「MBQ-167」の ortho-Methoxy 化!?

我々の開発したPAK 遮断剤 "15K" に関する論文が発表されてから、数ケ月後に Puerto Rico 大学医学部の研究チーム (指導者はオランダ出身の Vlaar 博士) によって、同様なメカニズムで、類似した化学構造をした「MBQ-167」と称する PAK 遮断剤に関する論文が発表されていたが、我々はつい最近まで、それに気づかなかった (自らの研究に"集中/熱中し過ぎ"たか) 。 我々の2017年の論文には未だ細胞培養系によるデータしかなかったが (翌年に動物実験データも発表)、彼らの2017年の論文には、既に動物実験データが含れていた!
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28450422/
Tessa Humphries-Bickley, Linette Castillo-Pichardo, Eliud Hernandez-O'Farrill, et al. Characterization of a Dual Rac/Cdc42 Inhibitor MBQ-167 in Metastatic Cancer. Mol Cancer Ther. 2017 May;16(5):805-818.
両化合物とも、PAK の直ぐ上流にある "RAC/DCD42" と呼ばれるG蛋白を直接阻害する。
彼らは2018年に自らの特許に基づいて、「MBQ ファーマ」なる製薬会社を創設して、(主に「薬剤耐性」の乳癌を対象とする) 臨床試験を開始せんとしている模様。。。https://mbqpharma.com/mbq-167/
ただし、MBQ-167 の IC50 は 100 nM 前後に対して、我々の 15K の IC50 は 5-24 nM なので、薬理作用としては、後者 (15K) のほうが少なくとも10倍ほど優れていると言えよう。動物実験でも、15K の IC50 は 0。1 mg/kg 以下であるが、前者 (MBQ-167 ) の IC50 は 1 mg/kg 前後である。
どちらの方が先に市販されるにしても、癌患者、NF患者、COVID-19 患者などには、すこぶる良報に違いない!
最後に指摘したい一点は、MBQ-167 と 15K との基本的な違いの一つは、1、2、3-triazolyl 環に結合するベンゼン環の側鎖の存否とその位置である。 15K にはortho の位置 に methoxy があるが、MBQ-167には 側鎖がない。 もし仮に、MBQ-167 に ortho-methoxy (or ortho-Cl) を付加して "MBQ-202" とすると、細胞透過が100-500倍にまで高まる可能性がある。。。(成功すれば) ノーベル賞にも繋がり得る「医科学的なギャンブル」の好きな諸君にお勧めの大挑戦!
最初に「MBQ-202」 の合成に成功し、飛躍的な細胞透過性 (IC50 < 1 nM) の実証に成功した者には、PAK研究財団から少なくとも「20万円」の賞金を与えたい。。。数年後に「MBQ-202」の市販が実現されれば、恐らく、ノーベル医学/化学賞を受賞するチャンスも到来するだろう。。
場合によっては、Puerto Rico 大学の客員教授として、当地に3か月ほど滞在し、「MBQ-202」プロジェクトの監督指導にあたることになるかもしれない。
号外: 最近のVlaar 博士 (有機化学者) からのe-mail 情報によれば、目下 "MBQ-202" などを含めて一連の誘導体の抗癌/抗PAK活性を測定中だそうである。 "Telepathy" (以心伝心) が見事に通じたようだ! 実は、Vlaar 博士は米国でポスドク時代、Click Chemistry の発明者 (2000年にノーベル化学受賞) の弟子だった。そこで、プエルトリコ出身の奥さんに巡り合い、プエルトリコ大学に転勤!

抗生物質「ミコフェノール酸」 (Mycophenolate)
の "抗COVID-19" 作用

有名な抗生物質「ペニシリン」がアオカビから発見されるよりずっと前 (1893年)に、イタリアの医師 (Bartolomeo Gosio) によって別の青カビから発見された抗生物質が「ミコフェノール酸」 (MPA) である。現在は主に、臓器移植のために、臓器の拒絶を抑えるために、患者の免疫作用を抑える目的で使用されている。しかしながら、その後の研究から、MPA にも、プロポリスと同様、PAK を遮断し、癌の増殖や (肺炎などの) 炎症を抑えることが判明した。 従って、理論的には、COVID-19 の感染を予防する作用も予想されていた。 実際、ごく最近になって、国立感染症研究所 (旧「予研」) のグループによって、その抗コロナ作用が細胞培養系で実証された。IC50 は ほぼ 1 micro M だそうである。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7362101/
前述したアルカロイド「CEP 」とほぼ同程度である。 しかし、名前にある通り、分子中に "カルボン酸" があるので、そのままでは "細胞透過性" が悪い傾向がある。従って、現在はそのエステル (モフェチル) 体が臨床に使用されている。

2020年9月18日金曜日

四川省特産「花椒」中の「PAK」遮断剤 :
「WGX-50」(Lemairamin)

もう15年ほど昔、我々は 四川省特産の「花椒」(麻婆豆腐の香辛料) の赤いエキス (温湯やアルコールで抽出) に "PAK" 遮断剤が存在し、抗癌作用を示すことを発見した:
https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.4161/cbt.5.3.2404
しかし、その主成分の化学構造が長らく不明のままだった。。。。
ところが、ごく最近、そのPAK 遮断剤の化学構造が遂に判明した! 上海交通大学の研究グループによって、「WGX-50」(Lemairamin) と名付けられたこの「アミド化合物」(肥満症の治療薬 「Lomaira」のフェネチル (アクリル) アミド誘導体) は、認知症の治療や鎮痛剤としても、有効であることがわかった (IC50=1 micro M)! 勿論、癌、NF、COVID-19 の予防/治療にも有効であるはず。 PAK 遮断剤の仲間、クルクミンや CAPE (コーヒー酸フェネチルエステル) に全体的な化学構造が良く似ている。。。現在までに、 "より強力な" シナミド誘導体が幾つか有機合成されつつある。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0006291X20305003
ところで、山椒よりも「花椒」の方が「PAK遮断剤」として薬効が数倍強いにも拘らず、何故か「日本薬局方」には、未だに山椒しか収録されていない。 日本の薬事法に関する "専門家" の良識がはなはだ疑れる。。。
更に、面白いことには、麻婆豆腐に香辛料として使用する黒胡椒 (“ごく辛”) 由来のアルカロイドにも、PAK遮断作用があることが、ごく最近、四川大学の研究グループによって、明らかにされた! 従って、(“ごく辛” の) 麻婆豆腐を常食すると、花椒と黒胡椒の "ダブル=パンチ" で、癌 やCOVID-19 を予防することができる理屈になる! https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32031370/
私自身は「ごく辛」は苦手なので、黒胡椒の代わりに、(PAK遮断剤クルクミンを含む) 「カレー粉」 (ウコン) を使用して、「和風」の麻婆豆腐を自宅で料理している。
ところで、麻婆豆腐の「麻」は、麻酔を意味するそうである。花椒中の「サンショオール」が神経をしびれさせる (麻酔する) 作用があるからである。そこで、花椒を 温湯 (45度前後) で抽出すると、「サンショオール」なしに "PAK遮断剤" だけが選択的にエキスとして得られる。 これが我々の花椒 エキス 「花水」である。

2020年9月16日水曜日

管 (すが) 首相と小池都知事 は、「水」と「油」の関係!
2021 東京五輪は、一体どうなる?

恐らく、中止になるだろう。何故か? 皆んなで、その理由を考えてみよう!
中国の故事に、「呉越同舟」という言葉がある。同じ目的のために、敵と味方が「仲良く」同じ舟に乗れば、問題はない。 しかし、(目的を異にする) 「船頭多けれ ば、舟、山に登る」(座礁する!)。
私自身は、1964年の「最初」の東京五輪を大歓迎して、学生ながら、外国人選手たちの為に、ボランチアの英和通訳を勝手出たくらいだった。しかし、「2番煎じ」 の2020年の東京五輪には初めから、大反対だった! 理由は極めて、単純である! 世界には、未だ (「五大陸」を象徴する) 「五輪」開催を経験したことのない多くの国々 (例えば、アフリカ大陸の南アやインドなど) や大都市が沢山残っている。その国々や都市を 出し抜いて、2番煎じの五輪を東京で強引にやる必要はないからだ。 更に、日本国内でも、大阪は未だ五輪開催の経験がない。 そういう意味で、東京での (2度目の) 開催は、はっきり横暴である!
豪州では、最初の五輪は1956年にメルボルンで、2度目の五輪は2000年にシドニーで開催された。そういう「国際的マナー」が五輪精神には必要だと (「国際人」の一員である) 私は思う。
管 (すが) さんの強引な遣り方は、日本国内では通じても、海外ではとても通用しない、と私は思っている。 だいたい (秋田の"片田舎"から出てきた) 「英語を話せない/解せない」首相に (外交の場で) 説得力を期待するのは、およそ無理である! そういう意味でも、小池知事の方が一枚も二枚も上手 (うわて) であろう。。。
COVID-19 蔓延下でも、「無理矢理に」 五輪を開催したいなら、2020 全米テニスのごとく、「観客なし」のテレビ中継で、「コンタクト」 (体の接触) 無しのスポーツ、例えば、陸上、水泳、競輪、などの "個人" 種目のみに限定して、団体スポーツや柔道、レスリング等の "格闘" 競技は除外する、という極めて "異例な" 五輪を開催すべきである。題して、「五輪史上初」の2021 年「Contact-free Olympics」の開催を提言したい! もし、私がIOC 会長ならば、それに反対はしないだろう。。。「危機」を脱するためには、頭を柔軟に働かせなければならない!

2020年9月9日水曜日

COVID-19 の ”食餌” 対策: PAKを遮断する野菜や食物成分
神経線維症 (NF1 や NF2) の良性腫瘍の治療にも有効!

月刊 「食品と科学」 (2020年11月号,10月に発売)
著者: 丸田 浩 (薬学博士)#、安井文彦 (工学博士)、橘高敦史 (薬学博士)、小原 道法 (医学博士). #筆頭著者:Maruta20420@yahoo.co.jp
要約:
世界中に目下猛威を奮っている「肺炎を起す」新型ウイルス(COVID-19) は、恐らく有効なワクチンが最終的に開発、一般に市販される来年まで、続くだろう。 しかし、それまで、顔マスク といわゆる「三疎」以外に何もせず、ただ指をくわえて感染を待っているわけにはいかない。 実は、このRNAウイルスの増殖やその発病 (肺炎) には、「PAK」 と呼ばれる病原酵素が必須であり、それを選択的に抑える成分が、色々な野菜や日常の食物の中に豊富に含れている。その昔から最も良く知られているのは、蜜蜂が調剤するプロポリスというPAK遮断生薬であるが、残念ながら、その主な産地はブラジルやニュージーランドなどで、「国産」プロポリスは、未だ市販されていない。 そこで、我々が常食している赤タマネギなどの野菜やその他の食物に含まれる天然のPAK遮断成分を幾つか、ここで紹介したい。家庭でできる簡単な食餌による「ウイルス予防/撃退」の一助にしていただきたい。
序:
新型ウイルス(COVID-19) は、ポリオ、エイズウイルス (HIV) 、流感ウイルス等と同様、RNA をゲノムとするウイルスの仲間に属する。 このウイルスが増殖するためには、宿主に存在するRNA 依存性RNA ポリメラーゼ (RdRP) を借用して、相補的なRNAを合成する必要がある、従って、理論的には、国産 「アビガン」などのRdRP の阻害剤がウイルス阻害に有効なはずであるが、今のところ、臨床現場では、華々しい治療効果は未だ発揮されていないようである。それに副作用がある。そこで、それに代わるべき治療薬として、各種のPAK遮断剤が最近、注目され始めている (1)。理由は少なくとも 2つある。 先ず、(i) 炎症は、癌と同様、一般的にPAK依存性である。マウスでPAK欠損株には、炎症も癌も発生しない (2)! 次に、(ii) ウイルスに対する抗体を作る我々の免疫機能は、PAK によって抑制されている。 従って、PAK欠損株では、色々な病原体に対する免疫機能が高まり、感染しにくくなる (3)。
更にごく最近判明したが、(iii) 細胞培養系で、COVID-19 の増殖を、幾つかのPAK遮断剤、例えば駆虫剤イベルメクチン、ビタミンD3, マラリア特効薬クロロキニン等、が強く抑える (1, 4)!従って、いわゆる 「三本の矢」で、PAK遮断剤は、COVID-19を駆除しうるという可能性が出てきた (1)。少なくともイベルメクチンの場合、0.15 mg/kg (体重60 kg 当たり 9 mg) の服用一回のみで、ICU のCOVID-19 患者の死亡率が20% から3% に激減するという臨床報告が出ている (1, 5)。 しかし、イベルメクチンは元来、駆虫剤であり、医師の処方箋なしには、薬局から購入できない。 従って、少なくともCOVID-19の”予防” には使用できない。 皮肉にもウイルス感染が悪化し、病院 (ICU) に担ぐ込れるまで、この特効薬にはありつけない。そこで、オランダなどで広く実施されているように、プロポリスで予防や治療が可能であるが、残念ながら、我が国では国産品が市場に出回っていない。 そこで、ここでは、日本全国どこでも手に入る野菜類やその他の食品に豊富に含まれる天然のPAK遮断成分を幾つか紹介したい。
目次
1。 ケルセチン (赤玉ねぎの皮)
2。 ビタミン D3
3。 アピゲニン (カモミール茶)
4。 海鼠 (ナマコ) 由来のサポニン
5。 フコイダン (海草由来の硫酸化多糖類)
6。 ククルビタシン (苦瓜由来)
上記いずれの「PAK 遮断剤」も 血管脳関門 (BBB) を通過しうるので、NF1 や NF2 などの脳腫瘍や 認知症にも効くはず!
詳細は 今秋 (10月頃) に出版されるはずの本文を参照されたし。

2020年9月4日金曜日

「海藻」(フコイダン) が COVID-19 による感染を阻害!
NF1 患者の皮膚に出る良性腫瘍 (ブク) にも効く!

褐色の海藻 (沖縄産のモズク等) には、PAKを遮断する作用を持つ「フコイダン」と呼ばれる多糖類が豊富に含れているから、ビタミンD3 の豊富な魚類と一緒に食べると、相乗効果で、コロナウイルス等 の予防/治療にも役立つ可能性あり、と "予測" (2019年3月30日に) した。
それに関連して、極めて興味深い (古い統計) 記録が残っているから、以下に紹介したい。
1919年前後、第一次世界大戦の終了後まもなく、スペイン風邪が世界的に猛威を奮って、全世界で5億人が感染、5000 万人が死亡した (死亡率 10%! ) 。ところが不思議にも、日本や朝鮮半島では、死亡率は 2% 以下に留まった。世界で海藻を日常的に食べる国は当時、日本人と朝鮮人くらい。 しかも、日本国内 で、スペイン風邪で死亡率が最も低かったのは、(海藻類を良く食べる) 東北/北陸地方と沖縄だった。全くの "偶然" に過ぎないだろうか? 詳しくは: https://indeep.jp/seaweed-fucoidan-and-virus-immune-cytokine-storm/
実際、2020年9月になって、中国の研究グループによって、フコイダンがCOVID-19 による感染を阻害することが実証された!
Shuang Song et al . Inhibitory activities of marine sulfated polysaccharides against SARS-CoV-2. Food Funct. 2020 Sep 23;11(9):7415-7420.
感染阻害のメカニズムとしては、ウイルスのスパイク蛋白に直接結合し、宿主細胞表面のレセプター(ACE-2) への結合を拮抗的に阻害するらしい 。
"NF1" 患者 (複数) からの最新情報によると、フコイダンの経口 (朝晩、各々2粒ずつ) により、皮膚に出る良性腫瘍 (いわゆる「ブク」) の数やサイズが減少するらしい!
最近のショウジョウバエを使用した実験で、フコイダンが寿命を25%も延長したという報告がある!