月刊 「食品と科学」 (2020年11月号,10月に発売)
著者:
丸田 浩 (薬学博士)#、安井文彦 (工学博士)、橘高敦史 (薬学博士)、小原 道法 (医学博士).
#筆頭著者:Maruta20420@yahoo.co.jp
要約:
世界中に目下猛威を奮っている「肺炎を起す」新型ウイルス(COVID-19) は、恐らく有効なワクチンが最終的に開発、一般に市販される来年まで、続くだろう。 しかし、それまで、顔マスク といわゆる「三疎」以外に何もせず、ただ指をくわえて感染を待っているわけにはいかない。 実は、このRNAウイルスの増殖やその発病 (肺炎) には、「PAK」 と呼ばれる病原酵素が必須であり、それを選択的に抑える成分が、色々な野菜や日常の食物の中に豊富に含れている。その昔から最も良く知られているのは、蜜蜂が調剤するプロポリスというPAK遮断生薬であるが、残念ながら、その主な産地はブラジルやニュージーランドなどで、「国産」プロポリスは、未だ市販されていない。 そこで、我々が常食している赤タマネギなどの野菜やその他の食物に含まれる天然のPAK遮断成分を幾つか、ここで紹介したい。家庭でできる簡単な食餌による「ウイルス予防/撃退」の一助にしていただきたい。
序:
新型ウイルス(COVID-19) は、ポリオ、エイズウイルス (HIV) 、流感ウイルス等と同様、RNA をゲノムとするウイルスの仲間に属する。 このウイルスが増殖するためには、宿主に存在するRNA 依存性RNA ポリメラーゼ (RdRP) を借用して、相補的なRNAを合成する必要がある、従って、理論的には、国産 「アビガン」などのRdRP の阻害剤がウイルス阻害に有効なはずであるが、今のところ、臨床現場では、華々しい治療効果は未だ発揮されていないようである。それに副作用がある。そこで、それに代わるべき治療薬として、各種のPAK遮断剤が最近、注目され始めている (1)。理由は少なくとも 2つある。 先ず、(i) 炎症は、癌と同様、一般的にPAK依存性である。マウスでPAK欠損株には、炎症も癌も発生しない (2)! 次に、(ii) ウイルスに対する抗体を作る我々の免疫機能は、PAK によって抑制されている。 従って、PAK欠損株では、色々な病原体に対する免疫機能が高まり、感染しにくくなる (3)。
更にごく最近判明したが、(iii) 細胞培養系で、COVID-19 の増殖を、幾つかのPAK遮断剤、例えば駆虫剤イベルメクチン、ビタミンD3, マラリア特効薬クロロキニン等、が強く抑える (1, 4)!従って、いわゆる 「三本の矢」で、PAK遮断剤は、COVID-19を駆除しうるという可能性が出てきた (1)。少なくともイベルメクチンの場合、0.15 mg/kg (体重60 kg 当たり 9 mg) の服用一回のみで、ICU のCOVID-19 患者の死亡率が20% から3% に激減するという臨床報告が出ている (1, 5)。 しかし、イベルメクチンは元来、駆虫剤であり、医師の処方箋なしには、薬局から購入できない。 従って、少なくともCOVID-19の”予防” には使用できない。 皮肉にもウイルス感染が悪化し、病院 (ICU) に担ぐ込れるまで、この特効薬にはありつけない。そこで、オランダなどで広く実施されているように、プロポリスで予防や治療が可能であるが、残念ながら、我が国では国産品が市場に出回っていない。 そこで、ここでは、日本全国どこでも手に入る野菜類やその他の食品に豊富に含まれる天然のPAK遮断成分を幾つか紹介したい。
目次
1。 ケルセチン (赤玉ねぎの皮)
2。 ビタミン D3
3。 アピゲニン (カモミール茶)
4。 海鼠 (ナマコ) 由来のサポニン
5。 フコイダン (海草由来の硫酸化多糖類)
6。 ククルビタシン (苦瓜由来)
上記いずれの「PAK 遮断剤」も 血管脳関門 (BBB) を通過しうるので、NF1 や NF2 などの脳腫瘍や 認知症にも効くはず!
詳細は 今秋 (10月頃) に出版されるはずの本文を参照されたし。
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