月刊「食品と科学」 (2017年1月号, 12月16日発売) より
丸田 浩1*、Binh Cao Quan Nguyen2、平良望2、多和田真吉2
1PAK Research
Center, Melbourne, Australia
2PAK研究センター(沖縄支部)、琉球大学千原キャンパス、沖縄
はじめに
ミツバチが植物から調剤する生薬/抗生物質であるプロポリスは、古代エジプト時代以来、伝承薬として、4千年以上の長い歴史をもっている。古代ギリシャの医学の祖「ヒポクラテス」が、その名付け親である。ギリシャ語で、「都市(ポリス)を(伝染病から)守る」という意味あいがある。ピラミッドの下に永遠に眠る王家のミイラを調製する(死骸の腐敗を防ぐ)ために、プロポリスが強力な抗生物質として使用された。20世紀(1960年代)になって、プロポリスの薬理作用が見直され始め、1980年代後半に、その抗がん作用が確認されて以来、日本では、原料塊の安価なブラジル産グリーンプロポリス(GP)が主に、市販されるようになった。しかしながら、我々自身の研究によれば、Artepillin C(ARC)を主体とするGPの抗がん作用は、温帯地方で採取されるCAPE (コーヒー酸フェネチルエステル) を主体とするプロポリス、特にニュージーランド産のBio 30に比較すると、その抗がん作用がずっと弱い(1, 2)。従って、より強力な国産プロポリス源を、我々は探索してきた。
ごく最近、沖縄産を含めて太平洋沿岸の亜熱帯地方から採取されるプロポリスは、日本の本州や北海道などで採取される温帯プロポリスと違って、CAPE の代わりに、ゲラニル系側鎖を有するフラボノイドの一種「Nymphaeol A-C」が抗がん作用の主体になっている (IC50= 5 micro M) こと、および、その起源植物がオオバキであることが判明した (3, 4)。更に、日本産プロポリス中、沖縄産と秋田産のプロポリスの抗酸化活性が飛び抜けて高いことがわかった (5)。我々による最近の研究では、沖縄産プロポリス (OP)の抗がん作用、美白作用、PAK遮断作用などが、Bio 30に匹敵し、GPよりはるかに優れていることが判明した(6、7)。
表1.種々のプロポリスの抗がん作用(IC50)とAnti―PAK 指数
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抗がん作用(IC50) Anti―PAK 指数
抗がん作用(IC50) Anti―PAK 指数
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温帯プロポリス(Bio
30) 8 ppm 12.5
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沖縄プロポリス(OP) 12 ppm 8
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ブラジル産プロポリス(GP) 100 ppm 1
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(注): つい最近、エベレスト初登頂 (1975) の女性、田部井淳子さん (77) が腹膜
癌で 他界されたことを知った。
エベレスト初登頂 (1953) の大先輩、エドモント=ヒラリー卿 (88)
は、とうとう数年前に老衰で亡くなったが、生前殆んど病気をしなかった。 実は、ニュージーランドに住む彼の家族は養蜂家で、常にプロポリスを飲んでいたので、「病気知らず」だった。 もし、田部井さんがプロポリスの薬効について知っていたら、恐らく、癌にもならず、ずっと長生きしたであろう。
癌で 他界されたことを知った。
エベレスト初登頂 (1953) の大先輩、エドモント=ヒラリー卿 (88)
は、とうとう数年前に老衰で亡くなったが、生前殆んど病気をしなかった。 実は、ニュージーランドに住む彼の家族は養蜂家で、常にプロポリスを飲んでいたので、「病気知らず」だった。 もし、田部井さんがプロポリスの薬効について知っていたら、恐らく、癌にもならず、ずっと長生きしたであろう。