期生 (1967年卒) である。 彼は理学部卒、我々は薬学部卒である。 従って、目指す専門
分野はかなり違うが、共通点も少なからずある。 大隅さんの目標は 「生命の神秘を解き明かす」こと、我々の目標は「病気の根源を突き止めた上、それを抑制/是正し、かつ副作用のない薬を開発する」ことである。 我々の高校時代の先輩である利根川さん (1987年のノーベル医学受賞者)を含めて、多くの薬学者仲間が目下、癌などの難病や老化の根源である「PAK」と呼ばれるキナーゼを選択的に遮断する新薬を開発しつつある。 将来、これらのPAK遮断剤が市販されるようになれば、PAK研究者の中から、ノーベル受賞者が出るのはほぼ確実であろう。
今から20年以上前、大隅さんが東大教養学部で、まだ助教授をしていた頃、
酵母を栄養のない培地に移すと、細胞内の蛋白質が分解し始める現象を見つけた。その現象を「オートファジー」と名付けた。ところが、ある特定の蛋白質分解酵素が欠けているミュータントでは、この現象が起こらない。正常な酵母は、栄養のない培地でも生き残れるが、ミュータントは細胞死する (1)。
酵母を栄養のない培地に移すと、細胞内の蛋白質が分解し始める現象を見つけた。その現象を「オートファジー」と名付けた。ところが、ある特定の蛋白質分解酵素が欠けているミュータントでは、この現象が起こらない。正常な酵母は、栄養のない培地でも生き残れるが、ミュータントは細胞死する (1)。
“オートファジー”と”PAK” の接点:
以来、哺乳動物細胞でも、特に癌細胞の増殖が抑制される条件下に「オートファジー」
が頻繁に発生することが判明した。例えば、PAK遮断剤である「イベルメクチン」で乳癌細胞の増殖を抑制すると、「オートファジー」が発生することが、つい最近報告されている (2, 3)、
それでは、この特定の蛋白質分解酵素とPAKとの間には、一体どんな関係があるのだろうか?
PAKは細胞が飢餓状態になると抑制される。従って、もし、PAKが通常、蛋白分解酵素を抑制しているとすれば、飢餓状態になると、蛋白分解酵素が活性化され、「オートファジー」が始まる。同様に、プロポリスなどのPAK遮断剤は、PAKを抑制することによって、細胞内の蛋白分解 (オートファジー) を誘導するだろう。
参考文献:
- Takeshige K1, Baba M, Tsuboi S, Noda T, Ohsumi Y. Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and conditions for its induction. J Cell Biol. 1992 ; 119(2): 301-11.
- Hashimoto H1, Messerli SM, Sudo T, Maruta H. Ivermectin inactivates the kinase PAK1 and blocks the PAK1-dependent growth of human ovarian cancer and NF2 tumor cell lines. Drug Discov Ther. 2009 ; 3(6): 243-6.
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