認知症は、脳内に起こるPAK依存性の記憶喪失を伴う疾患である。 従って、PAK遮断剤であるプロポリスや15Kなどによって、原理的に言えば、治療可能である。
玄米は白米にくらべて、「健康食」であるという伝説が昭和期にあったようであるが、最近、玄米は炊き方によって、益にも毒にもなるという新説を唱える本が出回り始めた。
さて、その科学的根拠の一端を紐解くような動物実験が、(京都) 同志社大学の脳科学研究所 (客員教授: 杉本八郎) の奥田充あき研究員を中心にしたチームによって、行なわれた。知人の杉本さんは、製薬会社「エーザイ」に長らく勤務中、認知症の治療薬 (アリセプト) を開発した "その道のエキスパート" である。
玄米を常圧で炊いたもの (BR) と、高圧釜で炊いたもの (HPBR) を、各々餌にして、2か月間、白米 (PR) と (認知症になったマウス) に対する影響を比較してみると、
HPBR だけが、認知症による記憶消失を軽減するという、意外な実験結果が出たそうである。それでは、HPBRとBRの間で、一体何が根本的に違うのかを調べてみると、その成分のうち、「soluble fiber」なる物が、HPBRに格段に多いことがわかった。BRの6倍、白米の40倍 という数字が出ている。 残念ながら、「soluble fiber」なる物の化学的な同定分析が未だなされていないし、然も、「soluble fiber」自体が実際に、主な「認知症の軽減因子」であるという科学的な証拠も未だないようなので、実験は「未だ半ば」といってよかろう。
私が今注目したいのは、その結果自体ではなく、認知症モデル (マウス実験系) である。前述した「NF2モデル」はえんえん6か月もかかるが、認知症モデル (SAMP8) では、僅か2か月で、(BRとHPBRとの間で) ハッキリした差が出ている。 従って、15Kが脳内で「認知症による記憶喪失」を軽減できるかどうかを、てっとり早く調べる手段として、より適しているように思う。。。
なお、 "SAMP8" に関する最近の研究によると、この認知症マウスモデルでは、PAKの下流にある "TOR" という発癌/老化キナーゼの活性が異常に高まっており、タウ蛋白の燐酸化が著しいことが判明している。従って、発癌/老化に結び付くシグナル伝達過程が何らかの理由で、異常に活性化されていると思われる。TOR阻害剤である「ラパマイシン」で、処理したせんちゅう、ショウジョウバエやマウスなどの小動物は、(無処理の動物より) も、ずっと "健康長寿" になることが知られている。従って、PAK遮断剤「15K」による処理で、"SAMP8" の認知症状が軽減されることは、大いに期待される。
そこで、画期的な「SAMP8 を対象とする15K テスト」の共同研究を進めるため、杉本さんのベンチャー会社「Green-Tech 」と契約をできるだけ早く結ぶ準備をしている。
もし、私の理解が正しければ、"SAMP8" マウスモデルは「日本発」で、竹田 俊男 教授 (京大医学部) らによって、1980年代後半に開発されたようである。
同志社大学 (客位員教授) 杉本八郎: 認知症の治療薬開発をめざす
https://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO022791/20170825-OYTAT50001.html \
参考文献:
1.
Okuda M1,2, Fujita Y3,4, Katsube T5, Tabata H5, Yoshino K5, Hashimoto M6, Sugimoto H3.
Highly water pressurized brown rice improves
cognitive dysfunction in senescence-accelerated mouse prone 8 (SAMP8) and reduces
amyloid beta in the brain.
BMC
Complement Altern Med. 18 (2018): 110
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