2019年12月8日日曜日

ノルウエー首都郊外の森「オスロマルカ」から
"平和メッセージ" 発進

早稲田出身の作家「村上春樹」さんは、今年もノーベル文学賞を逃した!  そこで、"悲劇"の文豪に代って、再び「ノルウエーの森」# を舞台に、より時代に即した短編を執筆する決心をした。題名は非ロマンチックな、

 オスロの森深く: クリック化学 (Deep into Oslomarka)

クラス=ヨハンセン少年は、ノルウエーのグリーン首都「オスロ」の郊外 (オスロ中央駅から地下鉄や市電で約15分) に続く深い森 (オスロマルカ=Nordmarka) に囲まれた、ある一軒屋に住んでいる。 父親は ウオルターさん (45)、母親はカーリンさん (42) 。  北欧ノルウエーの夫婦には、一人っ子が多い。 他の欧米諸国や日本同様、「少子化」が進んでいる。人口過剰な世界的現象からすれば、むしろ「歓迎すべき現象」である。個々人の健康長寿 (QOL の向上) に結びつくからである。結婚する年齢が上がると共に、夫婦共稼ぎのため、一人っ子に愛情を注ぐ家族が増えている。カーリンさんは近くの病院兼老人ホームで看護婦を長らく勤めている。ウオルターさんは近くにある中学校の理科の先生。生徒の前で、化学の魔法実験を披露するのがお得意だといわれている。クラスは、中学2年で、(父親譲りで) やはり理科の授業が大好き。 最近、豪州からやってきた独り旅のある高齢学者が一晩、ヨハンセン家に泊まった。

夕食の席で、この老人が大変面白い話をクラス少年にしてくれた。 新しい抗癌剤の開発に関する秘訣を丁寧に伝授。 その薬剤は、副作用の全くない、むしろ健康長寿に結び付く、言わば「魔法の弾丸」と呼ばれる物だった。実は、英国でペニシリンという抗生物質が戦前、発見、開発されるずっと前に、「マイコフェノール酸 」(MC) という抗生物質が青カビの一種からイタリアのある学者によって開発された。 現在は主に臓器移植の際、拒絶反応を抑えるために使用されているという。しかしながら、抗癌作用もかなりあるという。問題はその細胞透過性が乏しいという欠点である。分子中にカルボン酸が存在するからである。 そこで、その酸性を中和しかつ水溶性を保つするために、特殊なエステル化、あるいはアミド化が必要である。 そこで、魔法の化学反応「Click Chemistry 」(CC) が20年ほど昔、ある米国のノーベル化学者によって開発された。銅触媒を使って、たった2 ステップで効率良く2つの異なる分子を (車のシートベルトを締めるように) ガチャットと結合させることができる。

驚くなかれ、このごく簡単なCC反応の結果、MCの抗癌作用が飛躍的に千倍以上、増強された!  しかも動物実験では、マウスに移植した末期すいぞう癌の増殖と転移が、このMCアミド (MCA) の経口により見事に抑えられた。副作用は全くなかった。しかも、全長1ミリのせんちゅうを使った寿命実験では、少なくとも3割寿命が延びるばかりではなく、35度の耐熱実験では、野性株では1日以内の寿命が、MCA投与により、驚異的に9日以上延長した!  地球温暖化に耐えうる体を作り上げる「妙薬」に違いない。 その話を聞いたクラス少年は、早速父親に頼んで、MC などの試薬を注文して、学校の実験室で、父親の指導下、"CC" でMCAを10g  だけ製造してみた。クラス少年の同級生ハンスの愛犬がすいぞう癌にかかっていることを聞いていたからだ。治療しなければ、一ヶ月以内に死亡するはずだった。獣医に頼んで、早速その愛犬の「MCA 治療」を開始してもらった。幸い、この愛犬は治療後、少しづつ元気を取り戻し、3カ月後には、 癌が見事に根治された。

そこで、 クラス少年はオスロ市内のある製薬会社に突然、電話をかけた。 その会社は、なんと納豆中の「ビタミンK2 」(詳しくは、「メナキノン7」=MK7) を錠剤にして、多孔骨症 (骨粗鬆症) の治療薬として長年、通販しているという話を聞いていたからである。 実は、ビタミンK2 もMC もPAK遮断剤であり、(豪州の老学者による長年の研究結果によれば) 癌ばかりではなく、多孔骨症、認知症 など様々な老化を伴う難病の治療に有効なはずだった。 明らかに、新薬「MCA 」は "MK7" の一万倍以上、強力なはずである。その会社の支配人は、少年の話 (薬の目覚しい「化学的進化」) を詳しく聞いてから、MCAの臨床テストを近い将来試みることに快く同意した!  今後とも進む「地球温暖化」の対処に向けて、先ず「エコ首都」オスロから発進するために。。。実は、この支配人、地元からの「ノーベル平和賞」の可能性を秘かに夢見ていた。。。世界 (特に、米国、中国、インド、ロシアなどの大国) の政治家たちによる「地球冷却化」への見通しは、極めて悲観的だったから。

「MCA」の市販が始まると、「ほね元気」などの納豆を製造する業社が恐らく一斉に転業を強いられるだろう。売り上げが急速に落ちる納豆の代わりに、原料となる "MC" の大量生産をめざして、アオカビの発酵に樽を切り換え、業界も「生存のための進化」を遂げねばならなくなるからである。

 数年後にMCA は「MCマルカ」という商標の下、世界中の薬局で市販されるようになった。それから2、3 年後の秋に、ストックホルムで「ノーベル化学」受賞者の発表があった。受賞者は3名、シンガポールのエドワード=マンサー博士、米国のバリー=シャープレス博士と豪州の老学者だった。マンサー博士は哺乳類最初のPAKを発見した英国人。シャープレス博士は「CC」 の発明者 (二度目の化学賞!)。結局、オスロの製薬会社「支配人」は "ノーベル賞" を取り逃した!  しかし、彼は「実弾」をたっぷり獲得したので大いに満足した。「MCマルカ」販売で、「ダイナマイト王」ノーベルのごとく、巨万の富を得たからだ! 豪州の老学者 (実名は聖ニコラス、通称 "サンタ") は、(オスロ大学を卒業予定の) クラス青年の枕元にお祝いの金メダルと賞金を「奨学金」として、"クリスマス" の朝にそっと届けた。
__________________________________________________________________________________
人類は極めて長い年月を経て、「遺伝的」に「文化的」に進化を続け、他の動物から遥かに優越してきたが、19世紀後半 (産業革命時)、皮肉にもノーベル博士がダイナマイトを発明した頃  (1866年) から、火薬や毒ガス、原爆などを化学兵器に使用する大量殺りくの大戦に明け暮れ、「進化」をパッタリ辞め、「退化」の一途をたどりつつある。 我々人類は今、崖っぷちに立たされている。人類が絶滅を避け、今後とも生き延びるためには、「新しいタイプの進化」、つまり真に平和的な「化学的な進化」が必須である。

「ダイナマイト王」ノーベルは生涯独身だった。しかし、親しい愛人が2、3 いたようである。その一人は、1905年にノーベル平和賞をもらったチェコ生まれのバーサ=キンスキーだった。ノーベルがまだ存命の頃、パリの事務所で、彼の秘書兼家政婦を長らく勤めた後、オーストリアの貴族、アーサー=フォン=ズットナーと結婚し、平和活動に邁進したが、第一次世界大戦直前に他界した。ノーベルより10歳若い教養豊かな令嬢だった。1889 年に反戦文学 (Die Waffen nieder, 武器を捨てよ!) を出版して、当時のベストセラーになった。(ノーベル賞に関する) 彼の遺言に、文学賞と平和賞 を加えたのは、「彼女の影響」だといわれている。ノーベル自身も(共産全体主義に代わるべき「個人的社会主義」をめざす) 小説などを幾つか執筆しているが、ズットナー夫人ほどインパクトが高くなかった。結局、彼が果たした最大の社会貢献は「ノーベル賞の設立」だった。

# (注) :  村上春樹が日本全国の子女を泣かせたといわれる自伝的ベストセラー「ノルウエーの森」という小説の題名は、実は「ビートルズの歌曲」から拝借したといわれている。小説の舞台はノルウエーではなく、日本 (主に東京と関西) だそうである (私自身は、この作家の小説を一冊も読んだことがない)。

0 件のコメント:

コメントを投稿