2021年12月29日水曜日

(抗体を介せぬ) 「自他の認知」 に 必須な「虎」蛋白とは
「種」特異 (かつ相補) 的な一対の "グロブリン様" 糖蛋白
(=アメーバから哺乳類まで、共通の "PAK遮断剤") !

我が輩が院生の頃 (1970年代初頭) 、博士論文のため、マクロファージによる赤血球の貪食における「自他の認識」のメカニズムを研究していた。マウスのマクロファージは異種の赤血球を貪食するが、同種の赤血球を貪食しない。 しかしながら、同種の赤血球でも「老化」(赤血球の寿命は約120日, 細胞内の "ATP" レベルが激減) すると、貪食される。。。従って、「自」(Self) を表現する細胞表面にある「Self-Marker」は 「ATP依存性」の蛋白 (ATPase, Kinase or Chaperon?) と考えられる。。。この自他 (及び老若) の認知には、(哺乳類でも) 抗体は全く不要!
H Maruta, A M el-Asfahani, D Mizuno (1973). Selective recognition in erythrophagocytosis by mouse peritoneal macrophages. Isolation and purification of a possible self-marker from mouse erythrocyte membranes. Exp Cell Res.; 80: 143-151.
面白いことには、粘菌アメーバ は (同種同士の "共食い" をしないばかりか) 、餌がなくなって、集合し始める際、2種類の異なるアメーバ (A とB) は、各々、別々の集合体 (子実体) を形成し、いわゆる「キメラ」(A と B の雑種混合体) を形成しない。つまり、原始的に見えるアメーバでも、立派に「自他の認知」をし得る。その分子メカニズムを、2011年頃に米国のベイラー 医大の広瀬滋規 (東北大出身) らが解明した。 彼はその後も、海外 (ベイラー 医大など) で 活躍を続けている。詳しくは、下記を参照されたし:
http://first.lifesciencedb.jp/archives/3177
社会性アメーバの自己と非自己の認識は tgrB1-tgrC1 (虎) 遺伝子座の配列多型に依存する
廣瀬滋規・Adam Kuspa・Gad Shaulsky(米国Baylor College of Medicine):
Shigenori Hirose, Rocio Benabentos, Hsing-I Ho, Adam Kuspa, Gad Shaulsky (2011).
Self-recognition in social amoebae is mediated by allelic pairs of tiger genes.
Science, 333, 467-470.

詳しく話せば長くなるが、端的に言えば、「虎」遺伝子とは、「免疫グロブリン様」蛋白を発現する遺伝子! 言い換えれば、「抗原-抗体」反応のごとく、「カギと鍵穴」の関係にある2種類の「相補的な」蛋白 (Self-Marker と Self-Recognizer) により、自他の認知が行われる。 本質的な違いは、(哺乳類の) 抗原-抗体反応は、「他」を除外するメカニズムだが、「虎蛋白」は「自」(身内) 同士を認知し合う (言わば「校章や制服」のような) メカニズム! 自らの「種を永遠に保存」 するための本質的な "自衛" メカニズム。。。
その後の研究によれば、「虎」遺伝子産物 (ligand と受容体) との間のヘテロダイマーの形成 (言わば 友好的な「握手」!) によって、その下流にある (抗癌蛋白) 「RAPGAP」を介して、PAKが遮断され、貪食 機能 (共食い) が抑制される、そうである。。。
さて、馬とロバとの間には、雑種 「ラバ」が誕生しうる。 従って、この2種類の動物は、異種ではなく、むしろ親類あるいは兄弟関係? 太古、人類 (Homo sapiens) とネアンデルタール人 (約4万年前に絶滅) との間に、子孫が生まれ、現在の人類のゲノム中には、3% ほど後者の遺伝子が未だ残っている。 従って、両者も異種ではなく「亜種」であろう。。。 因みに、ネアンデルタール人には、(洞窟で) 壁画を描く才があった。 若しかすると、我が輩の画才はネアンデルタール人由来?

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