プロポリス中のARCやCA分子中にはカルボン酸が含まれ、燐脂質からなる細胞膜の透過性を妨げている。しかも、CAのカルボン酸を中和したエステル誘導体であるCAPEもあまり細胞透過性がよくない。そこで、これら一連の酸性化合物の細胞透過性を大幅に高める工夫を最近始めた。まず、考え付いたのは、このカルボン酸に水溶性のTriazole環を付加することである。21世紀初頭に米国サンディエゴにあるスクリップ研究所のBarry Sharpless 教授 (2001年にノーベル化学賞受賞) が「クリック化学」という化学反応を考案した、銅を触媒とする反応で、Triazole 環を収率よくカルボン酸などにカップリングする方法である。その方法により、(水溶性を保ちながら) 酸性を中和することができる。「クリック化学」を初めて創薬に応用したのは、インドの研究グループだった。ローズマリーの葉由来の酸性ステロイドである「ウルソール酸」のカルボン酸をTriazole 環で中和することによって、抗癌作用を200倍に高めることに成功した!
この論文を読むや、徳島大学の宇都教授にメールを送って、ARCやCAなどのPAK遮断剤のトリアゾリル化に着手した。2015年6月末に「HT156」というARC誘導体 (商標「15A」) が合成された。幸い、15Aの抗癌作用がARCの100倍近くあることが判明した。そこで、CAのトリアゾリル化にも取り組み、その抗癌作用を400倍以上に高めることに成功した。更に、スイスの製薬会社ロッシュ販売の抗炎症剤 (鎮痛剤)である「ケトロラック」もPAK遮断剤であることが判明した。この薬剤にもカルボン酸が付加している、そこで、ロッシュに一連のTriazole 環誘導体の特許を売り込むために、「ケトロラック」の「クリック化学」にも着手した。このエステル (15K) の抗癌作用及びPAK遮断作用は、何とケトロラックの500倍以上あることが判明した ("ギネス記録"である!)。 2016年の秋には、韓国釜山にある東亜 大学の安木蓮さんと共同で、ニワトリの受精卵を使って、15K が (固形腫瘍の増殖に必須な) 血管新生を強く抑えることを証明した。臨床テストを踏まえた、マウスを使う多角的な動物実験 をまもなく開始する予定である。
ウルソール酸とケトロラックの根本的な (市場価値の) 違いは、後者は化学合成が容易だが、前者の化学合成に成功した者は未だいないことに基づく。製薬会社は化学合成が可能な化合物にしか関心を示さない。そして、製薬会社が興味を示さなければ、その薬品は決して市販されない (つまり、患者の手に届かない)。 従って、ウルソール酸エステルには、市場価値がないから特許出願さえもされていないが、ケトロラックエステル (15K) を含む我々の特許には、底知れぬ市場価値がある。特に、ケトロラックを「トラドール」という商品名で30年近く抗炎症剤/鎮痛剤として販売してきた実績を誇る「ロッシュ」にとっては、莫大な価値があるに違いない。
ちなみに、15Kの抗癌作用は「最強のプロポリス」(Bio 30) の千倍にあたる「超優れ物」である! BBB (血管脳関門) を通過するはずなので、脳腫瘍や認知症の治療にも将来、活躍するだろう。
もし、ロッシュなどの製薬会社によって、例えば「15K」が将来、抗癌剤として市販されるようになれば、「クリック化学」の威力 (創薬への貢献度) が再認識され、発明者Barry Sharpless 教授が「第2のノーベル賞」に輝く日が来るだろう。
ちなみに、15Kの抗癌作用は「最強のプロポリス」(Bio 30) の千倍にあたる「超優れ物」である! BBB (血管脳関門) を通過するはずなので、脳腫瘍や認知症の治療にも将来、活躍するだろう。
もし、ロッシュなどの製薬会社によって、例えば「15K」が将来、抗癌剤として市販されるようになれば、「クリック化学」の威力 (創薬への貢献度) が再認識され、発明者Barry Sharpless 教授が「第2のノーベル賞」に輝く日が来るだろう。
参考文献:
Binh Cao Quan Nguyen, Hideaki Takahashi, Yoshihiro Uto, MD.
Shahinozzaman, Shinkichi Tawata, Hiroshi
Maruta. 1,2,3-Triazolyl ester of ketorolac:
A “Click Chemistry”-based highly potent PAK1-blocking cancer-killer. Eur. J. Med. Chem. 126C (2017), 270-276.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S022352341630976X
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S022352341630976X
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