最近、マヌカヘルス社の経営者 (CEO) がJohn Kippenberger 氏に変わり、それに伴い、Bio100 カプセルの製造を停止したそうです。 なお、Bio30 (液体) の製造は今まで通り、継続するそうです。
もし、NF患者さんで、Bio100 をぜひ必要とする方は、まだ在庫がある内に, 至急Bio100を注文しておくことをお勧めします。
なお、新しいCEO (John Kippenberger) によると、Bio 100の代わりに、例の 「Bio30 のガンマーCD包接」 カプセルを目下、試験的に製造中だそうです。
(創業2005年以来) 今までの経営者 (CEO) として、Bio30 (液体) およびBio100 (カプセル) を開発し、特にNF患者のために、定価の半分以下で提供してくれた Kerry と Nina PAUL 夫妻に 深く感謝の意を表したい と思います。 丸田
2017年4月30日日曜日
2017年4月25日火曜日
新規PAK遮断剤 (15K) が認知症にも有効な理由!
数年前に発表された京大薬学部杉本八郎らの (細胞モデルを使った) 研究によれば、悪玉酵素「PAK」の上流にあるRACを抑えると、認知症 (アルツハイマー病=AD) の病因蛋白 (ベータアミロイド) の合成が抑制される (1)。 さらに、PAKの下流に出没する炎症や痛みの元凶である「COX-2」と呼ばれる悪玉酵素も、認知症状の要因になっていることが知られている (2)。 ADが 「PAK依存性難病」である 由縁はここにある。 従って、RAC-PAK-COX-2 (AD) シグナル経路を有効に抑えれば、認知症 (AD) を軽減あるいは解消しうることが大いに期待される。
さて、前述した (健康長寿を導く) PAK遮断剤 (15K) は、光学活性な2種類の薬剤から構成されている。 そのうち、R 型はRACを直接阻害する。片や、S型は、COX-2を直接阻害する。 従って、15K は、言わば 「一石二鳥」 (あるいは宮本武蔵的 「二刀流」) のAD特効薬である。
問題は、この薬剤が血管脳関門(BBB)を通過しうるかどうかである。 15K の原料であるケトロラックは元来、鎮痛剤であるから、BBBを通過することは明らかである。
15K の分子量は500以下 (442) だから、恐らく通過しうるであろうことが期待される。 しかし、予想される脳内濃度 (30 micro M 以下) を定量することは、(アイソトープ=ラベルなどを施さない限り) 従来の方法では、技術的に不可能である。 従って、マウスのAD (例えば、3XTg) モデルに15K (4-5 mg/kg, 腹腔週2回) を4-8週間投与して、経過を観察する以外に手はない。 勿論、(記憶回復など) AD症状が有意に改善されれば、"BBB通過" の直接証明になる。 更に、NFなどの脳腫瘍や他の様々な (PAK依存) 脳疾患にも有効であることが自明になる!
そこで、同志社大学に最近移った杉本教室と共同で、15Kの抗AD作用をマウスモデルで綿密に検討する計画を進めつつある。
参考文献:
さて、前述した (健康長寿を導く) PAK遮断剤 (15K) は、光学活性な2種類の薬剤から構成されている。 そのうち、R 型はRACを直接阻害する。片や、S型は、COX-2を直接阻害する。 従って、15K は、言わば 「一石二鳥」 (あるいは宮本武蔵的 「二刀流」) のAD特効薬である。
問題は、この薬剤が血管脳関門(BBB)を通過しうるかどうかである。 15K の原料であるケトロラックは元来、鎮痛剤であるから、BBBを通過することは明らかである。
15K の分子量は500以下 (442) だから、恐らく通過しうるであろうことが期待される。 しかし、予想される脳内濃度 (30 micro M 以下) を定量することは、(アイソトープ=ラベルなどを施さない限り) 従来の方法では、技術的に不可能である。 従って、マウスのAD (例えば、3XTg) モデルに15K (4-5 mg/kg, 腹腔週2回) を4-8週間投与して、経過を観察する以外に手はない。 勿論、(記憶回復など) AD症状が有意に改善されれば、"BBB通過" の直接証明になる。 更に、NFなどの脳腫瘍や他の様々な (PAK依存) 脳疾患にも有効であることが自明になる!
そこで、同志社大学に最近移った杉本教室と共同で、15Kの抗AD作用をマウスモデルで綿密に検討する計画を進めつつある。
参考文献:
1. Wang PL, Niidome T,
Akaike A, Kihara T, Sugimoto H.
Rac1 inhibition
negatively regulates transcriptional activity of the amyloid precursor protein (APP)
gene. J Neurosci Res. 2009 ; 87: 2105-14.
2. Sil S1, Ghosh T1. Cox-2 Plays a Vital Role in the
Impaired Anxiety Like Behavior in Colchicine Induced Rat Model of Alzheimer
Disease. Behav Neurol. 2016; 2016: 1501527
2017年4月23日日曜日
鎮痛剤 (ケトロラック) 由来の新規PAK遮断剤 (15K) :
線虫の健康寿命を驚異的に延ばす!
" 線虫を使って、(大腸) 癌の診断は可能だろうが、それだけでは、癌は治らない。
最も必要なのは、見つけた癌を (副作用なしに治しうる) 特効薬の開発である!"
我々は数年前に、線虫 (C.elegans) を研究材料に使って、悪玉酵素 「PAK」 の健康寿命に対する作用を究明するために、PAK遺伝子が欠損しているミュータント(RB689) と野生株との間に、平均寿命の差があるかどうか、検討した結果、PAK欠損株は、野生株より6割も長生きすることを突き止めた (1)。 更に、最近になって、PAKを直接阻害する作用のある沖縄産プロポリス(OP) が、線虫の健康寿命を有意に延ばすことも実証した (2)。
さて、天然ではなく (人工的に) 合成した化合物 (PAK遮断剤) で、線虫の平均寿命をハッキリ延ばしうるものは、一体存在するのだろうか? 我々はこの疑問に挑戦すべく、非常に強力なPAK遮断剤 (15K) を、合成鎮痛剤 (ケトロラック) から合成に成功して、併せて国内特許も獲得した (3)。 15K の抗癌作用は、前述したが、ケトロラックの 500-5000倍に達する (癌細胞の種類による) 。 抗癌作用の著しい増加は、主に、その細胞透過性の飛躍的な向上にある。 まず、我々はニワトリの受精卵を研究材料に使って、 15K (1 n mol/egg) が見事に (PAK依存性の) 血管新生を強力に抑制することを確かめた(4)。 つまり、細胞培養系ばかりではなく、多細胞からなる個体でも、その薬理作用が十分に発揮されることを実証した。 全ての固形腫瘍の増殖には、血管新生が必須である。 従って、血管新生を抑えれば、固形腫瘍の増殖も抑えうる。
そこで、ごく最近、線虫を研究材料に使って、15Kの健康寿命に対する効果を調べてみた (5)。 マウスや線虫などの小動物では一般に、健康寿命と出産能との間に逆比例関係がある。つまり、長生きの動物は少子化し、逆に、子沢山は短命に終わる。 実際に、長生きのPAK欠損株は、産卵数が野生株の7分の1 に激減する (1)。 そこで、先ず、15K (50-100 nM)で処理した線虫の産卵数を測定してみた。 無処理に比べて、産卵数が著しく (3-4割) に減少した (5)。 明らかに、15Kが線虫のPAKを阻害していることが分かる。
さて、線虫の 熱ショック蛋白 (特にHSP16 ) 遺伝子を活性化すると、健康寿命が延びるということが良く知られている。 この遺伝子のプロモーターにGFP遺伝子を融合させた特殊な線虫株 (CL2070) では、このプロモーターが活性化すると、GFP が大量生産され、透明な線虫が緑色の蛍光に輝く。 このプロモーターは通常、PAKによって抑制されている。従って、PAKが抑制/遮断された場合に限り、緑の蛍光が輝く。 案の定、15K (50-100 nM) で処理されたCL2070株は、熱ショックの直後、緑の蛍光に輝いた(5)! つまり、15Kは線虫のPAKを抑制して、熱ショック蛋白を大量合成して、「長生き」 を誘導しているに違いない。
実際、15K (50 nM) 処理により、線虫の健康寿命は有意に (30%) 伸びた (5)! いいかえれば、この強力な抗癌剤 (15K) には、「副作用がないどころか、健康長寿にも大いに役立つ」という結論が導れそうである。
最後に一つ強調しておきたいことがある。 数年前に、温帯地方で取れるプロポリスの主要抗癌成分であるCAPE (100 microM) が線虫の寿命を15% ほど延長するという結果がドイツの研究グループによって報告された (6)。 15K は、CAPEの濃度の2000分の1で、それ以上の「健康長寿」 効果を発揮した! こんな低濃度 (微量)で、線虫の寿命を延ばしたという例は、未だかつて歴史上にない。 「前代未聞の驚異」である!
参考文献:
最も必要なのは、見つけた癌を (副作用なしに治しうる) 特効薬の開発である!"
我々は数年前に、線虫 (C.elegans) を研究材料に使って、悪玉酵素 「PAK」 の健康寿命に対する作用を究明するために、PAK遺伝子が欠損しているミュータント(RB689) と野生株との間に、平均寿命の差があるかどうか、検討した結果、PAK欠損株は、野生株より6割も長生きすることを突き止めた (1)。 更に、最近になって、PAKを直接阻害する作用のある沖縄産プロポリス(OP) が、線虫の健康寿命を有意に延ばすことも実証した (2)。
さて、天然ではなく (人工的に) 合成した化合物 (PAK遮断剤) で、線虫の平均寿命をハッキリ延ばしうるものは、一体存在するのだろうか? 我々はこの疑問に挑戦すべく、非常に強力なPAK遮断剤 (15K) を、合成鎮痛剤 (ケトロラック) から合成に成功して、併せて国内特許も獲得した (3)。 15K の抗癌作用は、前述したが、ケトロラックの 500-5000倍に達する (癌細胞の種類による) 。 抗癌作用の著しい増加は、主に、その細胞透過性の飛躍的な向上にある。 まず、我々はニワトリの受精卵を研究材料に使って、 15K (1 n mol/egg) が見事に (PAK依存性の) 血管新生を強力に抑制することを確かめた(4)。 つまり、細胞培養系ばかりではなく、多細胞からなる個体でも、その薬理作用が十分に発揮されることを実証した。 全ての固形腫瘍の増殖には、血管新生が必須である。 従って、血管新生を抑えれば、固形腫瘍の増殖も抑えうる。
そこで、ごく最近、線虫を研究材料に使って、15Kの健康寿命に対する効果を調べてみた (5)。 マウスや線虫などの小動物では一般に、健康寿命と出産能との間に逆比例関係がある。つまり、長生きの動物は少子化し、逆に、子沢山は短命に終わる。 実際に、長生きのPAK欠損株は、産卵数が野生株の7分の1 に激減する (1)。 そこで、先ず、15K (50-100 nM)で処理した線虫の産卵数を測定してみた。 無処理に比べて、産卵数が著しく (3-4割) に減少した (5)。 明らかに、15Kが線虫のPAKを阻害していることが分かる。
さて、線虫の 熱ショック蛋白 (特にHSP16 ) 遺伝子を活性化すると、健康寿命が延びるということが良く知られている。 この遺伝子のプロモーターにGFP遺伝子を融合させた特殊な線虫株 (CL2070) では、このプロモーターが活性化すると、GFP が大量生産され、透明な線虫が緑色の蛍光に輝く。 このプロモーターは通常、PAKによって抑制されている。従って、PAKが抑制/遮断された場合に限り、緑の蛍光が輝く。 案の定、15K (50-100 nM) で処理されたCL2070株は、熱ショックの直後、緑の蛍光に輝いた(5)! つまり、15Kは線虫のPAKを抑制して、熱ショック蛋白を大量合成して、「長生き」 を誘導しているに違いない。
実際、15K (50 nM) 処理により、線虫の健康寿命は有意に (30%) 伸びた (5)! いいかえれば、この強力な抗癌剤 (15K) には、「副作用がないどころか、健康長寿にも大いに役立つ」という結論が導れそうである。
最後に一つ強調しておきたいことがある。 数年前に、温帯地方で取れるプロポリスの主要抗癌成分であるCAPE (100 microM) が線虫の寿命を15% ほど延長するという結果がドイツの研究グループによって報告された (6)。 15K は、CAPEの濃度の2000分の1で、それ以上の「健康長寿」 効果を発揮した! こんな低濃度 (微量)で、線虫の寿命を延ばしたという例は、未だかつて歴史上にない。 「前代未聞の驚異」である!
参考文献:
- Yanase S, Luo Y, Maruta H. PAK1-deficiency/down-regulation reduces brood size, activates HSP16.2 gene and extends lifespan in Caenorhabditis elegans. Drug Discov. Ther. 2013, 7, 29–35.
- Taira N, Nguyen BC, Be Tu PT, Tawata S. Effect of Okinawa Propolis on PAK1 activity, C. elegans Longevity, Melanogenesis, and Growth of Cancer Cells. J Agric Food Chem. 2016、64, 5484-9.
- Nguyen BC, Takahashi H, Uto Y, Shahinozzaman MD, Tawata S, Maruta H. 1,2,3-Triazolyl ester of Ketorolac: a “Click Chemistry”-based highly potent PAK1- blocking cancer-killer. Eur. J. Med. Chem, 2017, 126, 270-6.
- Ahn MR, Bae JY、Jeong DH, Nguyen BC, Takahashi H, Uto Y, Tawata S, Maruta H. Triazolyl ester of Ketorolac (15K), a novel potent PAK1-blocker, and YM155, a potent survivin-suppressor, inhibit the embryonic angiogenesis in ovo (fertilized eggs) via their common PAK1-survivin signaling pathway. 2017, Submitted,
- BC Nguyen, H. Takahashi, Y Uto, N. Taira, S. Tawata, H Maruta. The potent synthetic elixir (15K) from an old pain-killer (ketorolac): reducing brood size, inducing HSP16 gene, and extending the lifespan of C. elegans by blocking PAK1. 2017, Submitted,
- Havermann S, Chovolou Y, Humpf HU, Wätjen W. Caffeic acid phenethylester increases stress resistance and enhances lifespan in Caenorhabditis elegans by modulation of the insulin-like DAF-16 signalling pathway. PLoS One. 2014 ; 9: e100256.
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