その研究報告を基づいて、豪州のNSWにあるリバプール病院の30歳のNF2 患者(男性、難聴が急速に進んでいた) に、2011年頃、試みに一日400 mg を投与し始めた。「グリーベック」のおかげで、腫瘍の増殖は殆んど止まったが、4カ月後に (患者の体質から) いくつかの副作用が出てきたので、「グリーベック」の投与を止め、ベバシズマブ (アバスチン、中外製薬) に切り換えたそうである (2)。 「ベバシズマブ」でも、腫瘍の増殖は抑えられたようである。8カ月の投与中、特に副作用はなかったようである。
アバスチンは血管新生に必須なVEGFに対するモノクローナル抗体である。一般に固形腫瘍の増殖には血管新生が必須なので、VEGF抗体は、一定の治療効果を発揮するが、この抗体だけでは、腫瘍の根治は期待できない。 しかも、抗体は脳内に入らないので、脳外のVEGFを減らす働きしかない。
「グリーベック」も「アバスチン」も癌の治療薬と許可されているので、薬価が高い。従って、NFのような遺伝子難病の「生涯治療」には、薬価で家計を苦しめる結果になるので、安価で効果のある (かつ副作用なしの) プロポリス (例えば、Bio30) をむしろ勧めたい。
ジョン=マケインを脳腫瘍から救えるか?
グリーベックがNF2に効くということは、薬が脳内に入っている証拠であるから、脳腫瘍一般に有効であるはずである。 従って、米 (共和党)上院議員ジョン=マケイン氏の脳腫瘍もグリーベックで治療可能であろう。 しかし、大病院の 「石頭」 医師陣は、プロポリスやグリーベックを脳腫瘍の治療に使用しようとしない! だから、脳腫瘍で死亡した上院 (民主党) 議員エドワード=ケネディー氏の場合同様、マケイン氏も助からないかもしれない。。。
さて、グリーベックの美白作用については、最近、中国の研究グループにより、実際に細胞培養系で、メラニン合成を抑えることが実証された(3)。 なぜ、グリーベックがメラニン合成を抑えるのだろうか? 我々自身の研究によれば、"メラニン合成には、血清中のPDGFによって活性化されるPAKが必須" であることが判明した (4)。
参考文献:
1. Mukherjee J, Kamnasaran D, Balasubramaniam A, et al. Human schwannomas express activated platelet-derived growth factor receptors and c-kit and are growth inhibited by Gleevec (Imatinib Mesylate). Cancer Res. 2009 ;69(12):5099-107.
2. Lim S1, de Souza P. Imatinib (Gleevec) in neurofibromatosis type 2. BMJ Case Rep. 2013; 2013. pii: bcr2013010274.
3. Wang Y, Zhao Y, Liu L, Zhang L, et al. Inhibitory effects of imatinib mesylate (gleevec) on human epidermal melanocytes. Clin Exp Dermatol. 39 (2014), 202-208.
4. . P.T.
Be Tu, B.C. Nguyen,
S. Tawata, C.Y. Yun, E.G. Kim, H. Maruta, The
serum/PDGF-dependent “melanogenic” role of the minute level of the oncogenic
kinase PAK1 in melanoma cells proven by the highly sensitive kinase assay, Drug Discov. Ther. 10 (2017) 314–322.