この色素は、ブラジル原産の「ブラジルウッド」あるいは蘇枋 (スオウ) と呼ばれる大木から得られる色素で、酸性溶液では黄色だが、アルカリ溶液では赤紫である、花の色は黄色だから、花弁自身は酸性なのだろう。「ブラジル」という国名は元来、この植物に由来する。ブラジルの国旗の 「黄色」も 、この花の色が由来。
古代から漢方の一種としても、使用されてきた。 最近の研究によると、抗癌作用や抗炎症作用もあることがわかっている。 不幸にして、様々な目的のために、「ブラジルウッド」 は乱伐され過ぎて、今や保護しなければ、「絶滅」の運命にさらされている。 色素/染料として使用されるばかりではなく、バイオリンやチェロなどの弦楽器を弾く弓にも使用されている。
幸いにして、色素 「ブラジリン」 自身はごく最近、韓国 (Yonsei 大学) のグループにより、"収率良く" 化学合成が可能になった (2)。 その合成の中間体で、ブラジリンの3つの水酸基が メチル化された 化合物があるが、私自身の考えによれば、ブラジリンよりも細胞透過性が高そうである。 そこで、この中間体や誘導体などを韓国のグループ (Prof. Ikyon Kim) から、入手して、その抗癌作用やPAK遮断作用を比較してみたい。 更に、(臨床への応用をめざして) 細胞透過性と水溶性を飛躍的に増強するために、(「クリック=ケミストリー」 とは違う別の) 特殊な化学修飾 (韓流) を目下考えている。 このプロジェクトは 「環境にやさしい (環境保護) 」 研究の一環 として、ぜひ推進していきたい。
参考文献:
1. Lee EB1, Xing MM1,2, Kim DK3.
Lifespan-extending and stress resistance properties
of brazilin from Caesalpinia sappan in Caenorhabditis elegans. Arch Pharm Res.2017 Jun 30.
2. Jung Y, Kim I. Total synthesis of brazilin. J Org
Chem. 2015; 80(3):2001-5.
0 件のコメント:
コメントを投稿