2020年6月17日水曜日

号外: 抗炎症剤 「Dexamethasone」も PAK遮断剤!
COVID-19 による死亡率を減少 (英国での臨床結果)。

 
ごく最近、英国オックスフォード大学の研究グループによれば、ステロイド系の抗炎症剤 「Dexamethasone」がCOVID-19 による死亡率を有意 (3分の1) に減少 することが、臨床テストで明らかになった!

興味深いことには、炎症もPAK依存性である (PAK欠損株マウスでは、癌も炎症も発生しない!) が、この薬剤もPAK 遮断剤であることが、実は2003年頃に韓国の研究グループによって、明らかにされていた (1)。 抗癌蛋白であるp21 の発現はPAKによって抑制されていることも、ちょうど同じ頃、我々によって明らかにされた (2)。そして、PAK遮断剤 (Dexamethasone etc) によって、p21 の発現が誘導され、PAKの下流にあるMAP キナーゼ (ERK) などが抑制される (1)。 従って、プロポリスやイベルメクチンばかりではなく、比較的安価な抗炎症剤 「Dexamethasone」(DXM) もCOVID-19 感染死 を防ぐことができる。ただし、イベルメクチン (IC50=2.5 micro M) の方がDXM (IC50=25 micro M) より10倍ほど薬効が強い。

参考までに、天然物の中にも、ステロイド系のPAK 遮断剤が存在する。例えば、ビタミン D3、沖縄名産のゴーヤ (苦瓜, Cucurbitacins)、 ローズマリーの葉 (Ursolic Acid)、 海鼠 (ナマコ, Frondoside A) などである。

参考文献: 
1. Won Sik Eum, Ming Zhen Li, Gye Suk Sin, Soo Young Choi, Jae-Bong Park, Jae Yong Lee, Hyeok Yil Kwon.  Dexamethasone-induced Differentiation of Pancreatic AR42J Cell Involves p21 (waf1/cip1) and MAP Kinase Pathway. Exp Mol Med. 2003; 35: 379-84.
2. Nheu T, He H, Hirokawa Y, Walker F, Wood J, Maruta H. PAK is essential for RAS-induced upregulation of cyclin D1 during the G1 to S transition. Cell Cycle. 2004 ; 3:71-74.

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