最近発表された臨床例によれば、スペインの首都マドリードの病院 (ICU) にCOVID-19 感染で入院していた38歳の女性が、グリーベック (毎日 400 mg 経口) で5日間、
治療を受けた結果、快方に向かい、酸素吸入器ももはや必要なくなったので退院、その後 3週間近くで、ウイルス 感染の兆候は全くなくなった!
グリーベックは元来、チロシン=キナーゼ (ABL、PDGFR, KIT 等) の阻害剤で、CML という稀少癌などの治療のために 2003年頃、Novartis から市販され始めたが、その下流にある”PAK” を間接的に遮断するので、他の固形腫瘍 (例えば、NF2 腫瘍) にも有効であることが以前から予想されていたが、つい最近、(PAK依存性の) COVID-19 による肺炎にも効くことが、臨床的に実証されたわけである。 従って、我々の「先達」(津田 栄) が啓蒙するごとく、頭を柔軟に働かせ、凡ゆる可能性を試してみることが "生存" や "成功" に繋がる。。。詳しくは、下記の英文論文を参照:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7319919/
Alejandro Morales-Ortega, David Bernal-Bello, Cristina Llarena-Barroso et al, Imatinib (=Gleevec, 400 mg daily) for COVID-19: A case report. Clin Immunol. 2020 Sep; 218:108518.
なお、グリーベックの抗ウイルス作用のメカニズムの一端は、2年前に発表された論文によれば、ウイルスが宿主細胞に侵入するために必須な 「ウイルスS蛋白と細胞表膜との融合」 を抑制することにある: Sisk JM, Frieman MB, Machamer CE. Coronavirus S protein-induced fusion is blocked prior to hemifusion by Abl kinase inhibitors (Gleevec etc). J Gen Virol. 2018; 99(5):619-630.
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