2023年11月15日水曜日

「進化」: "歴史" を反芻せず、 賢者は "歴史" から学ぶ

この格言は、本来、ドイツ (プロシャ) の名 (鉄血) 宰相「ビスマルク」の格言から派生する。
原文 (ドイツ語) を邦訳すると、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。 その解釈は、人様々だが、「愚者」は自ら失敗して初めて失敗の原因に気づき、 その後、同じ失敗を繰り返さないようになる。 それに対し、「賢者」は自分が経 験できないことも先人たちが経験したこと (すなわち「歴史」) を学ぶことで、 多くの経験を身につけることができる。 即ち、賢者は過去の「他人」の失敗から 学び、同じ失敗をしないようにする。 我が輩自身の解釈としては、本人/他人を 問わず、過去の失敗 (あるいは成功) を土台にして、より「進化」する。 何故な ら、「歴史は (形を変えて) 何度も繰り返す」からである。

もう半世紀近く昔の経験であるが、我が輩が米国NIHで、土壌アメーバ由来の奇妙 なミオシン (ATPase) に関する研究をしていた。このミオシンは、筋肉ミオシン (双頭) と違って「単頭」であるばかりではなく、アクチンによって活性化を受け ない。ところが、ある (第三の) 蛋白を加えてやると、活性化が起こるようになる。 我が輩の研究課題は、この(第三の) 蛋白の正体を暴くことだった。 さて、ミオ シンは一般に重鎖 (H) と軽鎖 (L) からなる。 同じNIH構内の別のグループ (Bob Adelstein et al) が1975年 に、血小板のミオシンの (L) 鎖が燐酸化されると、初めてアクチンによって、活 性化されることを発見した。我が輩自身も、アメーバ由来の(謎の) 蛋白が ATPや ADPに結合する(が, ATPase ではない) ことを発見していた。 そこで、単純な「水平 思考」で、アメーバの謎の蛋白も「ミオシン(L) 鎖を燐酸化するキナーゼ」では ないか、と思った。 しかし、残念ながら、(L) 鎖は燐酸化されなかった! 大部 分の (若い) 研究者 は、そこで、挫折するところだが、我が輩は、いささかしぶ とかった。 右の脳が、左の脳に、問いかけた: 「ひょっとすると、 (H) 鎖を燐酸 化するのではないか?」。 案の定、(H) 鎖が見事に燐酸化されていた! 1977年 のことである。 これが、今日まで、我々が研究し続けている「PAK」 の (進化途上の) "前駆体" と なった。 つまり、先人の経験をちょいと捻ると、新しい発見に通ずる「進化」とは、そういう物 (捻り, 言わば「起死回生の一打」!) だと、我が輩は思っている。。。
"ペンギン" は飛べないが、「翼」(フリッパー) で泳ぐことを発見!
天敵 (アラブ) のひしめく「パレスチナ」 に飽くまでもしがみつくイスラエル民族の大きな「間違い」は、天敵 (猫) がひ しめくニュージーランドから、南極に"安住の地"を見つけたペンギンの 賢い "歴史"を、学ぼ うとしないことである。。。
ビスマルクは賢いユダヤ人を重用したが、ヒットラーはユダヤ人全体を排斥した。 それが後者の「最大の失敗」だった! 我が輩は、 (ビスマルクの言に従って)、海 外でユダヤ系の上司達から学び、お蔭で成功を修めた!
実は、我が輩が NIH に勤務していた「いわゆる黄金時代」(1970年代)、驚くなかれ、300人以上のユダヤ系科学者が「上司」で、約300人の日本人「ポスドク」がいた。 NIHキャンパス内には、50以上のビルディングがあるが、我が (小さい) ビルディング (3) には、日本人ポスドク2名に対して、 5名の Labo head が、全て「ユダヤ系」だった。 つまり、日本人で、ユダヤ系の上司に当たらないケースは、極稀れだった! しかも、当時、 NIH 出身でノーベルをもらった学者は大部分「ユダヤ系」だった。 従って、"犬も歩けば、ユダヤ系に当たる" 状態だった。。。NIH 時代の我が上司 (Dr. Ed Korn) は現在95歳 (未だ "ノーベル賞" はもらっていないが) 、 彼の上司だった Dr. Chris Anfinsen は、 1972年にノーベル賞を受賞している。。。つい最近、ノーベル賞をもらった本庶 佑 (教授) の上司 (Dr. Marshall Nirenberg) at NIH は、遺伝暗号 (Triplet Code) でノーベル賞を 1968年に受賞! 従って、当時のNIHで活躍していた人物 (今は「老齢」) に、ノーベル賞が突然転がり込んでも、何ら驚くには当たらない。。。歴史とは、「反芻を繰り返す」生き物なのだ!

0 件のコメント:

コメントを投稿