2023年12月4日月曜日

ラパマイシンと「ビタミンD3」の併用:
「TSC」 (結節性硬化症) に伴う(顔面など)
皮膚上にできる良性腫瘍の治療に効果的!

良性腫瘍 「TSC」は、抗癌遺伝子「TSC」の欠損あるいは機能不全によって、発症 する。「TSC」蛋白の本来の機能は、(主に) 発癌キナーゼ「TOR」を抑制すること にある。
さて、抗生物質「ラパマイシン」には、「TSC」蛋白同様、「TOR」を抑 制する働きがあるが、不幸にして、「免疫機能を抑える」という副作用があるの で、一般には、臓器移植のためにしか、使用されない。
しかし最近、TSC患者の顔面などにできる良性腫瘍 (いわゆる「ブツブツ」, "Angio-fibromas" ) の治療に、ビタミンD3 と併 用して、塗り薬として使用され始めた。 その主な理由は、次のような最近の発見 (臨床テストの結果) に基づく。
2020年に台湾国立大学の臨床グループが、「ラパマイシンにビタミンD3 を添加」 すると、治療効果が増大すると共に、より持続するという結果を発表したからで ある。
文献:
P L Chen, J B Hong, L J Shen, et al (2020).
The efficacy and safety of topical rapamycin-calcitriol for facial angiofibromas (FAs) in patients with tuberous sclerosis complex (TSC): a prospective, double-blind, randomized clinical trial. Br J Dermatol. 183: 655-663.
さて、ビタミンD3 には、TORを抑制する機能と、PAKを遮断する 作用、いわ ゆる「二刀流」が知られている。しかし、そのどちらが、併用に貢献しているかは、未だ不明。
この併用は NF1 (neurofibromatosis type 1) 患者に頻発する皮膚腫瘍 (いわゆる 「ブク」) の治療にも効果的なはず。。。しかし、現実的には、沖縄特産のモズ ク由来の「フコイダン」を毎日「経口」する方が、より効果的という評判もある。
フコイダンには、D3 同様、PAK遮断のみならず、TOR抑制もする「二刀流」らしい。。。
For detail, see:
N Zhang, M Xue, Q Wang et al (2021).
Inhibition of fucoidan on breast cancer cells and potential enhancement of their sensitivity to chemotherapy by regulating autophagy. Phytother Res. 35: 6904-6917.
しかしながら、フコイダンには「美白作用」があるから、PAK遮断 》TOR抑制 らし い。 D3 は、その"逆" (メラニン合成を助長する) から、 TOR抑制 》PAK遮 断となる! そこで、これを逆転させて、「美白作用のある D3誘導体」を発掘し よう、という言わば、世紀の「博打」を目下進めている。。。 実は、その種の "Acrobatic" 的な「進化」(空を飛べない鳥類 "ペンギン"が、代わりに海を泳ぐ) は、有機化学的にも可能 (目下、その実例について、"レビュー"を執筆中)!

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