筑波大学のある研究グループからの最新の報告である。 これは「清酒の宣伝」にはピッタリの見出しである。 この化合物は酒酵母の働きで清酒中に出来るそうである。 強調したい「ポイント」は、「酒を飲む」 ことではなく、「香りを楽しむ」 ことである (臭覚のない人には、刺激が脳に伝達されないので、効果なしである)! 線虫にとっては、この化合物は、ケモアトラクタント、つまり 「虫寄せ」 の一種である。 逆に、酢酸は虫を退散させる化合物である。 従って、虫もつかない男性には、イソアミルアルコールを香水として、お勧めしたい。女性が近寄ってくるばかりではなく、本人も、相手の女性も共に、長生き (健康長寿) を楽しめそうだからである。 イソアミルアルコールによる長生きのメカニズムには、長寿蛋白と呼ばれる転写因子 「FOXO」 が必須であることから、どうやら発癌/老化キナーゼである 「PAK」 が関与しているようである。 つまり、イソアミルアルコールは何らかの経路でPAKを遮断している可能性が強い。
ところで、学生時代の有機化学実習で、「イソブタ」(イソブチルアルコール) の悪臭 (腐敗臭) を体験した者は少なからずいるだろうが、実は 「イソブタ」はイソアミルアルコールと非常に良く似た化学構造をしているが、「似て非なる」もので、もし香水に混入すれば、「悪臭防止法違反」で逮捕されるだろう。 「イソブタ」は我々の寿命をきっと縮めるだろう。。。
最近初めて知ったことであるが、パン酵母では、悪臭の「イソブタ」も香り高いイソアミルアルコールも、実は同じ (アミノ酸) 「ロイシン」から生合成される。上海のグループは、最近、GMにより酵母を進化させ、より多くのイソアミルアルコールを生産する株の開発に成功したそうである。
勿論、イソアミルアルコールは、化学合成でも簡単に生産できる。東京化成では、99%純粋のイソアミルアルコール (500 ml) を2200円で、小売りしている (「シャネル5番」よりずっとお買い得!)。揮発性のイソアミルアルコールの香水で、部屋を満たせば、幸せ一杯で長生きできる! ただし、(窓を開けていると) 蝿や蚊などの昆虫も幸福感を求めて飛んで来るかもしれない。。。
参考文献:
Kurino C, Furuhashi T, Sudoh K, Sakamoto K. Isoamyl alcohol odor promotes longevity and stress tolerance via DAF-16 in Caenorhabditis elegans. Biochem Biophys Res Commun. 2017. pii: S0006-291X(17)30336-4.
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