最近我々が開発した強力なPAK遮断剤 「15K」 は、R型とS型のラセミ体 (混合物) で、実は、少なくとも3つの異なる発癌蛋白を阻害している。その一つはPAKの直ぐ上流にある 「RAC」 である。これはR型によって阻害される。2つ目はPAKの下流にある「COX-2」 を阻害する。これはS型によって阻害される。3つ目は、未だ分子レベルでは同定されていないが、メラノーマの増殖に必須な発癌蛋白である (仮に 「Melanoma Oncogenic Factor」=MOF と呼ぼう)。
メラノーマはスイゾウ癌や大腸癌などと違って、その増殖にPAKを必要としない。ただし、メラノーマによるメラニン色素の合成には、PAKが必須である。 従って、一般にPAK遮断剤は、上皮細胞の増殖を抑えずに、メラニン合成を阻害する (美白作用を発揮する) ことができる。
ところが、「15K」は例外的に、メラノーマの増殖を抑えることが、我々の手によって、偶然に発見された! 従って、「15K」は 「一石三鳥」 の抗癌剤といえる。「一石三鳥」という特徴がもたらす最大の恩恵は、癌細胞にこの薬剤 (15k) に対する耐性が全く発生し得ないという保証である。 3つの異なる標的遺伝子 (RAC, COX-2 およびMOF) に同時に(薬剤耐性をもたらす) 突然変異が起こるという確率は、数学的に「零」であるからだ。
しかも、せんちゅうの寿命を有意に延ばすことも最近 「確認済み」なので、副作用のない、しかも「健康長寿にも役立つ」 抗癌剤であるといえよう。 これをできるだけ早期に市販へこぎ着けさせるのが、(全世界の様々な患者の期待に答えるべき) 我々に課せられた今後の最大の課題である。
先ず、一連の動物 (マウス) 実験に必要な「15K」の大量生産 (少なくとも 1g ) をめざしている。更に、臨床テストでは、患者の平均体重(60 kg) がマウスの体重 (20 g) の3千倍であるから、少なくとも kg 単位で 「15K」 のマスプロが必要になる。 今後必要な「15K」マスプロのための資金源は、恐らく、かつて 「ペニシリンのマスプロ」に成功した我々の大先輩、豪州出身のフローリー博士の前例に習って、我々も米国の「ロックフェラー財団」に仰がざるをえないと思う。
ついでながら、今朝、豪州の鉱山王 「アンドリュー=フォーレソト」 氏が私財300億円を投じ、癌研究 (約45億円) などに寄付するというニュースが流れた。
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