2018年1月8日月曜日

乳癌の「タモキシフェン」療法の父:
クレイグ=ジョーダン博士 (MD Anderson Cancer Center)

大部分 (約7割) の乳癌の増殖には「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが必須である。従って、エストロゲンの拮抗剤である「タモキシフェン」が、多くの乳癌の治療に今でも使用されている。実は、非ステロイド性の抗エストロゲン剤「タモシキフェン」(TAM) は、英国 "ICI " 社(現アストラゼネカ社)によって1963年に開発された。しかしながら、TAM が乳癌の治療に有効である可能性について、初めて気づいたのは、英国出身の米国人である若きクレイグ=ジョーダン博士だそうである。 最近、彼の友人(昔の同僚) であるトム=アドリアン教授 (英国出身の米国人で、UAE大学でスイゾウ癌の治療薬を開発研究中) から、その話を初めて聞いた。

発見当時 (1977年) には、ジョーダン博士は英国のLeeds 大学医学部薬理学教室に勤務していた医師だった。 British Medical Journal という雑誌に半ページほどのごく短い手紙を掲載した (1) のが、その発端になった。 以来、世界的に TAMが乳癌治療に使用されるようになり、製薬会社「アストラゼネカ」は、さぞホクホクだったに違いない。 しかしながら、その内に、TAM耐性の乳癌患者が続出してきた。 その原因を調べている内に、10年以上昔、我々はTAM耐性の乳癌をPAK遮断剤「FK228」で処理すると、増殖が完全に阻止されることを発見した (2)。 つまり、TAM耐性は、PAKの異常活性化によることが判明した。 実は、「エストロゲン受容体 (ER) はPAKを活性化し、更に、PAKはERを逆に活性化する」という「悪循環」が繰り返えされているのである。 それを絶つのが「プロポリス」などのPAK遮断剤である。

参考文献:

1。 Jordan VC. Effects of tamoxifen in relation to breast cancer. Br Med J. 1977 ;1 (6075):1534-5.

2.    Y. Hirokawa, M. Arnold, H. Nakajima, J. Zalcberg, H. Maruta, Signal therapy of breast cancer xenograft in mice by the HDAC inhibitor FK228 that blocks the activation of PAK1 and abrogates the tamoxifen-resistance, Cancer Biol. Ther. 4 (2005) 956960.

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