そこで、寿命延長効果を調べる目的には、平均寿命が最短 (2週間) であるせんちゅうが最も頻繁に使用される。 平均寿命が2倍になっても、一ヶ月以内に最初の結果が出るからである。しかしながら、せんちゅうは (視覚も聴覚もない) 無脊椎動物であり、循環系の組織や脊髄がないので、例えば、心臓や視覚や (抗体に基づく) 免疫機能に対する薬物の影響を調べることはできない。
そこで、脊椎動物の中で最も寿命の短い (進化レベルが低い) 魚類の中から、老化の研究モデルを探索している内に、中部アフリカ産の「African turquoise killifish」と呼ばれる小魚が、最近注目されるようになった。全長6。5 cm で、平均寿命が4カ月 (マウスの寿命の10分の1) 。10年ほど前の研究によると、赤ぶどう (ワイン) の成分であるレスベラトロール (2.5 micro M) が (せんちゅう同様) この小魚の平均寿命を 50% 以上延ばすことが判明した (1)。
魚の和名は「ターコイズ」(トルコ石、メダカに近い)。 詳しくは、下記の文献を参照せよ:
http://aasj.jp/news/watch/2990
レスベラトロールは天然のPAK遮断剤の一つであるが、プロポリスほどその薬理作用が強くない。 しかも、我々が最近開発した合成PAK遮断剤「15K」は、 プロポリスの千倍以上、 抗癌作用が高い。しかも、50 nM という低濃度で、せんちゅうの平均寿命を15-30% 延長した。そこで、近い将来、米国スタンフォード大学のAnne Brunet 教授などと共同で、この小魚の寿命も、15K によって延ばすことができるどうかを検討したいと思っている。
「ゼブラ=フィッシュ」と呼ばれる小魚 (平均寿命は5年!) のPAKを異常活性化すると、人間同様 (高血圧が原因で) 脳溢血になるという研究報告が数年前に上海のグループから出ている (2)。 従って、15KやプロポリスなどのPAK遮断剤で (魚などの脊椎動物を) 処理すると、(少なくとも) 脳溢血や癌で死ぬ可能性は無くなるので、長生きするはずである。*
一般に、気温や水温が高まると、せんちゅう、小魚、珊瑚などの寿命が著しく縮まる (老化が促進される)。 しかしながら、プロポリス、レスベラトロール、15K などのPAK遮断剤は、「温暖化による老化の促進」を予防する効果がある。 従って、(実験中に) 高温で小魚を育てれば、(せんちゅう同様) 縮まった寿命が15Kにより何倍にも延長されることが予想される。
* (注): 脳溢血が歴史を大きく変えた事件があった。 小児麻痺のため "車椅子の政治家" になった米国のルーズベルト大統領 (FDR, 63) は、ドイツの降伏直前 (1945年4月) に脳溢血で急死した。そのため、「棚ぼた式」に副大統領のトルーマン (軍人出身) が大統領に昇格した。ところが、ソ連のスターリンに「新米 」の政治家として、舐められた。そこで、米国が開発したばかりの原爆2発を広島と長崎に投下して、スターリンを震え上がらせた。もし、FDRの主治医がプロポリスの偉力を予知していたら、 (歴史の歯車を戻すことはできないが) きっと原爆の悲劇は避けられていただろう。
加えて、日本軍事政府に "致命的なミス" があった。ポツダム宣言 (1945年7月末) で、英米ソ巨頭が日本に「無条件降伏」を迫った。日本政府はそれを愚かにも無視した (トルーマンにとっては、正に「思う壷」だった!)。こうして「先見の明」の 欠如は、一連の悲惨なドミノを産んだ!
参考文献:
[1] Valenzano DR, Terzibasi
E, Genade T, Cattaneo A, Domenici L, Cellerino A. Resveratrol prolongs lifespan
and retards the onset of age-related markers in a short-lived vertebrate. Curr
Biol. 2006; 16: 296-300.
[2] Zou J1, Li WQ, Li Q, et
al. Two functional microRNA-126s repress a novel target gene p21-activated
kinase 1 to regulate vascular integrity in zebrafish. Circ Res. 2011; 108: 201-209.
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