さて、その「パス」の誘導体 (LX-007) が最近、中国の南京の研究グループによって、開発され、炎症に有効という結果が報告された。そのメカニズムを調べてみると、LPSによって誘導されるCOX-2の発現が、この薬剤によって抑制されることが判明した。更に、この薬剤によって、PAKの下流にあるERK やNF-kB も抑制されることがわかった (1)、つまり、LX-007 は (疑いもなく) 「PAK 遮断剤」の一種に違いない。 従って、抗癌作用もあるだろうし、例のPD-L1 の発現も抑制するに違いない。
ただし、この化合物は「パス」同様、分子中にカルボン酸があるため、細胞透過性が悪いと思われる。そこで、その 細胞透過性を (「15K」程度に) 大幅に高める努力 ("19P" Project) を、この研究グループと計画している。
「ストマイ」の発見者セルマン=ワックスマンは1952年にノーベル医学賞を独り占めしたが、何故か (それよりも有効だった)「パス」の発見者レーマンには、とうとうノーベル賞が与えられなかった。パスによって命拾いをした (我が家を含めて) 世界中の多くの患者たちにとっては、何か釈然としないものがある。。。私自身の個人的な考えでは、少なくともノーベル医学賞は、その発見によって「恩恵を受ける (救われる) 患者の数」(あるいは「潜在性の大きさ」) に基づいて評価されるべきだと思う。
従って、以下は私の「夢」であるが、 15K や19P (PAS の誘導体) などのPAK遮断剤が市販された暁には、そのロイヤリティーを資金にして「レーマン賞」を創設して、真に"医薬の開発"に貢献した学者を表彰したいものである。。。
参考文献:
The Anti-inflammatory Effects of
4-((5-Bromo-3-chloro-2-hydroxybenzyl) amino)-2-hydroxybenzoic Acid (LX007)
in LPS-Activated Primary Microglial Cells. Inflammation. 2018; 41(2):530-540.
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