1972年にイースター島 (現地名は、ラパ島) で放線菌中に発見された「ラパマイシン」と呼ばれる抗生物質が、1999年にファイザー社によって市販され、臓器移植の拒絶反応を抑制する目的で使用されるようになった。この抗生物質はTOR (Target of Rapamycin) と呼ばれる発癌/老化キナーゼ (PAKの下流) の阻害剤である。しかしながら、(PAK遮断剤と違って) 免疫機能を抑える等 いくつかの副作用があるので、癌の治療にはとうとう使用 (歓迎) されなかった。
さて最近になって、その誘導体で「RAD 001」(Novartis 商標: Everolimus, Afinitor etc) と呼ばれる薬剤が、ラパマイシンに比べて副作用が少ないため、Gemcitabine 耐性のスイゾウ癌や稀少難病「TSC」 (結節性硬化症) に伴う癲癇の治療にも使用され始めたという話を聞いている。 勿論、この誘導体は本来、臓器移植の際に発生する拒絶反応を抑制するという目的で、20年ほど昔、開発されたので、(抗癌) 免疫機能を確実に抑える。従って、「理想的な抗癌剤」とはいえない。 治験結果によれば、延命効果はあるようだが、癌の根治は難しそうである。
もっとも、来年の9月には特許がとうとう切れるので、「ジェネリック薬剤」として、安価に市販されるはずである。 言いかえれば、癌やTSC患者たちにとっては良報だが、大手製薬会社「Pfizer 」や 「Novartis」自身にとっては、もはや金儲けの「ドル箱」ではなくなりつつある! 従って、「RAD 001」に代わるべき癌/TSC の特効薬を探し始めているが、(私の知る限りでは) 有効なPAK遮断剤は製薬会社自身の手では未だ開発されていない。 そこで、我々のPAK遮断剤「15K」の特許権 (ライセンス) をPfizer あるいはNovartis に売却して、一連の臨床テストを開始しうる可能性が出てきた。。。
さて、稀少難病TSCは、抗癌遺伝子TSCの欠損によって起こる良性腫瘍を伴う遺伝子病で、キナーゼ「TOR」が異常に活性化されている。この発癌キナーゼをTSC遺伝子発現あるいはラパマイシンで阻害すると、腫瘍のPD-L1発現が抑制されるという報告が、昨年、米国テキサスのMD Anderson 癌研のグループにより発表された。 言い換えれば、TOR もPAKの下流で、PD-L1 発現に関与していることになる。 しかしながら、(PAK遮断剤と違って) ラパマイシンやその誘導体には、免疫機能を低下させる「副作用=逆作用」もあるので、(TOR阻害による) PD-L1 発現の抑制が、抗癌作用に生かされないのは、誠に残念である!
2018年12月29日土曜日
2018年12月28日金曜日
PAK遮断剤「15K」: ケモ耐性スイゾウ癌の増殖と転移を抑制 (マウス実験) !
スイゾウ癌の専門家であるトム=アドリアン教授 (UAE大学) との共同研究の結果、マウスのスイゾウにに移植したヒト由来のスイゾウ癌の増殖自身、および骨盤などへの転移が、我々の開発したPAK遮断剤「15K」によって、殆んど完全に阻害されることが、去る6月初旬に判明した (前述) 。 その画期的な結果を、来たる3月初旬にパリで開催される予定の国際創薬学会 (Pharma R and D) で、初めて発表する予定。
スイゾウ癌の治療には通常、Gemcitabine (GEM) という化学療法剤 (ケモ) が使用されるが、この薬剤で助かるのは、患者のわずか一割に過ぎない。 残りの9割は、GEM 耐性のため、3-4か月以内に死亡する。GEM 耐性の最大要因は、 GEMによって発癌性キナーゼ「PAK 」が異常に活性化されるからである。 従って、副作用のない強力なPAK遮断剤「15K」やプロポリス (例えば、NZ産のBio 30 など) によって、これら「ケモ耐性」のスイゾウ癌も治療しうる。天然のPAK遮断剤「プロポリス」は既に30年ほど昔から通販されているが、それを医療に率先して利用する医者は、残念ながら極めて少数である。 医者の「石頭」と「不勉強」のためである。
従って、合成PAK遮断剤「15K」の医薬としての市販をめざして、できるだけ早期に一連の臨床テストを開始する必要がある。 その成功を支えるためには、数年にわたる海外 (及び日本国内) の大手製薬会社からの莫大な (100 億円にも及ぶ) 「投資」が必須である。その投資を呼び起こすために、我々は先ず特定の製薬会社と交渉して、我々の15K に関する特許権 (ライセンス) を売却する必要がある。これが我々に課せられた来年の最大課題 (使命) である。。。
さて、スイゾウ癌を含めて、全ての癌による死亡の最大要因は、癌の身体中への転移である。従って、癌の根治には、先ず癌の転移を抑制することが必須である。(残念ながら) 従来のケモには、癌の転移を抑制する作用がない。しかしながら、PAK遮断剤には癌の増殖ばかりではなく、転移を抑制する作用が極めて強い。 例えば、ケモ耐性の AsPC-1 (ヒト由来のスイゾウ癌株) の場合、0.1 mg/kg の15K 投与で、癌の増殖抑制自身は50%前後であるが、(致死の) 癌転移は殆んど完全に抑制されることに、注目したい。 (前述したが) ケモの副作用には(抗癌) 免疫機能の抑制があるが、PAK遮断剤には逆に、(抗癌) 免疫機能を高める作用もある。「鬼に金棒」である!
通販のプロポリス「Bio 30 」は、15Kに比べて抗癌作用がずっと弱いが、プロポリス大量投与 (朝晩 25 ml ずつ ) で、患者のケモ耐性"末期"スイゾウ癌の (肺などへの) 転移が3か月以内に完全に停止、一年後には、スイゾウ癌の痕跡も全くなくなったという実績がある!
スイゾウ癌の治療には通常、Gemcitabine (GEM) という化学療法剤 (ケモ) が使用されるが、この薬剤で助かるのは、患者のわずか一割に過ぎない。 残りの9割は、GEM 耐性のため、3-4か月以内に死亡する。GEM 耐性の最大要因は、 GEMによって発癌性キナーゼ「PAK 」が異常に活性化されるからである。 従って、副作用のない強力なPAK遮断剤「15K」やプロポリス (例えば、NZ産のBio 30 など) によって、これら「ケモ耐性」のスイゾウ癌も治療しうる。天然のPAK遮断剤「プロポリス」は既に30年ほど昔から通販されているが、それを医療に率先して利用する医者は、残念ながら極めて少数である。 医者の「石頭」と「不勉強」のためである。
従って、合成PAK遮断剤「15K」の医薬としての市販をめざして、できるだけ早期に一連の臨床テストを開始する必要がある。 その成功を支えるためには、数年にわたる海外 (及び日本国内) の大手製薬会社からの莫大な (100 億円にも及ぶ) 「投資」が必須である。その投資を呼び起こすために、我々は先ず特定の製薬会社と交渉して、我々の15K に関する特許権 (ライセンス) を売却する必要がある。これが我々に課せられた来年の最大課題 (使命) である。。。
さて、スイゾウ癌を含めて、全ての癌による死亡の最大要因は、癌の身体中への転移である。従って、癌の根治には、先ず癌の転移を抑制することが必須である。(残念ながら) 従来のケモには、癌の転移を抑制する作用がない。しかしながら、PAK遮断剤には癌の増殖ばかりではなく、転移を抑制する作用が極めて強い。 例えば、ケモ耐性の AsPC-1 (ヒト由来のスイゾウ癌株) の場合、0.1 mg/kg の15K 投与で、癌の増殖抑制自身は50%前後であるが、(致死の) 癌転移は殆んど完全に抑制されることに、注目したい。 (前述したが) ケモの副作用には(抗癌) 免疫機能の抑制があるが、PAK遮断剤には逆に、(抗癌) 免疫機能を高める作用もある。「鬼に金棒」である!
通販のプロポリス「Bio 30 」は、15Kに比べて抗癌作用がずっと弱いが、プロポリス大量投与 (朝晩 25 ml ずつ ) で、患者のケモ耐性"末期"スイゾウ癌の (肺などへの) 転移が3か月以内に完全に停止、一年後には、スイゾウ癌の痕跡も全くなくなったという実績がある!
2018年12月16日日曜日
世紀の挑戦: ギンネム由来の「PAK阻害剤」"ミモシン" の機能的進化!
沖縄、小笠原諸島、豪州北部 (クイーンズランド州) などの亜熱帯地方に生育する雑木の一種 「ギンネム」には、チロシンの類似体で「ミモシン」と呼ばれるPAK阻害剤 (IC50= 37 micro M) が含まれていることを、我々は (得意の「水平思考」に基づいて)、数年前に発見した。 更に、ミモシンを含む一連の疎水テトラペプチドを開発し、その内 Mimosine-Phe-Phe-Tyr に、最強のPAK阻害活性 (IC50=130 nM) があることを発見した (1)。 このアミノ酸誘導体は、ミモシン自体のPAK阻害活性の "250 倍" に匹敵する !
しかしながら、このペプチドは、分子中にCOOH 基を持つためか、なお細胞透過性が悪く、細胞培養系での抗癌作用 (IC50) は 30 micro Mに過ぎなかった (2)。 そこで、その細胞透過性を飛躍的に高めるため、そのCOOH 基をエステル化する方法として、前述の「Click Chemistry」 (CC) を応用して、水溶性の1,2,3-triazolyl 誘導体に変換するアプローチを摸索している (有機化学あるいは薬化学部門の博士論文テーマに相応しい!)。 もし、予想通りCC法が成功すれば、ミモシンの抗癌活性 (IC50= 0.3 mM) は "2500倍" 近く (飛躍的) に進化することが期待される。もう一つ考えられるアプローチは、このミモシンペプチドの C端 (チロシン残基) に塩基性のアミノ酸 "ARG" をアミド結合で付加することである。
更に、面白い進化が期待される。 ミモシンにはいわゆる「毒性」として、"脱毛" 作用が知られているが、一般にPAKを強く遮断すると、"育毛" が促進される。従って、以上のアプローチにより、"脱毛剤" を逆に "育毛剤" に変換しうる可能性もある。。。
ギンネムは通常、牛や羊など家畜用の安価な餌 として栽培されているが、太平洋戦争末期、小笠原諸島に取り残された日本兵たちが、食料不足のため、ギンネムの種子 (豆) まで食べざるを得なくなって、全員残らず「丸ハゲ」になったという逸話がある。敗戦後、脱毛作用がミモシンにあることが判明した。
さて、豪州の羊には、残念ながら、ミモシンを解毒する機能がないので、ギンネムを食べさせると、肝心の羊毛が収獲できなくなる。従って、豪州では、ギンネムは文字通り「無駄の長物」である。それを、"PAK遮断剤" という医薬の原料に利用するというアイディアは、正に世紀の「廃物利用」と言わざるを得ない。。。
参考文献
しかしながら、このペプチドは、分子中にCOOH 基を持つためか、なお細胞透過性が悪く、細胞培養系での抗癌作用 (IC50) は 30 micro Mに過ぎなかった (2)。 そこで、その細胞透過性を飛躍的に高めるため、そのCOOH 基をエステル化する方法として、前述の「Click Chemistry」 (CC) を応用して、水溶性の1,2,3-triazolyl 誘導体に変換するアプローチを摸索している (有機化学あるいは薬化学部門の博士論文テーマに相応しい!)。 もし、予想通りCC法が成功すれば、ミモシンの抗癌活性 (IC50= 0.3 mM) は "2500倍" 近く (飛躍的) に進化することが期待される。もう一つ考えられるアプローチは、このミモシンペプチドの C端 (チロシン残基) に塩基性のアミノ酸 "ARG" をアミド結合で付加することである。
更に、面白い進化が期待される。 ミモシンにはいわゆる「毒性」として、"脱毛" 作用が知られているが、一般にPAKを強く遮断すると、"育毛" が促進される。従って、以上のアプローチにより、"脱毛剤" を逆に "育毛剤" に変換しうる可能性もある。。。
ギンネムは通常、牛や羊など家畜用の安価な餌 として栽培されているが、太平洋戦争末期、小笠原諸島に取り残された日本兵たちが、食料不足のため、ギンネムの種子 (豆) まで食べざるを得なくなって、全員残らず「丸ハゲ」になったという逸話がある。敗戦後、脱毛作用がミモシンにあることが判明した。
さて、豪州の羊には、残念ながら、ミモシンを解毒する機能がないので、ギンネムを食べさせると、肝心の羊毛が収獲できなくなる。従って、豪州では、ギンネムは文字通り「無駄の長物」である。それを、"PAK遮断剤" という医薬の原料に利用するというアイディアは、正に世紀の「廃物利用」と言わざるを得ない。。。
参考文献
2018年12月11日火曜日
クチナシ果実の (黄色) PAK遮断剤「クロセチン」の
機能的「進化」!
豪州メルボルンの自宅から毎朝、市立の図書館へ通う途中、徒歩10分以内にある小学校 (Moonee Ponds Primary) のすぐ向い側にある 住宅の垣根にクチナシの花が今や満開。その甘い "ジャスミン" の香りを満喫しながら、私は図書館へと歩を進める。
さて、「理研ビタミン」などから市販されている天然の黄色色素は、クチナシ果実やサフランなどの主成分「クロセチン」である。 カロチン類の一種で、タクワンなど多種の食料品の着色に、大昔から使用されている (水溶性の) 食品着色料だから、勿論毒性は全くないが、意外にその優れた薬効 が知られていない。端的に言えば、「PAK遮断剤」の一つである。 従って、癌や認知症などの予防や治療、更に健康長寿に役立つはず。 ただし、その分子中に2つのCOOH 基が存在するので、細胞透過性が悪い (IC50 = 0.1-0.2 mM)。
そこで、 我々が鎮痛剤「Ketorolac 」のCOOH 基をClick Chemistry (CC) でエステル化して、その抗癌作用を飛躍的 (500倍以上) に増強したごとく、クロセチンの両翼のCOOH 基を (同様な "CC" 法で) エステル化することによって、その薬効を飛躍的に高めうる可能性がある。 もし、志ある若者 (有機化学者) がいたら、一度試してみる価値がある。。。 けだし、クロセチンの配糖体「クロシン」も (糖との) エステル体ではあるが、分子量が大き過ぎるので、恐らく血管脳関門を通過しないだろう。
不思議なことには、10年ほど前に発表された論文によると、動物 (マウス) 実験では、意外にも、ヒト由来のスイゾウ癌の増殖が比較的少量のクロセチン (4 mg/kg) で、80% ほど抑制される事が判明 (1)。プロポリス (Bio 30) の約10 倍ほど、薬効が強い。 これは一体なぜだろうか? (もし、この報告が正ければ) 考え得る一つの可能性としては、体内でクロセチンが何らかの形で「エステル化」されてから、癌細胞に作用している。つまり、体内で何らかの化学的修飾 (「進化」) を遂げている可能性が大である。。。
更に、ごく最近発表された中国の研究グループからの報告によれば、クロセチン (10-30 mg/kg /day) で、認知症モデルのマウスの脳内炎症が抑えられると共に、失われた記憶が殆んど回復されることが判明した (2)。 従って、(体内でエステル化された?) クロセチンは、脳内で有効に作用していることがわかる。 従って、(未だ臨床例はないようだが) NF などの "脳腫瘍" や "認知症" の治療にも有効である可能性が大いにある。
"理研ビタミン" から今月発表された「臨床テスト」結果によれば、クロセチン (7。5 mg/day) の2週間にわたる経口で、少なくとも "睡眠の質" を高める効果があることが証明された (3)。
なお、クロセチンは元来、天然物であるが、15年ほど昔、その化学合成法が確立したので、今日では "合成クロセチン" の量産も進められているはず。
海産物 (赤えび、筋子や紅鮭など) にも、クロセチンに似た「アスタキサンチン」(AX) と呼ばれる赤いカロチノイドが豊富に含まれている。 この海の幸には、COOH基の代わりに両翼に芳香 (シクロヘキサン) 環が付加しているため、細胞透過性は高いが、水に不溶という欠点がある。 同様にPAK遮断剤であり、せんちゅうの健康寿命を延ばすことが知られている。 従って、クロセチンにも健康長寿を増進する作用があるに違いない。
なお、プロポリスやAX などの「水に不溶な」PAK遮断剤の経口投与には、環状オリゴ糖 ガンマーCD (シクロ-デキストリン) による包接という手段が、「シクロケム」KK を中心に (少なくとも動物実験レベルで) 最近成功を修めつつある (4)。
参考文献:
1. Dhar A1, Mehta S, Dhar G, Dhar K, Banerjee S, Van Veldhuizen P, Campbell DR, Banerjee SK. Crocetin inhibits pancreatic cancer cell proliferation and tumor progression in a xenograft mouse model. Mol Cancer Ther. 2009 ;8 (2): 315-23.
さて、「理研ビタミン」などから市販されている天然の黄色色素は、クチナシ果実やサフランなどの主成分「クロセチン」である。 カロチン類の一種で、タクワンなど多種の食料品の着色に、大昔から使用されている (水溶性の) 食品着色料だから、勿論毒性は全くないが、意外にその優れた薬効 が知られていない。端的に言えば、「PAK遮断剤」の一つである。 従って、癌や認知症などの予防や治療、更に健康長寿に役立つはず。 ただし、その分子中に2つのCOOH 基が存在するので、細胞透過性が悪い (IC50 = 0.1-0.2 mM)。
そこで、 我々が鎮痛剤「Ketorolac 」のCOOH 基をClick Chemistry (CC) でエステル化して、その抗癌作用を飛躍的 (500倍以上) に増強したごとく、クロセチンの両翼のCOOH 基を (同様な "CC" 法で) エステル化することによって、その薬効を飛躍的に高めうる可能性がある。 もし、志ある若者 (有機化学者) がいたら、一度試してみる価値がある。。。 けだし、クロセチンの配糖体「クロシン」も (糖との) エステル体ではあるが、分子量が大き過ぎるので、恐らく血管脳関門を通過しないだろう。
不思議なことには、10年ほど前に発表された論文によると、動物 (マウス) 実験では、意外にも、ヒト由来のスイゾウ癌の増殖が比較的少量のクロセチン (4 mg/kg) で、80% ほど抑制される事が判明 (1)。プロポリス (Bio 30) の約10 倍ほど、薬効が強い。 これは一体なぜだろうか? (もし、この報告が正ければ) 考え得る一つの可能性としては、体内でクロセチンが何らかの形で「エステル化」されてから、癌細胞に作用している。つまり、体内で何らかの化学的修飾 (「進化」) を遂げている可能性が大である。。。
更に、ごく最近発表された中国の研究グループからの報告によれば、クロセチン (10-30 mg/kg /day) で、認知症モデルのマウスの脳内炎症が抑えられると共に、失われた記憶が殆んど回復されることが判明した (2)。 従って、(体内でエステル化された?) クロセチンは、脳内で有効に作用していることがわかる。 従って、(未だ臨床例はないようだが) NF などの "脳腫瘍" や "認知症" の治療にも有効である可能性が大いにある。
"理研ビタミン" から今月発表された「臨床テスト」結果によれば、クロセチン (7。5 mg/day) の2週間にわたる経口で、少なくとも "睡眠の質" を高める効果があることが証明された (3)。
なお、クロセチンは元来、天然物であるが、15年ほど昔、その化学合成法が確立したので、今日では "合成クロセチン" の量産も進められているはず。
海産物 (赤えび、筋子や紅鮭など) にも、クロセチンに似た「アスタキサンチン」(AX) と呼ばれる赤いカロチノイドが豊富に含まれている。 この海の幸には、COOH基の代わりに両翼に芳香 (シクロヘキサン) 環が付加しているため、細胞透過性は高いが、水に不溶という欠点がある。 同様にPAK遮断剤であり、せんちゅうの健康寿命を延ばすことが知られている。 従って、クロセチンにも健康長寿を増進する作用があるに違いない。
なお、プロポリスやAX などの「水に不溶な」PAK遮断剤の経口投与には、環状オリゴ糖 ガンマーCD (シクロ-デキストリン) による包接という手段が、「シクロケム」KK を中心に (少なくとも動物実験レベルで) 最近成功を修めつつある (4)。
参考文献:
1. Dhar A1, Mehta S, Dhar G, Dhar K, Banerjee S, Van Veldhuizen P, Campbell DR, Banerjee SK. Crocetin inhibits pancreatic cancer cell proliferation and tumor progression in a xenograft mouse model. Mol Cancer Ther. 2009 ;8 (2): 315-23.
2. Zhang J#1, Wang Y#1, Dong X1, Liu J1. Crocetin attenuates inflammation and
amyloid-β accumulation in APPsw transgenic mice. Immun
Ageing. 2018 Oct 30;15:24.
3. Umigai N1, Takeda R2, Mori A3. Effect of crocetin on quality of sleep: A randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover study. Complement Ther Med. 2018 Dec;41:47-51.
3. Umigai N1, Takeda R2, Mori A3. Effect of crocetin on quality of sleep: A randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover study. Complement Ther Med. 2018 Dec;41:47-51.
4. Kashima N1,
Fujikura Y,
Komura T,
Fujiwara S,
Sakamoto M,
Terao K,
Nishikawa Y.
Development of a method
for oral administration of hydrophobic substances to Caenorhabditis elegans:
pro-longevity effects of oral supplementation with lipid-soluble antioxidants. Biogerontology.
2012 ;13(3):337-44.
2018年12月9日日曜日
水平思考: 絹 (フィブロイン線維) の人工的な進化
人絹は人造絹糸の略語 (縮語) だそうだが、実際には、人工ではなく、パルプなどをアルカリや酸などで溶かして、紡績し直したもので、化学的には、絹 (フィブロイン線維) ではなく「再生セルロース線維」に過ぎない。
さて、前述のごとく、 天然の絹 (フィブロイン) は、カイコ、クモ、蓑虫と、長い月日を経て、自然界で進化を遂げてきたわけであるが、理論的には、これを更に進めて、遺伝子工学 (GM) を介して「人工的に進化」させることができる。これが本当の「人絹 」(人工 絹糸=人工フィブロイン線維) 工学である。
強度の高い蓑虫フィブロイン遺伝子 (DNA) を基にして、更にアミノ酸配列を自由自在に変化させることによって、更に良質のフィブロイン線維 (人工フィブロイン) を、大腸菌などのバクテリア培養を利用して、量産することが可能なはずである。 そういう「次代の人絹」を将来、興和KKなど が開発してくれることを、私は切に期待している。。。
さて、前述のごとく、 天然の絹 (フィブロイン) は、カイコ、クモ、蓑虫と、長い月日を経て、自然界で進化を遂げてきたわけであるが、理論的には、これを更に進めて、遺伝子工学 (GM) を介して「人工的に進化」させることができる。これが本当の「人絹 」(人工 絹糸=人工フィブロイン線維) 工学である。
強度の高い蓑虫フィブロイン遺伝子 (DNA) を基にして、更にアミノ酸配列を自由自在に変化させることによって、更に良質のフィブロイン線維 (人工フィブロイン) を、大腸菌などのバクテリア培養を利用して、量産することが可能なはずである。 そういう「次代の人絹」を将来、興和KKなど が開発してくれることを、私は切に期待している。。。
2018年12月6日木曜日
奇抜な発明発見: “みのむし” から世界最強の糸!
毎日新聞 (2018。12。05) から抜粋
健康食品 (胃腸薬)「キャベジン」でおなじみの 興和(名古屋市)と農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市) は、ミノムシから糸を取る技術を開発。自然繊維で世界最強とされるクモの糸よりも強く丈夫なことも発見。新しい繊維などの材料として、自動車や航空機への応用が期待できるという。
ミノムシはミノガの幼虫。カイコやクモと同様、”たんぱく質”でできた糸 (フィブロインの変種) を吐く。しかしながら、フィブロインはカイコから蜘蛛を経て、更にミノムシへ強度の進化を遂げた! 数年前に発表された科学論文によれば、蓑虫の糸のアミノ酸組成は、カイコやクモの糸のアミノ酸組成 (Gly と Ala が全体の6割以上を占める) とは全く違い、Leu とGlu に富んだ変わり種。
実験の結果、強度や丈夫さが優れているクモの糸に比べ、ミノムシの糸は、丈夫さでは約2・2倍、強度で約1・8倍など、すべての項目で上回った。そこで、自動車の外装にも使われる繊維強化プラスチック(FRP)にミノムシの糸を組み込んだところ、従来のFRPの数倍の強度になったという。他にも”340度までの耐熱性”があり、代表的な”ナイロン糸の5分の1の細さ”であるなど、さまざまな利点が見つかった。
実験の結果、強度や丈夫さが優れているクモの糸に比べ、ミノムシの糸は、丈夫さでは約2・2倍、強度で約1・8倍など、すべての項目で上回った。そこで、自動車の外装にも使われる繊維強化プラスチック(FRP)にミノムシの糸を組み込んだところ、従来のFRPの数倍の強度になったという。他にも”340度までの耐熱性”があり、代表的な”ナイロン糸の5分の1の細さ”であるなど、さまざまな利点が見つかった。
ミノムシの糸は真っすぐに取り出せない難点があり繊維として使えなかった。しかし特殊な装置を使って、長さ数百メートルの直線の糸を取ることに成功 (特許申請)。さらにミノムシは、餌を与えれば繰り返し糸が取れる上、共食いをしないので大量飼育が可能。
今後は量産体制を確立し、早期の事業化を目指す。興和の三輪芳弘社長は「このような糸はこれまで存在しておらず、とても大きな可能性を有している。構造材料として理想的だ」と述べた。
蓑虫の 糸に夢見る 三輪さん
https://www.kowa.co.jp/company/index.htm
"水平思考力"の豊かな「興和」から、難病の治療薬「15K Kowa」を市販するという奇抜な発想は如何? 興和の「創薬研究所」が都内の東村山市内 (西武新宿線東村山駅付近) にある。 抗癌剤や抗炎症剤などの開発が重点になっているようだ。 癌も炎症も典型的なPAK依存性疾患なので、PAK遮断剤「15K」は最適な新薬となりうるはず。。。
注: 興和KK の前身は興和紡績で、今は興和新薬などの子会社から「コルゲンコーワ」や「キャベジンコーワ」などの医薬品も販売している。前代の "服部商店" は、地元名古屋の発明家、豊田佐吉の紡績機 (自動はた織機) の開発を支援したという「先見の明」の持ち主。なお、豊田紡績はその後「トヨタ自動車」として発展した。
蓑虫の 糸に夢見る 三輪さん
https://www.kowa.co.jp/company/index.htm
"蓑虫の巣(蓑)"で作ったバッグや草履 (日本の伝統文化!) :
"水平思考力"の豊かな「興和」から、難病の治療薬「15K Kowa」を市販するという奇抜な発想は如何? 興和の「創薬研究所」が都内の東村山市内 (西武新宿線東村山駅付近) にある。 抗癌剤や抗炎症剤などの開発が重点になっているようだ。 癌も炎症も典型的なPAK依存性疾患なので、PAK遮断剤「15K」は最適な新薬となりうるはず。。。
注: 興和KK の前身は興和紡績で、今は興和新薬などの子会社から「コルゲンコーワ」や「キャベジンコーワ」などの医薬品も販売している。前代の "服部商店" は、地元名古屋の発明家、豊田佐吉の紡績機 (自動はた織機) の開発を支援したという「先見の明」の持ち主。なお、豊田紡績はその後「トヨタ自動車」として発展した。
「クモの糸」の軍需産業化:
そこで生産された丈夫なクモの糸 (spider silk) 製品は、主に米国の陸軍 (海兵隊) に売却されている。 つまり、Spider silk 生産は「軍需産業化」している。 従って、興和の丈夫なミノムシの糸 (bagworm silk) 製品が将来、米軍や自衛隊向けに生産される可能性がある。これは”由々しき事態”である。 もし、そのような計画があるなら、我々の平和な「健康産業」(15Kの市販) は、興和にはとても任せられない!
日本の伝統的な「みのむし」文化を"平和的"に応用しよう!
日本の伝統的な「みのむし」文化を"平和的"に応用しよう!
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