「カルピス」という牛乳由来の「甘酢っぱい」発酵飲料が発売され始めてから、今年で創業百年目に当たるという。第一次世界大戦の終了直後の1919年に、蒙古高原の旅から東京に戻ってきた僧侶「三島海雲」なる人物が、蒙古民族の間で人気のある発酵牛乳 (酸乳) のアイディアを生かして、脱脂粉乳に砂糖と水とカルシウムを加えて発酵したものを製品化して、「初恋の味」というしゃれたキャッチフレーズを付けて、国鉄「恵比寿駅」近くにある工場から発売し始めたのが、その起源である。 「カルピス」の「カル」は元来「カルシウム」に起因するようだが、現在はカルシウムは特に加えてないようである。
さて、ごく最近、「カルピス」に関する大変面白い論文を見つけた。牛乳中の蛋白成分「ガゼイン」が乳酸菌によって分解され、19個のアミノ酸からなるペプチド(CS19) に蓄積するそうであるが、そのペプチドには、記憶や学習能力を上げる功果があることが、臨床テストで証明されたという内容である。カルピス (朝日ビール傘下) と京大農学部との産学共同研究結果だそうだ。
その論文を読んで「ハタ」と閃いたことがある。 このペプチドには「プロリン」というアミノ酸が豊富であったからだ。実は、もう20年以上も昔、 病原キナーゼ「PAK 」に結合する蛋白「PIX 」が発見された。この蛋白が、PAK分子上の18個のアミノ酸からなる (プロリン豊富な)「PAK18」と呼ばれる部分と結合すると、PAKを活性化し、細胞の癌化を引き起こす。 さて、PAK18自身は、細胞膜を通過し得ないが、これに細胞透過ペプチド「WR」を結合させると、癌細胞に入り、PAK とPIXとの結合を選択的に阻害することによって、癌化 (癌の増殖) を阻害することを我々は突き止めた。この現象は、癌細胞に特異的で、正常な細胞の増殖には、全く影響を与えなかった。こうして、PAK とPIX の結合が癌化に必須であることが初めて実証されたわけだ。
さて、PAK は癌化ばかりではなく、種々の神経疾患、例えば認知症などに伴う記憶や学習能力の喪失にも関与している。 カルピスのペプチド (CS19) とPAK18とは、両方ともプロリン豊富であり、然も長さ(ペプチド鎖) もほぼ同じ位である。 ひょっとして、カルピス中の「CS19 」は、PAK18同様、PAK と PIX の結合を阻害するPAK遮断剤ではなかろうか? 病弱がちだった三島海雲 (1878-1974) は、カルピスを飲み始めてから、健康になり、95歳以上の健康長寿を全うしたそうである。。。
更に動物実験でも、CS19 に寿命延長効果や血圧降下作用などがあることが実証されており、これらの薬効は、プロポリスなどのPAK遮断剤と極めて良く類似している。従って、カルピス (毎日、250 ml 以上) で 、癌/NFなどの予防や治療も可能かもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿