2021年6月17日木曜日

ヒノキ材由来の「PAK遮断剤」: ヒノキチオール や
Diflavonoid であるHinokiflavone (HNK)

"ヒノキ造りの湯船に漬かると健康長寿になる" と昔からいわれている。 その生物学的な根拠は、一体どこにあるのだろうか? ヒノキ材には、独特の良い香りがする。その源は、ヒノキの幹に存在する揮発性のヒノキチオールや Diflavonoid であるHinokiflavone (HNK) による。 驚くなかれ、(2020年に発表された上海の研究グループによる論文に従えば) HNK には、木蓮由来のHK やヒノキチオール同様、PAKを遮断し (IC50=15 micro M) 、抗癌、抗炎症、抗菌など一連の薬理作用などがある! ごく最近の論文によると、COVID の予防/治療にも有効らしい。 従って、ヒノキ造りの湯船に漬かると健康長寿になる、というのは、単なる伝説や風呂屋の宣伝ではない。
なお、精油「ヒノキチオール」は、東北大学出身、台北帝国大学(現在の国立台湾大学)教授の野副鉄男 (1902-1996) により、1936年に台湾ヒノキから発見された。 ヒノキチオールの「PAK 遮断作用」を巡っては、 2004年に、この精油により (PAK 依存性の) メラニン合成が抑えられる (IC50=10 micro M) ことが, 韓国ソウル大学の研究グループにより発見されていた。 しかし、"メラニン合成のPAK依存性" を、我々が初めて発見したのは、2015年頃なので、それまでは、この精油のいわゆる「美白作用」のメカニズムは不明のままだった!
私は数年前、富山市内に (避暑と登山のため) 滞在中に、岐阜県 (木曽) の奥/西穂岳の山麓、蒲田川畔で、とある山荘に一晩泊り、初めて「ヒノキ造りの湯船」に漬かるという体験をした。 もっとも、そのヒノキ造りの湯船は相当古いものらしく、肝心のヒノキチオールや「HNK」 はとっくの昔に、全部蒸発 (あるいは浴湯で抽出) されてしまっていて、いわゆる「森林浴」にはならなかった、と思うが。。。巷には、「森林浴」用の「ひのきエキス」スプレーのなどが通販されているようである。

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