2022年2月7日月曜日

Pyrroloquinoline Quinone (PQQ) : 「健康長寿」ビタミン
PAK遮断剤: 抗癌作用、美白作用、寿命延長効果 あり!

PQQ:
ごく最近、PQQ が「健康長寿」ビタミンに指定された! 健康長寿ビタミンとは、 従来の「必須ビタミン」と違って、生命に必ずしも必須ではないが、欠けると長 生きができない、つまり「健康長寿に繋がるビタミン」というわけ。
数年前から、 「PQQ が線虫の寿命を延ばす」ことが報告されていたが、そのメカニズムが不明 のままであったが、実は古い文献を調べてみると、2009年に静岡大学の研究グループ (佐藤一臣ら: 現在、玉川大学農学部) によって、「PQQ に美白作用 (つまり、PAK遮断により、メラニン色素の合成を 阻害する作用) がある」(1) ことが証明されていた! 因みに、 PQQはPAK の直ぐ上流の「JAK」を直接阻害するらしい。
参考文献:
1. Kazuomi Sato, Masaru Toriyama (2009). Effect of pyrroloquinoline quinone (PQQ) on melanogenic protein expression in murine B16 melanoma. J Dermatol Sci.; 53:140-145.
PQQ の含量が高い食物は、キ ウイ、納豆、パパイヤ、ピーマン、ほうれんそう、パセリ等である。 言い換えれば、 これらの果実や野菜などを常食していると、「NF腫瘍の発生も抑えられる」と言うわ け。。。実は、「母乳 にPQQ含量が最も高い」という報告あり!
さて、PQQ には「COOH」基が3つも存在し、細胞透過性を低下させている! 理想を言うならば、これ を全部、例の「クリック化学」で 2-Azidoアニソールによって、エステル化 (あるいは、Arg によって、アミド化) すると、恐 らく、その細胞透過性が500倍以上高まり、「超健康長寿ビタミン」になるだろう!
AX:
もう一つ、最近「健康長寿」ビタミンと指定され、"注目" すべきなのは、「アスタキサンチン」(AX) と呼 ばれる赤いカロチノイドで、元々 "赤い藻類" 由来であるが、それを餌として食べる 鮭や鯉などの肉や卵に豊富に存在する、もう10年以上前に、線虫の寿命を延ばす PAK遮断剤の一種であることが確認されている。 1994年、富士化学工業グループ (冨山県) のアスタリール (AstaReal) グループがヘマトコッカス藻の屋内培養により, 天然アスタキサンチンの工業的生産に成功。2016年段階で、スウェーデンとアメリカに製造工場があり、世界中に展開。日本でも、流通量の50%以上を占める。最近の (イランの大学での) 研究によると、「ストレス」として ZnO Nano-Particle (100 microg/ml) を使用すると、AX の生産が飛躍的に増加するそうである。。。その他、Gamma-aminobutyric acid (GABA) など、種々のストレスによって、AXの 生産を高めることが判明。 更に、数年前、韓国の研究グループによれば、夏の熱暑 (heat-shock, 34度前後) を利用すると、 この緑藻の増殖が抑制され、赤藻への分化を促進、更に鉄イオン (2価) (50 micro M) を 添加すると、「Haber-Weiss」 反応により、低温 (27度以下) の場合に比べて、 AXの収量が 、150% (5.5 mg/L) も増加する。 目下、"AX" 分野 (学界/業界) では、最適の「ストレ ス」探しを巡って、 農芸化学者などが、 しのぎを削っている。 我が輩自身は老いて、「競争嫌い」 かつ「ストレス嫌い」なので、別の道を (むしろ "逆" 方向に) 進むのが賢明!
新しいテーマへの"閃き": ひょっとすると、逆に、この海藻のストレスに依存する「緑化赤化」現象 を利用して、健康長寿に役立つ (つまり「ストレス耐性」をもたらす) PAK遮断剤の "簡便かつ敏速な"スクリーニング (発掘) が出来るかもしれない。。。
残念ながら、(酵母や粘菌と違って) この藻類には植物のごとく、Tubullin やActin は存在するが、肝心 のMyosin は存在しないらしい。 従って、PAKも存在しないだろう。。。よって、「抗酸化物」のスクリーニングには適するが、「PAK遮断剤」のスクリー ニングには不適!
作戦を変更して、酵母や粘菌 (あるいは線虫) に「AX 」を合成する酵素の遺伝子群 (基本的には3種類) を 組み込めば、 (恐らく) 上記のPAK遮断剤スクリーニングが可能なはず! 驚くなかれ、2018年に広東の研究グループにより、この3種類の遺伝子を稲の胚に挿入 することによって、 実際に「真っ赤な米」の生産に成功している! 実は、縄文時代に日本人が食べていた米は「赤米」(かんばつや冷害などのストレスに強い!)。そ の後、AXを作る遺伝子が欠損した白米 (変種) が普及。。。ベトナムでは「赤米」 から(赤) 焼酎を醸造する習慣あり!
結論的には、最も「手っ取り早い」作戦は、線虫のGM 株 (CL2070) を利用して、HSP16 遺伝子のプロモーターに融合する「GFP」 遺伝子の発現 (緑の蛍光) を指標にして、PAK遮断剤 のスクリーニングをするアプローチ (あるいは単純に「産卵数を数える」少子化アプローチ)。 十数年前、我々はプロポリスの成分 (CAPE やARC 等) が、PAK遮断により、(線虫 の) 少子化 及び 寿命延長をもたらすことを実証!
最近発表された台湾の研究グループの研究結果によれば、認知症モデルのラットに、 毎日AX (10 mg/kg) を経口投与すると、様々な認知症状が軽減。従って、BBB (血 管脳関門) を通過することは明らか! 故に、NF などの脳腫瘍にも効くはず! 「鮭 (AX豊富) を金曜の夕食に食べると頭が良くなる」と、ずっと昔 (脳内に 「PAK 」が発見される以前) 、我が輩の細君 (数学者) が口癖のごとく言っていた が、あれはどうやら本当 (先見の明) らしい。。。「大学入試に備えて、AX を」 というキャッチフレーズは、(本年度向けには) もう手遅れかもしれないが、来た る3月始めの入試 (2次=本番) に、多少効果があるかも。。。

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