実は、我が輩が米国に2度目の研究滞在をしていた1984年から1988年にかけて、連続テレビ映画に、Michael Landon & Victor French の「天使」コンビで、毎週放映されていた番組があった。その内容については、もう憶えていないが、基本的には、「この世には神も仏も存在しない」ので、我々一人一人が「天使役」を務めなければ、世の中は良くならない、という筋だった。
このブログ では、我が輩独特の脚色で、その「二番煎じ」(実話) を掲載したい、実は、新居 (Atherton 高原の我が家) の前庭の垣根に沿って、隣りの家に通ずる (雑草を刈取った) 細い坂道を "Highway to Heaven" と名付けて、毎日登り下りしている。。。
医化学の世界にも、天使のコンビが活躍している。最初のコンビは、チェコ出身のCori 夫妻だろう。1947年にノーベル医学賞を受賞した。 米国のセントルイスにあるワシントン大学医学部で、グリコーゲン燐酸化酵素 (キナーゼ) を発見した。夫妻はATP 分子の3つの燐酸の内、最後(一番外側) の燐酸を別の分子に添加する "酵素" (キナーゼ) という概念を、この世に紹介した。
1992年に、シアトルにあるワシントン大学の教授コンビ、Eddie Fischer (1920-2021) と Edwin Krebs が、グリコーゲンフォスフォリラーゼ (燐酸化酵素) を燐酸する酵素 (蛋白キナーゼ) の発見に対して、ノーベル医学賞を受賞した。 何と、Eddie (上海生まれのスイス人) は "101歳" まで 長生きした (天国への道は、意外に長かった)!
さて、次のコンビは、Harvard 大学医学部出身の秀才コンビ、Bob Adelstein と Pollard である。 結局、両コンビ共、首都ワシントン郊外にある "NIH" に研究者として就職するが、その前に、Bob は, Eddie Fischer の研究室で、「キナーゼに関する研究の手ほどき」を受ける。1971頃に、両者は、NIHで, 血小板から初めて"ミオシン" の精製に成功する!
1973年に、Tom は、同じ NIH キャンパス内だが、Bob の研究仲間の ED Korn の研究室で、土壌アメーバから、奇妙な単頭ミオシンを精製するが、このミオシンは筋肉のミオシン(ATPase) と違って、アクチンによる "ATPase の活性化" には、別の(第三の蛋白) が必須であることを発見した。
Tom が Harvard に戻ると、入れ違いに、日本から「一風変わった研究者 」(東大出身の薬学者) 「Charlie」が、ED の研究室にやってきて、この「謎の蛋白の正体」を突き止める "厄介な役" を引き受けた。
さて、1975年に Bob は、助手の Mary Conti とコンビで、血小板ミオシン(軽鎖) が別のキナーゼによって燐酸化されると、アクチンによる活性化が起こる事を発見! そこで、「Charlie」は、その "線" (キナーゼ) に注目しながら、「謎の蛋白」研究を続けた結果、1977年に、この "アメーバ" 由来のキナーゼが, 新奇な「PAK」(RAC/CDC42-activated kinase) であることを, 遂に発見!
その17年後 (1994年) に、シンガポールの英国人 Ed Manser の研究チームにより、哺乳類にも「PAK」が存在することが判明して以来、豪州に永住した Charlie と Ed と共同研究により、PAK が何と、癌などの "難病" の病因であることが突き止められた! 更に、2007年には、Charlie のチームにより、PAKを遮断すると、小動物の寿命が6割も延長することが証明された! つまり、PAK は「病原/老化」酵素であることが確立したわけである! 以来、主に Charlie らの手により、様々な天然あるいは合成の "PAK遮断剤" (=健康長寿の薬) が、「美白作用」などを指標に、発掘/開発された。
従って、三番 (代) 目のノーベル医学「キナーゼ」賞は、Charlie, Tom, Ed の "PAK 三銃士"に、贈られる可能性が大になった! 残念ながら、彼らの"恩師"、NIH の Bob Adelstein や Ed Korn は2024年に相次いで他界し、彼ら「愛弟子」の受賞を目撃する機会を失した。。。
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