2021年2月7日日曜日
「室温」の違いにより、「コペルニクス的転回」!
有機化学界で、実際に起こった「珍現象」の一例。
「怪我の功名」から 「起死回生」の一打をめざす!
実は、昨年3月に有名なドイツの有機化学者、 Rolf Huisgen 教授が99歳余りで他界した。彼がこの世に残した最大の遺産は、彼が1963年に発明した「Huisgen 反応」と呼ばれる有機化学反応である。 Azide 化合物 (A) とAlkyne 化合物 (B) をある一定の温度で加熱すると、1, 2, 3-Triazolyl 環を介して、化合物 A と化合物 B とが直接結合して、全く新しい化合物が生成する AAC (Azide-Alkyne Cross-addition) 反応。Huisgen 教授によれば、 その際、実は、2種類の全く構造も生物活性も異なる 「異性体 」(isomers ) が (反応温度によるが) ほぼ同量生成されるという。 その一つは、1、4 (anti) isomer、 もう一つは、1、5 (syn) isomer である。 これら2 種類の isomers を分離精製することは不可能ではないが、極めて時間と経費がかかる作業であり、製薬会社は分離しないで、混合物のまま、市販するのが通例である。 しかしながら、ある特定の薬理作用を持つのは、その内の syn か anti isomer なので、薬物のほぼ半分は「無駄に」なる理屈である。
そこで、2001年になって、2000年に光学異性体に関する研究でノーベル化学賞をもらった米国 MIT のBarry Sharpless 教授らは、「クリック化学」(略してCC) と呼ばれる新しいAAC 反応を発明した。 このCC 反応では、ある特定の重金属、例えば Cu イオンを触媒として、室温で、Azide 化合物 (A) とAlkyne 化合物 (B) とを反応させると、生成される 1, 2, 3-Triazolyl 環 化合物は、anti 異性体だけ! その後、2012年には、同じグループが、CC の改訂版を発表: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3463225/
銅イオンの代わりに、Ru (Ruthenium) イオンを触媒として使用して、反応温度を60 度 に上げると、今度は、生成される 1, 2, 3-Triazolyl 環 化合物は、syn 異性体だけ! 従って、これらの重金属や反応温度をうまく選択すると、収率良く、どちらかの異性体だけを、製造しうる! 以来、CC 反応は、21世紀の有機化学者の夢 (寵児) になった。
さて、 ここで実は「曲者」(厄介) なのは、2001年の「室温」で、anti 異性体だけを生成するCC 反応である。 一体「室温」とは何ぞや? 生物学者の間では、室温とは「25度前後」が常識になっている。 しかしながら、"有機化学者の間"では、その研究室の「設備」予算によって、25度にもなれば、赤道直下の真夏は35度、北欧やシベリアの真冬では10度近くにもなる!
2013年に、インドの有機化学者のチームが Cu 触媒下に「室温」で、CC 反応を利用して、天然PAK遮断剤の一つ、ウロソール酸 (UA) のCOOH をエステル化した一連の1、2、3-triazolyl 誘導体を生成したところ、その内、"7p" と呼ばれるエステルの抗癌作用が、天然の UA の 200倍になるという論文を発表した! 勿論、この論文では、「7p」の化学構造は、(anti) 異性体になっていた。。。 しかしながら、ごく最近、強い抗癌作用は、実はごく微量 (<5%) に混在する (syn) 異性体のためではないか、つまり 100% 純粋な「7p 」(syn-isomer) の抗癌作用は、恐らく、UA の 4、000 倍にも達する可能性がある、という極めて "極端な異論" を唱える「異端者」が、巷に登場した!
謎解きの「 鍵」はインドの貧しい (?) 研究所で、この反応を行なった時の「室温」である。 真夏であれば、インドの首都では、室内でも35度になる! 実は以前、このインドの研究室にメールを送ったことがあるが、この "画期的な" 発明にも拘らず、「特許を全く申請できない」ほど研究室は "貧しい" ことが判明した!
15世紀末、「地球は丸い」という異説を信じて、イタリアのジェノアから出帆して、大西洋を渡って、アメリカ大陸に (西洋人として) 初めて到達した船乗りがいた (勿論、いわゆる「原住民」は太古時代から シベリアーアラスカ経由で "南北アメリカ" に移り住んでいたが)。その異端者の名は、コロンブス! 以来、「コロンブスの卵」という "面白い" 諺も誕生した!
さて、我々は「インド」チームの大成功に乗じて、「コロンブスの卵」ならず、他のある酸性のPAK遮断剤「X」のエステル化を、日本国内で "全く同じような方法" で遂行し、その「X 」の細胞透過性を500倍以上、高めることに成功し、直ぐ特許を取得した。 もう数年前の話である。 続く動物実験にも (副作用なしに) 大成功だったが、(COVID の世界的な慢延を含めて) 他の様々な障害のため、臨床テストを開始できる段階に、未だたどり着いていない。 その原因の一つは、このエステルの "大量生産" を引き受けてくれる (海外の) 大手の製薬会社が、未だ見つかっていないからである。
「天動説」に反対し、「地動説」を主張したコペルニクス (ポーランド出身のカトリック司祭) の立場になぞらえて、ドイツの哲学者カントは、その昔「コペルニクス的転回」を主張した。 その後、イタリアの天文物理学者ガリレオ=ガリレイは、コペルニクスの「地動説」を実証したが、当時のカトリック教勢力によって、異端者として、投獄/幽閉された。さて、21世紀の「スガーリン治世」では、異端者は全て、左遷/首になるそうだが、我が輩は幸い、半世紀ほど前から海外にずっと亡命し、既に隠居生活を十数年続けているので、たとえ「異説」を立てても、恐れる心配 (実害) はなさそうである!
そこで、私も偉大な "カント" に準じて、「コペルニクス的転回」を試みようと、考えている。一体どういう事かと言うと、例の「7p」も 「X のエステル」も、実は、(syn) 異性体である、という "奇抜な" 仮説/異説を立て、それを "hot fusion" で実証しようとしている。。。
かくの如く、我々は歴史から多くを学び、より賢くなることができる。何故かと言えば、(無数の形で)「歴史は常に繰り返す」からである。 言い換えれば、歴史から学ぶことのできない輩は、結局、進化を遂げずに、滅びてしまう。。。
JOC会長の森さんは、目下「四面楚歌」の状態に陥っていると、風の便りに聞いている。辞任を求める署名が 10 万名を越えているそうだ。あのひとは総理時代もそうだったが、(専門のラグビーには詳しいはずだが) 歴史にひどく疎い! それに、ボールにしがみついたまま、「横パス」(起死回生の判断) のできない選手は「ラガー」として失格、という「All Blacks」 の鉄則 を忘れたのか?
さて、(魚釣りが専門の) 「スガーリン」の運命は如何に? 目下、「求心力」が河野 (何でも担当する) 大臣に移りつつある。。。 横パスか? 河野家は、祖父 (一郎)、 父親 (太郎) の後を受けて三代に渡って、"指導的な" 政治家を勤めて来た。その長い歴史を背負って「進化」を遂げ、 恐らく「三代目の正直」で首相の座を虎視眈々と狙っているだろう。 小池都知事も「森おろし」を仕掛け、「スガーリン」政権にダメージを加えつつ、「4月解散」へ拍車をかける!
事態は 急速に「Syn 異性体」(政権交代) へ「白熱化」しつつある。。。
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