線虫の「熱ショック蛋白」遺伝子 (HSP16) の発現は、寿命に比例する。
ところが、その発現は、病原/老化酵素(キナーゼ) である PAK1 やTOR etc によって阻害されている。従って、これらの酵素の阻害剤は、HSP16遺伝子の発現を誘導し、健康長寿をもたらす!
2000年頃に、米国のコロラド大学の postdoc、Chris Link が、HSP16遺伝子の promoter 部分を GFP 遺伝子に連結し、このpromoter の機能を(透明な) 線虫内で "GFP の蛍光" でモニターできる GM 線虫株 (CL2070) を作製した。 我が輩は2007年の夏休みに、この "CL2070 株" を使用して、一連のプロポリス成分 (CAPE やArtepillin C etc の "PAK1遮断剤") が、HSP16 遺伝子の誘導剤 (つまり、健康長寿誘導体) であることを、 先ず発見した。 更に、線虫の "PAK1 欠損株" が野生株より6割も長生きすることを発見した!
更に、TOR 阻害剤 (ラパマイシン) も、線虫の寿命を延長することが判明した。従って、少なくとも、PAK1 と TOR が、病原/老化キナーゼであることが、判明している。 2021年になって、Yale-シンガポール国立大学 (NUS) の Jan Gruber のチームにより、CL2070 株で、TOR も "HSP16 遺伝子" の発現を抑えていることが判明した (1).
REF: 1. Z Yee, S Hsien Y Lim, LF Ng, Jan Gruber (2021)。
Inhibition of mTOR decreases insoluble proteins burden by reducing translation in C. elegans。Biogerontology. 22: 101-118.
従って、線虫の「全寿命」 (20度で14日) を待たずして、1-2日で、CL20270 株を使用すれば、健康長寿をもたらす薬物/食材 (PAK1 やTOR の阻害剤) を敏速にスクリーニングすることができる! 我々研究者の (貴重な) 時間と費用の節約になる!
勿論、「ノーベル医化学賞」 への "近道" ("線虫" Highway) になることは, 間違い無い!
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