2017年8月23日水曜日

「NF」ビッグニュース: 安価な市販抗生物質
「Minocycline」 は「PAK阻害剤」 に違いない!

もう40年以上前から、抗生物質 (「テトラサイクリン」の誘導体) として、種々の感染治療や血栓症の予防や治療に使用されて来た 「Minocycline」 という医薬品が、どうやら、「PAK阻害/遮断剤」である可能性が極めて高いことがごく最近、判明した。 しかも、血管脳関門を明らかに通過する (1) ことから、NFなどの脳腫瘍にも効く可能性が十分に高い。

この意外な発見のきっかけは、例の蛍光キノコのルシフェリン (「アルファーピロン」環を有する化合物) に関する文献を検索している内に、「Warfarin」 と呼ばれる血栓症の治療薬には、Bleeding (出血) などの副作用があるが、"Minocycline" (MC) には、副作用なしに、血小板の凝集(血栓) を抑える作用がある(2) ことが判明したという論文に、偶然に遭遇した。 面白いのは、その分子メカニズムである。

その論文には、"MCは 「CEP1347」 と同様、「MLK-p38 キナーゼ」 経路を阻害する" と書いてあった。 実は、「CEP1347」 と呼ばれる化合物は、協和発酵と米国のCephalon という会社が共同で開発したパーキンソン氏病 (PAK依存性難病の一つ) の治療薬だが、臨床テストの中途でとうとう 「没」 になったという不幸な 「いきさつ」 がある。

ともあれ、今から15年以上前に、我々は 「CEP1347」 が (MLK以外に) PAKを直接阻害して、癌細胞の増殖を抑えることを発見していた (3)。 従って、「水平思考の名人」 ならば、直ぐぴんと来るはずである。 「MC」 もPAK阻害剤に違いない!  もう一つ見逃せない 「臨床証拠」 がある。 「MC」 を常用すると、(グリーベック同様) 肌の色が白くなる (つまり、「PAK依存のメラニン色素合成」 が抑えられる)!  更に、細胞培養系で、MPNST (NF1遺伝子欠損の癌) 細胞の増殖が 「MC」によって有意に抑えられたという報告もある (4)。

実は、我が高校の先輩、利根川さん (ノーベル医学受賞者) も 「CEP1347」に一時興味をもっていたが、Cephalon と折り合いがつかず、とうとう自分で 「Afraxis」 というベンチャー会社を立ち上げ、"自閉症の治療" をめざして、独自にPAK阻害剤を開発し始めた。


 「CEP1347」事件でCephalonが学ぶべき教訓は、秘密主義を捨てて、広い分野の研究者たちに柔軟に対応することである。 最近、脳炎性マラリアの研究グループにこの試薬を提供していることが判明した (1) 。いくらか進歩の形跡がみられる。 しかし、未だに 「脳」 だけに拘っているのは大いに問題 (ケツの穴が狭ま過ぎる) と私は思う。 

実はCephalonの失敗を聞いて、CEP1347より千倍も強力な ST (Staurosporin) 誘導体 (ST-3009) の開発を、我々は長期的に計画している。しかし、原料になる "ST" は極めて高価なので、「15K」 の特許 (ライセンス) を製薬会社に売却して、多額の「軍資金」を得るまで、しばらく 「待機状態」 を続けている。  もし 「ST-3009」 の合成に成功すれば、(彫刻家ミケランジェロの作品に喩えれば、「ダビデ」像に相当する) 「我が人生最後の芸術作品」(「科学の粋」を集めた作品) になるだろう。

 ミノサイクリン錠剤

https://allabout.co.jp/r_health/healthdb/medicinedb/detail/847046/

日本国内では、例えば、ジェネリック医薬品会社 「沢井製薬」 が100 mg 錠剤、一粒30円程度で市販しています。大人、朝晩1錠づつ (一日の薬価はたった60円!) .  ただし、薬局で購入するためには、医師の処方箋が必要!  


Minocycline (MC) については、シンガポールの日本語通販サイト (下記) を通じて、処方箋なしで、輸入できるようです。 もっとも、値段は日本や豪州の2-3倍ですが:  
https://www.sorashido.com/item/detail?item_prefix=TF&item_code=008380&item_branch=002

注意:  ただし、 NF などの遺伝子病の治療は 「生涯療法」ですから、MC の常用による 「MC耐性菌/腫瘍」 発生の可能性をなくするために (MC単独ではなく) 「プロポリスとの併用」 (多剤療法)  をお勧めします。 

最も印象的なのは、メラトニンと同様、"MC が睡眠を深くし、記憶力を高める" ことである(5)。 この研究は(驚くなかれ) 動物実験ではなく、(ドイツで最近行なれた) 若者を対象にした臨床(人体) 実験の結果である。 健康な 受験生諸君にも、是非お勧めしたい薬である (一日60円で記憶が増進すれば、受験前には、飲まずにはいられない!)。 

2、3年前の研究論文によれば、MC 処理により、ショウジョウバエの寿命が4割も延びることがわかっている(6) 。従って、MC の副作用は殆んどないと考えれる。

参考文献:

1. Apoorv TS, Babu PP. Minocycline prevents cerebral malaria, confers neuroprotection and increases survivability of mice during Plasmodium berghei ANKA infection. Cytokine. 2017 ; 90 :113-123.
2. Jackson JW, Singh MV, Singh VB et al.  Novel Antiplatelet Activity of Minocycline Involves Inhibition of MLK3-p38 Mitogen Activated Protein Kinase Axis. PLoS One. 2016 ;11(6):e0157115.
3. Nheu TV, He H, Hirokawa Y, Tamaki K, Florin L, Schmitz ML, Suzuki-Takahashi , Jorissen RN, Burgess AW, Nishimura S, Wood J, Maruta H. The K252a derivatives, inhibitors for the PAK/MLK kinase family selectively block the growth of RAS transformants. Cancer J. 2002 ;8(4):328-36. 
4. Lee MJ, Hung SH, Huang MC, Tsai T, Chen CT. Doxycycline potentiates antitumor effect of 5-aminolevulinic acid-mediated photodynamic therapy in malignant peripheral nerve sheath tumor (MPNST) cells. PLoS One. 2017; 12(5):e0178493.
5. Besedovsky L, Schmidt EM, Linz B, Diekelmann S, Lange T, Born J. Signs of enhanced sleep and sleep-associated memory processing following the anti-inflammatory antibiotic minocycline in men. J Psychopharmacol.  2017 ; 31(2):204-210.
 6. Mora . M. et al.  Minocycline, but not ascorbic acid, increases motor activity and extends the lifespan of Drosophila melanogaster. Invest. Clin. 54 (2013), 161-70.

2017年8月22日火曜日

照明用 「キノコ」 太陽電池の構築

下村脩さんはオワンクラゲGFPの研究の後、蛍光キノコの研究に没頭し、実は1993年に、あるキノコから ルシフェリンを発見した。 それは 「パナール環」 を有するカルボン酸だった (1)。 蛍光の発生は "化学反応のみ" で進み、酵素 (ルシフェラーゼ) を必要としない!

 Both PS-A and PS-B (Panals) were converted into chemiluminescent luciferins by treatment with 50 mmol/l methylamine in a pH 3.5 buffer solution containing an anionic surfactant Tergitol 4 at 25-35 degrees C. The luciferins emitted chemiluminescence in a pH 7-8 buffer solution containing a cationic surfactant in the presence of O2 and O2-.

今回発見された蛍光キノコのルシフェリンは 「アルファーピロン環」を有する全く別の化合物で、ヒスピディン誘導体 (3-OH Hispidin) である。 このルシフェリンは酵素「ルシフェラーゼ」によって酸化され、炭酸ガスを発生しながら、蛍光を発する。 その際、アルファーピロン環が開いて、最終的には、コーヒー酸になる。

コーヒー酸はプロポリスにも含まれ、"CAPE" と呼ばれるエステルの生合成の原料にもなる。 さて、大場裕一博士 (名古屋大から 中部大学へ最近転勤) らの研究によれば、蛍光キノコでは、このコーヒー酸をヒスピディンに還元/再生することによって、再び蛍光を発するルシフェリンを確保することができるようである(2) 。 従って、電気回路に喩えれば、この再生回路が「電池」の役割を果たしている。  

コーヒー酸からヒスピディンを再生するには、ATP、マロニル補酵素(CoA)、(NADPH 依存性) 再生酵素 (Recyclase) の3つが必須である。 これが 「蛍光キノコの電池部品」に当たる。 従って、この太陽電池を構築するためには、先ず 「Recyclase」をキノコのエキスから精製する必要がある。 この酵素はATP 依存性なので、ATP/ADP ビーズで、恐らく精製が可能であろう。

References:


1. Shimomura O, Satoh S, Kishi Y. Structure and non-enzymatic light emission of two luciferin precursors isolated from the luminous mushroom Panellus stipticus. J Biolumin Chemilumin. 1993 ; 8: 201-5.

2. Oba Y, Suzuki Y, Martins GNR, et al.  Photochem Photobiol Sci. 2017 Aug 2. doi: 10.1039/c7pp00216e. Identification of hispidin as a bioluminescent active compound and its recycling biosynthesis in the luminous fungal fruiting body.

2017年8月15日火曜日

緑色の蛍光を発するキノコ成分の 「正体」 は、
PAK阻害剤 「Hispidin」 の誘導体!

2008年に、オワンクラゲ由来の緑色蛍光蛋白(GFP) の発見に対して、米国永住の下村脩博士がノーベル化学賞を、他の2人の科学者とシェアした。 この際、 下村さんに、こう質問した記者がいた。「GFP を先生が発見したのは、もう半世紀近く昔のことですが、その後、どんな研究を主にしてきましたか?」。 下村さん曰く 「蛍光を発するキノコの研究をずっと続けています」。 

 一体、なぜオワンクラゲから蛍光キノコに鞍替えしたかについては、色々の憶測があるが、その理由の一つは、以前オワンクラゲが沢山生息していた太平洋沿岸 (カナダのBritish Columbia) にある海域から、(GFP遺伝子のクローニングが終了直後) 1990年代初期に忽然として、オワンクラゲが姿を消してしまったからである!    そこで、神出鬼没な海産物から、姿を消さぬ植物、特に"キノコの蛍光物質" に焦点を合わせたのだろう。 

 さて、私自身が一体なぜ、最近突然、蛍光キノコに興味をもつようになったか、そのきっかけをお話しよう。 実は、最近、ある海外医学雑誌に頼まれて、「美白作用のあるPAK遮断剤」について、総説を投稿したところ、審査員から幾つかの注文や質問を受け取った。その中に、天然PAK阻害剤である 「Hispidin」について、その起源植物が何か、しつこい質問があった。 我々は沖縄産の月桃という植物の葉っぱから抽出されるDKと呼ばれる成分を塩酸と酵素で処理して得られる 「Hispidin」を研究材料に使用していた。 しかしながら、「Hispidin」 が各種のキノコにも天然に存在していることを知っていた。そこで、どのキノコに 「Hispidin」 が潤沢に存在いるかを調べているうちに、"蛍光キノコに関する最近の学術記事" に遭遇したというわけである。

生物体が蛍光を発するためには、少なくとも2種類の物質が必須である。一つは蛍光を発する物質 「ルシフェリン」 である。 もう一つは、このルシフェリンを酸化する酵素 「ルシフェラーゼ」 である。 この酵素は一般にATP依存である。GFPの場合は、この2つが同一蛋白中にあった。  さて、ブラジルのサンパウロ大学の研究グループによれば、アマゾンのジャングルに生息するある蛍光キノコは、緑色の蛍光を夜中に発する。 その蛍光物質 (ルシフェリン) の正体を、去る4月に遂に、突き止めた!  その名は「3-OH Hispidin」、なんと「PAK阻害剤」の誘導体だった (1)!  「ルシフェラーゼ」 もクローン済みとのこと!
そこで突然、ある「アイディア」 が頭をかすめたが、"特許の対象" になるかもしれないので、ここでお話をとどめることにしよう。。。

  (「GFP」の場合同様) このルシフェリンの (フェノール環部位の) 化学構造を変化させることによって、緑色ばかりではなく、「赤から青まで七色」の蛍光を発しう新しいキノコ成分を創り上げることができるそうである。 従って、ヒスピディン誘導体のみならず、他の多くの 「アルファーピロン」 化合物の微量定量 (検出) 法の試薬として、このキノコ由来のルシフェラーゼが利用される可能性が出てきた。 ひょっとしたら、ドラマ 「科捜研の女」か「相棒」の主人公が好きな試薬になるかもしれない。。。 犯行現場の草むらには、犯行の瞬間をじっと目撃していた「謎の生き物」 が生息していた! 

照明用 「キノコ」 太陽電池  (Mushroom LED Lamp=MLL) !

更に、面白いことには、"キノコが蛍光を発するのは夜間のみ" である。 昼間は(一たん) 「酸化されたルシフェリン」 を、太陽の光と熱エネルギーで活性化される 「還元酵素」 (Recyclase)  の働きで、還元型に戻し、次の夜間照明に備える。  従って、このキノコの "ルシフェリン酸化還元酵素系" を利用して、夜間照明専門の 「生物太陽電池」 を、近い将来、開発しうる可能性が出てきた。  ホタルの光や窓の雪を利用して (科挙の) 受験勉強をしていた古代中国の「蛍雪時代」 から、21世紀は 「キノコ太陽電池時代」に進化/脱皮せんとしている。。。


Affinity-purification of mushroom luciferin;




If you are interested in “one-step” affinity-purification of the luciferase from mushroom extract,
you need to synthesize a new luciferin derivative (called “amino luciferin”) in which di-hydroxyl benzene is replaced by p-amino-benzene. This ligand can be covalently linked to "profinity-epoxide resin" (from Bio-Rad, click the above webside), and after mixing the (dialyzed) extract with the luciferin-beads for a few hours (or over night), spin down the beads and wash them with a saline a few times, and then elute the luciferase from beads by high salt such as 1 M NaCl (and then remove the salt by dialysis).

I have just received an e-mail from Ilia Yampolsky at Moscow that they have already cloned cDNA encoding the mushroom luciferase! 
蛍光キノコの栽培で、研究費を稼ぐ!
実は、下村さんがノーベル賞をもらう直前に、ハーバード大学出版から "GFP" などの蛍光蛋白に関する大衆向けの本が出版された。表題は「Aglow in the Dark」(直訳すれば、「暗黙の輝き」)。 受賞後に青土社から邦訳 「光るクラゲ」 が出たそうである。その本の最後辺りに、モスクワにある「ロシア科学アカデミー研究所」の生物化学者たちが、珊瑚礁から新しいルシフェリン (ルビー色の蛍光物質) を発見したエピソードが載っていた。その鼻に面白い話があった。 

この生物研究所は、1980年頃にソ連軍の予算で建設されたもので、(日本でいえば、理研や産総研などのごとく) 莫大な政府予算で運営されていた (恐らく、「生物化学兵器」の開発もやっていた疑いがある) が、1990年頃にベルリンの壁が崩壊、"ソ連" 自体も崩壊したため、予算が激減して、研究所の半分は「開店休業」状態になった。 給料が激減したので、職員が海外へ流出したからである。そこで、所長に抜擢されたセルゲイという若者は、研究所の空き部屋で、「キノコ栽培」 を始め、その売り上げで、研究所を運営していた。 その中に、暗闇に怪しく光る (食用兼観賞用) 蛍光キノコがあったのではないかと、私は想像している。というのは、現在、そこを引き継いでいる有機化学者イリア=ヤンポルスキー所長が、上述のブラジル産 「食用蛍光キノコ」 のルシフェリン研究を主導しているからである。 食用蛍光キノコは疑いもなく、「健康長寿に役立つPAK遮断剤」であるから、比較的高価な食材 (野菜)である。従って、これを自家栽培して、その売り上げで研究費を稼ぐという 「ロシア方式」 は、実に 「痛快」 だと私は思う。 真似をしたいくらいだ!

 参考文献:  

1. Kaskova ZM, Dörr FA, Petushkov VN et al. Mechanism and color modulation of fungal bioluminescence. Sci Adv. 3 (2017): e1602847.


 

2017年8月13日日曜日

生命の進化: 「PAK」 はウイルスやバクテリアから多細胞生物への進化を促す!

生物の中で最も下等なのは、ウイルスである。ウイルスは遺伝子(DNA あるいは RNA) 自身をもっているが、それを複製したり、転写するための酵素をもっていない。従って、より高等な生物、例えば、細菌 (バクテリア) や多細胞生物であるカビや我々人類に感染、寄生して、その宿主のリボゾームや酵素を使用して、増殖を続ける。

さて、バクテリアやカビも人類などの高等な生物に感染、寄生して、その子孫を残そうとするが、バクテリアとカビには、大きな違いがある。 バクテリアは「単細胞生物」であり、カビは細胞同志が結合して、胞子などを作る「多細胞生物」である。 それでは、バクテリアは一体どうして、多細胞生物になれないのだろうか?  バクテリアには 「ミオシン」 という酵素 (ATPase) が欠けている。 従って、筋肉細胞のように、収縮したり移動したりするいわゆる 「細胞(アメーバ) 運動」ができない。 もう一つ、バクテリアに欠けている酵素がある。それが「PAK」と呼ばれる「燐酸化酵素 (キナーゼ) 」である。このキナーゼは「発癌性」をもち、かつ「老化現象を促す」働きももっている。

さて、 最近我々は大変面白い発見をした。 人類由来の「へそのう」の細胞 (平滑筋細胞, HUVECs) を使った細胞培養系の血管新生の実験中だった。 通常は、ニワトリの受精卵をつかって、多細胞系で、ある検体の血管新生(CAM) 阻害効果をみるが、HUVEVCs 細胞培養でも、(ある特殊な条件下では) 阻害効果を見ることができる:

HUVECs に 「VEGF」 と呼ばれる血管新生促進ホルモンを与えると、バラバラに存在していた細胞がアメーバ運動を起こし、細胞同志が接着し合って、チューブ状の血管壁組織を形成する。 この細胞培養系に、ナマコ由来のフロンドサイド A (FRA) を加えると、この細胞集合 (血管壁の形成) が阻害される。 しかも、細胞死を全く伴わない!  つまり、細胞は生きているが、アメーバ運動や細胞接着を阻害することによって、"多細胞生物への進化" を阻害したわけである。

以前から、動物実験で、血管新生にはPAKが必須であることがわかっていたが、そのメカニズムがハッキリわかっていなかった。 驚くなかれ、「FRA」はPAKを直接、しかも特異的に阻害する。 PAKはアメーバ運動に必須なミオシンの収縮に必須なキナーゼである。 従って、「FRA」などのPAK遮断剤は、HUVECs のアメーバ運動を阻害することによって、血管新生を抑制することが解明された。 同時に、細菌が多細胞生物になれない 「謎」 も解けたわけである!  従って、進化に関する 「歴史的な発見」 とも言えるだろう。

 もう一つ、付け加えれば、ウイルスや細菌による感染には我々"宿主のPAKが必須"である。従って、プロポリスや 「FRA」 などのPAK遮断剤で、これらの感染の予防や治療が可能である。 更に、固形腫瘍の増殖には "血管新生" が必須である。 従って、一連のPAK遮断剤で、固形腫瘍の増殖や "転移"  (アメーバ運動) を抑制することができる。 

以前に、一連のPAK遮断剤がメラノーマの増殖を抑えずに、メラニン合成を抑えることを報告した。 同様に、PAK遮断剤はHUVECs を死亡させずに、チューブ形成を抑える。 従って、検体が "細胞増殖や生存に影響を与えずに"、メラニン合成やチューブ形成を抑えれば、選択性の高い 「PAK遮断剤である」 証明になる。 

面白いことには、VEGF と PAK との間には、「相互扶助」関係がある。VEGFは  PAKを活性化し、PAKはVEGFの産生を更に高める。 従って、固形腫瘍が周りの血管を刺激すると、「雪だるま式」に血管新生が高まり、腫瘍の増殖を助ける結果になる。

 


2017年8月6日日曜日

「NF治療薬」 (PAK遮断剤) の開発研究に関する歩み

「NF」 という主に良性腫瘍を伴う稀少難病に関する研究歴史は意外に長く、1882年に独仏国境にあるストラスブルグ大学の病理学教授であったレックリングハウゼン氏による発見に始まる (NF1 を俗に 「レック」 と呼ぶのは、発見者名のほんの一部に由来する)。  しかしながら、癌 (悪性腫瘍) と異なり、患者数が非常に少ないため、それを研究する学者の数も極めて少なく、研究の進歩は極めて遅々なるものだった。 NFには遺伝学的に異なる2種類のタイプ (NF1 とNF2)が存在することが初めて判明したのは、一世紀以上過ぎた1987年頃のことである。 以来、NF1遺伝子と NF2遺伝子と呼ばれる抗腫瘍遺伝子が各々、発見された。 NF1 および NF2 の病因は、各々、NF1 遺伝子あるいはNF2 遺伝子の機能不全による。

それでは、これらの遺伝子の機能不全によって、一体何が分子レベルで起こるかが研究され始め、ようやく2003年になって、我々の手で初めて、「共通の標的」 が見つけられた。 その名が「PAK」 、主要な発癌/老化酵素(キナーゼ)である。 これらの抗腫瘍/長寿遺伝子の不全によって、PAKが異常に活性化するから、腫瘍が発生することが明らかになった。 NF2 遺伝子産物 (蛋白) は、「PAK阻害蛋白」 だった。 実は、この歴史的発見の蔭には、"NF2のために、視力を失つつあった息子を何とか救いたい" というシドニー在住の母親 (ローズマリー) からの熱い訴えがあった。8月に突然メールをもらってから4カ月以内に、長い懸案だった実験に答えが出た!  そこで、失われた 「PAK阻害蛋白」に代わるべき一連の 「PAK遮断剤」 (つまり 「NF治療薬」) の発掘や開発をめざす研究が、我々を中心に開始された。 しかしながら、不幸にして、大きな癌研究所では、"稀少難病" を扱う研究者は 「日陰者扱い」 にされがちだった。

にもかかわらず、2007年に、市販/通販品の中から、我々の手によって、 「NF治療薬」 として最初に発見されたのが、ニュージーランド産のプロポリス「BIO 30」 だった。 (豪州メルボルンの国際癌研究所を引退直後、私が一年ほど客員教授として滞在していた) ドイツのハンブルグ大学病院 (欧州最大のNF臨床研究のメッカ 「UKE」)で、マウスを使った動物実験で、BIO 30 がNF1 および NF2の腫瘍の増殖および転移を抑えることを見事に実証した。 以来、NF患者や(末期) スイゾウ癌患者を対象にしたBIO 30 による臨床テストを続け、成功例が数多く出た。 けだし、先進国ドイツでは、プロポリスも 「薬局方」 にちゃんと掲載されている医薬品である!

しかしながら、不幸にした、大病院の"石頭" NF 医師たちは、我々に耳をかそうとはしなかった。 そこで、我々は、2014年に私費でちっぽけな創薬研究所 「PAK研究センター」 を沖縄の琉球大学構内に立ち上げ翌2015年には、(鎮痛剤「ケトロラック」由来の) はるかに強力な合成 「PAK遮断剤」 (15K) を開発して、(大枚まで叩いて) 特許も取得した。製薬企業は 「特許なしの新薬」 には目もくれないからである。特許に基づく 「独占的な使用権 (ライセンス) 」 がなければ、市販をめざす臨床テストを始めようとしないからである。 臨床テストに成功すれば、FDAや厚生省から認可が下り、「15K」 市販にこぎ着けることができる。

「15K」は前述のごとく、プロポリス同様、せんちゅうの寿命を3割も延ばすほど、副作用の全くない 「健康長寿」 の薬でもある。大学などの「象牙の塔」での研究と違って、「患者の目線」で常に研究を進める我が研究チームの集中力は格別に高い。 前途はなお長いが、「15K」 をNF患者さん達に提供できる日が、必ず来ることを我々は信じて止まない。

 実は、ごく最近、大阪在住のあるNF患者の家族から、我々の 「NF治療薬」(PAK遮断剤) の開発研究を支援する暖かい寄付金を受け取った。 それに感謝する意味も含めて、「NFに関する研究小史」 をここに記した次第である。