2021年4月12日月曜日

「ジュリア=ギラード: 豪州初の女性首相への道」
(ジャクリーン=ケント著, ペンギンブック)

抄訳: 2010年に豪州で初めて、女性の首相が誕生した。 労働党首のジュリア=ギラードだった。それまで、ギラードは、労働党首で2007年に首相になったケビン=ラッドの下で、副官を3年勤めていたが、ラッド首相の評判が落ち始めた時期を狙って、いわゆる”下克上” を起こした。実は、 ギラードは元々、英国のウエールズ生まれで、貧しい炭鉱町に住んでいた革新派の父親ジョンと母親モイラの間に生まれた長女はアリソンで、1961年9月29日に生まれたのが、赤毛の次女ジュリアだった。ジュリアが生まれた頃、父親は英国鉄道の事務員を務めていた。 ギラード家が住んでいた炭鉱町バリーの冬期はかなり寒く、ジュリアはしばしば肺炎などに悩まされていた。
そこで、両親は医者の勧めに従って、もっと暖かい大陸に移住することを決め、1966年2月に、(真夏の) 豪州のアデレードへ移住した。 ジョンは夜学で勉強後、病院の看護師になり、モイラは救世軍の経営する老人ホームで働いて、生計を立てた。 SA 州のアデレードはビクトリア州のメルボルンと同様、比較的革新的な都会で、1968年には、労働党のドン=ダンスタンがSA 州知事に当選した。更に、2年後の1970年には、豪州連邦の首相に、労働党首のゴッフ=ウイットラムが当選した! ウイットラム政府の二大改革は、1) 医療の無償化、 と 2) 大学授業料の廃止だった。 こうして、貧乏なギラード家にとって、「理想的な」環境が整った。 ジュリアは州立アンリー高校で、弁論部で活躍し始め、政治家への道を歩み始めた。 ジュリアは16歳になった時、「私は最高の教育を受け、キャリア女性をめざすので、子供はごめんだ!」と母親に打ち明けたそうである。。。実際、彼女は首相就任後も (同棲生活はしても) 結婚はせず、子供はもっていない! その点で、(首相の座を秘かに狙っている) 小池都知事の立場に良く似ている。。。”人口過剰” に苦しむ世界で、結婚と子育てしか念頭にない女性は、明らかに「時代遅れ」だ! Girls, Be More Ambitious!
1979年に、ジュリアはアデレード大学法学部 に入学し、間もなく労働党 (ALP) にも入党した。 1981年には、大学初の学生理事長に選出された。 当時の保守党政府は、ウイットラム政府による大学授業料廃止政策をご破算にしようとした。そこで、ジュリアは大学の自治会を代表して、この保守党の 「剃刀ギャング」 政策に反対して、立ち上がった。 結局、「剃刀ギャング」 政策案は連邦議会の上院で、否決された。こうして、ジュリアは政界で、最初の勝利を味わった! この功績のため、ジュリアは全豪学生自治会の教育副委員長 (給料付き!) に選出された。 学生自治会の本部は当時、メルボルンにあった。そこで、1982年に、ジュリアはメルボルン大学法学部に編入し、以後 "メルボルンの住民" になった。翌年、ジュリアは、全豪学生自治会の委員長に選出された。丁度、その年に、ボッブ=ホークを党首とする労働党が連邦政府を奪還した! 従って、彼女にとっても、ギラード家全体にとっても、大満足っだった!
ジュリアは25歳でメルボルン大学を卒業した後、1987年に法律事務所 (Slator & Gordon) に就職し、弁護士として9年間活躍した。 しかしながら、彼女の夢は政治家になることだった。そこで、1996年に法律事務所を辞めた。残念ながら、13年間続いた労働党の天下が総崩れして、連邦政府は保守党首のジョン=ハワードの天下 (11年の長期政権) になった。 ビクトリア州知事も保守党のジェフ=ケネットになり、大量の公務員が解雇されるばかりではなく、多くの公共事業が私営化された! そこで、ジュリアはビクトリア州の野党 (労働党) 党首、ジョン=ブランビーの秘書官に就任して、先ず地元メルボルンの労働党の建て直しを計った。
11年後の2007年に、ジュリアは連邦議会 (下院) の選挙に労働党候補として出馬して、初当選を勝ち取り、首相になったケビン=ラッド (労働党党首) の副官 (副首相兼文相) に任命された。 そして、3年後の2010年に、ラッド首相に代わって、初の女性首相に就任した! しかしながら、続く総選挙で労働党が「少数与党」になったため、ギラード政権は "3年" という短命に終わったが、特に「女性の地位や労働条件の向上」、教育制度の改善などに貢献した。 豪州では2014年以来、愚鈍な保守党政権が7年ほど続き、特に米国のトランプ政権の尻馬に乗って、「COVID」の発祥を巡って、中国と対立関係を増し、石炭、小麦、牛肉、ワインなどの中国への輸出制限や高い関税で、特に農民など "第一産業業者" が苦しんでいる。。。

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