2021年4月25日日曜日

メチレンブルーがCOVID やマラリア感染を抑える!
認知症、ALS 、脳腫瘍などにも効く "PAK 遮断剤" !
従って、「健康長寿」にも役立つ可能性あり!

メチレンブルー (MB) は酸化型で青色、還元されると無色になる。従って、天然還元剤の一種であるビタミン C (Ascorbate) と混合すると、無色になる。
さて、 つい最近、MB がCOVID 感染を強く抑えることが、南仏のモンペリエの研究グループによって、報告された。 しかも、Hydroxychloroquine (HQ) よりも強力である (IC50=0.3 micro M) ことが判明し、学界で注目されつつある。
Mathieu Gendrot, Julien Andreani, Isabelle Duflot,et al. Methylene blue inhibits replication of SARS-CoV-2 in vitro. Int J Antimicrob Agents. 2020 ; 56(6): 106202.

MB もHQ もマラリア感染を抑えることが、昔から知られていた。 さて、これらの感染症がPAK依存性であることから、MB もHQ 同様、PAK遮断剤である可能性が浮かび上がった。 更に、せんちゅうで、(PAK依存の) 認知症 (タウ蛋白の燐酸化及び凝集) を抑えることも知られている。 数年前には、「ゼブラフィッシュ」という小さな魚を実験検体にて、MB (0.5 microM)では、魚の記憶を向上することが発見された。ただし、その10倍の濃度では、効果がなかった (何でも、「食べ過ぎ」は駄目! ) 。 さて、人体実験では、経口 4 mg/kg (体重 60 kg なら 240 mg MB) は記憶を有意に向上させるが、10 mg/kg では、逆効果になるという。 かなり微妙。。。
英国ケンブリッジ大学の有名な理論物理学者スチーブ=ホーキンス博士 (1942-2018) は、 ALS (筋萎縮性側索硬化症、俗称: ルー=ゲーリック病) という難病のため、学生時代以来、全身が殆んど麻痺していたにも拘らず、一生学問を続け、宇宙やブラック=ホールに関する有名な学説を立てた。 10年ほど前、カナダのモントリオール大学の研究チームによると、せんちゅうやゼブラフィッシュ等のALS モデルを使用して、MB (60 micro M) 投与で症状を軽減することに成功した!
そこで、MB が (人工甘味料「チクロ」と同様) せんちゅうの産卵能を抑え、寿命を延ばすかどうか、目下、検討中であるが、少なくとも "産卵数" は顕著に減少するので、寿命を延ばす可能性が大! MB は BBB (血管脳関門) を通過するので、PAK遮断剤なら、NF などの脳腫瘍にも有効なはず。十数年前に、少なくとも、ニワトリ (鶏卵) の (PAK依存) “血管新生”を, MB が還元型 (無色) でも, 抑えることも実証済!


N Zacharakis, P Tone, C S Flordellis, M E Maragoudakis, N E Tsopanoglou. Methylene blue inhibits angiogenesis in chick chorioallontoic membrane through a nitric oxide-independent mechanism. J Cell Mol Med. 2006;10(2):493-8.
実は、私が稀少難病 "NF"(遺伝性神経線維腫) の治療薬 (いわゆる「魔法の弾丸」) の開発をめざす研究を始めたのは、もう30年近く昔のことであるが、丁度その頃、1940年にMGM制作の白黒映画「エーリッヒ博士の魔法の弾丸」のビデオを入手し、最初の場面で、エーリッヒ博士の研究室を偶々訪れたベーリング博士に、エーリッヒがミミズのような昆虫にMBを注射して、脳が鮮明に染まるのを示す場面が登場する。強烈な印象が残る! ひょっとすると、この映画の冒頭の "MBシーン" が、我々にある貴重なヒントを与えていたのかもしれない。。。後に両人共、免疫関係の仕事で、各々ノーベル医学賞をもらう。。。 もう一世紀以上も昔の話である。 MBは、日本で「明治維新」が起こってからまもない1876年頃に、ドイツで木綿染色用の色素として開発された、いわゆる "アニリン色素" の一種である。
ようやく、MB が "PAK 遮断剤" である証拠を突き止めた! 抗癌キナーゼ "LKB1" は、抗癌キナーゼ "AMPK" を活性化すると共に、病原キナーゼ "PAK1" を抑制する (2010年に京大医学部の武藤誠 教授らが発見) 。数年ほど前に韓国ソウル大学の研究グループによれば、MB (1 micro M) が LKB1-AMPK を3倍ほど活性化することを発見した:
Hong Min Wu, Chan Gyu Lee, Se Jin Hwang, Sang Geon Kim (2014). Mitigation of carbon tetrachloride-induced hepatic injury by methylene blue, a repurposed drug, is mediated by dual inhibition of GSK3β downstream of PKA. Br J Pharmacol.; 171: 2790-802.
従って、MB が "PAK 遮断剤" であることが "九分九厘" 確実である! MB は従来、(観賞用) 魚類の水槽の感染防止や口のうがい薬に使用されているので、少なくとも "人畜無害"。甘味はないかもしれないが、薬効は「チクロ」の千倍以上に違いない!

A Novel to be published: "Out of Blue", from Stain to Magic Bullet (青天のへきれき).

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