2025年5月2日金曜日

加藤シズエ (1897-2001) : 世界的に尊敬された日本の華麗なる "女性" 政治家: 敗戦後 (1946年) 、初の衆議院選挙で、"社会党" から "初の女性議員" として当選!
戦前/戦後の「波瀾万丈な」生涯!

実は、彼女は、その昔、我々の住む選挙区 (東京2区、大田区) で、社会党から当選をしていた衆議院議員だった。同じ社会党から当選していた加藤勘十議員の 奥さんでもある。 つまり、いわゆる「おしどり夫婦」で、政界で活躍していた。

彼女は、104歳という長寿を全うしたが、若し彼女が未だ「存命」ならば (120歳以上!) 、今の米国の現状を評して、我が輩と同じ様な 意見を述べただろう。。。それほど、彼女と我々の家族は (政治的に) 意気投合していた!
目下、彼女に関する評伝: A New Woman of Japan (Helen Hopper 著、1996年) を読み返している。
欧米で活躍していた実業家の 広田家で産れたシヅエは、若い頃から、西洋文明に明るかった。 17歳で 石本男爵と結婚し、渡米して以来、首都ワシントンで仕事があった夫とは、別行動で、ニューヨークのバラード・スクールで学びながら、低所得者アパートメントで一人暮らしをする。後に秘書学コースを優等で卒業。その頃から、周辺の社会主義者らと親交を持つようになり、後に中国革命軍に同行し世界に名を馳せたジャーナリストのアグネス・スメドレーを介して貧民街での産児調節運動を啓蒙するマーガレット・サンガーと出会う。妊娠と堕胎から女を守るというサンガーの思想が炭鉱町にも必要であることを痛感し、望まない妊娠の悲劇を防ぐために日本での運動を決意。シヅエはサンガーを「生涯の師」として仰いだ。
一方、夫の石本男爵は満州事変に伴い、中国に赴任。日中戦争が勃発。長男・新は出征し、次男・民雄は結核で病死! 音信不通になった夫の負債のために自宅を売却することになり、ついに離婚 (1944年3月: "離婚の理由" は多々あろうが、いわゆる「火の玉」勘十の存在は歴然!) ! 1944年11月に、労働運動家の加藤勘十 (1892-1978) と再婚!。1945年3月30日、48歳で長女の多喜子を出産! (妊娠期間=「9-10カ月」という常識から、結婚時には、既に妊娠中!)。

こうして、当時、最も "リベラルな" 女性だった静枝でさえ、結婚の度に、広田から石本、更に加藤と苗字を変えざるを得なかった! 80年たった今日の日本でも、その状況 (妻は夫の御荷物に過ぎない、という風潮) はさ程変わってはいない!
我が輩の結婚相手は、4人の成人した息子や娘たちを女手一つで育て上げた数学教師だったが、再婚の際、妻に, 苗字を変える事無く、子供と同じ苗字を共有するように、我が輩は指示した。 我が輩自身も (生まれつきの) 苗字を変える意志は毛頭なかった!

なお、静枝の長男、石本 新 (あらた、1917~2005)は、京大理学部 (物理) を卒業後、東工大で教授。論理学及び哲学専攻 (「数学者/平和主義者」 バートランド=ラッセルに関する専門家)。
次男の石本民雄は、一高から東大に進学したが、肺結核のために死亡 (1943年6月) !

実は、静枝と勘十との付き合いは 1929年頃に始まるが, 1937年12月15日に、静枝が憲兵隊によって、自宅で逮捕され, "2週間" 投獄された事件が「決定的な導火線」となる。。。罪状は、いわゆる「人民戦線事件」に関与の疑い (いわゆる、満州事変に反対する運動を断圧する軍部の工作)。
勘十は、当時「日本無産党」委員長に就任していたが、いわゆる「人民戦線事件」に連座し、"2年間" 投獄された。詳しい経過は定かではないが、「獄中の交際」が縁となって、最終的に、両者の再婚へ発展する。勘十の前妻(キミ)は, 癌で他界。
実は、"平和主義" の我が亡夫も、この事件 (日本軍部による「満州侵略」に反対する大衆運動) に関与したため、投獄はされなかったが、京大における教職を失う (結局、食糧不足の戦争中には「百姓」をやり、結婚後、「主夫」と言う珍しい人生を辿る) 。。。
という訳で、少なくとも我が輩は、静枝と勘十の人生は、「映画化」に値いすると思う。。。。事件の詳しい経緯については、長男 (新) が英国のマーガレット=サンガー女史 (1879-1966) 宛てに送った手紙の中に見る事が出来る。

我が輩の理解が正しければ、津田梅子 (津田塾の創始者) や土井タカ子 (社会党/社民党の党首) は、独身で、自由主義を謳歌したが、"静枝" は結婚をしながら、自由主義と社会主義 (社会奉仕) を貫いた日本女性の "草分け" であった、という点で、特筆すべき人物 (日本の "サンガー女史") 。
我が亡母も健康長寿 (97歳) を全うしたが、主夫の理解の元で、職業女性として「静枝」的な人生を送る事が出来た。。。

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