2019年3月25日月曜日

東大の顔に泥を塗る (ペテン師の)「ブロリコ」商魂!

もう2年半昔になるが、ブロッコリーには「スルフォラファン」と呼ばれるPAK遮断剤が含れ、マスタード  (からし) などにより活性化されるという記事を紹介した。その後、特にオンラインのしつこい過大広告で、「ブロリコ」と称するイカサマ健康食品錠剤 (ブロッコリー製剤) が、東大の名を語らって、通販され始めた。さて、「驚きの健康パワーはプロポリスの1000倍以上」と名乗るブロリコの実体は、一体何だろうか?
 
2017年に発表された帝京大学の研究グループによる論文 (1) によれば、いわゆる「ブロリコ」は、ブロッコリーの煮汁 (120度で加熱滅菌後、凍結乾燥した物) である。 主成分は、多糖類で、肝心の「スルフォラファン」は水に不溶なので、殆んど含まれていない!  従って、マスターズによる効果はゼロ!  さて、この煮汁の健康パワー(いわゆる生得免疫増強作用) は、蚕の筋収縮で間接的に測定している。多糖類が蚕の体液に接触すると、サイトカインの一種 (麻痺ペプチド) が放出され、蚕の筋肉が収縮する。 しかし、この特殊なサイトカインは我々哺乳類には存在しない! 

さて、プロポリスは蜂の巣のエタノールエキスだから、多糖類を全く含んでおらず、蚕に投与しても筋収縮は全く起こらない はず (否、哺乳類に投与すれば、血管壁の平滑筋が弛緩して、血圧が下がる!) 。 そういうプロポリスと比べて、ブロリコはその収縮能が1000倍以上、という広告は、科学的にも医学的にも、全く意味のない「イカサマ」広告である。プロポリスには、我々哺乳類の(生得及び獲得) 免疫機能を増強する作用が実際にある。それは、そのPAK遮断作用による。 しかしながら、ブロッコリーの多糖類が哺乳類の免疫機能を増強するとか、癌の増殖を抑制するとかいう実験証拠は未だ全くない! 従って、「ブロリコ」中の多糖類に "健康パワー" があること自体、甚だ疑わしい。 ただし、霊芝の多糖類に抗癌作用があるという話は聞いたことがある。

不幸にして、2017年にブロッコリー由来の多糖類が炎症に関与するサイトカイン (IL-6 やTNF-alpha など) を哺乳類の貪食細胞 (マクロファージ) から分泌させることを、中国の研究グループが発見している (2)。 癌の増殖や炎症を抑えるプロポリスは、全く逆の反応を示す。従って、「ブロリコ」は炎症や癌の増殖を促進する「不健康な」食品という可能性が濃厚になった! 従って、私自身の解釈:  ブロッコリーの多糖類 (ブロリコ) は、蚕に対して緩慢な毒性 (筋収縮) を示し、その"毒性"はプロポリスの1000倍以上である。 ブロリコの毒性は哺乳類では、少なくとも "炎症" を伴うはず。

ブロリコの通販を大々的にしきっているのは、「イマジン=グローバル=ケアKKの代表、木下弘貴 (東大医学系保健学博士?) なる人物である。

ことわっておくが、この人物は (天下の難関) 東大医学部 (理3) の卒業生ではない!  医学系大学院の保健学科に編入してきた「元調剤薬局の経営者」(自身は薬剤師免許をもっていない!) である。 従って、科学や医学に関しては、「ズブの素人」である。 そんな人物が東大医学系大学院の入試に合格したとは、信じがたい。

大学院で一体何をしていたのか、全く不明 (この人物が発表したブロッコリーに関する研究は「PUBMED」で検索する限り皆無!) だが、一つだけはっきりしていることは、東大薬学部の「蚕研究グループ」と産学共同研究 (恐らく、この会社が研究助成金を出資) 後、2008年頃にブロリコ (実は、野菜一般の加熱抽出法) に関する特許を共同で申請、(異例にも)  数年を要して、2014年に認可されたという事実である。

さて、この会社から最近取り寄せた資料によると、2012年にブロリコに関する小規模な臨床テスト (フェーズ1、 毒性検査) 結果が、「薬理と治療」という雑誌に掲載されていた。著者は木下弘貴 (東大医学系大学院公衆衛生科) 、小方康至、木下徹 (イマジングローバルケア)、西村潤一 (阪大医学系大学院消化器外科) の4名。被検者は合計20名の健康者 (男性8名、女性12名) で、4週間にわたって、毎日ブロリコ 500 mgを経口投与。論文の結論には、「自然免疫ふ活作用あり」と記載されているが、実際のデータをみると、どの測定値も標準偏差が大き過ぎて、投与前と投与後との間に(科学的にみて) 有意差は全く認められない。従って、私自身の結論は、純水同様「毒性はないが、薬理作用もない」!  恐らく、「寒天 (多糖類) のごとく、胃腸から吸収されず、そのまま排泄された」と私は推測している。蚕の実験では、検体を体内に注射したので、その薬理作用 (筋収縮) が観察された。 更に、この臨床テストの「担当医」が、地元の東大医学部勤務ではなく、「阪大医学部勤務である」のも、非常に「不自然」である。。。会社に問い合わせところ、ブロリコ錠剤18個が、臨床に投与した 500 mg に相当するそうである。従って、お勧めの「毎日3錠」とは、臨床テストの投与量の僅か6分の1 に過ぎない。 全く何の効果も期待できない! 

案の定、「蚕研究」グループ (東大薬学部) は、ブロリコに関する過大イカサマ広告にフンザリして、木下氏とは絶縁したと聞いている。 私の見解では、イカサマ師 「キノシタ」は暴利を求めて、これまで「自らの墓穴を掘り続けてきた」が、彼にもそろそろ「年貢の納め時」が来たようだ!  奢るもの久しからず」

ブロリコの最新チラシによれば、今までに200万個 (単価 6千円) 以上の売り上げ、つまり総額「120億円」を越える大金を我々消費者から騙し取ってきた刑務所に即、ぶち込むべき! 

参考文献:

Structural analysis of an innate immunostimulant from broccoli, Brassica oleracea var. italica. Drug Discov Ther. 2017 ;11(5):230-237.

2. Chen ZE1, Wufuer R1, Ji JH2, Li JF3, Cheng YF1, Dong CX4, Taoerdahong H1. Structural Characterization and Immunostimulatory Activity of Polysaccharides from Brassica rapa L.  J Agric Food Chem. 2017 Nov 8;65(44):9685-9692.

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