10月12日にニューヨーク市内で開催された国際PAKシンポジウムに招待講演をやっくれた米国メネソタ大学の薬学教授 Gunda Georg 女史は、PAK遮断剤 "Minnelide" (Triptolide の誘導体) の市販をめざして、 (スイゾウ癌患者向けの) 臨床テストを目下進めているが、実はドイツ中部にある Marburg 大学出身の有機化学者である。 この大学から、11名のノーベル受賞者が輩出した (京大や東大をしのぐ!) が、その中で最も有名な受賞者は、1901年に最初のノーベル医学賞をもらったエミール=フォン=ベーリングであろう。北里柴三郎らとジフテリア抗毒素 (血清) などを開発した免疫学者である。 ベーリングはベルリンのコッホ研究所に勤務していた頃、ベルリン大学病院に勤務していた病理学者パウル=エーリッヒと親しくなり、以後晩年まで、色々な面で互いに助け合った「会心 の友」である。 エーリッヒが晩年開発した梅毒の特効薬「サルバルサン」をめぐる裁判事件では、エーリッヒの「魔法の弾丸」の薬効を雄弁に弁護した。
さて、PAKシンポジウムの後、 Georg 女史と文通 (メール) を交す間に、鎮痛剤「ケトロラック」や抗生物質「マイコフェノール酸」(両者ともPAK 遮断剤) をめぐるいくつかの新しい誘導体に関するアイディアが生まれ、日独間で共同研究を始めることになった。詳しい内容は (成功の暁には) 特許申請にも関わることなので、ここでは省略するが、"15K " に勝るべき一連のケトロラック/マイコフェノール酸の誘導体を合成してみることになった。 この共同研究に直接参画する女史傘下の優秀な院生には、「PAK研究財団」から短期 (恐らく一年) の奨学金を支給する計画である。
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