2016年9月28日水曜日

彼岸花 (Lycoris radiata) の球根由来のアルカロイド 「Lycobetaine」 は、PAK発癌経路を遮断



1981年に、上海にある中国科学アカデミーの研究グループによって、彼岸花などの球根には、「Lycobetaine」と呼ばれるアルカロイドが含まれ、抗癌作用を示すことが、動物実験で実証された。 この物質はアルコールには良く溶けるが、水には溶けにくい。その後、Lycobetaine の標的がいくつか見つかったが、その中の一つは、COX-2 と呼ばれる酵素である。この酵素は、痛みの原因になるプロスタグランディンという物質を合成するのに必須であることが知られている。 面白いことには、COX-2 遺伝子を発現するためには、発癌キナーゼであるPAKが必須である。従って、Lycobetaine は、PAKのすぐ下流にあるCOX-2 という発癌酵素/発炎酵素を阻害することによって、一連のPAK依存性の疾患を抑える薬理作用を発揮しているらしい。