2022年12月31日土曜日

Gleevec: 癌 (CML/GIST) の治療薬として最初に市販された チロシン=キナーゼ (ABL、 KIT、PDGFR etc) 阻害剤
NF 腫瘍にも効くはず!("ジェネリック" 製品は安価!)
"一年の計" は元旦にあり! "Gleevec" はCOVID 肺炎にも効く!?

この治療薬の開発の背景には、かなり長い歴史がある。 先ず、1960年に、米国フィ ラデルフィアの癌研究者 (ピーター=ノウエル とデビッド=ハンガーフォード) が CML (慢性骨髄性白血病) 患者の白血球の (22番目の) 染色体が、正常な白血球の 染色体に比べて、明らかに短い ( つまり、一部欠損している) ことを発見した時 点に始まる。 そして、この奇妙な染色体を「フィラデルフィア染色体」と名付け た。 その後 (1973年に)、 シカゴ大学のジェーン=ローリーが、CML患者が余分な DNAを9番目の染色体にもっていることを発見した。 更に詳しく調べてみると、22番 目から欠損した遺伝子が9番目の染色体に転移/転座していることが判明した。 その後、この転座により、BCR-ABL という融合発癌遺伝子が形成していることが 判明した。 この融合遺伝子は、正常なABL遺伝子より、異常に活性化され、発癌 の原因になっている。
その後 (1986年頃)、ABL遺伝子産物がチロシン=キナーゼの一種であることが、デ ビッド=ボルチモア (MIT 癌研 のノーベル医学受賞者) らによって、発見された。 そこ で、この発癌性 "ABL" キナーゼを阻害する薬剤を開発するというプロジェクトが、ス イスのバーゼルにある「Novartis」 の前身であるチバーガイギーの研究所で始まっ た。 このプロジェクトを主導したのが、(1983年にチバガイギーに就職した) ア レックス=マター医師 (博士) だった。 先ず、彼はニック=ライドンという若い生 化学者を自分のチームに誘い込んだ。
もう一人、Gleevec の開発に重要な貢献をした医師が米国にいた。ボストンのダ ナ=ファーバー癌研のブライアン=ドルーガー医師だった。 1988年に、ニックはブラ イアンに面会して、如何にして、チロシン=キナーゼ (ABL) を阻害する薬剤を開発 すべきか、じっくり相談した。丁度その頃、イスラエルの (我が輩の友人である ) アレックス=レヴィツキーのチームが、EGFR などのチロシン=キナーゼに対する 一連の阻害剤を開発し始めた。 1990年に、 (ETH で博士号を取得した) 新鋭の有 機化学者、ユエルグ=ジンマーマンがマターのチームに加わった。そして、ユエル グが合成した化合物を片っ端から、ニックらが ABLキナーゼを (選択的に) 阻害する かどうか、検索し、それに合格した物を、ブライアンが動物実験や臨床実験で薬 効を確かめる、という作戦を遂行した。
1992年に、どうやら目的の阻害剤が見つかりつつあった。問題は、水溶性に乏し いことだった。 1993年の春、「STI=571 」(後に「Gleevec 」と改名) という化 合物が、社内の「医薬品候補」となった! 丁度その頃、ブライアンは、ボスト ンからオレゴン大学 (健康科学) の癌センターに転勤し、 Gleevec の薬効を動物 実験で確かめ始めた。さて、1996年に、サンドとチバガイギーが合併し、 「ノバルチス」製薬となった。 同じ頃、ブライアンは、Gleevec の臨床試験"準備"を開 始しつつ、Gleevec に関する研究論文を初めて、ネイチャー (医学) 誌に発表し た。
1998年夏に、臨床 (フェーズ I) 試験が開始された。結局、149名のCML 患者が登 録された。 全員が「インターフェロン療法」に耐性! 一年後の試験結果は、副 作用なし! 勿論、多くのCML 患者の白血球から、例の「フィラデルフィア染色体」 が消えていった ("治療効果がある" という証拠!)。 会社は薬剤の増産を開始し、フェー ズ II を 1999年5月に始めた。 米国のCML患者数は当時、約15、000 人。 全人口 (3億人の僅か 2万分の1! NF2 患者数より多少多い程度)。インターフェ ロン療法では、半年後に 殆んど全員が死亡したが、Gleevec 療法では、生存率 90% だった! この結果から、会社は、臨床テスト開始2年半後 (2001年2月末)に 、FDA へ「新薬申請書」を提出した。 何んと3カ月後に、「Break-through 」 として承認された!
その後、Gleevec には、ABL ばかりではなく、KIT やPDGFR 等のチロシン=キナー ゼをも阻害することが判明した。 実は、これらの発癌キナーゼの下流には、発癌 キナーゼ「 PAK 」が関与する。従って、Gleevec は、間接的に "PAKをも遮断"する ので、NF腫瘍など (全ての固形腫瘍) の治療にも有効であることが判明した。 2009年 に、ブライアン=ドルーガーはGleevec の開発 (市販化) に貢献したことを讃えられ、「ラス カー医学賞」をもらい、 2013年には、アレックス=マターが「セント=ジョルジー賞」をもらった。
2014年には、中国の研究グループによって、Gleevec に美白 (メラニン色素合 成を阻害する) 作用があることが報告された。実は、これは驚くべきことではな い。というのは、丁度同じ時分に、我々は「メラニン色素合成にはPAKが必須」で あることを突き止めたからだ。Gleevec は、"PAK遮断作用" によって、美白作用を発 揮する。 つまり、(長らく) 常用していると、
「フコイダン」同様、"美白" にもなる!
実は、アレックス=マター (82歳) は、Gleevec の市販に成功後、2004年頃から、 シンガポールの研究所を拠点にして、伝染病の治療薬を開発するプロジェクトを 主導しているようである。 そこで、来たる2023年に、シンガポールを久し振りに 訪れ、アレックスから、我々のPAK遮断剤「15K」の市販化への作戦 (極意!) を (何とか) 伝授してもらおうと計画している。。。
参考書:
詳しくは、ロバート=シュック著「新薬誕生」(小林 力 訳、2008年出版) の 第6章: グリーベックを参照されたし。

2022年12月30日金曜日

アストラゼネカ製「セルメチニブ」(Koselugo):
米国では、NF1 (小児: 3歳以上) 患者に 承認取得
(2020年4月) 、日本でも"承認" (だが、極めて「高価」)!
Gleevec (ジェネリック) なら 一錠 (100 mg) : 約600 円!

この薬剤 (セルメチニブ) は、「AZD6244」という名の下に、2007年頃に開発された "PAK" の下流にある発癌キナーゼ (MEK) に対する阻害剤韓国でも、2021年5月末に、使用許可
"アレクシオン" ファーマ (アストラゼネカの傘下) は, 2022年9月27日、神経線維腫症1型(NF1)における叢状神経線維腫(PN)の適応で「コセルゴ カプセル10mg/25mg」(一般名=セルメチニブ硫酸塩)が26日に "日本" 国内で薬事承認されたと発表...
2022年11月 改訂(第2版): 薬価 ("億万長者" 向き)!
コセルゴカプセル 10mg : 12622.8円/カプセル
コセルゴカプセル 25mg : 30257.8円/カプセル

一般庶民には、(安価な「ジェネリック」が販売されるまで) 当分、「フ コイダン とビタミン D3 の併用 」をやはり、勧めた方が賢明!
(少なくとも) 動物実験では、この薬剤はNF2 腫瘍にも効くが、不幸にして、NF2 患者数 は (世界的に) NF1 患者数の10分の1に過ぎないので、NF2 患者への適用に関する 認可は、恐らく (早くても) 数年先だろう。 この薬剤の腫瘍細胞に対するIC50 は、10 micro M ("CAPE" や "Gleevec" とほぼ等しい!) で、我々 が開発した"PAK遮断剤"「15K 」の薬効 (IC50= 25 nM) の 「400分の1 」に過ぎない!
なお、米国の「NF2 IS」なる News Letter 欄 (2020年) によれば、 NF2 腫瘍患者を 対象にした Gleevec あるいは Selumetinib による臨床テストが進行中である。 詳しくは: https://www.nf2is.org/imatinib.php
Gleevec は、既に「ジェネリック」製品が市販されているので、ずっと安価である はず。。。
Gleevec 「ジェネリック」製品の情報: 一錠 (100 mg): 約 250-600 円!
http://www.generic.gr.jp/index_sr.php?mode=list&me_id=17187

2022年12月29日木曜日

小林政子訳 「最後のヴァイキング」
ローアル・アムンセンの生涯 (2017)
「地上の探険」Golden-Era は終わった!

我が輩は「月並み」の冒険家/登山家で、北極点や南極点に達したことはないし、エベレス トの頂点にも達したことはない。 我が輩は、自分自身の選んだ「エベレスト」 (「PAK」と呼ばれる病原/加齢キナーゼ) を究めつつある研究者に過ぎない。しか しながら、エベレストの頂点に初めて到達したヒラリー郷やテンジン (シェルパ ) の快挙や、南北 (両) 極点に初めて到達したアムンセンの快挙に、脱帽せざるを 得ないし、そこに到達するまでの 困難なプロセスから学ぶことが極めて多い。
さて、我が輩の昔の「邦訳の相棒」(小林さん) が、数年前に、アムンセンに関す る評伝を邦訳して、出版したことを、(紀伊国屋のサイトで) 最近知った。 未だ 読んでいないが、"実際に南極点に達した経験のある日本人冒険家"が、絶賛してい るので、 (多少長くなるが) "絶妙の" 書評 at Amazon.co.jp を参考までに、ここに "転載" して、紹介したい。。。
(阿部雅龍: 2019年1月、日本人初踏破の「メスナールート」による南極点単独徒歩到達=918 kmを達成) のように南極点に到達したという実体験から、この人物を語れる日本人は少ないだろう。 人類史上初めて北極点と南極点に到達し、極地冒険史上で燦然と輝く冒険家であるローアル・アムンセン。南極ではアムンセン隊とスコット隊、白瀬矗 (同郷の大先輩) 隊との南極点争奪レースが繰り広げられた。 冷徹かつ完璧な冒険家というイメージをずっと持っていたが、この本で覆された。原文も素晴らしいのだろうが、"訳が秀一" だ
遠征の旅に借金を重ね、多額の資金獲得の為に走り回る。エンタメと冒険を組み合わせ、アムンセン自身は一流の冒険家でありながら、一流のショーマンでもあった。記念切手を売り、新聞社との独占契約をとり、ミディアミックス的に冒険という商品を売り出していく。現代冒険でも主だって取られる手法を開拓したのは彼だった。 真のヒーローたる人間でありながらも、運命に押し流され、老年に差し掛かった最後は, 遭難者の救助の為に向かった北極に消えていく。
南極探検英雄時代は超人的な冒険家たちが活躍したが、その中でアムンセンは名実ともに随一の存在だ。犬ゾリで南極点に到達した際も、積んだ食糧や燃料などが減りソリが軽くなるため、帰路に犬を射殺して食糧にする事を予定に組み込み、犬ゾリのスキルはイヌイットたちから学び、探検隊の分裂を防ぐ為に船長と隊長を兼ねて遠征に出るというスタイル(船長と隊長というリーダーが2人いると隊は分裂しやすい)で隊を見事にまとめ上げるリーダーシップを発揮する。 アムンセンが書いた自伝を読むと、あっさりと南極点に到達したかの如く見えたが、 この本を読むと南極遠征の苦労がありありと見えてくる。
21歳で両親をなくし、探検を志し、北西航路を船で航海し、犬ゾリで南極点へ、飛行船で北極点へ。行き先ばかりか手法までも次々と変え、目標を達成していく。 これらの1つのみでも大冒険なのだが、それに満足せず歩みを続ける。 1つの冒険を達成すれば生涯生きていくだけの十分な資産が講演などで手に入ったはずだ。 アムンセンは安楽を貪ることをせず、資産を全て次の遠征に注ぎ込むばかりか、借金まで重ねていく。 生涯を通して安定する事は決してなく、次なる窮地に自ら飛び込んでいく。 どうしてそこまで・・・と思う人の方が多いだろう。 お金は彼にとって夢を叶える手段でしかなかった。 資料を元に客観的な文章が続いていくが、スポンサード (Sponsored ?) しながら冒険をしている僕自身にとっては他人事ではなかった。 時代は違えども、現代冒険家たちと丸っきり同じじゃないか。 新たな冒険のアイデアを生み出し、資金獲得に駆け回る。 時代は違えども、その歓喜も悲哀も自らの事として痛切に感じる。
彼は"鉄の意志を持った傑物"だったのは間違いないのだが、どこまでも不器用、であるにも関わらず、世間は彼の気持ちなどお構いなしに、遠征の成否で上げたり下げたりしてくる。 プロとして生きるという事はそういう事なのだが、精神的にも疲弊してくるアムンセンの姿が後半になるほどに痛々しい。長年の冒険で身体がボロボロになって行く描写もあり、医者には、「長生きしたければ冒険を止めろ」と忠告される。 過酷な現場に出続けるという生き方が、いかに苦しい生き方なのかと思わされる。
それでもアムンセンが掻き立てられるように冒険に向かったのは、誰よりも "ロマンチスト" であり、ロマンを冒険で体現して生きる男であったのだろうと僕は感じた。 不器用な生き様ではあるが、信念を貫いた男の生き方として僕は憧れる。 また、この本ではヒロイックな冒険家の、決してヒロイックとは言えない恋愛事情まで語られる。 この部分が実に人間らしく、かえって彼を好きになれる。
アムンセンと言えば、スコット隊との南極点レースの印象から、好かない 読者も多いだろうが、そういう人にこそ、この"等身大のアムンセン"を知って欲しい。 きっと、この人物が好きになる。 そして、リアルを知ってこそ、彼の偉大さがわかる。

我が輩が幾つかの書評を読んで感じたことは:
1。 南極点に (犬ソリで) 一番乗りを果たした (ノルウエーの) アムンゼンは「プロ」(準備周到) であるが、(馬ソリで) 二番手に終わった (英国の) スコットは、残念ながら、所謂 「アマチュア」(準備不足) だった。
2。 エベレストを初登頂したヒラリー郷は、その後南極点にも達したが、結 局 (米寿まで) 長生きしたが、アムンゼンは冒険のために、身体を酷使し、結局 (北極海で) 「遭難」、短命 (55歳!) に終わった (遺体は未だに回収されていない!) 。 我が輩は、 できれば「前者」の (或いは、免疫学者「バーネット」のような) スマートな生き方 (健康長寿) を選びたい。。。(読者が) 登山家なら、井上靖の実話小説「氷壁」と比べながら読むと面白い。。。
アムンゼンは、1911年に人類史上初めて南極点への到達に成功、1926年には飛行船 で北極点へ到達! そして、1953年にはヒラリーとテンジンが最高峰エベレスト の頂点に立った。以後、既に70年近い月日が経っている。いわゆる「地上の探険 時代」は、もう終わった! 新しいルートで、南極点やエベレスト山頂などに到 達する「探険」は、ある意味で「自己満足」に過ぎない! それだけのエネルギー と知恵があったら、 地球上で、様々な病気やその他の理由 (例えば、戦争や飢饉や貧困 ) で苦しんでいる人々のために、(ヒラリー郷の如く)、それをフルに利用してもらいたい!

2022年12月27日火曜日

ボブ=ブラウン: 政党「Greens」の創始者
自然環境の保全と人権保護のために戦う!
豪州初の「ノーベル平和賞」に値する活動家!

紳士的な革命家」と呼ばれている豪州の「Greens」の創始者、ボブ=ブラウン医 師は、78年前の本日 (1944年12月27日) にシドニーの郊外で誕生した。先ず、彼 の誕生日を心から祝いたい! 父親 (ジャック) は祖父についで、警察官だったそ うである。 本人は、名門シドニー大学医学部卒の開業医。 1972年にタスマニア島 (州) に移住。
実は、ボブが ("姉弟" 関係の双生児として) 産まれたのは、戦争中の最中で、日 本軍が沖から砲撃を繰り返していたという。だから、父親は応戦に急がしく、妻 が大変なお産の最中に、病院に駆けつけられなかったそうである。姉のジャンが 先に産まれ、(辛抱強い) ボブは30分後に産まれて来たので、父親曰く、「ボブは、 何時も紳士的だ」と賞賛したそうである。。。ボブは後に (1983年頃)、「森林保護」を旗印に、世界初の 「Greens」という政党を「タスマニア島を拠点」にして結成するが、ロシア革命 を始めたレーニンと違って、「紳士的 (柔和) な革命家」と呼ばれるようになった。
豪州の「Greens」は、いわゆる二大政党 (労働党と自民党) に次ぐ、"第3政党"とし て活躍し、主に大都市 (メルボルン、シドニー、キャンベラ等) の "インテリ層" か ら支持を受け、有権者全体の約10% から支持されている、いわゆる "革新" (左派) 政党 である。主なスローガンは、環境保全 (地球温暖化の阻止) 、少数派 (特に 戦争避難民) の人権保護、戦争 (イラク戦争やアフガン戦争) への関与に反対する "平和主義" な どである。 20年間「Greens」の党首を務めた後、2012年に独自の「Bob Brown 財団」を設立し て、環境保全のための闘争を継続している。
実は、2004年にボブ=ブラウンの英文評伝が豪州で出版されたので、我が輩は早速、 「邦訳の相棒」 (外務省出身の小林政子さん) と共に、その邦訳を出版する企画 を立て、環境問題に熱心なアルピニスト (野口健さん) からも、推薦の言葉を頂く予定になっていたが、残念ながら、肝心の出版社が日本国内に見つからず、企画を止むなく 断念した!
実は、ケニアのワンガリ=マータイ女史 (1940-2011) が、1977年に彼女が始めた、いわゆる「Green Belt Movement」(植林運動) のお蔭で、 2004年にノーベル平和賞を貰ったために、日本の 出版界は、その自伝などに基づいて、数社が挙って、「勿体ない」とか「へこた れない」とか言う短いキャッチフレーズを付けて、 大小数冊の邦訳を出版したた め、ボッブ=ブラウンの評伝は、すっかり影が薄くなってしまった!
「権威主義」の日本では、「ノーベル受賞」という「お墨付き」がないと、伝記の 邦訳を引き受けてくれる出版社が中々見つからない! ノーベル医学賞に輝く 「マックファーレン=バーネット」 (メルボルンの免疫学者) や「シドニー=ブレナー」("南ア生まれ" の線虫学 者)、ノーベル文学賞に輝く「パール=バック女史」( "中国育ち" の "東西の架け橋") の伝記 (評伝/自 伝) の邦訳の出版には (1995年-2005年) に、何とか成功したが。。。願わくば、 我が輩が未だ生きているうち (せいぜい「10年」以内!) に、ボブ=ブラウンがノーベル平和賞に輝くことを心 から祈っている。。。 日本の「グリーン党首」だった「紋次郎」(中村敦夫氏) も、 きっとそう願っているに違いない。 我々 "老世代" (in twilight-zone) には、「時間切れ」が刻々と迫っている!

2022年12月26日月曜日

(発癌性の) PAK-TOR シグナル経路:
我々の寿命を短縮している!
「フコイダン」や 「D3」はそれを阻止!

ごく最近 (2020年に)、 ドイツのキール大学 (トム=レーダー教授) のグループが ショウジョウバエを実験材料に使用して、興味深い実験結果を得た (1)!
さて、2004年頃、米国「CalTech」の シーモア=ベンツァー (1921 - 2007) の研究室 (ショウジョウバエの遺伝学で有名!) で、TOR 欠損株が野生株に比べて長生きすることを発見した。 数年後 、マウスをラパマイシン (TOR阻害剤) で処理すると、矢張り長生きすることが証明された!
ドイツのグループは、ショウジョウバエを海藻 (特に褐色の) のエキス (1 mg/ml) をショウジョウバエの餌に加えてやると、矢張り寿命が延びることを発見した。 特に面白いのは、TOR 欠損株に (このエキスを) 与えても、もはや寿命の延長は見られなかった。 そこで、結論としては、この海藻エキスに "TOR" (発癌キナーゼの一種) を阻害する物質が含れているに違いない、と結論した。
我が輩が (ごく最近得た) ホットな知識によれば、海藻由来のフコイダンには、PAK遮断作用ばかりではなく、TOR阻害作用もある。 従って、どうやら、(発癌性の) PAK-TOR シグナル経路が、(少なくとも、マウス、蝿、線虫では) 寿命を縮めているらしい。。。
参考文献:
1. Yang Li , Renja Romey-Gl??ing , Navid Tahan Zadeh et al (2020).
Furbellow (Brown Algae) Extract Increases Lifespan in Drosophila by Interfering with TOR-Signaling. Nutrients. ;12(4):1172.

2022年12月25日日曜日

病原キナーゼ (PAK) に拮抗する主な抗癌遺伝子:
NF1、 NF2、PTEN、RB、p53、LKB1 等
NF2腫瘍の治療に、PAK遮断剤とTOR阻害剤の併用!

病原キナーゼ (PAK) に拮抗する遺伝子産物の歴史は、抗癌遺伝子 NF2 から生産される「メルリン」がPAK を直接阻害することを、我々が2003年に発見した時点に、遡ることができる。 以後、様々な抗癌遺伝子産物が、PAK を阻害あるいは遮断することが続々判明した。言い換えれば、大部分の固形癌は、PAKを遮断すれば、(副作用なしに) 治療可能である!
NF1 産物は RAS GAPの一種で、RAS の機能を阻害することによって、下流のPAK を遮断する。 PTEN産物 は、フォスファターゼの一種で、PAKを脱燐酸化して、それを不活化する。LKB1 産物は 抗癌キナーゼで、PAK を燐酸化して、不活化する。同時に AMPK と呼ばれる抗癌キナーゼを (逆に) 活性化する。 この LKB1 に関する研究は、我が輩の (東大時代の) 友人で、 京大医学部の武藤 誠 (教授、北野病院の研究部長と兼任) らの2010年頃の研究による。 RB については、前述した。
さて、つい最近のNF2に関するレビューを読んでいたら、面白い記事が見つかった。 実は、2012年頃に、Jim Gusella の研究室で、メルリンのもう一つの標的を見つ けていた。それは「TOR 」と呼ばれる発癌キナーゼである (1)。 従って、メルリ ンはPAK 以外に、TOR を阻害しているようである。言い換えれば、TORの阻害剤 (例えば TORin 1, IC50=250 nM) によっても、NF2 腫瘍の増殖が抑制されるらし い。 従って、理論的には、PAK遮断剤とTOR阻害剤を併用すると、NF2腫瘍の治療 がより効果的になるはず!
海藻由来のフコイダンがNF腫瘍に効く、と前述したが、ごく最近の中国 (チンタオ 大学) の研究チームによれば、フコイダンは (「PAK」を遮断するばかりではなく )、「TOR」も阻害する (2)。 従って、フコイダン自体でも 「鬼に金棒」
更に、(NF 腫瘍の治療に) フコイダンとビタミン D3 の併用を勧めているが、実は D3 には、(「PAK遮断」ばかりではなく)、TOR を阻害する作用もあることが、判 明した (3)。従って、フコイダンとD3の併用を引き続き、推奨したい! Merry X'mas and Happier 2023!
参考文献:
1. MF James, E Stivison, R Beauchamp, S Han, H Li, MR Wallace, JF Gusella,et al (2012).
Regulation of mTOR complex 2 signaling in neurofibromatosis 2-deficient target cell types.
Mol Cancer Res.;10(5):649-59.
2. Nan Zhang , Meilan Xue , Qing Wang , et al (2021).
Inhibition of fucoidan on breast cancer cells and potential enhancement of their sensitivity to chemotherapy by regulating autophagy.
Phytother Res. ;35(12):6904-6917.
3. A Al-Hendy , MP Diamond , TG Boyer , SK Halder (2016).
Vitamin D3 Inhibits Wnt/β-Catenin and mTOR Signaling Pathways in Human Uterine Fibroid Cells.
J Clin Endocrinol Metab. ;101(4):1542-51.

2022年12月24日土曜日

「日台」間のチームワークにより、
「網膜芽細胞腫」(RB) の治療法が確立
次は、「RAS 癌」 や 「NF 腫瘍」の治療法の実用化!

さて、世界各国の平均 「IQ 」順位 (2022年の集計) によれば、1位 「台湾」(IQ=116)、2位「日本」(IQ=113) 、3位「ハンガリー」(IQ=111)、4位 「韓国」(IQ=111) だそうだ。首位の台湾に追い付き、更に追い越すためには、 日本人はもっと天然の「PAK遮断剤」を常用する必要がある! COVID 対策で大活躍した台湾の「鉄人」大臣 の「相棒」(天才「 IT」 担 当大臣: Audrey Tang) の IQ は180 以上 (高過ぎて、計測不可能!) だそうだ。 他方、日本の内閣の大臣たちは、「低 能ばかり」!
我が輩の親友で、台湾出身の李文華博士は、奥さん (玉華) と共に、 渡米して、カルフォルニア州立大学 (UCバークレー校) で博士号を取得した後、 UCSDで、1987年に世界初の抗癌遺伝子「RB」 を発見した (1)! 以後、p53、 NF1、 NF2, PTEN などの抗癌遺伝子が続々と発見された!
未だこの分野では (誰 も) ノーベル賞はもらっていないが、何時受賞しても不思議ではない!
李博士夫妻は "台湾" 出身の「キューリー夫妻」
と呼ばれている。 我が輩は "RB" の発見を聞いて、UCSD をおさらばして、メルボルンの癌研に転勤し、 (副作用のない) 「抗癌剤」(=PAK遮断剤など) の開発研究に乗り出した。。 少なくとも人類では、"GM" (欠損した遺伝子を補充する) 治療は、不可能だ からだ! 癌治療に必要なのは、「欠損した遺伝子、例えば 「NF2 」等、の代わりをする薬剤」を開発することであ る! つまり、"実用的な" 創薬には、しばしば「発想の転換」或いは「戦術の変 更」が必要だ! 遺伝子病の治療では、遺伝子の同定は、ほんの出発点に過ぎ ず、それを然るべき「薬理作用のある」化合物に変換すべき"長い道程 "を経なければならない。
ようやく2015年になって、"RB" 転写蛋白 が PAK1 遺伝子の発現を抑制し ていることが判明した (2)。従って、RAS 癌やNF2 腫瘍と同様、「Retinoblastoma」 (RB=網膜芽細胞腫) は、PAK遮断剤で治療しうることが判明! 実際、2010年には、慈恵医大のチームにより、PAK 遮断剤/HDAC阻害剤である "FK228" (藤沢製薬が1994頃 に開発) 等によって、RB 癌の治療が可能であることが示され (3)、我が輩は李夫妻に その「ビッグニュース」をメールしたのを憶えている。 実は、それに先立ち、2005年に我々のグループは、藤沢製薬などと共同で、 FK228が、HDACの下流にある「PAK」を遮断することを発見していた (4)。 こうして、 最高の「IQ 」を誇る「日台」間のチームワークによって、少なくとも 「RB 治療」問題は解決した。
誠に残念至極だが、市販されている「強力な」PAK遮断剤であるFK228もイベルメク チンも、BBB を通過しない! 従って、NF2 などの脳腫瘍には効かない! 然も、日本にも台湾にも、 (BBBを通過しうる) "PAK遮断剤" の開発をめざすグループは「皆無」である! 従って、 IQ がずっと高そうな「火星人」(ハンガリー生まれの応用数学者で"コンピューターの元祖":ジョン・フォン・ノイマン 並、 IQ=250-300) との共同研究が、今後将来、必要かもし れない。 前述したが、ハンガリー人は「フン族」の子孫 (蒙古系)。フォン=ノイマンはユダヤ系。 従っ て、 その組み合わせ (雑種)は、"火星人" に近い! いわゆる「魔法の弾丸」(15 K 等) を実用化する「奇抜な」アイディアが待たれる。。。
実は、火星人ではないが、カナダ出身の医学者 (Jim Gusella) が米国ボストンの "Mass General" (ハーバード大学総合病院) に、未だ勤務中らしい。彼は1993年頃、 世界で最初に、NF2 (抗癌) 遺伝子を発見した。 その直後、彼との共同研究で、NF2遺 伝子が 発遺伝子「RAS」と拮抗することを、我々は発見! その10年後に、NF2遺伝 子産物 (メルリン) が「PAK阻害蛋白」であることを、 我々は突き止めた。 そこ で、我々の天下の宝刀「15K」(PAK遮断剤) の臨床テストを、ジムに何とか手配して貰らおう、 と目下考えている。。。
参考文献:
1. W H Lee, J Y Shew, F D Hong, T W Sery, L A Donoso, L J Young, R Bookstein, E Y Lee (1987)。
The retinoblastoma susceptibility (RB) gene encodes a nuclear phosphoprotein associated with DNA binding activity. Nature; 329(6140):642-5.
2. Bernadette Sosa-Garc et al (2015).
The Retinoblastoma Tumor Suppressor Transcriptionally Represses Pak1 in Osteoblasts.
PLoS One. ; 10(11):e0142406.
3. T Kawano, M Akiyama, Agawa-Ohta, et al (2010)。
Histone deacetylase inhibitors valproic acid and depsipeptide (FK228) sensitize retinoblastoma cells to radiotherapy by increasing H2AX phosphorylation and p53 acetylation-phosphorylation.
Int J Oncol. ;37(4):787-95.
4。 Y Hirokawa, M Arnold, H Nakajima, J Zalcberg, H Maruta (2005)。
Signal therapy of breast cancers by the HDAC inhibitor FK228 that blocks the activation of PAK1 and abrogates the tamoxifen-resistance。 Cancer Biol Ther. ;4(9): 956-60.

2022年12月23日金曜日

船酔い止めの薬「Scopolamine」(商標ブスコパン) :
大量に経口すると、認知症に似た「記憶喪失」に!
その解毒剤は、アピゲニン等の「PAK遮断剤」

最近、豪州一帯で、「ベイビーほうれんそう」による中毒が発覚した。その原因は、それに混入していた雑草 (Thorn Apple=朝鮮朝顔) 中のアルカロイド 「Scopolamine」などであることが判明した。 このアルカロイドは、実は覚醒剤「コカイン」に良く似た化学構造をしており、どうやら共通の標的分子に結合するらしい。。。豪州では、ベービーほうれんそうを収穫する際、雑にトラクターやブルトーザーを使用するので、(畑の除草が雑だと) 雑草 (毒草) が混在してしまう!
興味深いのは、このアルカロイドの薬理作用である。1977年に、米国の有名な病院 "Mayo Clinic" の医者、ドナルド=ピーターセンが、マウスにこのアルカロイドを比較的大量に注射すると、「認知症」に類似した症状 (特に最近憶えたことを忘れ易くなる) 、つまり、迫る大学受験に備えて、猛勉強 する受験生には、「最悪」のコンディションを もたらす、ことを発見した!
さて、それでは、この薬剤の主な標的は一体何だろうか? 最近の研究報告によれば、少なくとも、2種類のキナーゼ (PKA とTOR) の活性化が関与しているようである。更に、面白いのは、この薬剤によって「認知症化」したマウスに、天然PAK遮断剤である「アピゲニン」(プロポリスやカモミール茶の主成分の一種) を投与すると、学習能力や記憶が蘇る、という研究結果が、韓国のプサン大学のチームによって、ごく最近報告された (1)! 従って、「Scopolamine」の標的キナーゼの一つは「PAK 」である可能性が出てきた。。。
参考文献:
1. Yeojin Kim, Jihyun Kim , Meitong He , et al (2021)。
Apigenin Ameliorates Scopolamine-Induced Cognitive Dysfunction and Neuronal Damage in Mice. Molecules. 26(17): 5192.

2022年12月21日水曜日

意外! 線虫には「目やオプシン(光受容体)」がないが、
色 (少なくとも、ブルー) を (白色光下で) 識別出来る!

ごく最近発表された米国の MIT (2002年にノーベル受賞の Bob Horvitz の研究室 ) とエール大学の共同研究結果によれば、(目やオプシンがないので) 「盲目」か と思われていた線虫が、青い色を識別して、遠ざかる習性があることが判明した (1)。正に「目に鱗」である!
この現象は、毒性をもった (ブルーの) 青かびや緑膿菌を、避ける (食べぬ) ための、防御手段の一つらしい。 この逃避現象は「白昼」では起こるが、「暗黒」では起こらない! つまり、何らかの手段で、色を識別している。 色々な変異体の逃避現象を調べてみる内に、大事な遺伝子が (少なくとも) 2つ だけ見つかった! その一つは線虫の遺伝子 Lite-1, もう一つは緑膿菌の遺伝子 PA14 (Pyocyanin と言う「青色の毒素」を生産する!) であることが判明した。
"Lite-1" はごく最近 (2016年) 線虫に初めて発見された (新しい) 「味覚/光受容体」 を生産する遺伝子。 紫外線 (あるいは青色) に極めて感受性が強い。 人類に例え れば、「青酸カリ」をいち早く察知しうる味覚受容体! 人類にはこれがないか ら、(無味無臭の) 青酸カリによる殺人事件が (戦後) 頻発した!
これが「PAK1」 と何らかの形でリンクしているかどうか、調べてみるのは、興味深い。実は、この「ブルー逃避反応」には、線虫のキナーゼ (哺乳類のキナーゼ「JNK」を活性化するキナーゼの仲間) も必須らしい。 哺乳類では、PAK1 はその上流にある! もし、このキナーゼが「PAK1」にリンクしていれば、PAK1 欠損株は、緑膿菌を食べて敢え無く死んでしまうはずだ。。。願わくば、そうでないことを望む。。。
実験室では、毒性のない (無色の) 大腸菌を通常、「線虫の餌」として利用するが、自然界では、様々な毒性の菌も繁殖しているので、それを自分で選別して、生き抜く「知恵」が必要!
参考文献:
1. Dipon Ghosh , Dongyeop Lee, Xin Jin , Robert Horvitz , Michael Nitabach (2021).
C. elegans discriminates colors to guide foraging. Science.;371 (6533):1059-1063.

ダーウインが (再び) やって来た!
学習の「質」と「量」??

「学習する」と一口に言っても、その内容は「千差万別」である。餌を与えると、 鳩や犬猫が (同じ) 飼い主に懐いてくるのは、「飢えを癒す」、あるいは「生き 残る」ための、極めて「原始的な」(或いは「本能的な」) 学習法であろう。腐敗 し切った政治家が「賄賂」をばらまくと、それに寄って来て、その政治家 (立候 補者) に投票する有権者の学習法も、(善し悪しはともかく) 「イヌネコ」の学習 本能に極めて近い! 恐らく、この種の (本能的な) 学習は、(大腸菌などを餌に する) 線虫から人類まで、(例外なく) 動物界に、あまねく共通に違いない。。。
さて、少なくとも人類 (ホモサピエンス) には、全く別の学習のしかた (パター ン) が存在する。これは、人類の親戚である「ネアンデルタール原人」にも共通 する(極めて) 原始的な習性である。洞窟内の壁に、動物などの姿を描く、言わば 芸術的な習性 (才能) である。豪州に5万年以上昔から住んでいた「アブオリジナ ル」(先住民) にも共通である。明らかに、このような芸術的活動は、(イヌネコ の)「死活問題」とは、殆んど無関係である。猿や象も、(褒美に) 餌を適当に与 えれば、「絵描き」の技術を学ぶことが出来るそうである。
霊長類のチンパンジーやゴリラには、ある種の道具を使用したり、自分で開発す る (比較的高度な) 「科学的」才能もあるらしい。 芸術的な、あるいは科学的な 才能は、イヌネコやマウスには、全くない。 従って、一口に "IQ" (知能/学習能 ) と言っても、動物によって、その内容 (特に「質」) に大きな差がある。 意外 にも、鳥類 (特に渡り鳥) や鯨 などには、かなり高度な「ナビゲーション」技術 があり、季節の変わり目に (特に産卵のために)、大陸から大陸へ、正確に移動す ることが出来る。
従って、人類に必須な才能を基盤に作られた「IQ」テストの結果で、人類とオランウー タンとを比較することは、(科学的には) 余り意味がない。 オランウータンには、 「木から木から飛び移る」才能が生き残りに必須であるが、地面を歩く人類には、 余り木登りの技術は必須ではなくなったからだ。。。全く同じ種で、PAK1欠損株 と野生株との間で、IQ を比較することにのみ、「科学的な意味」がある!

2022年12月20日火曜日

オランウータン (森の人) の知能指数 (IQ) と寿命について:

現在、オランウータンは、人類に次いで最も「知的な」動物とされている。
例えば、オランウータンの "サンディ" は、人間の 「IQ テスト」に参加したこ とがあり、その時のTVの生放送では「75点」を獲得し、人間の候補者の一人を見 事に破った! 因みに、 (人類の) 「知的障害」の認定は IQ=「70点 未満」。。。
歴史的には、人類以外の動物で 最高の 「IQ」 (=95点) を示したのは、「ココ」と呼ばれた "雌ゴリラ" (1971-2018)! "手話"で人間と意思疎通ができた...
さて、現行の法律では、倫理的な理由から、いわゆる 「GM」 (遺伝子を加工した ) "IVF" 人類を誕生させる (作り出す) ことは、残念ながらできない! しかしながら、 マウス、 魚類や山羊など (人類以外の) 動物を「GM化」することは、許可されているは ず。
そこで、人類に (知的に最も近い) オランウータンから 「PAK 1」 遺伝子のみを 削除した場合に、その「 IQ 」に一体如何なる変化が起こるか、を調べてみることは、 極めて興味津津!
PUBMED 情報によれば、シアトルのワシントン大学の"霊長類研究所"チーム (William Calvin etc) により、2018年に、 (人類と同様) ス マトラ産のオランウータン (Susie) の染色体11から、PAK1 遺伝子が分離され、そ の塩基配列が既知になっているそうである!
オランウータン (野生) の平均寿命は40歳、動物園に飼育されると50歳。 さて、2016年に、豪州南西"パース"の動物園に飼育されている雌のオランウータン は何んと、"60歳"の誕生日を迎えた (ギネス記録!)
線虫やマウスの前例に従えば、オランウータンのゲノムから「PAK 1」 遺伝子を削 除すると、更に 6割 "増" (つまり、100歳近くまで) 長生きするはずである。。。
実は、マウスに関するいわゆる「IQ 」 (学習能力) の測定結果を、ある専門誌に初めて発表した学者 (1) が20年ほど昔、米国のラットガー大学に現れたが、それが果して人類や霊長類の「IQ」に相当するものなのかどうかは、専門家の間で、かなり 意見が分かれている。 従って、マウスには「PAK1」欠損株が既に存在するが、そ の方法で "学習能力" を野生株と比較するのは、未だ「時期早尚」のきらいがある。。。
1. Matzel, L. M. et al. Individual differences in the expression of a 'general' learning ability in mice.
Journal of Neuroscience, 23, 6423 - 6433, (2003).

2022年12月19日月曜日

世紀の賭け: PAK欠損株は、
果して、野生株より利口か?

沖縄科学技術大学院 (OIST) で、2005頃からごく最近まで永らく線虫 (C. elegans) の遺伝学を研 究していた大家、丸山一郎教授が最近、米国のカルフォルニア州サンディエゴに 戻ったという知らせを受け取った。 恐らく、当地で家族とゆったり余生を楽しむ 予定なのだろう。。。
彼との出会いは、2003年頃だったと思う。彼はシドニー=ブレナー (1927-2019、 2002年に線虫の研究でノーベル医学賞をもらった) の英国 MRC 時代以来の弟子だっ たが、ブレナーが「沖縄に、(英語を公用語とする) 国際的な「自然科学大学院」 を沖縄に創立する」と言い出したので、その宣伝も兼ねて、2001年にブレナーが 出版した英語の自伝を「エレガンスに魅せられて」という表題で「邦訳」版を、 地元の琉球新報から出版すべく、我が輩と丸山さんの家族で邦訳を引き受けた。 その後、残念ながら、丸山さんに再会する機会はなかったが、 今回の「帰米」を 機会に、彼と文通を再会してみた。
実は、2013年に、我々は線虫のPAK欠損株 (RB689) が野生株より6割も長生きをす ることを発見して、記念にPAK 研究に関する最初の単行本 (英語版) を出版した。 その折、1994年にPAK を初めて哺乳類で見つけた英国人で、シンガポールで研究 を続けているED Manser 博士と、面白い「賭け」をした。 彼曰く、「PAK欠損株は 長生きするかもしれないが、阿呆だ!」。 我が輩は、「そうは思わない! 多分、よ り賢明ではなかろうか」と答えた。 実は、PAK遮断剤は一般に、認知症などの障害 のある老人らの「記憶力を回復」する作用があるからだ。 しかしながら、後者を裏 付ける遺伝学的な証拠は未だない。 そこで、丸山さんに、サンディエゴで、その 「賭けに決着を付ける」ために、線虫で、RB689と野生株の間で、一体どちらが、 例えば、いわゆる「条件反射」という記憶力の一種をより発揮するかを、(暇にま かせて) 調べてみて下さい、とお願いしてみた。。。
野生株は食塩に向かって走行する性質 (chemotaxis) があるが、その直後に餌を除 くと、(学習の一環として) 以後「食塩」を避けようとする習性 (条件反射) が備 わる。。。
さて、線虫の「学習」実験は兎も有れ、人類の場合は、少なくともPAKの活性が (健 常よりも) 1.5 - 2倍ほど高まると、NF1 やダウン症 (DS) を発症し、知的障害 (学習能 の低下) がしばしば起こる。興味深いことには、NF1 や DS の患者では、(PAK遮 断剤である) 「ビタミンD3」 の血中濃度が極めて低いことが、判明した (1)。そ の主な理由は、恐らく、D3 を水酸化し (不活化する) 酵素 (CYP24) の遺伝子発 現がPAK依存性であるからだ。 従って、(幼児の頃から) フコイダ ンなどのPAK遮断剤をビタミンD3 と併用すると、鬼に金棒! 「相乗作用」によ り、(少なくとも) 「PAK活性を正常レベルに下げる」ことによって、学習能力が 高められる可能性が高い。
参考文献:
1. Stefano Stagi , Elisabetta Lapi , Silvia Romano , et al (2015).
Determinants of vitamin D levels in children and adolescents with down syndrome (DS).
Int J Endocrinol. ;2015:896758.
しからば、「ビタミンD3 の血中濃度」を指標にして、それは「PAK の活性レベル に反比例」し、「 "知能指数" (いわゆる「IQ」) や "寿命" に比例する」、と判断 (一般化) して良いだろうか? 少なくとも、線虫の場合、D3 は確実に寿命を延ばす (2)! (線虫の「IQ」を測定する 方法は、未だ確立していないが) 。
2. Karla A Mark , Kathleen J Dumas , Dipa Bhaumik , et al (2016).
Vitamin D Promotes Protein Homeostasis and Longevity (of C. elegans) via the Stress Response Pathway Genes skn-1, ire-1, and xbp-1.
Cell Rep. ;17(5):1227-1237.
少なくとも、マウスの認知症 (AD) モデルでは、ビタミンD3 が 確実に 「記憶力」 を改善する (3)!
3. Maria Morello , Véréna Landel , Emmanuelle Lacassagne et al (2018).
Vitamin D Improves Neurogenesis and Cognition in a Mouse Model of Alzheimer's Disease (AD).
Mol Neurobiol; 55:6463-6479.

2022年12月18日日曜日

「永世中立國」という「スイス」の偉業
その独立は「ウイルヘルム=テル」伝説から

地球上で、「永世中立國」を (ナポレオン失脚後) の1815年 (ウイーン会議) 以 来、永らく (200年以上) 維持して来た国は、世界広しと言えども、「スイス」連 邦共和制のみである。 それまでは、ナポレオンが支配する「フランス領」だった そうであるが。。。 スイスは、その昔、永らく隣国「オーストリア」(ハプスブルク家) の支配下にあっ た。 そのオーストリアから、初めて「独立」を勝ちえたのは、「ウイルヘルム=テ ル」という伝説的な人物 (弓矢の名手) を指導者として、立ち上がったスイス民 衆の努力の賜物である。
1291年に始まる スイスの独立史は、小国「日本」にも大 いに参考になるはずであるが、残念ながら、日本国内の政治家や民衆には、 余り注目されていない。日本の (腐敗しきった) 政治家たち (特に自民党) は、 敗戦後、戦勝國「アメリカ」にベッタリで、自国を、言わば「米国の植民地化」 している。沖縄は今でも、実質上「米国の植民地」のままである。。。
我が輩は、 "ウイルヘルム=テルの伝説" を讃えたロッシーニ作曲の 歌劇「序曲」(1829年 作曲、20世紀後半になって、米国テレビ西部劇「ローンレンジャー」の主題歌にな る) が、大好きである。オーストリアの悪代官ゲスラーに、弓矢で立ち向かう 「テル」を象徴した勇壮な旋律に血沸き肉躍る感がある。 実は、この旋律は、スイスの軍隊 (民兵) の行進曲だそうである。。。
我が輩は、半世紀前に、米国の植民地「日本」を逃れて、海外 (主に欧米諸国や 豪州) に、「自由かつ独立独歩の天地」を求めて、永住し続けているが、残念な がら、(現在の永住地) 「豪州」も、最近は、(少なくとも政治的に) 「英国の植 民地」から「米国の植民地 (同盟國) 」に豹変しつつあるのは、極めて残念至極で ある。。。もっとも、「米豪安保条約 (同盟)」などは、未だ結ばれていない!
勿論、(ウクライナや台湾の如く) ロシアや中国の植民地になるよりは 「マシ」であるが。。。
それでは、一体何故、我が輩は (永世中立国) スイスに永住しなかったか?
1) 物価がとても高過ぎて、"貧乏" 学者には住み難い。
2) 独仏伊の "3国語" が入れ混じっ ている。
3) 製薬会社はバーゼルに多いが、創薬研究を (企業利益に左右されずに) 「学問」として "純粋"に研究 できる施設 (大学/研究所) は極めて少ない。
勿論、「登山」を楽しむには、最 高の場であるが。。。
もっとも、我が輩の (大学時代の後輩) で、沖縄出身の N 君の如く、スイスのバーゼルにあ るロッシュの研究所 "FMI" (Friedrich-Miescher-Institute) に転勤して以来、家族 全体で、スイスに「永住」を楽しんでいる日本人も (例外的には) いる。 同じFMI で永らく "発癌キナーゼ" (AKT) 研究をやっていた英国人の Brian Hemmings も、恐らくスイスに永住だろう。 彼の名前や顔は思い出すが、一体「何処」で彼と知り合ったのか、(「いにしえ=30年以上昔」のことで) 思い出せない。。。PUBMED で検索したところ、1988年頃にFMI で、(PKA を扱っていた時代に) Brian が我が輩の後輩 N 君と、ある共同研究をやっていたことが判明。従って、その頃 (豪州永住前に) 、FMI を訪ねた際に、彼に初めて出会った可能性が高い。。。
因みに、Friedrich Miescher (1844-1895) は、スイスの医師/生物学者で、 1869年 に (25歳で) 初めて核酸 (DNA/RNA) を発見した! 従って、スイスの誇るべき科学者の一人である!

2022年12月17日土曜日

化学療法 (PROTAC) の父: パウル=エーリッヒ

パウル=エーリッヒ (1854-1915) は、ユダヤ系のドイツ人医師で、「組織染色」が 得意だった。従って、いわゆる「美的センス」あるいは「芸術的センス」の持ち 主だった。彼は1908年に免疫学の研究で、ノーベル医学賞を、ロシアのイリア-メ チニコフと共に分かち合ったが、彼の本当の「偉業」は、その翌年に果たされた! その偉業によって、彼は、その後、「化学療法の父」として、後世の人々 (特に 創薬研究者) の間で、崇められた。 当時、梅毒という伝染病が世界中に流行して いた。現代に例えれば、「エイズ」に相当する性病だった。 エイズはHIV と呼ば れるRNAウイルスが病原だが、梅毒の病原菌は「スピロヘータ」と呼ばれるバクテ リアだった。エーリッヒ博士は、ベルリン大学病院で、医師として勤務しながら、 何とかこの病気を治す有効な治療方法を摸索していた。
さて、イタリアで、その病原菌が同定されるや、日本の「伝研」から派遺されて 留学中の志賀潔らと共に、この「スピロヘータ」だけを特異的に染色できる色素 を、先ずアニリン色素の中から発見した! しかし、その色素自身には、毒性が ない。 そこで、有毒なヒ素化合物を、この色素に化学的に結合させて、梅毒菌だ けを殺す「魔法の弾丸」(特効薬) を発明した。その化合物が出来るまでに、彼は、 合計 606 種類もの化合物を合成した。そこで、その弾丸を「606」と命名した。後 に、その薬は (製薬会社「Hoechst 」により) 「サルバルサン」と呼ばれるようになった。この薬の動物実験を主 に担当したのが、やはり「伝研」から派遺されてきた秦佐八郎だった。 エーリッヒ家は (夫妻共) 「ユダヤ系」だったので、ドイツ国内にヒットラーが台 頭するや、(夫パウルの偉業にも拘らず) 夫人や娘2人共、米国に亡命せざるをえなくなった。。。
このエピソード (英国に亡命したパウルの秘書が綴った"伝記") を、(神田の古本屋で) 立ち読みした途端、我が輩は「画 家の卵」から「創薬への道」に踏み込んだ。もう60年以上も昔の話である。 その伝記に基づいて米国のMGMが「Dr. Erlich's Magic Bullet」(1940年) を映画化したそうであるが、その白黒映画のビデオを、我が輩が最終的に入手したのは、1998年頃のことである。 それは丁度、 我々自身が、WR-PAK18 や CEP-1347 などの「PAK遮断剤」の開発を本格的に開始した時分だった。
"606" は、原理的には、 今流行りの、「PROTAC」 とか 「SNIPER」 (前述) とか 呼ばれている「抗癌 剤」の言わば 「元祖」に当たる。 エーリッヒのこの偉大な功績を讃えて、1952年か ら「パウル=エーリッヒ」メダル (賞) が設けられ、(抗生物質が専門の梅沢浜夫 ら) 数 名の日本人研究者も受賞している。 面白いエピソードがある。梅沢さん (東大医学部教授) の回想録「抗生物質を求めて」によれば、彼は、戦後、この白黒映画を観賞する機会を得たそうだが、ストマイを発見してノーベル賞をもらった米国 のワックスマンの研究所に留学する前に、英語会話のレッスンを受けたが、その教師は、この白黒映画で、「秦さん役」に扮した "日本人2世" だったそうである。。。
エーリッヒは医者 ("病理学" が専門) ながら、「有機化学」を会得していた。 彼の残した有名な言葉 :「結合なくして、反応無し」(Keine Reaktion Ohne Bindung, No reaction without binding) は、後世の若者 (創薬を目指す者) に、有機化学に関する知識が、「薬 をデザインする」ために必須であることを強調している。。。

2022年12月15日木曜日

「中性子」をウラニウム等に当てると、
「核分裂」が起こり「原爆」が誕生!

"中性子" (アルファー粒子をバリウムに当てると生じる "中性" の粒子) は、 1932年 に英国 (ケンブリッジ大学) のジェームス=チャドウイック (1891-1974) によって、 発見された。 彼はその発見に対して、1935年にノーベル物理学賞をもらった。
1938年に、(前述したが) ドイツのオットー=ハーンが、ウラニウムに中性子を当てるこ とによって、放射性のバリウムが生成することを発見した。 その現象を、「核分 裂」であると、(同僚だった) リーゼ=マイトナー女史が、最初に認識した。 それを 転機にして、「原爆開発への競争」が、ドイツと英米の間で始まった。
その競争の最中、最初 (1942年) に「原子炉」(核分裂の連鎖反応) に成功したのが、1938年 に ("中性子" の研究で) ノーベル物理学賞をもらって、そのまま米国 (シカゴ大学) に亡命したイタリ ア人の "エンリコ=フェルミ" (原爆の父) だった。 その前後に、(アインシュタインらの進言に基づいて) 米国の大統領命令で、 悪名高き「マンハッタン計画 」(原爆の開発/製造) がニューメキシコ の "ロスア ラモス" 砂漠で開始された! 危険な「火遊び」は、もう止めようではないか!!!
全く「皮肉な」話であるが、1938年の受賞現場で、フェルミ夫妻の「米国への亡命」 を助けたのは、同じ年に、ノーベル文学賞をもらった米国の作家「パール=バック」 女史 (名作「大地」などの著者) だった (実は、フェルミ夫人は「ユダヤ人」だった!)。バック女史は、フェルミの亡命が結局、「広 島と長崎への原爆投下」という悲劇を招いてしまったことに、大変後悔し、戦後 間もなく (1959年に) 、「 原爆を作った人々」(Command the Morning) と題する実在小説を出 版した。 しかしながら、その作品の「邦訳」は半世紀近く、(「原爆アレルギー」のためか) 日本では出版されなかっ たが、ようやく2007年になって、我々は、その邦訳の出版を果たした!
実は、2007年に邦訳出版にこぎ着けた理由の一つは、この小説に登場する「ジェ イン」という米国女性物理学者の「実在モデル」を偶々、北京郊外の農場で発見 したからである! この女性は、原爆の広島/長崎投下後まもなく、原爆使用に反 対して、米国から中共の北京に亡命した! その夫婦の長女と北京大学時代に同 窓だった女性 生化学者 (Dr. Yuan Luo) が、米国のバルチモアのメリーランド大学薬 学部で、「線虫」研究の専門家だった! 我が輩は偶々、その研究室で、2007年の夏 休みに、「PAK欠損株」の Phenotype (形質)、つまり少子化、熱耐性 などを、発 見しつつあった。 その後、間もなく、その老物理学者 (米寿) が (米国に住む長男と共に) (はるば る) 北京から「車椅子」で、「原爆で被曝した広島」を初めて訪れ、その際、東京で我が輩は、その「伝説の女性」に初対面する機会を得た!
「原爆の父」フェルミは (恐らく、放射能の被曝のため) 53歳で他界した (自業自 得!)。 他方、原爆投下に反対した「ジェイン」のモデル女性は、幸い「米寿」を完うした! 皮肉にも、(広島/長崎へ「原爆投下」を命じた) トルーマン大統領に、「水爆開発」 を進言し、ソ連より半年早く水爆実験を成功させ「水爆の父」と呼ばれたエドワー ド・テラー博士 (1908-2003) は、意外にも "長生き" (95歳、悪運強し)!
フェルミは「実験」物理学者、テラーは「理論」物理学者。この違いが、"寿命"にも 違いを生み出したか???
半導体の開発で、1973年にノーベル物理学賞をもらった江崎レオ 氏 (1925- ) は、 現在97歳! 「実験」物理学者でも、放射性アイソトープを扱っていないと、 「健康長寿」を楽しめるらしい。。。来年で、「受賞50周年」になる! 最近は 「受賞期が高齢になる」ので、「50周年」を存命で迎えるのは、なかなか難しくなっ た!

2022年12月13日火曜日

PAK 遮断剤の「美白作用」の発見は、
大晦日の「勘違い」(早合点) が発端!
「PD-L1 遺伝子」発現の PAK依存性も
「大晦日」の "御喋り" (文通) から誕生!

自然科学者と芸術家 (特に画家) との共通点は、先ず「観察」から始まる。従って、 自分の目で、世の中 (周囲の自然) をじっくり観察できない者は、科学者にも画家にもな れない。天動説と地動説との違いは、 結局「観察の深さ」の違いから生じた!
古代ギ リシャ時代には、日常の「単純な」肉眼観察から、「太陽も月も地球の周囲を回 る」という (天動説) が流行した。 ところが、16世紀後半になって、コペルニクスやガリレオ=ガ リレイ等の (極く少数の) 天文学者が、望遠鏡による観察から、「地球は自転しながら、太陽の周囲を回り、月は地球の周囲を回る」という、よ り複雑な「地動説」を唱え始めた。 不幸にして、在らぬ「神」を信じ「科学を無視」する時の「カトリック教会」 (当事の権力者たち) は、ガリレオを「異端者」として、とうとう幽閉してしまった! 幸い、今日では、(小学生を含めて) 大部分の人々が「地動説」を受け 入れている。
さて、 PAK遮断剤の「美白」 (メラニン色素の合成を抑える) 作用の発見への発 端は、2014年前後に遡ることができる。 実は、この年に我が輩の母親が、 "97歳間近" で他界 (大往生) した。 そして、東京の実家に住み (母の老後の面倒をみてくれ た) 我が妹が、残された幾許かの遺産を全部相続 (管理) してくれた。 そして、 その "一部" を有り難くも、沖縄の琉球大学構内に我々が設立しつつあった「PAK研究センター」 (PRC) 支部の運営/維持費として、寄付してくれた。
いわゆる「沖縄」プロジェクトの発端は、 2013年2月に、琉球大学農学部の多和田教授らが、線虫を実験材料にして、沖縄特産のゲットウ (月桃) とい う植物の葉っぱのエキスに、寿命を延ばす作用があることを突き止めたことにある。偶然にも、 丁度同じ時期に、我々は、PAK遺伝子が欠損する変異株 (RB689) が、野生株より、 6割も長生きすることを突き止めた。 そこで、ゲットウやその他、沖縄特産の植 物、のエキスの「PAK遮断作用」を、共同で研究しよう、というアイディアが誕生したわけである。沖縄が、少なくとも戦前、「最も健康長寿な県」として、知られていたからである。。。 先ず、手初めに、九州や関西から数名の講師を招き、琉球大学構内で、「創薬シンポジウム」を開催した。
さて、我が「PRC」沖縄支部が、実際に発足したのは、2015年の春だったが、その数カ 月前 (2014年の歳末) に、「天安門事件」(1989年) の直後に (北京から) メルボルンに亡命し、博士号を取得後、10年近く (癌研究所 内の) 我が研究室で、PAK研究の"大黒柱"として、活躍していた (北京大学医学部出身 ) の賀 紅 (Hong He) という女性研究者 (夫は大学の同級生で、独り息子と暮らす一家) の新築の家で、 「年越しそば」 代わりに、"中国風"のダンプリング (水餃子) 等を食べながら、新年を迎えつ つあった時に、偶々話題になったのが、"PAK遺伝子欠損" マウスのフェノタイプ (形 質) だった。Hong 曰く 「PAK が欠損すると、黒い毛のマウスが白ねずみになる ようだ」 (つまり、メラニン色素合成には、PAKが必須!) 。 日本で「紅白歌合戦」を観賞している時刻に、我々はメルボルンで、「科学」を真 剣に論じていた。。。
さて、 Hong の研究室 (メルボルン大学病院) に入手した白ねずみ (PAK遺伝子欠損株) は、実は、米国のある癌研 (FCCC) のPAK研究チームが開発した代物らしい。そこ で、その所長であるロシア系研究者、ジョン=チェルノフに、その話をメールで照会し たところ、「意外な」返事が戻ってきた。 その白ねずみには、実は、PAK遺伝子 以外に、メラニン色素合成に必須なチロシナーゼ遺伝子も欠損している、という のだ! 実は、哺乳類では、PAK遺伝子とチロシナーゼ遺伝子は、同じ染色体上に あり、しかも隣接しているそうだ。 従って、PAK遺伝子を欠損させる操作過程で、チロシナー ゼ遺伝子も同時に欠損する可能性が高い! 言い換えると、メラニン色素合成と PAKとの関係は、未だ「不明」(=謎) のままだった!
そこで、"PRC" 沖縄支部長 (多和田教授) の指導下にあるベトナム出身の博士課程の 院生 ( Be Tu さんという女性) に、マウスのメラノーマ細胞のPAK遺伝子の発現 を「SiRNA」で選択的に抑制した場合に、メラニン色素合成が一体どうなるか、を博士 論文研究の一環として、挑戦してみるように指示した。 その結果、PAK遺伝子の 発現が抑制されると、(その下流にある) チロシナーゼ遺伝子の発現も抑制され、メラニン色素合成 が見事に抑制された! つまり、メラニン色素合成は、発癌同様、「PAK依存性」で あることが、初めてはっきりと (遺伝学的に) 証明された訳である。 勿論、その「歴史的」研究論文で、その院生は「博士 号」をめでたく獲得した! 言い換えれば、美白 (メラニン色素の合成阻害) 作用 を指標にして、「PAK遮断剤」のスクリーニングが敏速にできる、という訳である。。。 勿論、ゲットウや沖縄産「プロポリス」等由来のエキスが美白作用を示すこと も (間もなく) 判明した。
その後間もなく、「ケトロラック」と呼ばれる鎮痛剤 (市販のPAK遮断剤) のカル ボン酸を、CC (Click Chemistry) で、エステル化することによって、その "細胞透 過性" を飛躍的 (500倍以上!) に増幅することに成功し、2017年に我々は、 (短期ながら) 実り多き「沖縄プ ロジェクト」に幕を閉じた。 その後は、メルボルンの自宅に、「PAK研究財団」なる事務所を設け、パソコンを専 ら通じて、海外の「若いPAK研究チーム」の育成/援助を、細々ながら続けている。。。2019年秋には、"財団主催"で、初の「国際PAK研究シンポジウム」をニューヨークで開催した。
更に、2019年の「大晦日」 (コロナウイルス発生直前!) には、Hong への "メール" 交信 (実は、我が輩の自宅には、騒々しい "電話" を設置していない!) で、京大医学部の本庶さん (2018年にノーベル医学賞) の発見した 、 いわ ゆる免疫「チェックポイント」( PD-1 や PD-L1) が、我々の話題になり、結局、 これらの遺伝子の発現は、九分九厘、「PAK依存性」である、という結論に達し、我 が輩は、その「仮説」を即、 論文に発表すると共に、彼女は 「PAK欠損」 マウスでは、これらの遺伝子が発現しないことを (間もなく) 実証するのに成功した!
なお、「現役」の研究者としては、彼女 (Dr. Hong He, 59歳) が目下、 少なくとも豪州 (否、南半球全体) で、「PAK」研究の第一人者である!

2022年12月12日月曜日

イタリアの Rita Levi-Montalcini (1909-2012):
「最も長生きした」ノーベル受賞 (科学) 者!

実は、Eddy Fischer (1920-2021) より長生きしたノーベル受賞者が存在した! 「男性」では、Eddyが 「最長」記録を依然保持しているようだが、(数少ない) 女性のノーベル受賞者 (科学者) の中で、イタリア出身の女性生化学者 、Rita Levi-Montalcini (1909-2012) は、何と「103歳」まで、"健康" で 生き延びた! 丁度 10年前の12月末に "大往生" した。
彼女は、1986年に、同僚の米国生化学者 Stanley Cohen ( 1922-2020) と共に、 NGF (Nerve Growth Factor) 及び EGF (Epidermal Growth Factor) の発見に対 して、ノーベル医学賞を分かち合った。イタリア出身の女性としては、彼女が、 "初" のノーベル受賞 (科学) 者になった!
NGF 及び EGFは、各々神経細胞や表皮細胞の増殖を刺激する因子 (蛋白)で、特に EGF は癌の増殖に深く関与し、最終的には、細胞表面にある受容体 (「EGFR」 と呼ばれるチロシン=キナーゼ) を介して、RAS やその下流にある "病原キナーゼ"「PAK」等を活性化し、様々な難病をもたらす、我が輩の研究分野では、余り歓迎すべき因子ではない。
大変興味深いことには、(ユダヤ系のイタリア人) Rita には、「一卵双生児」の妹 Paola がいた。 Paola も比較的長生きして、91歳まで、有名な 「芸術家」 (彫 刻家) として、活躍した。 (姉妹の) 父親は数学者(電気技師)、母親は絵描きだっ たそうである。。。
つまり、全く「同一」のゲノム (遺伝子セット) を共有しながら、外界からの刺激 (体験) の「違い」によって、科学者になったり、芸術家になったりし得る! 言い換えれば、遺伝学的には、科学者と芸術家との間には、(殆んど) 違いがない! 事実、イタリアのルネサンス期に活躍したレオナルド=ダヴィンチ (1452- 1519) は、「モナ=リサ」や「最後の晩餐」などの名画を描いた有名な"画家"であると共に、優れた"科学者" (エンジニア) でもあった! 我が輩自身が、「芸術家の卵」から、(最終的には) 科学者に成長した過程が容易に理解できる。。。
この事実から、 家庭および学校で、如何なる「教育」 (外界からの刺激) を、各々の 児童に与えるべきか、深く熟慮すべきだろう。
アドルフ=ヒットラーは、若き青年時代には、"画家志望"だった (画才があったか否かは不明)。片や、ヒットラーを相手に (米国からの "バックアップ" を得て) 第2次欧州大戦を戦い抜いた英国のチャーチル首相は、「画才」もあり、且つ「文才」もあった。戦後の1953年には、「ノーベル文学賞」をもらった!。 しかし、 ヒットラーは, どこでどう狂ったか、その卓越した雄弁と「洗脳力」によって、史上最悪の「独裁者」になった! もし、彼に一片の「美的センス」があったら、あんな「醜い」戦争は始めなかったはずである!
同様に「元統一教会」(霊感商法) からの「甘い誘い」(洗脳) には、くれぐれも要注意! 新型コロナウイルスよりも遥かに「悪性」 (感染力が強い)! しかも、 その後遺症の「治療法」としては、「晋三の狙撃」以外には、未だに開発されてい ない! ロシアによるウクライナ侵略も、("神風ドローン" による)「プーチンの狙撃 (暗殺)」以外には、今のとこ ろ、解決法が見当たらない。。。
願わくば、来年こそは、"コロナ-free", 且つ "プーチン-free" の世界を期待したい!

2022年12月10日土曜日

"可逆的" 燐酸化 (キナーゼとフォスファターゼ) の
発見 に対して 、ノーベル "医学" 賞 (1992年) !


12月10日は、「ダイナマイト」の発明家 Alfred Nobel (1833-1896) の「命日」だ そうである。彼の遺書に従って、1901年以来毎年、この日に、多くの人々が (雪降り しきる) 寒いストックホルムへ、"ノーベル賞" を受取りにやってくる。。。
1950年代に、シアトルのワシントン大学で、2人の生化学者が共同で、蛋白(Glycogen Phosphorylase=GP と呼ばれる酵素) の「燐酸化と脱燐酸化」のメカニズムを研究 し始めた。
この "2人" の学者は、Edmond Fischer (1920-2021) と Edwin Krebs (1918-2009) だった。 前者 (Fischer) は上海生まれ、スイス出身の移民で、コリ (Cori) 夫妻の下で、 "GP" の研究を始めた。
GP はグリコーゲンを分解して、グルコース-1-燐酸に変換する酵素で ある。 この酵素の活性化には、二種類の物質が必須であることが、先ず判明した。 一つはATP、もう一つは燐酸化酵素
(キナーゼ、GP Kinase)
である。
GP キナーゼは、ATP の「末端」燐酸を利用して、GPのセリン基を "燐酸化"する。
このキナーゼは、4つのサブユニットから構成された複合蛋白で、catalytic (キナーゼ) ド メインは、「ガンマー」サブユニットにある。 アルファーとベーターは、制御蛋 白で、(「PKA 」と呼ばれる別のキナーゼにより)、そのセリンが 燐酸化されると、 制御が解けて、デルタ (カルモジュリン) にカルシウムが結合すると、酵素全体 がフルに活性化される (詳しくは、右下の図式を参照) 。
更に、 GP Kinase を脱燐酸 化するフォスファターゼが存在し、 GP Kinase を失活させる。
上記のいわゆる「可逆的燐酸化」サイクルを解明した両者は、1992年にノーベル 医学賞を分かち合った。
以後 30年間、キナーゼやフォスファターゼの研究でノーベル賞をもらった研究者は 全くいない。 しかしながら、もし、種々の難病を起こす「病原キナーゼ」 (例えば、PAK 等) に対する遮断剤を開発することによって、「副作用」無しに、難病を治療 ("健康 長寿" を達成) できれば、ノーベル賞 (医学/化学) に値いするだろう。。。
なお、フィッシャー (Eddy) は "ピアノ演奏家" でもあり、「健康長寿」を楽しみながら、101歳 (「男性」のノー ベル受賞者として、最長寿!) で、最近 (COVID パンデミック中に) 他界した。
なお、孫娘の Elyse Fischer は、最近、英国のケンブリッジ大学=MRC (分子生物学研究所) で, Cell Cycleを制御するキナーゼ等の研究をし, 博士 号を取得。 ごく最近、シアトルのワシントン大学内にある「Monod Bio」 に転勤したらしい。 更に、彼女は、 IUBMB (国際分子生物学協会) "若い研究者賞" を2020年に受賞した!オメデトウ (with ベートーベン作曲のピアノ曲「エリーゼの為に」)!
実は、半世紀ほど昔 (1973年の真夏)、我が輩の初渡米の際、船 (米国の大型貨物船) で、横浜から太平 洋を渡って、シアトル港に初めて上陸した。 市外には、雪を頂く「レーニア山」 (別名「タコマ富土」、海抜 約4400 m) がそびえている。 その山麓を、(登山好きの) エリーゼ嬢の案 内で、散策して見るというアイディアは、決して悪くない。 「Multi-Cultural」同士は意志疏通が比較的容易。。。
"半世紀前" の渡米の前後で、北アルプスやスイス=アルプスを、山好きの「ガールフレンド」と一緒に、登山を何度か楽しんだ「懐かしい」思い出が、ふっと甦ってきた。。。

2022年12月9日金曜日

中村敦夫氏 ("紋次郎") が 「旧統一教会」を切る!
小説「狙われた羊」が30年ぶりに復刊! 発売中!!

都立の名門「新宿高校」を卒業後、1958年に、東京外国語大学インドネシア語学科 に入学。これが後に『チェンマイの首: 愛は死の匂い』、『ジャカルタの目』、 『マニラの鼻』といった、東南アジアを舞台とする国際小説執筆へと繋がる。
1959年(昭和34年)、同大学を2年で中退、俳優座養成所を経て新劇の劇団俳 優座に入る。いわゆる「花の12期」であった。若手のリーダー的存在であり有 望株であった半面、劇団幹部などが左翼傾向の強い劇団内では"異端児" (多数に御しない、少数派) であった。 そのため、「トロツキスト」(反スターリン派、国際共産主義者) のレッテルを貼られた。その際「ああ、いいですよ、 "トロ" でも白身でも」と受け流していたら、今度は新左翼、過激派ということになっ たという。1965年ハワイ大学に留学。このとき知り合ったアメリカ人と結婚するが 3年で離婚!
1972年に市川崑監修のテレビ時代劇『木枯し紋次郎』で主役の渡世人・紋次郎役 に抜擢される。同作品の大ヒットにより一躍人気を獲得した。
1984年から3年半にわたり、毎日放送製作・TBS系列で放送されたド キュメンタリー『中村敦夫の地球発22時』(のち『~23時』、中村の降板後は 『地球発19時』とそれぞれ改題)の司会を務めた。その後1989年から1992年までは日本テレビの情報番組『中村敦夫の ザ・サンデー』などで司会を務めていた。この間はジャーナリスト活動に専念し、 俳優活動からは一切身を引く。作家としても「チェンマイの首」を発表している 。
『ザ・サンデー』を降板し、1993年に映画『帰ってきた木枯し紋次郎』で俳優復 帰、以後は俳優活動と政治活動を平行して行う。 1994年に (「旧統一教会」を暴く) 小説「狙われた羊」を出版!!
1998年7月に同選挙さきがけの推薦及び市民の党の応援を受ける無所属候補として 立候補し、東京都選挙区から"初当選"、政治家となる。 (この時、我が輩は「紋次郎」の存在を、新聞記事で初めて知る!実は、偶々この頃、新宿高校卒で、東大薬学の一年先輩の女性らと、ノーベル作家「パール=バック」の評伝の邦訳を進めていた). 同年10月に「環境主義・平和外交・行政革命」の3つを基本理念とした民権政党「国民会議」を1人で旗揚げする。
2000年7月に「さきがけ」代表就任、同年8月議員連盟「公共事業チェック議員の会」会長就任, 2002年1月さきがけと国民会議が合流し、院内会派「さきがけ環境会議」を経て、 党名を "さきがけ" から「みどりの会議」に変更した。
2004年の参議院選挙では比例区に転向して、みどりの会議は 中村をはじめとする10人の候補者を立て、90万を超える票を得るも"全員落選"!! これにより、みどりの会議は国会での議席を失う。
好きな言葉は「攻めの人生」。「旧統一教会」の実体 (霊感商法) を暴く!
我が輩は、「トロ」でないが、信条的に、「インテリ紋次郎」の (若手) 相棒 (Greens 支持派) !
世界で初めて (1972年頃に)、グリーン党 (Greens) の前身を立ち上げのは、豪州の南端 にあるタスマニア島に住む医師、Bob Brown 博士で、主に、「自然の保護」と 「人権の擁護」を旗印に上げて、既成 (2大) 政党を相手に戦い初めた。残念なが ら、(自然や人権に対する意識が低い) 日本やアジア諸国では、「緑の党」はとうとう育たなかっ たが、西欧諸国、特にドイツやデンマーク等では、Greensが、かなりの支持者を得て、 国会で活躍し続けている。 豪州では、2012年にBrown 博士が党首を辞任して以来、Greens の根拠地は、首都キャンベラとメル ボルンの都市部に集中している。

2022年12月7日水曜日

スベロ=オチョア (1905-1993) は「勘違い」に対して、
ノーベル賞をもらった!

1959年に、アーサー=コンバーグ (1918-2007) とスベロ=オチョア (1905-1993) へ 大腸菌由来のDNA 合成 とRNA 合成に関する酵素の発見に対して、ノーベル医学賞 が与えられた。いわゆる「コンバーグ酵素」は実際、DNA を合成する「polymerase」 だった。 ところが、「オチョア酵素」 (Polynucleotide Phosphorylase, PNP) は、実際には、RNase (RNA 分解酵素) だった! 酵素とは、反応と逆反応の両方 を、試験管内では、触媒できるが、大腸菌内では、RNAを分解するが、合成には関与 しないことが、後に判明した! つまり、オチョアは、「間違った理由」で、ノー ベル賞をもらったわけである。 実際、 我が輩が東大薬学の院生 (修士) の頃 (1960年 代後半) 、我々はPNP で、専ら大腸菌のリボゾームRNA が分解するメカニズムを研究していた (培地から Mg を除くと、リボゾームRNAが PNP によって分解を受け、蛋白合成が止まる! この反応は可逆的で、Mg を培地に加えれば、リボゾームRNAが合成され始め、リボゾームによる蛋白合成が再開される)!
皮肉にも、オチョアの研究室 (ニューヨーク大学) で、PNP が試験管内で 「RNAを合成」することを発見したのは、Marianne Grunberg-Manago (1921-2013) というソ連から亡命してきたフランス人女性 (美人) だった! ここでも、明らかに「女 難」がたたっている。。。
もっとも、フィル=リーダーによれば、「遺伝子暗号の解読」の為に、種々の "RNA Triplets" (AUG, UUU, UAG etc) を酵素的に合成するために、この「PNP 」が大活躍 したそうである。従って、結局「怪我の功名」になった! 他方、(有機化学が得意な「ライバル」) 西村さんは、RNA Triplets を化学合成したそうである。
さて、「本物」の (DNA-dependent) RNA polymerase の研究で、ノーベル化学賞を、 2006年にもらったのは、DNA Polymerase 研究でノーベル賞をもらったArthur Kornberg の長男, Roger Kornberg (スタンフォード大学) である。 つまり、親子でこの分野を結局、独占した! 父親は息子の受賞に満足しながら、翌年, 安らかに他界した。。。このエピソード ( 仮称「DNA/RNA 親子丼」) も、もし (ハリウッドで) 映画化したら、 (地元、カルフォルニアの) 観客を沸かせると、 我が輩は思う。。。あるいは、宮崎 駿 (監督) による 「アニメ映画」でも良いと思う。
我が輩の高校時代の同期生 (新井賢一 くん、1942-2018) は、東大医学部を卒業後、 アーサー=コンバーグの研究室で、ポスドクを勤めた後、コンバーグらが設立した 「DNAX」という製薬研究所の分子生物部長を勤め、(奥さんと海外研究生活) 13年 後の1989年に、日本に帰国して、東大の「医科研」の所長などを歴任した。その 彼が中心になって、コンバーグの自伝「それは失敗からはじまった: 生命分子の 合成に賭けた男」(訳本) を1991年に出版した。 (我が輩自身も出版されて間もな く、拝読させてもらったが) コンバーグ家について知るための良い参考書として、 若い (分子生物学) 研究者や「アニメ」制作者などにお勧めしたい。。。
キューリー夫妻はラジウムの発見で、(チェコ出身の) コリ (Cori) 夫妻はグリコーゲンの代謝酵素 (Glycogen Phosphorylase, GP) で、各々 ノーベル賞に輝いたが、コンバーグ夫妻はコリ夫妻の下で、研究を始め、(更 に) 新井夫婦もコンバーグ夫妻の下で、ポスドク研究を始め、キューリー夫妻の 始めた輝かしい (人類らしく「極めて知的な」) 伝統を守り続けた。。。
コリ夫妻もコンバーグ夫妻も「ATP」を基質とする酵素を扱った。めざす「標的」は違うが、我が輩も 同じ「ATP」を基質とする酵素 (PAK という「キナーゼ」) を長らく扱っ てきた。従って、恐れながらも、「コリ=コンバーグ」酵素学派の端くれと、自認 している。。。我が輩に (将来) 自伝を書く機会が訪れたら、「全ては ATPから始まった: 健康長寿 の為に!」という標題で行こう!

2022年12月6日火曜日

Phillip Leder (1934-2020): 分子遺伝学の "草分け" (天才!)

我が輩が米国のNIH (首都ワシントン郊外) に「ポスドク」(研究助手) として、数 年間 (1974-1980) 滞在していた時期に、(NIHキャンパスの直ぐ隣にある丘上の) 我が輩 が下宿していた一家の直ぐ近所 (数ブロック先) に、傑出した若い研究リーダーが住んでいた。 彼の名は、フィル=リーダー博士。ハーバード大学医学部出 身の切れ者。 1960年代前半、マーシャル=ニーレンバーグの研究室で、ポスドク として活躍し、「遺伝子暗号の解読」に、中心的な役割を果たした。ゴービン=コ ラーナの研究室で、ポスドクとして果たした西村すすむ (我が先輩) の役割に匹 敵する。 この2人のポスドクによる活躍のお蔭で、ニーレンバーグとコラーナは、 1968年にノーベル医学賞に輝いた!
さて、ボスの受賞へ多大な貢献をしたフィルは、受賞に前後して、NIH の生化学部長に昇進し、グロビンや抗体 (グロブリ ン) の遺伝子構造 (塩基配列) を決定する研究を始めた。 1973-1974 年に、京大医 学部からポスドクとして、フィルの研究室に働いていた本庶 さん (2018年にノー ベル受賞) は、後年、その時期の体験が、彼のその後の (抗体などに関する) 遺伝子研 究への "起爆剤" になった、と語っている。 我が輩自身は、アクト=ミオシン及び、そ れを制御するキナーゼ「PAK」に関する生化学研究に昼夜「没頭」していたので、残念ながら、 フィルにも本庶さんにも会うチャンスは、とうとう一度もなかったが。。。
1980年の夏に、我が輩が西独のミュンヘンにあるMAX-Planck 研究所に転勤する (丁 度) 前後に、フィルがハーバード大学医学部の遺伝学研究室の教授に栄転したこ とを、風の便りに耳にした。 実は、(NIH時代の) 我が輩自身のボス (Ed Korn 博士、現在94歳) の自宅も "フィルの家" の近所 にあった。 フィルはハーバードで、マウスに「RAS」 などの発 癌遺伝子を人工的に挿入し、いわゆる「Onco-Mouse」モデル を製造して、特許を 取得した、という話を後に (1988年頃、我が輩自身がメルボルンの癌研に転勤して、「RAS 癌」に取り組み始めた頃に) 聞いた。 兎に角、「頭脳の切れる」人物だった。 その道の専門家、我が先輩 (東大薬学) である (故 古市泰宏 先生) によれば、フィルは「天才」 だそうだ。 https://www.rnaj.org/newsletters/item/695-furuichi-18
最近、その「フィル」がパーキンソン病 (PD) のため、85歳でとうとう他界したことを知った。
それに比べると、彼のNIHにおける "ボス" (ニーレンバーグ、1927-2010) は、ノー ベル賞をもらった途端、(気が狂ったのか) 「脳生物学」(neuroscience) に転向して、NIHの "莫大 な予算" を浪費して、結局、(83歳で、"直腸癌" のため他界するまで、丸40年間) 殆んど何も残さなかった!
この「悲劇」の原因は一体何だったか? 1961年に彼が結婚したブラジル出身の女 性 (TA or ポスドク、有機化学/生化学者、既に「故人」) とのいわゆる「研究」生活が 全てを「台無し」にしてしまった、という説 (噂) が残っている (真否の程は定かでな いが) 。。。兎も角、学術的に最も「生産性の低い」結婚の一例と言えるだろう。 余りにも「悲惨」で、("キューリー夫妻" とは違って) とても "映画化" の対象にはなり得ない! そういう「辛口」の評価をする研究者が、特に「NIH 内部」には多い。。。勿論、ニーレンバーグの研究室で、莫大な予算で「好き勝手な研究」を楽しんだ、いわゆる「低能 Children」は、別の評価をしているようだが。「裸の王様 マーシャル」と題する"風刺アニメ"映画なら製作可能だが。。。

2022年12月2日金曜日

"人口過剰" な国々では、「生産性の高い」(=多産な) 夫婦は 明らかに "弊害" をもたらす! 「 生産性」は、独創的な「発明や発見」や "文明" を創造する能力で測るべき!
「低能な」世代ばかり量産しても、社会は退化するのみ

結婚 (同性/異性) は「愛の結晶」! 子供の出産とは無関係!
「子孫を作る」作業は、犬や猫、最も下等な動物 "線虫" でも出来る。我々人類は、犬や猫 にはできない、「知的に極めて高等な」遺産 (文化) を残すべきである、と我が輩 は思う。。。
岸田内閣には、(「同性カップルは生産性がない」と発言し、遂に「辞任」へ追い込れた) 杉田水脈(みお)総務 政務官 (女性!) を始め、いわゆる「"安倍派の" 低能 チルドレン」が多過ぎる!
「普三」(故安倍) と「旧統一教会」 (霊感商法) の「非科学的な」結託で量産されてきた「低能世代」が引き起こす "後遺症" (右翼化) がひどい!
キューリー夫妻 (ピエールとマリー) は、2人の優秀な娘 (イレーナとエバ) を産 み育てたが、彼らの "愛の結晶" は、何と言っても、彼らが発見した「ラジウム」と いう放射性元素 (2度のノーベル賞に値する!)。 長女イレーナは、 後に、同僚 のフレデリック=ジョリオと結婚し、新しい (人工的) 放射性元素を 共同で開発して、キュ リー家に、3度目のノーベル賞をもたらした。 こういう結婚は、最も「人間らし い」模範的な結婚であると、我が輩は思う。 勿論、彼らは (全ての人々が"平等"に生活を楽しめる社会を目指す)「社会主義」を擁護し、ムッソリーニやヒットラーが主導する「全体 (独裁) 主義」に強く反対した!
「2022 年」映画「キュリー夫人: 天才科学者の愛と情熱」: 10月末から、東京、大阪、名古屋、札幌など、で も上映中! ロシア占領下のポーランドを逃れ、フランスのパリで、師と夫になるピエールと結 ばれ、共に、"物理化学"上の大発見を目指す。。。。 ("古い世代" に属する) 我が輩自身は、MGM (1943 年の白黒) 版を、半世紀後 (恐らく、豪州に永住後)、"ビデ オ" を購入して何度も観賞した。 実は、こういう結婚生活を長らく夢見たが、残念ながら、相応しい相手 (女性) は、とうとう見つからなかった! 現実には、こういうチャンスは、「万に一」かもしれない。。。「稀少価値」だから、繰り返し「映画化」されるのだろう。
我が輩の分野 (癌分子生物学) では、我が知人である Raymond Erikson (1936-2020) , ハーバード大学教授が、ウイスコン大学 (ポスドク) 時代に、同僚の女性 (Eleanor) と知り合い、結婚後 (コロラド大学で) 、1978年に、発癌遺伝子 (SRC) が (チロ シン) "キナーゼ" であることを、共同で発見した (我々が NIH で、 "別の発癌キナーゼ" (PAK) を発見した直後だった!) 。 明らかに "画期的な" 発見だったが、不幸にして、ノーベル受賞には至らなかった。 その後、夫人はコロラド大学 (中西部) に残り、夫はハーバード大学 (東海岸) に転勤! その後長らく、「長距離の往 き来」が続いたが、結局、離婚/再婚に至り、別々の家庭を築いたそうである。そ ういう意味で、「キューリー夫妻」の例は、極めて 「ラッキー」な "例外" とも言え る。。。もっとも、夫 (ピエール) はノーベル受賞後間もなく、馬車にひかれて、即死 (早死) した。。。そこで、ピエールの父親 (医師) が、幼い "孫娘" 2人の面倒をみるようになった。。。キュリー夫人は1934年、66歳の若さで亡くなったが、その死因は、(当時まだ危険 性が認識されていなかった) "ラジウムの放射能" を、実験の最中に浴び続けていたためとされている。
我々の学生/ポスドク時代 (1960-80 年代) には、生化学 (キナーゼ) 実験などに 「放射性元素」(例えば、P32) を「トレーサー」として、しばしば使用していたが、今日では、(ソ連の「チェ ルノーブル原子炉事故」以来、「放射能恐怖症」のためか) その使用が極端に制限され、 実験が極めて不自由になっている。。。適当な防具を身につければ、放射能は決 して危険な物ではない! 我々やErikson 夫妻が1970年代後半、各々PAK やSRC などの「発癌キナーゼ」を容 易に発見できたのは、「放射性のP32 を含むATP 」を基質に使用したお蔭である。 従って、キナーゼ研究者は特に、アイソトープ (放射性元素) の発見/開発に深く感謝している。。。
もう一つ、男女間の共同研究作業が、(研究者本人の意図に反して) "不幸な結末" を産んでしまった例を紹介しよう : ドイツの首都ベルリンに戦前、カイザー=ウイルヘルム (物理化学) 研究所 (MAX-PLANCK 研究所の前身) があった。 所長は、オットー=ハーン (1879-1968)、 同僚の(ユ ダヤ系) リーゼ=マイトナー女史 (1878-1968) が、原子物理学を長らく共同研究 していた。 ところが、ヒットラーが政権を握り、ユダヤ人を迫害し始めたので、 1938年にマイトナー女史は、とうとうスウエーデンに亡命せざるをえなくなった。 その直後、ハーンがウラニウムに中性子を当てると、放射性のバリウムが製造さ れた!!
その「不思議な」現象を、マイトナーに手紙で報告したところ、彼女は、その現 象が「核分裂」である (アインシュタインの有名な方程式: E=MCC (二乗) に従って、莫大なエネルギーが 放出する!) ことを、素早く見抜いた。 そのニュースは、たちまち世界中に広がった! 間もなく、ドイツと 英米の間で、 「原爆の開発」レースが始まった! さて、ハーンはその発見によって、1944年に ノーベル化学賞を "独り占め" したが、マイトナーの「先見の明」は (少なくとも "ノーベル財団" では) 無視された。 そ の後、間もなく、広島や長崎で、一体何が起こったかは、万人の知る所である。 。。勿論、「地震の発生しない」国々では、この画期的な発見は原子力の"平和利用"に貢献してい る。。。要 (問題) は、「発見を如何に利用するか」である。
一言警告しておきたいことは、「キュリー夫人のラジウム発見が、原爆開発を導い た」と勘違いしている「低能な輩」が、今でも少なからず存在するということで ある。 (上述したように) ラジウムと原爆とは、全く無関係! 原爆の原料は、主に「ウラニウムやプルトニウム」 (ラジウムでは原爆はできない! )。 (その昔) 時計の文字盤の「蛍光 (夜光) 塗料」は、ラジウムだった!
ラジウムから出る放射線で、癌を治療していた時代もあった。しかし、"副作用" が強 過ぎて、現在はいわゆる「抗癌剤」やコバルト60 に置き換えられた。 それでも、副作用はかな り強い! だから、副作用の全くない「PAK遮断剤」が登場しつつある。。。

2022年12月1日木曜日

「血液の癌」の増殖も "PAK" 依存性!
副作用が強い抗癌剤から「PAK 遮断剤」に切り換え!

殆んど全ての「固形腫瘍」は (悪性であれ良性であれ)、その増殖及び転移がPAK依 存性である (定説!)。 ところが、最近になって、幾つかのいわゆる「血液の癌」、 例えば 急性白血病の一種、acute megakaryocytic leukemia (AMKL)、や慢性白血 病のChronic Myeloid Leukemia (CML) 等の増殖も、PAK依存性であることが判明 した! 従って、従来、「血液の癌」の治療に使用されていた抗癌剤は、どれも 副作用がひどいので、副作用の殆んどない "PAK 遮断剤" (市販のプロポリス、フコ イダン、Gleevec, Istodax =FK228 など) に切り換えることを、私は強くお勧め したい!「侍イレブン」の如く、後半の「逆転劇」で勝利 (癌の粉砕) を掴もう!
参考文献:
1. Zhonghua Xue Ye Xue Za Zhi. 2022 Jun 14;43(6):499-505. Blocking PAK1 kinase activity promotes the differentiation of acute megakaryocytic leukemia (AMKL) cells and induces their apoptosis。 [Article in Chinese] S J Wang, C Q Wang, X T Hu , X R Yu , C L Fu .
2. Cancers (Basel). ;11(10):1544. Simultaneous Inhibition of BCR-ABL1 Tyrosine Kinase and PAK1/2 Serine/Threonine Kinase Exerts Synergistic Effect against Chronic Myeloid Leukemia (CML) Cells。 Sylwia Flis, Ewelina Bratek , Tomasz Chojnacki , Marlena Piskorek , Tomasz Skorski (2019)。

2022年11月30日水曜日

「Arimoclomol」(BRX-220): HSP 遺伝子 を活性化する「ALS 治療薬」として、臨 床テスト (フェーズIII) 中。

PAKが (線虫の) HSP遺伝子の発現を抑制することを前述した。 従って、ひょっとすると、この薬剤も、"PAK遮断剤" かもしれない。 と言うのは、この薬剤は幾つかのキナーゼを阻害することが、 既にわかっている。 そこで、クリス=リンク に、早速メールを送って、線虫の "CL2070 株" で、この薬剤が HSP16.2 を活性化する かどうか、調べてみるように指示した。
彼は最近、(線虫離れして) 人間の脳内 疾患、例えば ALS にも、かなり関心を示しているそうだ。。。この薬剤は、分子量=314、元来、 20年前に、米国ロサンゼルスの製薬会社によって、糖尿病の治療薬として開発された が、結局、最近は 難病「ALS」向け治療薬として、(デンマークの製薬会社により) 臨床試験が順調に進んでいる。「プ ロポリス (PAK遮断剤) がALS に効く」という情報もその昔 (数年前に)、耳にしたことがあるので興味深い! 因みに、 この薬剤のデンマーク特許は2014年、米国特許は2020年だから、未だ十数年は "独占 権"が有効!

2022年11月28日月曜日

GM 線虫株 CL2070 でPAK遮断剤のスクリーニング:
GFP (蛍光蛋白) をHSP16.2 遺伝子の支配下に発現

1970年代に英国ケンブリッジ大学のMRC所長、シドニー=ブレナーが透明な線虫 (C. elegans 体 長 わずか1 mm) を、新しい実験動物として、紹介した。そのお蔭で、(動物の) 分子生物学 が急速に進み、2002年にブレナーとその弟子たちがノーベル医学賞をもらった。その直後、彼の自伝の邦訳「エレガンスに魅せられて」を、我々は琉球新報から出 版した。 当時、彼が、日本政府の内閣府の予算で、(英語が公用語の) "沖縄科学技術大学院大学" (OIST) を創立しつつあったからだ。我が輩もOIST に一時関心はあったが、彼が「創薬」研究に全く興味を示さなかっ たので、結局、この (難病の治療に無関心な) 「象牙の塔」からも、たもとを分かつことにした。 我が輩の「究極の目標」は、NF などの脳腫瘍の治療に役立つ "安全かつ安価" な薬 (PAK遮断剤など) を開発することだったから である。
さて、丁度その頃、米国コロラド大学のトム=ジョーンズらが、 線虫を使って、 寿命と熱ショック蛋白 (HSP16.2) 遺伝子との間に相関性を見い出した! そこで、 その弟子だったクリス=リンクが、新しいGM 線虫株 (CL2070) を開発した。 その株では、 GFP (グリーン蛍光蛋白) 遺伝子がHSP16.2 遺伝子のプロモーター に連結して、このプロモーターが活性化されると、GFPが産生され、透明な線虫が グリーンの蛍光に輝き、その蛍光量を測定することによって、HSP16.2 遺伝子が どれだけ活性化されたを「定量」できる仕掛けを開発した! 原理的には、CL2070を 使用することによって、GFP の蛍光量から、"線虫の寿命を伸ばす物質"を短時間 (24時 間以内) にスクリーニングできる! 因みに、GFP は1960年にプリンストン大学 の下村 脩 (博士) によって発見された。彼は2008年に、この功績でノーベル化 学賞をもらった。
2007年の夏休みを利用し、我々は、CL2070株を使用して、先ずプロポリス中のPAK遮断物質、CAPE (Caffeic acid phenethyl ester) やARC (Artepillin C) が、HSP16.2 遺伝子を 活性化することを発見した! つまり、これらのPAK遮断物質が、線虫の寿命を延 ばす可能性を強く示唆した。
同時に我々は、これらのPAK遮断物質が、線虫の産卵能を極端に低下 (野生株の7分 の1!) することを発見した。更に、PAK欠損株 (RB689) でも、産卵数が野生株の 7分の1 だった! 一般に動物界では、「寿命と産卵数が反比例する」ことが知 られていた! 従って、PAKを遮断/欠損すると、HSP16.2 遺伝子が活性化されて、 「長命」になることが予想された。数年後に、PAK欠損株が野生株に比べて6割も 長く生きることを、我々は実証した。2021年には、同様な現象が、マウスでも証 明された。
従って、"CL2070株"は "RB689 株" (PAK欠損、nobody knows who made this mutant) と共に、PAK遮断剤が長命 (及び熱耐性) をもたらす、と いう我々の画期的な発見へ、極めて重要な役目を果した!
ここで、一つ指摘しておきたい重要なポイントは、"熱ショック" (35度で2時間!) を与えなければ、 PAK遮断剤で処理しても、CL2070株は蛍光を発しない! 例えば、紫外線やその他 の (寿命を縮める) ストレスが、熱ショックと同様、それ自身のみで、HSP16.2 遺伝子を活性化し得る「可能性」 が未だ否定できない。 従って、PAK遮断剤のスクリーニングには、そのHSP16.2 遺伝子活性化が、「熱ショック依存性」であることを確認する 必要がある!
来年の6月末に、英国のグラスゴー (スコットランド) で、「国際 C. elegans (線虫 ) 学界」が開催される予定である。 もし、Chris Link (CL) もやって来るなら、彼に 初対面するため、我が輩も、この学会に初めて参加したいと思っている。。。この学会に初参加する最大の目的は、「線虫モデルが、究極的には、難病の治療に多大な貢献をする」典型的な例を紹介するためである。
動物の寿命は、一般に体重にほぼ比例する。体長が僅か1 mm の線虫は、20度で寿 命が僅か14日。片や、哺乳類で最小のマウスは寿命が2年半、人類に至っては、寿 命が80年以上! 従って、寿命を延ばす物質 (Elixirs, 例えば、PAK遮断剤) を短 時間にスクリーニングするには、線虫 (特にCL2070株) が最適! "時は金なり" だから、3年以上 もかかって、マウスでElixirs を探すいわゆる「太公望」 (「気長な」院生/ポスドク) は、 もう今世紀には殆んどいなくなった!
線虫と哺乳類の基本的な違いは、線虫には心臓と視覚がない! しかし、脳 (魂) はある! 従って、線虫の "AD" (認知症) モデルを使用すると、BBB を通過しうる(=脳腫瘍など の治療にも有効な) PAK遮断剤をスクリーニングし得る!

2022年11月26日土曜日

沖縄県民 (特に男性) の寿命は「米軍基地」文化と
「マイカー (運動不足) 」によって、極 度に縮まった!
健康長寿のために、基地を撤去し、努めて運動せよ!
「長命」には、PAK遮断剤で「熱耐性」を増強すべし!

戦前、沖縄 (琉球) は (男女とも) 「長寿の国」として、世界的に知られていた。 ところが、敗戦後、沖縄 (特に本島全体) が「米軍の基地」化に伴い、いわゆる 「ファストフード」(ガツガツ食べる) 文化が急速に氾濫し、更に モノレール以外に (まともな) 鉄道が無いため、「マイカー族」が町に氾濫し、県民全体 (特に、男性) が運動 不足のために、「肥満化」 と「糖尿病」に苦しむようになった。 果たせるかな、 21世紀に入って、長寿者が激減し、2019年の調査によれば、男性の寿命は、日本全国で「40位」(「どん底」近く) にまで、 転落した。 女性もトップから大きく「25位」に転落しつつある!
しかし、解決法は、至って「簡単」である。ファストフードを辞めて、PAK遮断剤 の豊富なゴーヤ (「ククルビタシン」源)、モズク(「フコイダン」源) 、魚 (かつおや鮭などの「D3 」源) を自宅で常食し、マイカーに頼らず、率先して "運動" する (自分の足で歩く!) こ とである。 実は、我が輩は、2015年から2017年までの3年間、"PAK遮断剤"研究のため、琉球大学 構内近くに住み、 「沖縄県民の一員」だった。 勿論、マイカーやファストフードに親 しんだことは全くない!
動物の寿命は、気温に反比例する (言い換えれば、「地球温暖化」は、寿命を縮める!)。 例えば、線虫の寿命は20度で14日だが、35度で は一日以下になる。人類でも同様だ。一般に (北極に近い) 北欧の人々は長命であ るが、(赤道に近い) 熱帯の人々は短命である。 従って、「亜熱帯に住む」沖縄の 人々が "(世界一) 長命だった"というのは、言わば、「例外」に近い。 その例外の 「秘密」の一つがゴーヤの「抗夏バテ」作用であることが判明したのは、もう20年ほど昔である。 その "メカニズム" の詳細が判明したのは、ごく最近 (数年前) である。ゴーヤの苦味成分「ククルビタシン」がPAKを遮断するからである。驚く なかれ、線虫のPAK欠損株は35度でも、野性株より "9倍以上" (少なくとも9日間) 長命である!
結論: 我々の生命に致命的な一連の蛋白が高温により変性する (卵焼の原理!) 。 その変性を修復するのは, "熱 ショック蛋白" (HSP) である。不幸にして、"PAKはHSP遺伝子の発現を抑制" している。 従って、"熱耐性になるためには、PAKを遮断する必要" あり。 即ち、寿命=熱耐性は、HSP遺伝子の発現量に比例する!(1)
参考文献:
1. G A Walker , T M White, G McColl, N L Jenkins, S Babich, E P Candido, T E Johnson, G J Lithgow (2001)。 Heat shock protein accumulation is upregulated in a long-lived mutant of Caenorhabditis elegans。J Gerontol A Biol Sci Med Sci; 56(7): B281-7.

2022年11月25日金曜日

海藻由来の「フコイダン」はPAK遮断剤:
メラニン合成抑制 (美白) 作用あり!
「COVID」感染による「肺炎」の治療にも有効!
「BBB」を通過し、脳腫瘍や認知症にも効き目あり!

市販されている沖縄産のモズク等の海藻由来の「フコイダン」(硫酸多糖類) に、 NF1 患者の皮膚腫瘍 (いわゆる「ブク」) の発生/増殖を (プロポリス以上に) 強 く抑制する作用がある、という最近の報告から、フコイダンがプロポリス同様、 天然のPAK遮断剤であることが、強く示唆されていたが、ごく最近のフコイダンの 薬理作用に関する研究報告を詳しく調べたところ、2年ほど前に、韓国の済州(島)大 学のチームから発表されていた報告によれば、フコイダンには、メラニン色素合 成を抑える (つまり美白) 作用がある事が判明した (1)。
我々は、2015年に、沖縄の 琉球大学の構内に「PAK Research Center」の支部を一時的に設け、「PAK がメラニン 色素合成に必須である」こと等を、世界で初めて、明らかにした。 従って、フコ イダンがプロポリス同様、強い (美白作用を持つ) 天然「PAK遮断剤」であること に、もはや疑いの余地はない!
勿論、「日焼け」 (つまり、紫外線により誘導される メラニン色素合成) の予防にも効果があり、という実験結果も、併せて報告され ている (1)。 従って、フコイダンを「日焼け止めクリームの主成分」として、活用するという、 画期的な化粧品企画も (韓国で) 誕生しつつある。。。
前述したが、新型コロナウイルス (COVID) 感染による肺炎は「PAK依存性」だから、勿論、フ コイダンは、この "肺炎" の治療剤としても、有効である (2)
なお、フコイダンは比較的 "高分子" であるが、「BBBを通過する」ので、脳腫瘍や 認知症などの治療にも効き目あり (3)! 病原/加齢酵素「PAK」を遮断して、「健康長寿」を楽しもう!
参考文献:
1. Lei Wang , Jae-Young Oh, Young-Sang Kim , et al. (2020)。 Anti-Photoaging and Anti-Melanogenesis Effects of Fucoidan Isolated from Hizikia fusiforme and Its Underlying Mechanisms。 Mar Drugs. ;18(8):427.
2. Shuang Song , Haoran Peng , Qingling Wang et al (2020). Inhibitory activities of marine sulfated polysaccharides against SARS-CoV-2. Food Funct. ;11: 7415-7420.
3. Mamangam Subaraja , Dhanabalan Anantha Krishnan , Varghese Edwin Hillary et al (2020)。 Fucoidan serves a neuroprotective effect in an Alzheimer's disease model. Front Biosci (Elite Ed). ; 12: 1-34.
もし、西村先生が未だ存命なら、早速、この「ビッグ」ニュースをメールすれば、 「丸田くん、それはでかした!」といって、諸手で喜んでくれるだろうが、その 先生が、最近先立れたのは、残念至極である。。。 もし、先生が「フコイダン」を経口していたら、"百歳" まで生き延びたかもしれない。。。

2022年11月23日水曜日

西村 暹 (理学) 博士 (1931- 2022):
「RNA から 癌研究へ」 (退官記念誌、2000年) より

我が "大先輩" (高校及び大学) の癌生化学者、西村暹 (すすむ) 博士がつい最近 (9月5日)、他界 (急死)されたことを知った。先ず、先生のご冥福を心から祈りたい。 死因は「くも膜下出血」! その原因の90% は「脳動脈瘤の破裂」だそうである。 来る"12月18日"に学士会館で「お別れ会」が催される予定 (メール情報) 。
(先生は) "ポスドク" として米国に留学中 (1961-1965) 、ハー・ゴビンド・コラナの研究室 (Wisconsin) において、"遺伝暗 号解読" プロジェクトで "中心的な役割"を果たした。1968年、コラナはこの仕事 (Triplet Codons) でノーベル生理学・医学賞を受賞した。 帰国後は、tRNAの研究に転じ、世界的な研究拠点を形成した。 東京の深川生まれ。
学歴: 1949年 都立日比谷高校卒業
1955年 (2年ほど、結核療養後) 東京大学理学部化学科卒業
1960年 東京大学大学院修了、理学博士 (指導教官は、丸尾文治教授)
職歴: 癌研究会癌研究所、オークリッジ国立研究所(ロックフェラー財団給費 研究員)、ウィスコンシン州立大学等を経て
1968年 国立がんセンター研究所生物学部長
1992年 万有製薬株式会社つくば研究所所長
1999年 所長を退官して、名誉所長
以後、筑波大学生命科学動物資源センターの客員研究員 
我が輩 (メルボルンの "癌研" 在職中) が、先生から特に ("抗癌剤開発"に関して) お世話になったのは、先生が「メルク万 有研究所 (筑波)」 の所長時代 (後半)。 先生と我が輩の接点は、両者が「RAS 」と呼ばれる発癌遺伝子に焦点を合わせたこ とに始まる。 先生自身は、抗癌剤開発には余り寄与出来なかったが、その言わば「バトンタッチ」 を引き受けたのが、(その後 "20年余り" に渡る) 「我が輩の役割」になった。。。
専門業績:
1。 "遺伝暗号の解読" 後、大腸菌tRNA中の修飾塩基の同定:
西村は米国から帰国後国立がんセンター研究所で、遺伝情報解読の要である転移 RNA(tRNA)の構造と機能の解明に取り組んだ。その過程で大腸菌、哺乳動物、古 細菌などから、10種に及ぶ新規修飾ヌクレオチドを発見し、Dr. James A. McCloskeyら との共同研究で、それ等の化学構造を決定し、またtRNAのアンチコドンやアンチ コドンの周辺に存在する修飾ヌクレオチドは、アンチコドン認識に重要な役割を 果たしている事を明らかにした。
2。 8-ヒドロキシグアニンの発見:
西村が、がんの問題に直接取り組むように研究室の体制をシフトするように なった転機は、当時生化学部長、兼研究所長の杉村隆を中心とする、魚や肉の加 熱調理によって生成する突然変異原物質の発見である。西村研究室は物質の分離、 精製、同定のノウハウがあり、研究室のスタッフ、葛西宏、山泉二郎が共同研究 に加わった。葛西が丸干しイワシのおこげから新規変異原物質を分離、同定する 過程で、焼けこげ中には、ミクロゾームによる活性化を要しない、変異原物質が あることに気がついた。これが、1983年に、活性酵素によってDNA中のグアニン残 基が"8-OH-G" (現在では、8-オキソグアニン、8-oxo-G とも呼ばれる) に変換され るという事実の発見につながった。 西村研究室はこの発見以来、この問題に集中 的に取り組むことになった。
西村研での成果が世界的に注目を集める様になり、以後多数の研究者が8-OH-Gの研究に参入する様になった。 その結果、"酸化ストレスにより生成する活性酸素による "8-OH-G" の生成"の生 物学的意義がさらに明らかになった。
3。抗癌剤「アザチロシン」の開発:
1989年、西村が国立癌センターの生物学部長だった頃、その助手である岡田信子 らが放線菌から、RAS癌の増殖を抑える「アザチロシン」という抗生物質を発見し た。その後、その抗癌メカニズムの研究を、「メルク万有研」で続けた結果、1996年 に、この薬物がチロシンの代わりに、蛋白質に取り込まれ、RASの下流にある種々 のチロシンキナーゼの働きを抑えることを発見! 残念ながら、この薬 剤はとうとう市販には至らなかった。 詳しくは、丸田 浩著「癌との闘い」(2001年) を参照されたし。
趣味: 西村氏の特筆すべき趣味は、1) ラジコンで自製の飛行機 (プラモデル) を飛ばす こと (少年時代以来の趣味) と 2) バラの品種改良 (後年始めた趣味)。 もう一 つは、「天下のご意見番」として、多くの弟子たちに色々な忠告を授けること。。。先生の有名な口癖は (皮肉にも)「癌の生化学研究は、生化学者の墓場」??? 我々 (生化学/分子生物学者) は、ようやく (21世紀に入って) 、 その "墓場" から抜け出しつつある。。。

2022年11月19日土曜日

今や「常識」: 75歳を過ぎたら、"運転免許を返上" せよ!

"97歳"の男性が、軽乗用車を運転し、"40代"の女性をはねて即死させる! 言語道断 (非常識極まる) ! この福島市内で発生した自動車事故は、(半年ほど前に) 京都市内で、本庄氏 (80歳、 ノーベル受賞者) が起こした衝突事故を想起させる。 ("ブレーキ"と"アクセル"の区 別ができなくなった= "とっさの判断"が鈍い) 「老いぼれ」は、車の運転を"絶対"するな! つまり、「小学生以下の頭脳 (判断力) 」の持ち主に運転資格なし75歳以上の老人は、自分の足で歩くか、「電動シニアカー」 (最大時速 「6km」!) を運転せよ!
我が輩は、つい最近 80歳を越したが、未だ (競歩や登山で鍛えた) 足腰が丈夫なので、ザックを背負って、 片道 2km 程にあるスーパーまで、殆んど毎日 (運動がてら) 買い物に出かける。し かし、(もし、近い将来) "杖" が必要になったら、電動シニアカー (四輪) を、初めて運転することを楽し みにしている。。。 もっとも、「天国からの "出迎え"」が先に訪れるかもしれないが。

「微積分」学は "ニュートンやライプニッツ" (17世紀の
大数学者) の発明! 即ち、それまでの庶民は、四則計算
(=算数) で、日常生活が可能だった!

(幸い) 我が輩は (小学生時代から) 少なくとも「四則計算」には長けていたので、今でも、"微積分" なしで、何 とか「医科学」研究をこなしている (勿論、"理系" の国大入試をこなすには、"一時的" に必要だが) 。日常生活では、 自転車もマイカーも運転せ ずに、自分の足か、電車かバス (あるいは船や飛行機) に乗って、(地球上を) 移動するので、 難しい「微積分」は必要なし! (道端の ) 木の枝から林檎やミカンの実が落ちれば、(重力や万有引力を想像せず) 衝動的に拾い上げ ("虫食い" を調べてから) 口に入れる。。。
万が一 (ロケットで) 重力に逆らって、地球圏外に出る場合 (操縦) には微積分の知識が多少 必要かもしれないが、我が輩 (80歳) が近い将来、「あの世」へおサラバする場合は、少なくとも 「火葬代」(日本国内なら20万円前後が相場だが、"人件費の高い" メルボルンでは最低 38 万円=3800AU$! ) さえ準備すれば、難しい微積分は必要ないと信じている。 (手先が器用な) 我が輩は、今でも "日曜大工" が好きなので、時間と体力に未だ余裕 があれば、好きな材質で「かん桶を自作」するという選択もある。 「墓穴を掘る」という表現は決して美しくないが、「棺桶を彫る」のは、(ミケラ ンジェロ等の) 芸術家 の最後に相応しい。。。 我が棺桶の蓋に彫り込むべきは恐らく、"15K" の「化学構造式」! 因みに、我が家では (神も仏も信じないので) ごく簡素な結婚式は挙げても、"葬式" はしない (太平洋へ散骨/灰する) 習慣である。。。
我々の愛するものは、「自然」とそれを客観的に理解する我々人類の「理性」 (=科 学) のみである。

2022年11月12日土曜日

「世紀の挑戦」: イベルメクチン分子上のPAK1 結合部位
及び E3-Ligase 結合部位の同定 ("Silicon" 3D-Analysis) !
BBBを通過しうる 新 "PROTAC" 構築 への先陣争い!

この「世紀の挑戦」については、米国のロスアラモス (ニューメキシコ州内の砂漠, ロッキー山脈の南端に位置した山岳地帯、 Mesa という台地の上にある標高 2,200m の街 ) にある国立研究所 (第二次世界大戦中は、極秘の原爆開発施設) に長らく勤務するRamesh Jha 博士 (3D Docking の専門家) の研究室に所属する卒業実習生 (Carson Gido) が、先ず挑戦してみる そうだ。 もし、有意義な結果が出たら、我が「PAK研究財団」から、いくばくか の奨学金 (PAK 奨励賞) を是非授与したい。。。 正確な "最小"「結合部位」が判明すれば、"より分子量の小さい" (=「BBB」を通過しう る) イベルメクチン誘導体を将来、構築し得る。。。 若者 (Boys and Girls) の才能を伸ばす最大の武器は、奨励することである!
(注): イベルメクチン (分子量=875) は、標的であるPAK に結合すると共に、(それをユビキチン 化する) E3-Ligase にも結合し、「PAK のプロテオゾームによる分解」をもたら す "キメラ" 、いわゆる 「PROTAC」の数少ない "医療向け" 市販製品の一つである。 詳しくは、「PROTAC」 (東大薬学の内藤教授は「Sniper」 と呼ぶ!) に関するブログ (March 6、2022) を参照されたし。
サリドマイドのアミノ誘導体 "Pomalidomide" (POM, 分子量=273) は 「奇形を誘導せぬ」かつ BBBを通過しうるPROTAC (PAKの上流にある「JAK」と呼ばれるキナーゼを、E3-ligase を介して分解する「キメラ」) であるが、(残念ながら) イベルメクチンに比べて、PAK遮断力が 弱い (水溶性の「MM」特効薬として市販されている) 。最近の研究報告(動物実験: 0.4 mg/kg) によれば、"喘息"にも効く(抗炎症作用もある)。 理想的には、イベルメクチ ン分子上の「PAK 結合」(最小)部位 (理想的には分子量=250以下!)に、POM の「E3-ligase 結合」部位 (既知! ) を連結した "強力かつ脳関門を通過しうる)" 「キメラ」分子の構築を、我々は秘かに狙っている。
閃き: 実は、イベルメクチンの結合部位を同定するいわゆる「シリコン」Project を考え出した折、ある新しいアミド誘導体 の合成が閃いた。ケトロラックのカ ルボン酸に、ある市販の「E3-Ligase 結合体」(試薬としては、かなり高価!) を連結して、細胞透過性を飛躍的 に高めると共に、ケトロラックの直接標的 である「RAC/CDC42」 (PAKの直ぐ上流 ) を「分解」し得る、言わば「一石二鳥」 (実際には、 一石で 三鳥!) の「魔法の弾丸」 を考えついた。 早速、ある有機化学者 (我 が輩の大学時代の後輩) に協力を求めて、そのアミド体の試作を依頼した。 このキメラの 生物活性、特に抗癌作用を調べるのが楽しみである。。。幸い、このアミド体の分子 量は (「15K」 同様) 500前後なので、「BBB」を通過可能、(脳腫瘍など) 様々な脳疾患の治療に も役立つはずである。。。
速報: CSHL から出版されている最新の "AO" 研究報告/総説 (61ページに渡る"特許申請書"のコピーのごとき論文: bioRxiv、残念ながら、"PUBMED" には収録されていない ) によれば、米国のFCCC とボストンにある癌研との共同研究 (Jon Chernoff: 我が輩 のライバル!) で、初のPAK1-特異的なPROTAC (BJG 539, 一石一鳥!) の合成に成功した模様。いわゆるPAKI 特異的阻害剤 (NVS-PAK1-1, 分子量=480、 Novartis が2015年に開発されたが、体内で分解され易い!) とPOMをリンカーで連結した産物 (分子量》750、 研究用試薬?)。IC50 (抗癌作用) は約100 nM。我々自身の目標は、先ず IC50 をこれ以下に、出来るだけ下げて、「臨床でも有効な」ものを開発すること。。。
Development and utility of a "PAK1-selective degrader":イベルメクチンについて一言も触れていない「変な」論文!
Hoi-Yee Chow, Sofiia Karchugina, Brian J. Groendyke, Sean Toenjes, John Hatcher, Katherine A. Donovan, Eric S. Fischer, Gleb Abalakov, Bulat Faezov, Roland Dunbrack, Nathanael S. Gray, Jonathan Chernoff (2022)
極めて皮肉にも、人類史上最古のPROTAC は、1950年代に奇形児をもたらした「サ リドマイド」である。 我々創薬学者は、過去の「苦い経験」から多くの貴重な英知を 学びつつある。

2022年11月11日金曜日

NF2 (Merlin) 遺伝子の欠損により起こる 病変は
「PAKの異常活性化」のみによるものではない!
(発癌キナーゼ) 「TOR 」の異常活性化も関与!

NF2 患者の寿命は、健常者の約6割に過ぎない、という話の科学的な根拠は、主に マウスモデルに基づいている。 野性のマウスの平均寿命は、約2。5年だが、NF2欠 損マウスの寿命は、約1。5年に短縮される。 我々は2003年ごろに、「Merlin が PAK阻害蛋白である」ことを初めて発見したが、実は、Merlin には、それ以外の (延命に繋がる "未知"の) 生物活性があるに違いない。
というのは、野性のマウスから、PAK遺伝子を欠損させると、平均寿命が 60% 程伸 び、4年程 (健康に) 生き続けるからである。 と言うことは、 NF2 (Merlin) 遺伝 子の欠損により起こる病変は、「PAKの異常活性化」のみではなさそうである!
実は (つい最近知ったが) 、2012年頃に、Jim Gusella の研究室 (Mass General) で、メルリンのもう一つの標的を見つけていた。 それは「TOR 」と呼ばれる発癌 キナーゼである (1)。 従って、メルリンは PAK 以外に、TOR を阻害しているよう である。 言い換えれば、TORの阻害剤 (例えば TORin 1 や ラパマインシン) によっ ても、更に、NF2 欠損のマウスの寿命を延ばす可能性がある。 実際、ラパマイン シンだけで、マウスの寿命を3割ほど延ばした、という報告がかなり昔にあった。 しかしながら、ラパマイシンには、免疫機能を抑えるという「副作用」がある。 実際、この薬剤は、臓器移植のために、患者の免疫機能を抑える為に、主として 利用されている。 従って、無菌の研究室では、(たとえ) 長生きしても、野外では、 COVID 等、様々な病原体によって感染死する可能性がある。 従って、免疫能を高 める「PAK遮断剤と併用する」必要がある。。。
参考文献:
1. MF James, E Stivison, R Beauchamp, S Han, H Li, MR Wallace, JF Gusella,et al (2012).
Regulation of mTOR complex 2 signaling in neurofibromatosis 2-deficient target cell types.
Mol Cancer Res.;10(5):649-59.

2022年10月28日金曜日

眠り病の特効薬「Ascofuranone 」:
PAK1 遮断剤でもある!

アフリカ大陸などで慢延する熱帯病の一つ、「眠り病」はトリパノゾ-マと呼ばれ る寄生虫による感染によって発生する。この病気に対する特効薬の候補として、 Ascofuranone を、1996年に「再発見」したのは、我が輩の後輩 (東大薬学「微生 物」教室出身) である 北 潔 くん (寄生虫学の専門家、東大医科研、東大医学部 を経て、現在、長崎大学医学部) を中心とする共同研究チームである。 実は、 半世紀ほど昔 (1972年) に、このフレニルフェノール化合物 ( 詳しい化学構造に ついては、右図を参照) を、糸状菌から、最初に発見したのは、東大農芸化学の 田村学造教授 (1924-2002) だった。 なお、兄・善蔵は東大薬学部の教授 (分析化学)。 発見当時は、主に「抗癌物質」として、扱われていた。 面白いことには、最近の研究から、この化合物が「PAK遮断剤」でもあることが判 明している。。。
さて、この化合物は、寄生虫のいわゆる「シアン耐性呼吸」を特異的に阻害し、我々 (哺乳類)の「シアン感受性呼吸 (酸化酵素) 」には、全く影響がない。 従って、(我々 にとっては) 「副作用ゼロの薬」である。 既に、山羊を実験動物に使用して、こ の薬が微量で「眠り病」を完治しうることが実証されている。 最大の難関は、経 済/購買力のないアフリカ大陸の住民たちに、いかにして、「安価」に、この特効 薬を配布しうるか、である。 この有機合成は複雑で、不可能に近い! そこで、北く んらは、つい最近、糸状菌から、この物質の生合成に関与する遺伝子を全て同定 し、それを「キッコーマン」と共同で、醤油などの発酵に使用する別の酵母/こうじカビに挿 入して、いわゆる「GM 酵母/カビ」で、大量生産を試みているようだ。。。我が輩の知 る限り、北くんと我が輩だけが、同じ「微生物」教室出身で、庶民のために「安 価な創薬」を目指している。。。
従って、 高価な「モノクローナル抗体」製剤を押し売りする最近の製薬会社の遣り口 は、我々の目には、「霊魂商法」をやる「旧統一教会」と、言わば「50歩100歩」 に見える。。。
若者よ、(真に役立つ) 新薬の開発研究には、 "貪欲" (金儲け) よりも、シュバイツァー博士の高邁な「ヒューマニズム」精神が必要だ! 北くんが、そもそも "薬学" をめざした発端は、 "シュバイツァー伝" にあった、と我が輩は聞いて いる。。。

2022年10月27日木曜日

クルクミン 誘導体 (Cu 17) には、HDAC 阻害作用あり!
最終的には「PAK」を遮断する。。。

ウコンの主成分、クルクミン (CU) にはPAK阻害/遮断作用があることは、10年以上 昔から知られていたが、残念ながら、(特に) 「水溶性に乏しい」という理由から、 (抗癌作用や抗認知症などの) 臨床効果が余り期待されなかった。 その後、リポ ゾームやナノカプセル等で、いわゆる「Bio-availability」(腸管からの吸収) を 高める努力が試みられていたようであるが、(我が輩の知る限り) 余り画期的な 進展はなかった。。。
さて、 2019年になって、タイ北部にあるコンケン国立大学のチームが、クルクミン の誘導体 (Cu 17) を開発 したことが最近明らかになった。 この詳しい化学構造については、右の図 (b) を参照されたし。 基本的には、2つのフェノール環を繋ぐジケトン鎖に、アミノ 基を介して、ベンゼン環にSH 基が付加した「チオフェノール」側鎖 を加えたものである。 クルクミ ンには、(弱いが ) HDAC (Histone Deacetylase) を阻害する作用があることが知 られていたが、誘導体 "Cu 17" は、 HDACに対して、より強い阻害作用があるこ とが判明した。
実は、HDACは、 PAKの上流に存在し、(例えば、酸乳などに存在する) 酪酸などで HDAC を阻害すると、下流のPAK が遮断され、 最終的には「健康長寿」が期待さ れる。(我が輩の理解が正しければ) CU17 のSH 基が HDAC の活性中心にある SH 基と S-S 結合を形成 (あるいは、 Zn に結合) して、その活性を阻害すると推定される。 この誘導体は、 クルクミンに比べて、100 倍近く、抗癌 (anti-HDAC) 作用が高まるそうである。。。。
市販の 強力な HDAC 阻害剤 (FK228, Istodax) は、残念ながら、BBB を通過しないの で、脳腫瘍や認知症などには無効だが、CU17は、明らかに分子量がずっと小さいので、BBB を通過しうるだろう。。。最近、エーザイから市販されそうな「レカネマブ」と呼ばれる「認知症」治療薬は、 「モノクローナル抗体」であり、高価である! (製薬会社は儲かるが、患者の家族の家計は苦しくなる!) CU17 ならば、"安価" に製造できる。。。

2022年10月25日火曜日

英国の新首相に、インド人出身の "Rishi Sunak" (42) !

インド半島は、長らく (ムガル帝国が滅亡した1858年から1947年まで) 大英帝国の「植民地」だった! 太 平洋戦争終了後間もなく (1947年に) 、マハトマ=ガンジーやネール (初代インド 首相) 等の政治家の努力により、ようやく英国から独立を勝ち得た。 しかし、独 立当時、(旧植民地の) インド人出身の政治家が、将来、英国の首相に就任するこ とを予想した者は、果していただろうか?
つい最近、英国の保守党党首、LIz Truss 女史が英国史上、最短 (ギネス記録! ) の「44日」で首相の座を辞任した後、オックスフォード大学 (経済学専攻) 出 身の保守党出身の元蔵相、Rishi Sunak (ケニアから移民してきたインド人家族の息子、42歳 ) が、無投票で、首相に就任した! (有権者の過半数を占める) 女性層から、未だに首相が一人も誕生しな い "封建的な" 日本では、インド人を含めて、海外から帰化した家族 (少数派) から、首相 が誕生することなど、全く想像がつかないだろう! 流石に、英国は (「王制」を維持する保守主義 ながら) 「民主主義の先進國」だ! ケニアの黒人を父親に持つ「バラク=オバマ」が、2009年に米国の大統領に就任し たケースに類似している。。。
オバマ夫妻同様、2人の娘を持つスナク夫妻は「女性の権利」については、十分に 考慮するだろうが、妻は「大富豪の娘」なので、我々「貧乏人」(庶民) の懐工合を配慮 するかどうかは、甚だ疑わしい。。。

2022年10月23日日曜日

Rhodamine 101 の 細胞透過性: 1,2,3-triazolyl エステル化 による 大飛躍!

COOH を持つ (酸性の) 鎮痛剤/PAK遮断剤「Ketorolac」は、細胞透過性が乏しいの で、それをCC (Click Chemistry) でエステル化して、(比較的水溶性の) 1、2、3-triazolyl 誘導体にすると、そのPAK遮断/抗癌作用が500倍以上 (ギネス記録!) に向上した ことを (何度か) 前述した。 この飛躍的な向上の主たる要因は、理論的には、主 に「細胞透過性の向上」にあると考えられるし、それを支持する間接的な実験的 データーはあるが、それを最終的に実証するには、癌細胞に毒性を示さない色素を利 用して、 細胞内に取り込れた色素 (蛍光) 量の違いを正確に、比較定量する必要がある。。。
そこで、細胞毒性のない (酸性の) 赤い色素 (例えば、Rhodamine 101) を、同じ ように (CCで)、1、2、3-triazolyl エステル化して、そのエステル (CC 101) の 細胞透過性を直接 (比較) 測定するというProject を数年前から企画していたが、 ごく最近、それが、ようやく実現しそうになった! 実は、10年ほど昔、米国オ クラホマ州立大学の有機/生化学者 (Blake Peterson) が、Rhodamine 101 の COOH をメチル基に置換すると、線虫のミトコンドリアの "蛍光" 染色が100倍以上、高まること を報告した文献を、最近見つけて、早速、彼に、CC101に関するProject に興味が あるかを打診したところ、あっさり引き受けてくれた! 彼は有機化学者でもあ るので、自分の研究室で、CC 反応もできるし、色素の透過性を測定することもで きるそうである。 というわけで、我が輩は、すこぶる満足している。。。我が「PAK 研究財団」から、幾ばくかの"研究助成金"を「追い風」の一環として提供したい!
Project によって、(最初に「アイディア」が沸いてから) 実現/実行に漕ぎ着くまでに、数年を要す場合がある。 何事も忍耐 と執着が肝心! そして、「チャンスの女神」が到来したら、決して逃さぬ事!

2022年10月21日金曜日

いざ、風立ちぬ!

2013年のアニメ映画「風立ちぬ」は、ゼロ戦闘機を開発した (東大出の) 若きエン ジニアの話だそうだが、プロペラ飛行機でも帆船でも、「風」が頼りである。
さて、 つい最近、英国議会では、保守党出の新首相 (リズ=トラス女史) が突如、 (経済) 政策転換 (Uターン)、然も「早期辞任 」したので、長らく野党に甘んじ ていた「労働党」に有利な、いわゆる「風立ちぬ!」現象が起こりつつある。。。
我々科学者の世界でも、「風立ちぬ!」現象が起こり始めている。。。 CC (Click Chemistry) の発明者、Barry Sharpless、が (発明から21年振りに) 2度目のノー ベル化学賞を受賞することになったからだ。しかしながら、(我が輩の知る限り) CC で合成された様々な (数万を超える) 有機化合物の中で、(実際に) 臨床に利用 しうるものは、残念ながら、未だ市販されていない!
そこで、「CC」受賞という「追い風」に乗って、我々の CC 産物 ("15K" というPAK遮 断剤) を、臨床テストを経て、「市販」を達成する努力を、来たる 11月から、(戦 闘) 開始することになった。 先ず、ストックホルムの「ノーベル財団」に隣接 するカロリンスカ研究所 (KI、医科大学) で、PAK遮断剤に関する特別講演をやり、 市外にある Biotech 会社や製薬会社と、「15K」の臨床試験に関する 交渉を始める計画である。 幸運なら、10年以内 (我が輩が死ぬ前)に、市場に出 るかもしれない。。。
実は、「15K」の開発には、10年ほどの歴史的背景がある。 先ず2013年に、インド の研究グループが、Ursolic Acid (UA) という (ステロイド系の) PAK遮断剤の抗 癌作用を、CC によるエステル化で200倍に高めた。 しかしながら、何故に抗癌作 用が高まったかは、全く不明のままだった。
2014年になって、我々は沖縄の琉球大学キャ ンパス内に、臨時にPAK研究センターを設立して、プロポリス中の (COOH を含む ) PAK遮断物質、コーヒー酸 (CA) やArtepillin C (ARC) 等の細胞透過性を高め るために、それを (水溶性を保ったまま) エステル化する方法を摸索している内 に、UA のエステル化の論文に到達した。 "2-Azoanisole" を使用してCC 反応をや ると、ARC の抗癌作用が100倍、CA の抗癌作用が400倍以上に、高まった! その 理由は、(我々の予想通り)、主に「細胞透過性」の飛躍だった。
2015年に、もう 一つ「意外な発見」があった。米国ニューメキシコ大学の研究室で、 "Ketorolac" と呼ばれる市販の鎮痛剤 (COOH を持つ「光学異性体」の混合物) の内、"R体がPAK遮 断剤"であることが発見された。 S体はCOX-2 阻害剤 (鎮痛剤)。 早速、 この R体のCOOH をCCでエステル化したところ、何んと、そのPAK遮断作用が "500 倍以上" に飛躍した (CC のギネス記録!)。 ノーベル賞に輝くPAK遮断剤「イベルメクチン」より、「15K」が更に勝る点は、分 子量が小さいため、BBB (血管脳関門) を自由に通過できるので、脳腫瘍など、様々 な脳疾患にも有効であることである!

2022年10月19日水曜日

Orexin と Melatonin : 睡眠を制御 する (陰と陽!)

最近、「Breakthrough Prize」(2023) 受賞 に輝く「Orexin」と呼ばれるペプチドは、睡 眠を促する脳内 ホルモン「メラトニン」と正反対の作用、つまり 「覚醒」 作用 を持つ。 このペプチドには「覚醒」状態ばかりではなく、「食欲」を促進する作 用もある。
オレキシンの発見は、1998年頃に、2つの研究室で、独立に発見されたそうである。 その一つは、テキサス南西医科大学 (ダラス) に留学中だった柳沢 正史 (現在、 筑波大学教授) だった。 もう一つは、スタンフォード大学の Emmanuel Mignot 教授である。
従って、Orexin は、(メラトニンとは正反対に) 「病原キナーゼ 」(PAK) を活性 化しつつ、「肥満」を促進し、我々の寿命を縮める可能性 (?) がある。。。少なくとも"認知症"を促進する! 要 注意!
もう一言、疑問 (苦言) を発すれば、Orexin と、文字通り「陰陽」関係にある メラトニンに関して、1970年頃以来半世紀に渡り、研究を続けている Russel Reiter 教授 (86歳、テキサス南西医科大学、サン アントニオ校) が、ノーベル賞も「Breakthrough Prize」も受賞していないのは、極めて理解に苦しむ。。。メラトニンを含めて 「PAK遮断剤」に関する研究は、正に「日蔭 (陰)で」苦しんでいる!
更に、メラトニン販売に関しても、 苦言したいことがある。 日本では、製造販売/輸入が禁 止されている。 なぜか? 武田薬品がメラトニン類似体を販売しているため、(製 薬会社によって牛耳られている) 「薬事審議会」が、薬事法によって、禁止して いる (「独占禁止法」に違反!!) 。 海外では、メラトニンが安価に入手できる。 薬事法は「消費者の敵」! 日本は全く "住み難い国"だ!
Russel Reiter 著「奇跡のホルモン: メラトニン」(1995年、講談社出版) に、 メラトニンの発見に関する興味深い一節がある。 科学研究で突破口を開く (Breakthrough する) には、洞察力、努力、思いがけない幸運という3拍子が必要。 エール大学 の皮膚科の医者 (アーロン=ラーナー) が、1953年に、メラトニンを発見した時も 例外ではなかった。彼は美白(メラニン合成を抑える) 作用のある物質を探索して いた。古い文献を調べている内に、「松果体に美白作用を持つホルモンがある」 という短報 (1917年) を見つけた! そこで、牛の松果体を摺り潰して、オタマジャクシが 沢山泳ぐ水槽に、それをばら蒔いてみた。驚くなかれ、30分以内に、オタマジャ クシの体が無色透明になった! その後、美白作用を持つ物質「メラトニン」が トリプトファンから、セロトニンを経て、生合成されることを突き止めた! 現在、市販されているメラトニンは全て「有機合成で 量産」されるので、極めて安価 (3 mg 錠剤 が10 円以下!)。
(Reiterの弟子で、30年ほど昔、米や麦にもメラトニンが "微量だが" 存在することを発見した) 服部 淳彦 教授 ら (東京医科歯科大学) による最近の研究 (2021年) によると、メラ トニン (MEL) は脳内で、更に代謝されて、AMKになる。これが、AD (認知症) の 進行を抑える本体であるようだ。 少なくとも、MELから AMK (N1-acetyl-5-methoxykynuramine) への代謝を Norharmane (Monoamine Oxidases 阻害剤) で抑えると、MEL の "AD 治療効果" がなくなる。 然も、AMK の "抗AD作用" はマウス実験で、MEL の10-100 倍になる! 従って、ひょっとすると、MEL の「PAK遮断作用」の本体は、AMK なのかも知れな い。。。 更に、2005年の Reiter らの研究によれば、AMK は (MEL 同様)、 COX-2 遺伝子の 発現を抑える。この遺伝子はPAK の下流にあり、痛みの原因である「Prostaglandin 」生産に関与している。 従って、Aspirin 同様、"鎮痛剤" としても使用しうる。。。 然も、(MEL の代わりに) その"酸化型"「AMK」を日本で安く "製造販売" 出来る可能性が出てきた。 「武田薬品、糞食らえ!」。

2022年10月18日火曜日

「霊魂商法」をやる「旧統一教会」を解散させるべき! 更に、それに癒着する「旧安倍派閥」も解散すべき! 「信仰の自由」という名の下に、"非科学的" (真っ赤) な「嘘」で庶民を騙す "詐欺" は、絶対に許せない!

アイスランド映画 「Woman at War」(2018)

話は、アイスランドの山岳地帯を舞台に、ウクライナへまたがる。 2人 (双子) の 女性とウクライナの孤児 (3歳の女の子) を巡るストーリー。「 Rio-Tinto 」と いうアルミウム精錬の世界的 (英豪合弁) 企業を相手に、文字通り「素手」(弓矢) で戦 う、ある年輩の女性の話 (ゴリアテと戦うダビデの現代版!)。 アイスランドは、日本 (やNZ) と同様、火山は多く、 天然の温泉が楽しめる北国であるが、日本と違って、「女権」 (女性の政治意識 ) が強く、NZ 同様、既に (現首相を含めて) 2、3名の女性が首相を務めている。。。
主人公は「Halla」という女性。 ある田舎の合唱団の指揮者だが、夜中に山奥へ 出かけて、弓矢で、送電線を切断したり、送電柱を薙ぎ倒したりして、「 Rio-Tinto 」の「地球を破壊する」 活動を妨害する、いわゆる「Green」活動家で、警察 から指名手配を受けている。 ところが、彼女には、もう一つ、長年抱いている 「夢」があった。長らく独り暮らしだが、孤児を養女にしたかった。 そして、最 近、(ロシアに侵略されつつある) ウクライナ で、ある 3歳の孤児をとうとう見 つけ出した! しかしながら、「2兎を追う者、一兎も得ず! 」
ある日、ウクライナの孤児に面会するために、 (アイスランドの首都にある ) 「レイキャビック空港」で、ウクライナへ離陸直前に、警察にとうとう逮捕され、 留置所に放り込まれた。 実は、留置所にいたのは本人ではなく、瓜二つの姉だっ た。そこで、妹は自分の身代わりに (濡れ絹) を着てくれた姉を救う為に、留置 所に出かけ、面会時間に、衣服を(互いに) 素早く交換して、姉に孤児を迎える旅 を依託する。。。。勿論、この喜劇で、姉も妹も「一人二役」!
実は、我が輩の妻 (ギリシャ系の数学者) には、(アフリカ滞在中に生まれた) 一卵双生児の娘たちがいる。 2人には、実子はいないが、台北に住む娘 (英文学博士) は、(数年前に) 土着の 台湾人 (英文学教師) と家族ぐるみで結婚。 昨夜、この映画を見ながら、その双 子の娘達を、ふと思い出した。。。姉の方 (アイリス) は昔から、いわゆる「Green」 活動家。。。勿論、台湾の (中国からの) 独立を目指す「現台湾政府」を強く支 持している。。。彼女の部屋には、人権活動家 (マハトム=ガンジーとネルソン=マ ンデラ) の肖像画が飾られている。
我が輩の部屋には、政治家の肖像画は、生憎一つもないが、2人の偉大な科学者、 マリー=キューリーとパウル=エーリッヒの肖像画が飾ってある。 勿論、大村智さ んの新聞記事 (2015年10月) も台所に貼ってある。できれば、近い将来、"CC" の発 明家 (Barry Sharpless) の肖像画が入手できたら、書斎に飾りたい。。。
勿論、我が家の庭には、「スイス独立の父」であるウイリアム=テル (弓矢の名手) の壁画 (自作) が飾ってある! 為政者が腐敗し切ると、それに弓矢を向ける人物が出現する! 奈良の駅頭で、元首相が射殺されたのは、単なる「偶発事件」ではない。。。 "国民/庶民" の間に募る「不満」が一気に爆発して、「火山の一角」として噴火を起こし始 めたのだ! それを「国葬」という名のちゃちな鍋蓋で、抑えようとしても、治まる訳はない!

2022年10月16日日曜日

「アッティラ」(フン族) と「プーチン」(ロシア)
日本民族を含めて、全人類の「大陸起源」を紐解く

アッティラ(Attila、406 - 453)は、フン族 (ハンガリー民族の祖先) と呼ばれ る遊牧民族 (弓矢と騎馬で有名な「モンゴル高原」の"匈奴"由来とも言われている ) の王の中でも、(歴史的に) 最も有名なリーダー。 445年頃に共同統治者のブレ ダ (兄) が死ぬと、単独の王となって、 (アッティラは) ゲルマン系諸族を征服し、 パンノニアに本拠を置いて 「東ローマ帝国」への侵入を繰り返して、短期間でラ イン川、ドナウ川、カスピ海に渡る大帝国を築き上げた。
451年、西ローマ皇帝ウァレンティニアヌス3世の姉ホノリアからの求婚を口実に、 ガリアへ侵入したが、ローマの将軍アエティウス指揮下の西ローマ連合軍と戦い、敗退した。翌452年にイタリア半島へ侵攻して、ミラノ、アクイ レイアなどの諸都市を陥れたが、「教皇レオ1世」の説得によって撤退した。アッ ティラの治世下で、フン帝国は最盛期を迎えるが、453年、自らの婚礼 (再婚?) を祝う酒宴の席で、出血多量で急死した (死因には、色々な説がある!)。アッティ ラ (47歳) の死後、息子たちの間で内紛が起き、「フン帝国」は瓦解した。
残念ながら、現在のハンガリー (政府) はEU諸国の中で、最もロシアの独裁者プー チンに近い。 さて、我々が尊敬するハンガリー出身の生化学者であるセント=ジョ ルジ (1893-1986) は、ハンガリー人 (黒髪が多い) には珍しく、 (燐国ルーマニ アの少数民族に多い) 「金髪」であり、極めて革新的で、少なくとも「ソ連の独 裁者スターリン」嫌いで、戦後まもなく、米国に亡命し、筋肉 (Acto-myosin) 収 縮の生化学研究の草分けとして活躍し、その後、健康長寿 (97歳) を楽しんだ。 少なくとも、伝説の「アッティラ」とは「対照的な」生涯を送った。
以下は、飽くまでも我が輩の「希望的な」観測ではあるが、ロシアのプーチン (70歳、 ウクライナへの侵略者) は、結局、アッティラのごとく、短命、悲壮な死を遂げ る、だろう。。。3か月ほど前に、どこかの国のワンマンな元首相 (67歳) が、と うとう暗殺されたが、(我が輩は) ああいう (他人に恨まれて) 死ぬ様な真似は、 したくないものだ。。。
さて、その元首相の国葬に反対した国民 (世論) の8割が「大陸由来」だ、という Non-sense な発言をした女性議員 (閣僚!) は、(「本人自身」を含めて ) いわ ゆる「日本民族」 (縄文も弥生も) の祖先が全て、中国大陸 (モンゴルやチベッ ト高原) から元々渡来した (つまり、「フン族」と祖先が共通している) という 史実を、自覚しているのだろうか? この右翼的な閣僚の「教育水準」を疑いた くなる。。。
人類の祖先は、元々アフリカ大陸から、やってきた。従って、太古には、日本列 島は「無人の島々」だった (勿論、恐竜やマンモス等は、氷河期に、凍った日本海を渡り、既に棲息してい た)。 やがて、ホモ=サピエンスは (欧州大陸の) ネアン デルタール原人等と交配しつつ、モンゴールやチベット高原を経て、朝鮮半島づ たいに、日本列島にやって来た。 従って、元を正せば、「大陸」とは、アフリカ 大陸を指すことになる。。。政府の閣僚たる者は、自分の低い「IQ」を暴露するような発言は、努めて謹むべきで ある!

"ノーベル賞" に輝く PAK 遮断剤「イベルメクチン」:
インドでは、COVIDに対する "常備薬"!

いわゆる「民主主義國」の中で、最大の人口を誇るインド (全体主義の中国につい で、14億人) では、「イベルメクチン」が「COVID 治療用の常備薬」となりつつ あるというニュースを、北里研究所の大村さん (イベルメクチンの発明で、2015年 にノーベル賞) から、最近受け取った。2009年に我々は、イベルメクチンが「PAK遮 断剤」であることを突き止めた。更に、「COVID による肺炎がPAK依存性」である ことは、既知の事実である。更に、2020年初頭には、「イベルメクチンが、COVIDの 感染自体を抑制する」ことも、豪州メルボルンの研究室から報告されている。
従って、インド政府によるイベルメクチン ("安価な" ジェネリック製剤!) の供給は、 すこぶる理にかなっているが、石頭 の (非科学的な) WHO や FDA は未だに、それを認め ず、更に、イベルメクチンの製造元である「米国メルク」は、自社で最近開発し たATP 誘導体 (COVID のRNA-依存性 RNA polymerase の阻害剤) を販売 (押し売り) せんとす る「貪欲さ」のために、臨床用のイベルメクチンの供給を、急にストップした! 我が輩の知る限り、「ATP 誘導体/拮抗剤」 は一般に、様々なキナーゼやATPase など も阻害するので、様々な "副作用" が予想されるから、余り推奨できない!
旧態依然のワクチンは "COVID 変異体" には効かない! イベルメクチンは変異の いかんに拘らず効く! イベルメクチンは「人畜無害」だが、「家畜用」のイベルメクチン製剤は経口せぬ よう!
ただし、イベルメクチンは分子量が大きいので、それ自体では、BBB (血管脳関門 ) を通過し難い。 従って、 COVID が脳に感染 (脳血栓などが発生) した 場合 には、治療効果が少ない。 このような場合には、"BBB を開門する" 抗生物質 「Doxycycline 」等と併用すべし! 同様に、NF 腫瘍などの "脳腫瘍の治療" には、この併用が肝心!

2022年10月14日金曜日

ST-3009 合成 をめざす「酵素的」アプローチ :
Tryptophane (TRP) Hydroxylase for
Synthesis of 5-OH TRP or ST-2001?

我が輩の専門は発酵/酵素学で、有機化学では無いので、下記のごとき (奇想天外な) 計画/構想を練っている。
Staurosporine (ST) の骨格、Indolocarbazole 環は、生合成の過程で、2分子の Tryptophane (TRP) が重合して、このユニークな環が生成される (詳しくは、右図を参照) 。 従って、3位 に水酸基を持つST 誘導体 (ST-2001) を生成する海洋生物 (海綿) では、恐らく、 TRPの一つが重合する直前に、5位がTRP Hydroxylase によって、水酸化されてか ら、環を形成する可能性が高い。 ST-2001 のキナーゼ (PAK1) 阻害作用は、STの 50倍である。 ただし、ST-2001 を含めてSTの "kinase" 阻害作用は "非特異的" である。
従って、"PAK1 特異的" にするためには、更に、9位にBulky な側鎖 (例えば、ARG) を (エステル あるいはアミド formで) 付加する必要がある。
しかし、残念至極にも、この海綿が、20年ほど昔、グアム島沿岸から、忽然と姿を くらました! 恐らく、地球温暖化 (海水温度の上昇) のためかと思う。
そこで、ST の3位だけを (できれば) 選択的に、試験管中で、大腸菌などで量産 できる (いわゆる) recombinant TRP Hydroxylase (TPH) で、水酸化したいと思っ ている。 というのは、有機化学反応では、一般に、ST の3位 と9位は同等なので、 両方に水酸基が付加され、残念ながら、キナーゼ阻害作用が消失してしまう! ただし、この酵素 (TPH) は、"Tetrahydrobipterin (BH4)" と呼ばれる補酵素を必要 とする。 酵素的 (Stereo-specific) にST-2001 の合成に成功すれば、残る9位をアミノ化 し、更に側鎖の長いARGなどの(塩基性) アミノ酸をアミド結合させると、PAK1 特 異的な阻害剤 (ST-3009) が誕生するという寸法である。。。 一か八か (or 3か9か) の"博打"を打ってみる価値は十分ある!

2022年10月11日火曜日

PAK 遮断剤 への "最後" の挑戦 ( "将棋" の詰め):
新しい "CC" で, ST-2001 の "Dimer" 構築!?

「K-252a 」は非特異性のキナーゼ阻害剤だが、そのDimer である KT D606 は、PAK/MLK 特異的な阻害剤と前述した (然も、MLK阻害は細胞の増殖に全く無影響、つまり「副作用」無し!) 。。全く同じ論理が (K-252a の千倍近い活性がある) ST-2001 にも、適用されるはずである。 問題は、いかにして、 (「幻」となった ) ST-2001 を再現するかである! そこで、一案がふっと湧いた。先ず、 ST の3位と9位を両方、(ほぼ定量的に) 水酸化して、ST (3, 9-OH) を"有機" 合 成する。前述したが、この化合物は、9位の水酸基のため、阻害活性が全く無くな る。。。
次に、9位の水酸基だけを、COOH を有する比較的小さな有機化合物 (例えば、HOOC-CH=CH- COOH) でエステル化する条件を探索する。 理想的には、このカップリング反応に よって、2分子のST (3, 9-OH) を同時にエステル化することによって、(C4 を架 橋とする) 強力なST-2001 のDimer を、9位 (あるいは3位) を介して、構築する。 この 「華麗な」有機合成 (新しい "CC") は、挑戦し得る価値が大いにある!
そこで、そのプロジェクトについて、旧友 (かつ専門家) のジョン=ウッド (60、 エール大から テキサスにあるBaylor Uni に転勤) にメールで相談したところ、かなり乗り気になっ てくれた。 実は、北里研究所の現所長 (砂塚さん、有機化学者) とジョン (更に その奥さんも!) は、ペンシルバニア大学時代、(ベンチ=実験机を共有した) 同僚同士だっ たそうである。 この世の中は意外に狭い!
ウッドによれば、最近の ("硼素" 触媒を使用する) 実験では、 ST の 9位 (又は10位) のみを水酸化すると、その誘導体 (ST-2020) の阻害作用が、PAK1 に対して (比 較的) 特異的になるそうである。 従って、(分子量の大きな) Dimer を構築せず に、 (ST-2020 などから) PAK1 遮断剤を開発出来る可能性も出てきた。。。
更に、大村さんらの1996年文献 によれば、ST の 3位 又は 9位 だけをアミノ化し ても、(PAK1 依存の) 「血小板の凝集」を抑える作用は余り衰えない。 従って、(例えば) 9位を適当なアミノ酸で、"アミド化" した後、3位だけを水酸化して、PAK1 阻害作用 を一気に高めるという新たなアプローチも、十分可能だろう。。。 悪玉酵素 (PAK1) に「王手」をかけるべく、最後の「詰めの一手」を摸索中!

2022年10月10日月曜日

CEP-1347 と ST-3009: 幻の「PAK 遮断剤」

前世紀の終り頃に、我々が、その昔 (1977年に) アメーバで発見した「ミオシンキ ナーゼ」の仲間が哺乳類にも発見され、PAK (RAC/CDC42-activated kinase) と、 発見者である 英国人 のEd Manser (シンガポール大学) により、命名された。 更に、彼の研究室で、「PIX 」と呼ばれるSH3 蛋白が発見された。 実は、細胞内 では、PAK をフルに活性化するには、G 蛋白であるRAC/CDC42 の外に、PIX が必 須であるが判明した。 PIX のSH3 ドメインが、PAK 分子中の「PAK18」(18個のア ミノ酸からなる部位) に結合すると、PAK が活性化される。 逆に、PAK18 に相当 するペプチドは、PAKとPIXとの結合を抑えるため、癌細胞に、このペプチド(PAK18) だけを注入すると、癌化に伴う「膜ラフリング」 (アクトミオシンによる細胞膜 の収縮反応) が停止する! そこで、 我々は、PAK18 に細胞透過性を与えるため、 WR と呼ばれる16個のアミノ酸からなるペプチドベクターを連結させた。「WR-PAK18」 は、見事に細胞内に入り、癌細胞の増殖を選択的に抑え、正常細胞には全く影響 を与えなかった! しかしながら、ペプチドは一般的に、(1) 高価であるばかり ではなく、(2) 体内の消化器で分解 (代謝) され易い、という欠点がある。
そこで、我々は、WR-PAK18に代わるべき、「合成 PAK 遮断/阻害剤」を、論文上 で探索し始めた。 すると、1998年頃に、協和発酵と米国のCephalon により共同 開発された「CEP-1347」 (パーキンソン氏病の治療薬「候補」) が、PAKの下流にある「JNK 」と呼ばれるキナーゼを遮断/阻害するという、論文を見つけた! そこで、 我々は、この化合物 ( Indolocarbazole 環 を含む 抗生物質 「K-252a 」 の誘 導体) が、JNK を直接阻害するのか、それとも、その上流の キナーゼ (PAK ある いは MLK ) が直接の標的なのかを調べる計画を立てたが、残念ながら、Cephalon からこの試薬の供与を拒絶された。
そこで、「Indolocarbazole 環」類 の合成の専門家、エール大学の有機化学者 (ジョン=ウッド) に、CEP-1347 を始め、いくつかの「Indolocarbazole 環」誘導 体の合成を依頼した。 その結果、CEP-1347の直接の標的は、MLK と PAK である ことが判明した! 実は、「K-252a 」は非特異性のキナーゼ阻害剤であるが、その Indolocarbazole 環の 3位と9位に、大きな側鎖を加えた CEP-1347 は、ATP 結合 ポケットが2倍ほど大きな キナーゼ (MLK とPAK) にのみ「選択的に」結合する わけである。 実際、我々が開発した「K-252a 」の Dimer (KT-D 606) は、PAK に 特異的な阻害剤である。CEP-1347は「パーキンソン氏病」の治療薬として、数年 間、欧州で臨床試験にかけられたようだが、残念ながら、とうとう市販には至ら なかった。。。
今世紀が明けた頃 (2001年) 、ドイツ出身の海洋学者 (ピーター=シュップ) が、 グアム島の沿岸で、極めて強力なキナーゼ阻害剤 (IC50=1 nM) を海綿から発見し た! スタウロスポーリン (ST) の誘導体で、Indolocarbazole 環の 3位 に水酸 基が付加されている (我々は 「ST-2001」 と命名) 。 ST は元来、1977年に、北 里研究所の大村 智 博士 (2015年ノーベル受賞者) によって、土壌の放線菌から 発見された抗生物質で、「K-252a 」との違いは、「K-252a 」のペントースがヘ キソースに変換されているような化学構造を持つ。
さて、このヘキソースの御蔭で、ST は「K-252a 」の20倍ほど、阻害作用が強い が、やはり作用が非特異的である。 海綿由来の「ST-2001」は、水酸基のお蔭で、 更に50倍、阻害作用が強い。 そこで、大村さんから、(他の) 幾つかのST 誘導体を 頂いて、調べた結果、ST-2001 の 9位 にも水酸基が付加された化合物は、残念な がら、PAK 遮断作用が全くないことが判明した! 従って、理論的には、ST-2001 をPAK特異的な阻害剤にするには、9位のみに、水酸基ではない、ずっと大きな (で きれば、細胞透過性の高い「塩基性」のアルギニン等) を付加する必要があった。 この空想のST 誘導体を仮に「ST-3009 」と命名して、(近い) 将来、開発を楽し みにしていた。。。
ところが、 2003年頃に、(シュップやウッズと共同で) テキサスにある「NF 財団」へ、 研究助成金を応募した頃、グアム島沿岸から、頼みの「ST-2001 源」である海綿 が、(地球温暖化の為か) 忽然として、姿を消してしまった! 問題は、ST の3位 と9位とは、(化学的には) 同等なので、(有機化学反応で) 3位だけを水酸化するのは、極めて難しい! ところが、海綿 (恐らく、それに寄生した"微生物") の酵素は、3位と9位をはっきり区別することができるらしい。。。以来、 そのような (夢の) 酵素 (ST 3-Hydroxylase) を探索し続けている。。
最近の情報によると、シュップ博士はドイツ (ハンブルグ郊外にある海洋研究所) に戻って、海綿に寄生する各種の微生 物の中から、ST の生合成に関与する微生物 (特に放線菌) を同定しつつあるようだ。

2022年10月9日日曜日

友好的なライバル: トム=ポラード

ビタミン C の発見競争では、セント=ジョルジと米国のキングが、醜い争いを起 こし、それが、後々まで長らく尾を引いて「不幸な結果」を招いた。。。
さて、科学者の世界では、極稀れにではあるが、「友好的なライバル」関係が長らく存 続し得る。 卑近な例を一つ、ここで紹介したい。 我が輩がNIHのコーン博士の研 究室にポスドクとして、勤務し始める前に、ハーバード大学医学部出身のトム=ポ ラード (我が輩とほぼ同年) が、この研究室で、2、3年かけて、(土壌アメーバに 存在する) ミオシン研究に関して、極めてユニークな発見をした。 1。 前代未聞 の「単頭」ミオシンを発見、2。このミオシン (ATPase 1) のアクチンによる活性 化には、第3の蛋白が必須。 彼はこの時点でハーバードに戻り、インターンを終 えて、ジョンス=ホプキンス (JH) 大学医学部に助教授として就任。
筋肉で発見されていたミオシンは全て 「双頭」で、ミオシン分子2本が互いに絡 まっている。その上、(心筋の) 双頭ミオシン(ATPase 2) は、カルシュウム存在 下で、アクチンによって、容易に活性化を受ける。従って、トムは、この土壌ア メーバ中に、「謎の蛋白」を発見したわけである。勿論、彼は、その後しばらく、 このアメーバを使って、謎解きを継続していたようである。 我が輩の研究テーマ も、この謎解きに集中した。つまり、NIH と JH との間で、ミオシン ATPase 1 に関するいわゆる「デッドヒート」が展開しつつあった。。。
さて、驚くなかれ、実は、このアメーバには、双頭のミオシン(ATPase 2) も存在 することが、先ず (我が輩の手で) 判明した。しかし、ATPase 2のアクチンによ る活性化には、「謎の蛋白」は必要なかった! 次に、判明したことは、アクチ ンをゲル化する一連の蛋白 (Gel-actins) が存在することが判明した。 最後に、 "謎の蛋白の正体" が偶然、判明した。 実は、 NIHキャンパス内にある10号館に、血 小板のミオシン (ATPase 2) を研究しているグループがあった。 ハーバード出の ボブ=アーデルシュタインのグループである。 彼らは1975年に、血小板のATPase 2のアクチンによる活性化には、特殊なキナーゼ (燐酸化酵素) が必須であること を発見した! ミオシンは一般に、重鎖と軽鎖からなっているが、このキナーゼ は軽鎖だけを燐酸化する。 しかしながら、このキナーゼはアメーバのATPase 1を 燐酸化しなかった。
その後、2年が経過したある週末の昼前、我が輩は、アメーバに "前代未聞のキナー ゼ" を発見した! 何んと、ATPase 1 の重鎖だけを燐酸化するキナーゼであった。 これが、それから17年後に、哺乳類にも発見される「PAK1」の前哨だった。 その (世紀の) 発見を、偶々事務所にいたボスのコーンに報告すると、彼は早速電話で、(JHの) トムにそれを知らせ、3人で「意外な発見」を互いに祝い合った。 以後、半世紀 近く、この3人 ("Myosin kinase" 三銃士、師弟) の間には、「友好的なライバル関係」が続いている。。コーン博士 (94歳) もトムも一時癌に苦しんだが、結局無事に克服し、"健康長寿"を楽しんでいる。。。
30年後 (2007年) には、我々の手で、(1) このキナーゼが我々の寿命を司っている こと、及び (2) 市販のプロポリス (Bio 30) などが、それを見事に遮断することを発 見!
もし仮に、1932年のキング博士が、昔の弟子からビタミンCに関する報告を受け取っ た時、素直に、セント=ジョルジに祝電を送っていたら、恐らく、1937年に、この 3人がノーベル賞を分かち合う結果になったかと、私は想像する。。。覆水、盆に帰らず!
米国では、競争を奨励する余り、ライバル同士がデータの盗み合いや、グラントを 獲得するために、相手の足を引っ張り合う、ケースが頻繁である。 我が輩はそう いう (騎士道を心得ぬ) 風潮に飽き飽きして、結局、米国をあとにして、豪州に永住する決意をした。 トムは、我が輩同様、「ボストンマラソン」ランナーでもあるが、「騎士道を心得 る」数少ない米国人科学者である。。。

「誰がために鐘は鳴る」(ヘミングウエイ作、1940年)

セント=ジョルジ同様、 米国のノーベル賞作家、アーネスト=ヘミングウエイ (1899-1961) は冒険家だが、明 らかに反戦主義者だった ("ベトナム戦争" に強く反対!)。 「武器よさらば」や「誰がために鐘は鳴る」などの名作 を残している。 後者は、後に名優ゲイリー=クーパーとイングリッド=バーグマン共演で、映画化された。 1936年に始まったスペイン内戦 (独裁者フランコ政権に対する義勇軍の戦い) で、 米国から義勇軍として参加した青年 (ジョーダン) に扮するクーパーが、フラン コ軍の進軍を防ぐため、決死隊として、鉄橋をダイナマイトで見事に爆破する。 だが、 撤退中に、彼は敵の銃弾に倒れる。。。その瞬間、(彼の死を悼むかのよ うに) 遠くで教会の鐘が鳴る。。。つい最近、ロシア領と (ロシアへ無理矢理に 併合された) クリミア半島を結ぶ「ロシア製の長い鉄橋」が (何者かによって) 爆破された! その瞬間を描いたあるウクライナ画家の作品を背景に、スナップ ショットを撮る若い男女のシーンがインターネットに掲載された。その映像を見 た瞬間、我が輩は、懐かしの映画「誰がために鐘は鳴る」の最後のシーンを思い 出した。。。歴史は繰り返される!
「For whom the bell tolls」は確か、我が高校時代の英語の 「side-reader」 の 一つ。。。

2022年10月6日木曜日

セント=ジョルジ (1937年にノーベル化学賞) は なぜ、アクト=ミオシン (筋肉収縮) 研究でノーベル賞を逃したか?

ハンガリー出身の有名な生化学者、セント=ジョルジは筋肉収縮の生化学研究の 草分けであるが、何故か2度目のノーベル賞 (生理/医学) を逃した。 最初のノー ベル化学賞は、ビタミンC (アスコルビン酸) に関する研究で、1937年に受賞した。 ところが、このビタミンC (欠乏すると壊血病になる!) の化学的同定には、 米国のライバルであるチャールズ=キング博士がいささか 破廉恥な「行き過ぎ」 をやった。
セント=ジョルジは、英国のケンブリッジ大学の博士研究として、1927年に、ア スコルビン酸の結晶化に既に成功し、故郷のハンガリーに帰国していた。 一方、 米国ピッツバーグ大学のキング研究室では、壊血病を治療する研究を、モルモッ トを実験材料に研究していた。実は、人類とモルモットは、ビタミンCを体内で生 産できないので、それが不足すると、壊血病になる。 ところが、キングの研究室 には、優秀な化学者が不足していたので、ビタミンCが一体何かを同定しかねてい た。そこで、キング教室で、モルモット実験を修得したジョセフ=スビルベリー(博 士) は、故国ハンガリーに戻り、セント=ジョルジの研究室にポスドクとして、 勤務し始めた。
遂に1932年3月、 (このポスドクは) セント=ジョルジから受け取ったアスコルビン酸で、モルモットの 壊血病を見事に治すことに成功した! そこで、先ず直接のボスであるセント=ジョ ルジに、その結果を報告した後、昔のボスだったキング博士宛てに、手紙で、 結果を報告した。。。これがスキャンダルの「元」になった! というのは、翌 月 (4月1日) に、キング博士が単独名で、「サイエンス」という米国の一流雑誌 に、「ビタミンC はアスコルビン酸である」という短報を投稿 (=盗稿!) したのだ。 勿論、セント=ジョルジにも、ポスドクにも、「ことわり」無しだった。 それ を知ったセント=ジョルジは当然のことながら、烈火のごとく怒り、英国の一流 雑誌「ネイチャー」に、それに抗議する論文をポスドクと連名で、2、3日後に投 稿した。結果的には、「キング側の敗け」となり、1937年にセント=ジョルジ が単独で、ノーベル化学賞を受け取った。
しかしながら、不幸にして、この事件のしこりが、(特に) 米国内で長らく尾を引き、戦後 間もなく、セント=ジョルジが (ソ連の衛星國になった) ハンガリーを逃れて、 米国へ移住し、首都ワシントン郊外にあるNIH (国立予防衛生研究所) の "3号館" 地 下で、筋肉収縮の生化学、特に、アクチンとミオシン (ATPase) に関する草分け 的な研究を精力的に進めても、結局、(2度目の) ノーベル受賞には至らず、1954年に、い わゆる残念賞としての「ラスカー賞」を受賞するに留まった。 実は、この由緒ある3号館で、我が輩は1977年に「最初のPAK」 (ミオシンキナーゼ) を発見!
極めて不思議な現象だが、この「ラスカー受賞」後、半世紀以上を過ぎても、アクチンやミオシン等、い わゆる "Cytoskeleton" に関する研究で、ノーベル賞をもらった研究者は一人も いない! いわゆる「セント=ジョルジ事件」が今だにたたっているのだろうか?
彼を巡っては、大変面白い逸話が幾つか残っている。先ず、アスコルビン酸の結晶 化に成功した直後、「ネイチャー」に投稿した際、未だ機能がさっぱり不明だっ たので、"Godnose" (神のみ知る) とか "Ignose" (誰も知らない) と言う "ユーモアな" 名を提案し たが、「石頭」の編集長が "Reject" した。最終的には、(ポスドクの機転で) 壊血病の治療薬と 判明したので、Ascorbic Acid と改名した。実は、この酸性の糖 (ヘキソース) は、 当初オレンジなどから精製されたが、最終的には、ハンガリー名産の「赤いパプ リカ」に、ずっと大量に含まれていることが判明し、ノーベル受賞の際は、「パ プリカ賞」と、現地で呼ばれるようになった。 あの赤い色素は、カロチン由来な ので、"PAK遮断作用"もあり、我が輩は「健康長寿」のために、常食している。
最近発表された研究報告によれば、パプリカ"ジュース"は線虫の寿命を延ばす: Capsaicinoid- Glucosides of Fresh Hot Pepper Promotes Stress Resistance and Longevity in C. elegans. Plant Foods Hum Nutr. 2022 Mar;77: 30-36.
更に、"美白作用"もあることから、その「PAK遮断作用」は確実!
さて、"Prof" (セント=ジョルジの Nickname) はNIHを去った後、長らく癌研究に 取り組んだが、結局、泣かず飛ばずに終わった。 しかし、「アクトミオシン」の 研究を通じて、我々 「PAK」 (発癌/老化) 遺伝子の研究者世代に、その使命がバトンタッチされ、今日に至っ ている。。。
なお、「Prof」の生涯については、ラルフ=モス著 (丸山工作訳)『朝からキャビア を: 科学者セント=ジェルジの冒険』(岩波書店、1989年) を参照されたし。 丸山さん (1930-2003) はアクトミオシン研究分野の我が先輩。
実は、「ミオシンがATPase である」ことを最初に発見したのは、ソ連の有名な学 者だった。この発見がきっかけになって、"Prof" はビタミンC 研究から、「筋肉 収縮」の生化学研究に移行したが、ソ連圏には自由がないので、米国に亡命した。意外にも、ロシアの学者がイベルメクチンの "抗癌作用" を発見したのがきっかけで、我々は 2009年に「イベルメクチンが PAK遮断剤である」ことを突き止めた! 従って、ロシアの「悪党」政治家 スターリンやプーチンは論外だが、ロシアの優秀な研究 者による我々の いわゆる (健康長寿) 研究領域への貴重な貢献を決して忘れては ならない! もし、万が一、我々が存命中に、(PAK 遮断剤に関して)ノーベル賞/「パプリカ賞」を貰えるような 場合は、これらのロシア学者や "CC" 発明家 「Barry Sharpless」等を、 (温かい12月の) メルボルン (あるいはシンガポール) 大使館での授与式に招待したいと思っている。。。雪降る12月のストックホルムは、我々「ご老体」には、いささか寒む過ぎる! 実は、我が輩の (長年に渡る) 研究相棒である英国人、Ed Manser はシンガポール 大学で、長らく (30年近く) 研究を続けている。。。2008年にノーベル賞 (物理学) に輝いた南部陽一郎さん (東大卒) は、当時の最年長 (87歳) の受賞者で、永住先のシカゴにある大使館で、メダルを受賞した。 強いて言えば、我々の場合、天国からの招待状が先に届くか、それともスエーデンからのメールが先着するかである。。。
因みに87歳で1966年に、ノーベル賞 (医学) をもらった米国のロックフェラー大学 の癌研究者、ペイトン=ラウス (1879-1970) は、 鶏に寄生する癌ウイルス (発癌 遺伝子"SRC"を含む) の発見者である。実は、彼がこのウイルスを発見したのは、1911年 のことで、受賞対象となった研究を行ってから "55年" も待たされたのは、史上「最 長記録」 (ギネス記録!) である。

2022年10月4日火曜日

Warning (警告) : “Expedia” site (hotel or travel) is a “Scam” or “Thief" (泥棒!), and Don’t trust that site !!!

Through the (hotel) booking site (called expedia.com.au), I have recently booked the “cheap” accommodation (Stockholm Classic Budget Hotell, November 3-9, 6 nights), and paid the full fee (around A$600, A$100/night) in advance by my visa card Yesterday, but very strangely I haven’t received from Expedia (or the hotel owner in Sweden) any “confirmation” of my reservation to my e-mail address. So I sent my complaint to expedia@au.expediamail.com, but I received no reply or explanation from “Expedia” so far…
Well, if I remember correctly, several years ago, when I booked a hotel in outskirts of Melbourne for one or two nights through this site, a similar thing happened, and I had to pay the fee again to the hotel owner for our stay.
So this time I checked by internet site in order to check if “Expedia” is fake or scam. All complaints there strongly suggest that Expedia is indeed a “Scam” or “Thief” that we should not trust at all. Thus, I have to inform AFP (Australian Federal Police) that the fake "Expedia" site should be banned immediately.
The main reason why I tried to book a hotel accommodation in Stockholm is: I was recently invited by Karolinsca Institute (KI) in Stockholm for a special seminar (on November 4th, Friday afternoon) entitled “Chemical Evolution for Taming the “Pathogenic/Aging” Kinase (PAK1)”, and also scheduled to meet a local biotech or pharmaceutical company for discussing the possibility of our potent PAK1-blocker “15K” being under clinical trials. Unfortunately KI has no guest house, and I had to book a local hotel by myself.
In conclusion, I have booked another cheap hotel (Stockholm Hostel) in Stockholm through “Booking.com” site, which is truly reliable ( I got both “confirmation” and receipt immediately!).

2022年10月2日日曜日

2度目のノーベル化学賞: 「CC 専門家」の予想通り、
Click Chemistry (CC) の 発明者 (Barry Sharpless) へ!

2001年に、野依良治教授 (京大出身) ら と共に、(光学異性体に関する研究領域で ) ノーベル化学賞を受賞した米国 MIT の Barry Sharpless 教授は、その同じ年に、画期的な有機化学 反応 ( Click Chemistry、 CC) を発明した! このCC は、従来 (1960年以来) 知られていた 「Huisgen」反応 (Alkyne と Azide を高熱で縮合させる化学反応、生成物として 光学異性体である1、4-isomer と 1, 5-isomer が50% づつ出来る) を、更に改良 して、(室温で) 「銅触媒」を利用して、1、4-isomer のみを100% 生成できる反 応である。 (生物活性がはっきり異なる) 光学異性体の混合 (Huisgen 反応) 生成物から、(求める生物活性がある) 片方の異性体のみを分離するのは、甚だやっかいで、然も余計な経費もかかり、製薬企業からは余り歓迎されない。 従って、このCC が発表されるや、世 界的に一躍有名になり、年間1000報以上の「CCを利用する化学反応」論文が次々 と発表されるようになった!
我々 (生化学者) も、遅ればせながら (ようやく2015年頃から)、このCC を利用 することに気づき始め、COOH を含む (細胞透過性が低い) PAK遮断剤 (ケトロラッ ク等) の透過性を飛躍的に上げることをめざし、(水溶性の高い) 1、2、3-Triazolyl エス テル化に利用した。 その結果、驚くなかれ、市販の鎮静剤「ケトロラック」の透 過性が、たちまち "500倍" 以上に高まった (ギネス記録を樹立!)。 従って、我々自 身の例 (「15K」の合成) をも含めて、このCCは、ノーベル化学賞に値いすると、我々は確信してい る! さて、今年のノーベル化学賞の受賞発表は10月5日 (水) の予定であるが、 Sharpless 教授の「2度目の受賞」の可能性が、かなり高まりつつある。。。
予想通り、彼は、他の2名の学者 (コペンハーゲンの Morten Meldal 教授 とスタンフォード大学の Carolyn Bertozzi 女史) と、今年の化学賞を分かち合った!勿論、Barry 宛てに急ぎ祝電 (メール) を送った! 数年前の夏に、彼はメルボルンに初めてやってきて、 CC に関する特別講演を「WEHI」 (メルボルン大学病院の隣) でやってくれた。
我が輩の記憶が正ければ、ノーベル化学賞を2度も受賞した例は極めて稀れで、英 国 Cambridge 大学の生化学者、フレッド=サンガー (1918-2013) で、最初の受賞は1958年 (インス リンのアミノ酸配列)、2度目の受賞は"22年後"の1980年 (DNAの塩基配列) だったと記憶して いる。。。
女性では、ポーランド出身のマリー=キュリー (1867-1934) が、ラジウムの発見で、 夫ピエールと共にノーベル物理学賞 (1903年)、後に単独でノーベル化学賞 (1911年 ) を受賞したことは、特筆に値いするだろう。。。
なお、2022年の Nobel 生理/医学賞 は、 人類の進化を研究したSvante Paabo 教 授 (スエーデン人、Leipzigにある Max-Planck 進化人類学研究所の所長、沖縄にある "OIST" にも所属) が受賞。 "ネアンデルタール原人" 特有の(感染免疫などに関する) 遺伝子が、現代の人類のゲノムにも 2-3% ほど含まれていることを証明。 従って、(約4万年昔、絶滅する前の) ネアンデルタール原人とホモ=サピエンスとの性交 (交配) が、そ の後の人類の進化 (少なくとも、健康長寿) に寄与したことが明らか。 言い換えれば、「異人種同志」の 交配 も、人類の進化 (改良) に寄与することが、予想される。 逆に、近親結婚や「人種差別」は、人類の退化のみをもたらす。。。雑種共生と越境が、文明の発達の原動力である!
詳しくは、Svante Paabo著 (自叙伝風)「ネアンデルタール人は私たちと交配した 」(訳本、文藝春秋、2015年) を参照されたし。 もし、我々薬学者が近い将来、同様な自叙伝を著わすとしたら、 その題名は恐らく「生化学者がCC有機化学者に恋をした時」となるだろう。。。

2022年9月30日金曜日

適者生存: 「一日一万歩」 か 「PAK遮断剤」?

我が輩 (80歳に、後一ヶ月、骨皮筋衛門) は、若い頃 (特に、高校/大学時代) 、 競歩の選手として、時速10 km のスピードで、毎日「競歩」していた。 (競歩選 手の歩幅は、1 m 以上だから)、 毎日一万歩なら、10 km 以上の距離を毎日、踏 破することになる。十分な運動量 (カロリー消費) だから、「長生き」は十分保 証できる。 昔からの競歩仲間で、(交通事故死) を除けば、若死にした連中は独 りもいない!
現在は、自宅から最寄りのスーパーまで、(片道) 約20分の距離を、 (買物かご代わりに) ザックを背負いながら、毎日のように (速歩で) 往復してい る。恐らく、スピードも歩幅もかなり低下しているから、5 km 程の歩行量だろう。。。
不幸にして、多くの人が様々な理由で、速歩や歩行が困難になっている。 然しな がら、車椅子でも、「電動式のシニアカー」 (時速6kmの 3輪あるいは4輪) を運 転している障害者や高齢者の皆さんでも、背筋さえピーンと立っていれば、様々 な「PAK遮断剤」(例えば、プロポリス、納豆、ビタミンD3, 海藻由来のフコイダ ン、ヨーグルトやカルピスなどの酸乳製品 etc ) を、常用していれば、「一万歩」に匹敵する(長生き) 効果を期待でき る!
逆に、五体満足ながら、運動もせず、"大食" ばかりしている、いわゆる「肥満症族」 (少なくとも「男性人口」の3割以上) には、「短命」は保証できても、「長寿」はとても保証できない!
「1万歩」を歩いた場合の消費カロリーは、だいたい散歩程度の速さで90~135kcal、 急ぎ足の速さで、210~315kcal 程だそうです(歩く速さ (=C) や体重 (=M) によっ て変化!)。
恐らく、アインシュタインの有名な方程式、 E=MC2 (2乗) に沿って、算出されるのかもしれない。 従って、体重が棉のよう に軽く、速さが亀のように遅い場合には、余り「消費カロリー」は期待できない! 速く歩く (あるいは走る) と汗が出るのは、体内の脂肪が燃焼して、体温が高まるため、それ を「気化熱」で冷やすため。
従って、「汗水」出して働けば、(たとえ) 歩かなくても、カロリーは十分、消費出来るはず!

2022年9月27日火曜日

「国賊」の国葬に、豪州から現首相と元首相3名が列席!

(欧米諸国の首脳陣から「総スカン」を受けた) 「国賊」安倍 (元総理) の国葬に、豪州から現首相 (労働党) を始め、3人もの首 相経験者 (いずれも、保守的な自民党出身者) が列席した! 残念ながら、豪州 は、 「医療」と「インターネット」以外の高度な二次産業レベルが低く、第一次生産 物 (石炭、鉄鉱、天然ガス、羊毛、小麦、牛肉、ワインなどの農産物) が主な輸 出品目なので、その主要な輸入国である日本に、がん首を揃えて、わざわざ「詣 で」しなければならぬ " 経済的な事情 " ( "胡麻すり" 商人の卑屈さ) があるようだ。。。
日本に生まれながら、ひどく封建的な日本社会に、とうとう愛想をつかして、(開かれた) 豪州に長らく (30数年) 永住 (安住) している我が輩にとっては、ひどく残念至 極な気がする。。。
豪州は、米国、英国、日本などの、いわゆる経済大国の「奴隷 / 傀儡」になっては、ならない! 同じ 英連邦内でも、カナダやNZ は、そんな「胡麻すり」をしていない。。。
我が輩自身は、英国のエリザベス女王 (2世) の死去を機会に、豪州は速やかに英 連邦から離脱して、「共和国宣言」をすべきだと、思っている。
少なくとも、230年以上前まで、数万年の長きにわたって、豪州に土着していた原 住民 (Aboriginals) の子孫は、英国を (プーチン同様) 「侵略者」として見なし ているので、「独立宣言」の機会を狙っている。。。驚くなかれ、1967年まで、原住民の子孫には、豪州の「市民権」が認められていな かった! その (植民地的) 状況は、日本政府/米軍統治下の「沖縄県民」 (琉球原住民) のそれに酷似し ている。。。

2022年9月17日土曜日

"道なき道" を進んで、"未踏峰" に辿り着く!

それが、亡父の (冒険好きな) 我が輩に強く勧めた (やや厳しい) 人生航路だった。 「道程」の作者、高村光太郎も、そういう道を選んだ。 曰く: 僕の前には、道はない。僕の後ろに道ができる。。。 しかしながら、誰でも、そういう生き方で成功するわけではない。 一番大事なのは、自分が「好きな生き方」を選ぶことだ! "好きこそ、物の上手なれ", だからだ! もし、我が輩が「研究/冒険 嫌い」だったら、決して「PAK」には到達できなかったろう。。。
もう一つ大事なことは、日本語以外の言語 (特に、英語) をマスターすることである。 それができないと、いつまでも、(一億人以上がひしめき合う) 狭い島国に留まらずを得ない。 つまり、いわゆる「越境」ができない! 海外に越境すれば、「道探し」に成功するチャンスが100倍以上に増大する。。。言い換えれば、「近視眼」から、視野がずっと遠くの地平線にまで広がる!
クラーク教授 (北大の前身, 札幌農学校) の有名な言葉 「大志を抱け!」とは、即「越境せよ!」を意味すると、我が輩は、昔から解釈している。

5月15日は “ヨーグルトの日” (明治乳業の発案)

最近のニュースによれば、今年の「Fields 賞」受賞者は 4名だったが、その中の一 人は、ウクライナの首都キエフ出身の女性 (幾何学が専門)、Maryna Viazovska だそうである。女性としては、歴代 2番目の「Fields 賞」受賞になるそうである。 (ロシアの独裁者 "プーチン" と戦う) ウクライナ国民にとって、「力強い精神的後押し」 になるだろう。。。
さて、都内の図書館で最近読んだ、”国境を越えたウクライナ人”(オリガ=ホメンコ著)によれば、"5月15日" は、ウクライナ生まれの生物学者イリヤ=メチニコフ (1845-1916)の誕生日に当たるそうである。 彼の専門は、免疫学 (1908年にノーベル医学賞を受賞!)と長寿の研究だったが、ブルガリアに旅行中、多くの元気な高齢者に遭遇して、その理由を調べた結果、ヨーグルトを発酵する乳酸菌が、長寿を支える “ある物質” を生産していることを突き止めた。その後、100年以上経ってから、その物質の一つが、”酪酸“ であることが判明した!
勿論、以後、彼もヨーグルトを常食し始め、71歳まで長生きした。 100年前の平均年齢は、わずか40歳だった、という史実に照らし合わせると、相当な “長生き”! 我々自身の研究から、酪酸は、HDAC (Histone Deacetylase) の阻害剤で、その下流にある “PAK” (老化酵素)を遮断する。 前述したが、酸乳飲料 “カルピス” も同様な理由で、酪酸などを介して、健康長寿に寄与している。 カルピスの開発者、三島海運 (1878-1974)も、そのお蔭で、97歳の長寿を全うした。 従って、メチニコフの前例に倣って、三島さんの誕生日(7月2日)を “カルピスの日” と名付けたい。。。
実は、東大薬学時代の私の博士論文は、メチニコフが発見した“貪食細胞”(マクロファージ)による (抗体を介しない)“自他の認知メカニズム”に関する研究だった。 奇妙な偶然だったが、前述のLICR (メルボルン支部) の所長 (Tony Burgess) は、 メルボルン大学病院の隣にあるWEHI (南半球最大の医学研究所) で、マクロファー ジの増殖因子の研究をポスドク時代に研究していた。。。世の中は狭いものである!
なお、この本の著者、ホメンコ女史はキエフ生まれのウクライナ人であるが、来日して、東大の文学部で博士号を取得したのち、米国のハーバード大学の客員教授などをしている。 従って、彼女自身も、“国境を越えて” 世界的に活躍しているウクライナ人の一人である。 
この著書は、プーチンによる “ウクライナ侵略” の直前に出版された。“

2022年9月16日金曜日

Gough Whitlam (1916-2014): 豪州で最も尊敬に値いする首相

我が輩は1988年以来、既に30余年、豪州のメルボルンに永住しているが、豪州の史 上、最も尊敬に値いする首相は、1972年から1975年まで、労働党 (ALP) 内閣を担当して いた Gough Whitlam (1916-2014) であると断言して良いと思う。史上、最も「革 新的な」政治家だった! メルボルン大学など豪州内の全ての国立大学から授業 料を廃止し、「大学教育の無料化」を断行した! 実は、我が輩は、(幸か不幸か ) 貧乏な家庭に生れ育ったので、中学を卒業して以来、都立高校でも国立大学でも (大 学院の5年間も含めて) 、授業料免除と奨学金のお蔭で、12年間という長きに渡っ て学業を何とか続け得た厳しい体験があるから、その意味が痛く理解できる。
驚くなかれ、このWhitlam 首相の革新的政策が、1988年に、我が輩が (赤道を渡っ て) 米国から豪州へ永住する決心をした切っ掛けにもなった! 1972年に米国カ ルフォルニア州の南端 (サンディエゴ) に、ある母子家庭が住んでいた。母親は (ギ リシャ出身の) 数学の教師で、9歳から12歳の幼い2人の息子と2人の娘 (双子) と共に貧しい暮らしを強いられていた。 実は、これらの子供達の父親 (生物学者 ) が研究所で、「不倫」を犯したため、妻が敢えて、「離婚」を宣言したのだ。 しかしながら、米国で、母親だけの乏しい収入で、4人の子供に最高の大学教育を 受けさせるのは、不可能に近かった。 彼女自身は、名門バークレー (カルフォル ニア州立大学) 出身だが、大部分の名門大学は、ハーバードやスタンフォードな ど(月謝の高い) 私立大学だったからである。そこで、豪州でWhitlam内閣が、 「大学教育の無料化」を宣言するや、4人の子供を連れて、豪州のメルボルン郊外 に永住を決心した! 以来14年間、母親は高校で数学の教師を続けながら、4人の 子供達全員に、大学教育の機会を与えるという誓いを、見事に果した! 特筆すべきは、 末っ子のダニーはメルボルン大学で数学を専攻し、最終的には、英国のケンブリッ ジ大学で数学の教授に就任し、その息子も同じ大学で、目下数学を専攻している!
因みに、「Fields賞」(数学のノーベル賞」受賞者 (40歳未満!) の出身校を調べる と、ハーバード大学 (160名) についで、ケンブリッジ大学 (120名) が2位を占めてい る。。。
さて、その母親 (ラルフ夫人) は、1986年の初め頃、豪州での大任を果たして、 独りサンディエゴにある実家に戻り、近くにあるUCSD (カルフォルニア大学分校 ) の教師や学生相手に、下宿の経営を始めた。 我が輩は4年間に渡り、西独のミュ ンヘンにあるMax-Planck 研究所で (研究と登山) 生活を終え、米国東岸の名門エー ル大学で、1年半程の研究を終え、1986年の秋に、西岸のUCSDに転勤してきた。 そして、この下宿の「棚子の一人」となった。 実は、我が輩は、院生時代から、 「研究の鬼」というあだ名で呼ばれるほど、研究熱心の余り、家庭をもち、子供 を育てる人生には、余り興味がなかった。 極端な言い方をすれば、動物なら誰 (猿でも犬猫) でも出来ることで、「人類特有の頭脳」を必要としない活動だから だ。 しかしながら、ラルフ夫人の豪州での「孤軍奮闘」には、深く感銘した! 更に、彼女の料理は抜群だった。特に、「Sacher Torte」と呼ばれる、ドイツ/オー ストリア名物のチョコレートケーキを焼く腕は見事だった。
そして、その年のクリスマス=イブに、とうとう 彼女 (私の5歳年上) に結婚を申 し込んでしまった (我が輩の両親は、勿論、それに大賛成してくれた)! 翌年6月に、2人は市役所で結婚し、彼女の息子や娘たちが 住むメルボルンに、「Honey Moon」を兼ね、我が輩は初めて豪州入りした。 季節 は真冬だった! メルボルンの安ホテルで、地方紙 (AGE) を読んでいると、最寄りのメルボ ルン大学病院構内にある「ルードビッヒ国際癌研究所」(LICR) が、上級研究員を 募集中であることが判明した。 そこで、試みに応募して、セミナーをやってみる と、所長に大変気に入れられた。 そこで、即 「LICR 」への就職が決まり、豪州 へ永住することとなった。
思えば、この切っ掛けは、正に Whitlam 首相の「大学教育の無料化」政策 (1972年) だった! もし、この政策が断行されなかったら、 米国のラルフ夫人がはるばる豪州に永住することもなかったし、言わんや、我が 輩が豪州を訪れることはなかったろう。 従って、我が家は、彼の「先見の明」に 感謝せざるを得ない。。。
亡父曰く「チャンス (幸運) という名の女神は、待ち構えていて前髪を掴めばならぬ! 通 り過ぎてからでは、もう手遅れだ。後ろ髪がないからだ!」。実は、この名言は元来 「ギリシャ神話由来」で、頭が禿げているのは「カイロス」(Chance) と呼ばれる男神。。。

2022年9月14日水曜日

「銅像/胸像」として残しておきたい有名人?

最近、「銅像として残しておきたくない」(現存の) 有名人の中に、ロシアの独裁 者「プーチン」が真っ先に挙げられている。 トランプ (前米大統領) が、きっと次に挙げられるだろう。 日本人の政治家の中では、管 (前総理)、森 (元総 理) や麻生 (元総理) などが、真っ先に挙げられているようだ。 何となく、その 理由が、私にも理解できる。。。
さて、 私は「より建設的な」意見を述べたい。つまり、一体誰が、「銅像/胸像として 残しておくべき価値のある」有名人だろうか? 世界的には、バラク=オバマ (元米大統領) が「段突」だろうと、私は思う。ドイツの前宰相、アンゲラ=メル ケルも、その有力な候補であろう。 さて、日本の有名人の中では、一体誰だろう か? 私は、海外に半世紀ほど暮らしているが、(敗戦後の) 日本の政治家は、誰 をとっても、「銅像/胸像の価値」には、資質が欠けているような気がする。北大 (旧札幌農学校) のキャンパスに残る「クラーク教授」胸像 (若者よ、大志を抱け!) に勝る人物はいない。 大志を抱く若者 (boys or girls) なら、一生に一度は、彼の胸像を訪れることを お勧めしたい! 信じ難い話だが、この胸像 (原作) は、戦時中、「兵器」製造のために、軍部へ強制的に供出された ! 現存の胸像は、偶々 (札幌市内のある教会に) 保存されていた石膏 (鋳型) から、戦後 (1948年) に再鋳造されたもの。
強いて言うならば、「政治家ではない」 (憲法上、政治的発言はできない) 、 「日本の象徴」であった現在の上皇 (平成天皇) を、胸像の候補に挙げたい。彼は、 日本の歴代の天皇の中で、最も「我々庶民の目線」で、職務を果してきたように、 少なくとも、私は思うからだ。。。
とは言え、私は、現在の「象徴天皇制」を決して擁護する積りは毛頭ない! 象徴天皇制は、マッカーサー元帥による日本占領 (統治) を容易にするために、 (昭和) 天皇を、元帥の単なる「傀儡」に利用しただけであるからだ。 元帥は既 に罷免され、然も、あの世にござる! 現行の憲法は速やかに改正 (=改善!) 、 憲法の1 - 8条 (天皇に関する条項) を破棄し、天皇家をいわゆる「かごの鳥」状態 から解放し、(我々「民間人」同様) 「自らの意見を自由に発言できる」ように、すべきであ る! 当然ながら、民間人になれば、我々同様、自分の「生活費」は、国税に頼らず、 「自分の手」で稼がなければならなくなることも併せて指摘したい。。。

2022年9月11日日曜日

「普三の暗殺」直前に、旭川市内で発生した
"右翼" による「ビーナス像の破壊」事件!

6月中旬から2カ月ほど、いわゆる「命の洗濯」のため、私は、大雪山山麓に広が る旭川市内に逗留していた。 主な目的は、大雪山山脈周辺のハイキング/散策で ある。 しかしながら、市内の路上には、あちこちに、様々な彫刻像が、人々の目 を楽しませていた。その一つが、旭川駅前から、南方へ真っ直走る「買物広場 街道」に並ぶ作品である。街道は、最終的には、左に折れて、(石狩川河川沿いの )「常盤公園」に通ずる。。。
7月始めのある早朝のことだった。いつものごとく、5時頃、未だ薄暗い買物街道 を通って、公園へ散策の途中、市役所近く、6条の角あたりにある駐車場で、 "ミロのビーナス" の白い石膏像が、首と胴体に切断されて、無惨に、地面に放置さ れているのを発見した! 胴体には、 "NADC.JP" というタスキがかかっていた。。。 残念ながら、旭川では、寄宿していたマンスリーマンションのWiFiがあいにく、 作動しなかったので、インターネットで、この所有者が一体誰だったのか、(都内 に戻るまで) 特定することができなかった。 1カ月後に、都内に戻り、その持ち 主が、(旭川市内で活躍する) 野村市議 (立憲民主所属、米国帰りの音楽家/不動 産業者?) であることが判明した。
実は、"NADC.JP" は 彼の後援会の事務所だった。 この市議が最近、特に力を入れ ていた活動の一つは、例の「旧統一教会」など右翼団体による旭川市条例の「 改悪」を、断固阻止する運動だった。 私の推測では、ビーナス像の破壊は、こ れら右翼による "NADC.JP" に対する悪質な「嫌がらせ」の一環である、と思われ る。 早速、東京から野村市議に電話連絡をしたところ、野村さん自身も、ビーナス像 の破壊 (事件) を目撃したそうである。。。
私は薬学者なれど、「芸術家の端くれ」でもあるので、数日後、(放置されたままの) 「ミロのビーナスの首」 (縦横30 cm 前後) だけを、”デッサン” 用として、(マンションの部屋に) 大事に保護した。残りの胴体は重過ぎて、今でも (駐車場に) 放置されたままだが。。。
"右翼"の暴力に決して屈するな!
できれば、この石膏 (頭部の鋳型) を、メルボルンに持ち帰り、「クラークの胸像」 の例にならって、例えば、軽量な「素焼き製」の頭部を (プーチンに対抗する) 「平和のシンボル (女神)」として、再製してみようと計画し ている。。。
実は、メルボルン郊外に住む我が親友の兄貴 (Dave Farrell) は、絵描きであると 共に、プロの彫刻家でもある。もし、将来、我々の開発したPAK遮断剤「15K」が 見事に臨床テストに成功し、世界中で市販されるならば、ノーベル賞 (医学ある いは化学分野) に値いするので、「豪州に永住する最初の日本人」ノーベル賞候 補として、我が胸像を、(我が「遺灰」を太平洋に散骨すると共に) 我が家 ("PAK Research Center" 記念館) の玄関前に飾ることを、 Dave に依頼してある。。。彼なら、ビーナスの頭部を再鋳造するのは、朝飯前だ と確信している。。。

2022年9月10日土曜日

(悪玉 “晋三”を 退治した)山上君の“減刑”を嘆願しよう!
「普三」の死 と「女王」の死が極めて対照的!

実は、5月中旬から、4カ月ほど、日本 (特に、東京都内と北海道の旭川市内) に避 寒のため、逗留していた。「インターネットの不具合」のため、しばらく「ブロッ グ」の執筆を休刊していた。。。
奈良地検は、山上容疑者(41)の刑事責任能力の有無を調べるため、目下、大阪拘置所で鑑定留置を続けている。 驚くなかれ、拘置所には(現金書留で)100万円を超える現金や、衣類、食料品、漫画本(?)の差し入れが寄せられている。 収容し切れず、一部は弁護人を通じて親族宅に届けられたという。 更に、ネット署名サイトの 「Change.org」 では、山上容疑者の“減刑”を嘆願する署名活動が続き、7900筆を超える署名が既に集まっている。。。
正常な頭の持ち主なら、“晋三”の死は、明らかに “天罰” と見なすだろう。 従って、敢えて、自分の死(死罪)を顧みず、その任務を見事に果たした山上君は、実に “あっぱれ”である! その英雄を、死刑や終身刑などに伏すのは、いかにも口惜しい。。。
(旧約聖書によれば) 2千年以上昔、古代イスラエルでは、悪漢 “ゴリアテス” を首領とする異民族が、イスラエルを襲撃した。羊飼いの少年”ダビデ”は、ただ独り、この首領と立ち向かい、パチンコ(石打)で、首領の眉間を見事に打ち抜いて、退散させた。 のちに、ダビデは、イスラエルの王様に選ばれた。 つまり、山上君は、ダビデに相当する人物なのだ! 
私は、(ウクライナの人々と共に)、更に、ロシアの悪党 “プーチン”を、一打の元に暗殺する (別の) “英雄” の到来を、今か今かと、秘かに待ち望んでいる。。。
岸田内閣は、何を血迷ったか、「普三」の国葬を 多額の国費 (=国民の血税) で開 催すると、一方的に発議したが、英国で、つい最近、エリザベス(二世) 女王が96歳 で急死したため、海外の "首脳" (ロシアのプーチンを除く) が 挙って、「女王の国 葬」 (9月19日ごろ at London) に参列するために、英国へ殺到し、日本での「いかがわしい国葬」には、恐らく、殆 んど列席しないだろう。。。 勿論、天皇家 (上皇 or 天皇夫妻自身) は、(親交が厚かった) 女王の国葬へ参加し、(その後の) 日 本の国葬には、参加しないそうだ! さすが「日本の象徴」が下した判断は、「国民全体」の意見を良く反映していると 思われる。。。

2022年5月10日火曜日

分子遺伝学に基づく「健康長寿」法:
PAK 遮断剤/食物の同定と開発

ある特定の遺伝子の発現や機能を抑えると、動物が健康に長生きする。言い換えれば、その遺伝子は「老化」遺伝子である。 最初に線虫で見つかった「老化」遺伝子は、発癌遺伝子の一つで、燐脂質を燐酸化する「PI-3 キナーゼ」を発現する遺伝子だった。 このキナーゼは、我々哺乳類では、発癌にも必須であるが、心臓の機能にも必須だから、このキナーゼを抑制すると、長生きできない (幸い、線虫には、心臓がないので、長生きできる!)。
この発癌キナーゼによって、活性化される酵素 (キナーゼ ) が少なくとも2種類、知られている。PAK と AKT である。 AKT は哺乳類の心臓の機能に必須なので、抑制すれば、死に至る! さて、発癌に必須であるPAK はどうだろうか? そこで、我々は、PAKを欠損した変異体に注目した。 先ず、線虫では、PAK欠損株では、「少子化 」が起こる (産卵数が激減する)。 一般的には、「産卵数は寿命と反比例」する。従って、PAK欠損株は長寿である可能性が高い。。。 実際、線虫でもマウスでも、PAK欠損株は、野性株に比べて6割ほど長生きする! これが、PAK 遮断剤で、我々人類の健康長寿を実現しうる科学的な「根拠」である。驚くなかれ、植物にはPAK遺伝子が存在しないから、何千年も生き延びることができる!
さて、寿命を測定する実験は、最短の線虫でも2週間 (20度で)、マウスでは2年半、人類では 80年以上かかる。。。 従って、(先を急ぐ) 大部分の若い寿命研究者 (学生/ポストク) は、線虫を実験材料に選ぶ。時は金なり! しかしながら、哺乳類の細胞培養系を利用すると、"答え" (=PAK遮断剤の同定) が数日以内で、得られる場合がある。 我々は数年前に、メラニン色素を合成するメラノーマ細胞の「PAK遺伝子の発現を遮断」すると、メラニン色素の合成が半減することを発見した。 つまり、メラニン色素の合成には、PAKが必須であることが判明した! そこで、「美白」(メラニン色素合成を抑える) 作用を指標に、PAK 遮断剤/食品 を敏速に同定/スクリーニングする方法を考案した! 「必要は発明の母」である! 以来、 プロポリスばかりではなく、メラトニン、フコイダン、酸乳飲料「カルピス」など様々な、いわゆる健康食品が、PAK遮断剤であることを、科学的に突き止めてきた。
勿論、これらの天然物のPAK遮断作用は (様々な理由から) 余り強くないので、我々は (遠い将来を見据えて) 有機化学の "粋" を集めて、現存の天然物より "千倍以上"も 強力な合成PAK遮断剤 「15K」も開発し、特許を取得している。。。言い換えれば、"健康長寿" をめざす「創薬」に成功するには、遺伝学、生化学、分子病理学、有機化学など、 幅広い学問分野に "熟知" している必要がある。。。

2022年5月9日月曜日

"アラビア の ローレンス" (1888-1935)

第一次世界大戦中に、アラビア半島で活躍した英国陸軍の連隊長、トマス=ローレンス (1888- 1935) は、後 (1962年) に映画「アラビアのローレンス」の主人公として、再登場する。 主人公の役を演じたのは、英国の名優、ピーター=オトウ-ル。 本人は、英国貴族 (チャップマン男爵、父) とその使用人 (家庭教師、母) と間に生まれた、いわゆる「私生児」。 暗い少年時代を送ったが、オックスフォード大学で、語学の得意なローレンスは歴史学/考古学で頭角を現し、7年ほど (1907-1914) 英国博物館の職員として、シリア方面で遺跡の発掘に参加する。1914年に第一次世界大戦が、英仏 とドイツとの間で始まると、アラビア方面に詳しいローレンスは、エジプト駐屯の英国陸軍の連隊長として、ドイツ側に就くトルコ (オスマン=トルコ 帝国) を攻撃するために、中東の砂漠に住むベドイン族、特にファイサル (後にイラク王) と協力して、首都ダマスカスの攻略に心身を注ぐ。これが、後の映画「アラビアのローレンス」の主舞台になる。
さて、戦後、英国の外交官として、講和会議に出席し、盟友ファイサルのために、中近東に大きな領土が獲得できるように努力するが、英仏の政治家の策略に翻弄 (騙) され、結局、イラクの領土しか保証できなかった。 失望/幻滅 したローレンスは、凡ゆる役職を辞退して、森の中の(電気も水道もない) 一軒屋で隠遁生活を始め、回顧録「7本の英知の柱」(1926年に出版) の原稿を執筆し始める。彼の趣味の一つは、人気のない森の中をモーターバイクでつっ走ることだった。不幸にして、森の小道に突然現れた人影 (2人の少年) を避けようして、大木に衝突し、即死ではなかった、間もなく病院で他界した。 ある意味で、ローレンスは20世紀の「ドンキホーテ」(愛すべき冒険家) だった。。。我が輩自身も冒険家の端くれであり、(ピーター=オトウール同様) ドンキホーテやアラビアのローレンスなどの純粋/素朴な冒険家が大好きである。。。日本には、この種の冒険家が少ないが、17世紀 初頭 (鎖国時代) に、タイ 國 (昔の「シャム」) で大活躍した「山田長政」(1590-1630、商人、軍人: 悲劇の最後を遂げたが) は、我が輩の少年時代からのヒーローだった。。。もし、ローレンスが現存していたら、、ウクライナでコサックと共に、ロシア軍を敵に回して勇敢に戦っただろう。。。

2022年5月5日木曜日

ヒマワリ由来の "Secoisolariciresinol" 配糖体:
「健康長寿」をもたらす "PAK" 遮断剤
ヒマワリは ウクライナの "国花"!

ヒマワリは「ウクライナの国花」であるが、 実は、ヒマワリの種由来のポリフェ ノール配糖体の一種、Secoisolariciresinol 配糖体は、ウクライナ人 (コサック ) の健康長寿を支えるPAK遮断剤の一種であることが、最近、中国の四川省の研究 グループによって、明らかにされた。 線虫の寿命を25% 程延長するそうである。
そこで、 (ロシアによる侵略と勇ましく戦う) ウクライナの人々を支援する一環 として、ヒマワリ産物 (特に種) を健康食品として、積極的に購入するというア イディアは如何だろうか? 勿論、種を自宅の庭に植えて、ヒマワリの開花を楽 しむ、というやりかたもあるが (実は、我が輩は何度も「種蒔き」を試みたが、 近所の「飢えた」野鳥が直ぐ食べてしまうので、ヒマワリの植樹には成功したことがない) 。。。
そういえば、我々の世代が大学院生であった頃、イタリア映画 で「ひまわり」と いうのが上映されていた。 名女優ソフィア=ローレンが主演の映画だが、我が輩は 実験で忙しく映画を見る暇はなかったが、あらすじによると、第二次世界大戦中 に、イタリアの兵士がソ連に出征する前に、妻から「一握りのひまわりの種」を もらった。たとえ、戦場で 戦死しても、種が美しいひまわりの花を咲かせるだろ うと。。。 夫はとうとう戻ってこなかった! 実は、戦死したのではなく、シベ リアで、命を助けてくれたロシア生まれの娘と結ばれて、別の花を咲かせていた (悲劇か喜劇か)。 正直な話、日本でこの映画が "大ヒット" した理由が、我が輩には未だにわからない。。。
2年後に、博士号をもらってから暫くして、我が「初恋のヒト」と一緒に、有楽町 で「ラ=マンチャの男」(ドンキホーテの話) (ソフィア=ローレンとピーター=オトゥー ルの共演) を楽しんだ思い出が、ふと甦った。。。ピーター=オトゥールは、既に10年ほど昔、他界したが、独特のユーモアを備えた 英国の名優だった。「アラビアのローレンス」や「Good Bye, Mr. Chips」など、 名画に活躍した。 彼は「ラ=マンチャの男」出演から3年後に、腹部の悪性腫瘍で、 余命いくばくもないと宣告されたが、奇跡的に助かり、以後も数々の映画に活躍 した。。。

2022年5月3日火曜日

東部 (ウクライナ) 戦線、異常無し!
「孫子の兵法」: 「攻撃は、最大の防御」!
敵の大将 (プーチン) の首を取れ!

5月9日 (=ナチ独が無条件降伏した記念日) に、独裁者「プーチン」が「地獄行き」になることを祈る!
もしも、何ら変化が起こなかったら、ロシア正教の「神」は、、たとえ"実存"したとしても、ウクライナで一体 何が起こっているか、見る目も聴く耳もない、「盲」かつ「聾」 (身体障害者) に過ぎない!
神田駿河台には、ロシア正教の大聖堂「ニコライ堂」が (日露戦争前から) 存在す るが、実質的には「無用の長物」(神頼みは無駄) である。 寺院は「死人の葬式の場」に過ぎない! 近くにある「駿台予備校」の方が受験 生にはずっと役立つ。。。 
紀元前500年頃の「孫子の兵法」によれば、「攻撃は、最大の防御」である。 ウクライナ内部で防戦ばかりしていても、戦況に変化は訪れない! プーチンの住むクレムリン宮殿にロケット弾や神風ドローンを、積極的に送り込 まなければならぬ。そこで、「コミック俳優」出身のウクライナ大統領 (ゼレン スキー) 宛てに、在日ウクライナ大使館を通じて、「ウクライナ発のドローンに、 追い回されて、血だらけになって逃げ惑うプーチン」を描いた風刺漫画 (ウクラ イナ郵便切手のデザイン) を、最近メールした。 「戦況の変化」を期待したい。。。
昔も今も同じ: 敵の大将の首を取らねば勝負はつかない!

ブロッコリ 由来 「I3C」の 抗癌作用: PAK遮断!

3年ほど昔、「サイエンス」誌に発表されたハーバード大学 (医学部) の Pandolfi 教授らの研究報告によれば、ブロッコリ等の野菜に含れている「I3C」(indole-3-carbinol) と呼ばれる比較的単純な化合物には、 抗癌作用があると言う。その分子メカニズムによれば、ubiquitin E3 ligase である WWP1 を阻害することによって、その標的である抗癌フォスファターゼ 「PTEN」を活性化し、最終的には、PAK を遮断する。 従って、I3C は、天然 「PAK遮断剤」ということになる。。。
興味深い事には、COVIDのスパイス蛋白は逆に、WWP1を介して、PTEN を阻害する。実は、PTEN は元来、 COVID による肺炎を抑える作用もある。言い換えれば、ブロッコリ等、I3C が豊富な野菜を食べていれば、コロナ肺炎にもかかり難くなる。。。
ただし、数年前から市場に出回っているブロッコ由来の怪しげな商品「ブロリコ」は、「科 学/化学」的には「イカサマ」だから、我が輩は推奨しない。 「健康長寿」を真 にめざす消費者には、百年以上の定評がある「カルピス」を強く推奨する!
前述したが、「POM」 (奇形作用のないサリドマイド誘導体、ポマリドマイド) も、別の ubiquitin E3 ligase に結合して、JAK を抑え、下流のPAK を遮断する。従って、「I3C」と「POM」をクリック化学で、カチャッとうまく連結させれば、PAK を「二刀流で」遮断できる「芸術的な」新薬 (商標: 武蔵) を開発しうる。。。

2022年5月1日日曜日

新薬誕生: グリーベックの "副作用"は「PAK遮断」!
だが、「PAK遮断」飲料「カルピス」の安価には、
とても及ばない! 三島海雲は「Novartis 」を凌駕!

「新薬誕生」という訳本 (訳者=小林力は、我が輩の薬学部後輩) がダイヤモンド社から出版されたのは、2008年。 天然PAK遮断剤「プロポリス」(特に、NZ産の"Bio 30") がNF腫瘍やスイゾウ癌に治療効果を表わし始めた頃である。 プロポリスよりも治療効果がずっと高い新薬 (=「新しいPAK遮断剤」) を、自分の手で開発するという、大胆なプロジェクトを立てつつある時期だった。。。 この本には、21世紀の初めに市販された7種類の新薬の、基礎研究から治験を経て、最終的に市販されるまでの、長い道程を描いたものである。その内で、スイスの "Novartis" によって、最終的に市販された新しい抗癌剤「Gleevec」について、この訳本には、未だ記述されてない「秘密」を、ここで明かそう。
Gleevec は本来、「ABL 」と呼ばれるチロシンキナーゼの阻害剤 (IC50=25 nM)として、開発された。 稀少難病の一つ、CML (慢性骨髄性白血病) がABL 遺伝子の異常によって発症することが、1973年 (我が輩が渡米した頃) に判明。 1987年になって、デビット=ボルチモア (MIT, 1975年ノーベル医学受賞) らによって、ABL がチロシンキナーゼの一種であることが突き止められた。 そこで、当時、チバガイギー (Novartis の前身) に勤務していた医学者アレックス=マターが、ABL阻害剤開発チームを立ち上げた。 翌年、マターの部下であるニック=ライドンが、米国ボストンにあるダナ=ファーバー癌研の臨床医、ブライアン=ドルーガー ("Gleevec" 開発の功績により、2009年に 「ラスカー」医学受賞) と相談後、CML治療薬 (ABL阻害剤) を共同で開発することに合意。 1990年に、ETH 出身の若い有機化学者がチームに加わり、本格的にABL阻害剤の開発が始まった。1993年には、チバガイギー開発57148番目の化合物 "STI-571" (後に、Gleevec と改称) が、ABL に比較的高い選択性を示すことが判明した。そして、動物実験、治験を経て、2001年にCML の特効薬として、FDAの承認を得て、市販!
さて、その後、Gleevec により阻害されるキナーゼが、ABL以外に、少なくとも "2つ" 判明した。C-KIT と PDGFR に対する 阻害剤 (IC50= 2 micro M) でもある。 C-KIT は、更に稀少な「GIST 」と呼ばれる消化器腫瘍の原因になるキナーゼであることから、GleevecはGISTの特効薬としても、間もなく承認された。さて、 PDGFR とは、血清中の血小板由来 (PD) 増殖因子 (GF) によって、活性化されるチロシンキナーゼであるが、実はPAK の上流にあり、PAK の活性化に必須である。 言い換えれば、Gleevec は (実は副作用として)、PAKを遮断する! 従って、Gleevec は、原理的には、全てのPAK依存難病の特効薬となり得る「健康長寿」薬である! 前述したが、全てのPAK遮断剤には「美白作用」があるが、 Gleevec もその例外ではない!
もっとも、我が輩が2006年に、UKE (ハンブルグ大学病院) 滞在中、マウス実験で、 NF腫瘍に対する治療効果を調べた限り、プロポリス (Bio 30) の方が Gleevec よ りも遥かに効果的だったので、(高価な= 100 mg 錠剤=一万円! ) 後者は、当然ながら治験には至らなかった。 しかしながら、Gleevec は市販から既に20年以上経ているので、特許切れになり、 安価な「ジェネリック」版が市場に出回っているはず。。。だが、「ジェネリック」が幾ら逆立ちしても、"単価百円" (=「カルピス」 一本の値段) にはなり得ない!
さて、我が芸術品「15K」は、「Gleevec」のPAK遮断作用の百倍だから、理論的に は、1 mg 錠剤を百円くらいで市販しうる。。。勿論、"Calpis" 250ml 一本 より も効果的である、と信じる。。。

2022年4月28日木曜日

利根川 (進) 氏による "PAK 阻害剤開発" 研究 ( 徒労?) :
自閉症の一種 (Fragile X 症) は PAK依存難病
開発中の新薬中、「市販」されるのは 百万分の1!
百年前に、モンゴール帰りの三島海雲 (僧侶) は、一発で
「酸乳」飲料「カルピス」 (=PAK遮断剤) を開発!

利根川 進 教授 (MIT) は、我々の母校 (日比谷) 出身の3年先輩である。 京大 (化学) に進学後、渡米し、UCSD (生化学) で博士号を取得後、スイスのバーゼルにあるロッシュ (Roche) の免疫研究所で、抗体遺伝子の進化/分化のメカニズムを解明して、1987年にノーベル生理/医学賞をもらった。 その後、専門を大幅に変えて、「脳の生理学」(特に、記憶に関する) 研究に専念し始めた。
2004年頃に、マウスモデルを使用して、脳内のヒポカンパス (海馬) 部位にある神経細胞のPAK 遺伝子に、ある種の操作を施すと、記憶が喪失することを発見した! それをきっかけにして、2007年に、自閉症の一種 "Fragile X 症" が、PAK依存難病であることを、突き止めた! つまり、PAK遮断剤により、この種の自閉症が治療しうる可能性が出てきた。
一方、(豪州メルボルンの) 我が研究室では、2000年前後から、固形腫瘍の増殖がPAK依存性であることを見つけ、更に、当時パーキンソン氏病 (PD) の治験 に使用されていた「CEP-1347」 と呼ばれる薬剤 (協和発酵 開発) が、実は「PAK遮断剤」であることを突き止めていた。 そこで、利根川氏は、治験を担当する 「Cepharon」 という米国の製薬会社に、試薬を提供してくれるよう、依頼したが、断わられた そうだ。実は、この会社は「排他的」で、我々にも提供を断わったので、エール 大学の有機化学者 John Wood に合成をわざわざ特注したという、過去の奇妙な「経緯」があった。。。結局、「CEP-1347」は市販には至らなかった。そこで、我々は2007年頃から、 主にNF やスイゾウ癌患者の救済を目的に、先ず (市販の) プロポリスやメラトニン等、数種の天然PAK遮断剤を同定し始めた。
他方、利根川氏は、ある起業家と共同で、サンディエゴに、「Afraxis」と呼ばれるBiotech 会社を立ち上げ、一連のPAK阻害剤を開発し始めた。 それから数年後 (2013年) に、PAK阻害剤「FRAX486」が、自閉症マウスの症状を軽減することを証明した。 だが、大変不幸にも、2011年頃、利根川夫妻の次男で、天才的な 「MIT」 (理系) 学生 (18歳) が、「自閉症」/アスペルガーのためか (?)、ヘリウム (窒息) 自殺を遂げてしまった!
2013年には、改良版「FRAX579」がNF2腫瘍の増殖を抑える、という報告が、マイアミの研究グループ (実は、我が輩のライバルで、然も "データ泥棒"!) により発表されたが、細胞培養系でIC50(細胞増殖を50%抑えるのに必要な薬剤濃度) は1micro Mだった。試験管内で、直接PAKを50% 阻害するのに必須な濃度 (IC50)がわずか10nM (100 分の1) であることから、この薬剤の細胞膜透過能がひどく悪いことは歴然。更に、NF2腫瘍をマウスに移植したのち、この薬剤が腫瘍増殖を強く抑える濃度を調べると、毎日100mg/kgの経口投与が必要! つまり、プロポリス「Bio 30」よりも、明らかに治療効果が劣る!
にも拘らず、一連のPAK阻害剤 "FRAXs" のUS 特許 に基づくライセンスが、米国の大手製薬会社 「Roche」/Genetechによって、200億円という高値で買い取られたが、阻害剤の水不溶性や乏しい細胞透過性 (あるいは副作用) などから、治療剤としては"不成功"に終り (200億円を超える投資が「水の泡」!)、 失望した「Roche」/Genentechは、自社開発のPAK阻害剤をも含めて、とうとう "PAK プロジェクト" 全体を断念した、と言う部内情報を (「Genentech」のPAK専門家から) 掴んでいる。
結局、彼らには (研究) 試薬を開発する (単純な) 頭はあっても、臨床的に役立つ「治療薬」を開発しうる頭 (深遠かつ柔軟な知識=Knowhow) が欠けていた!
そこで、この不幸な ("徒労"に終わった) 創薬エピソードを「他山の石」としながら、我々は (翌2014年, 沖縄の琉球大構内に「PAK 研究センター」を3年間だけ開設し)、”水溶性” でしかも “細胞透過性が「500倍以上」高い” PAK遮断剤「15K」を、「ケトロラック」と呼ばれる鎮痛剤 (Roche 販売) から、「クリック化学」# を駆使して、見事に開発した、というわけである。
然も、この芸術作品「15K」は線虫の寿命を延長するから、いわゆる「副作用」もない!
従って、「15K」(商標: インスピリン K) がいつの日にか、様々なPAK依存難病の治療/駆逐に役立つことを切に念願する。。。
# 注: Click Chemistry (CC) とは、2001年にMITの Barry Sharpless 教授 (2001年ノーベル化学受賞) らが開発した (2分子を高率で結合させる) 化学反応。2度目 のノーベル賞に値する!
因みに、"Genentech の PAK専門家"とは、 Sharpless 教授の弟子の一人! 世の中は実に狭い!
前述の和歌に順じれば、
早咲きの "FRAXs" 全て 散リぬるも 遅咲きの「15K」 開花を待たん
誠に "皮肉な話" だが、 三島海雲が100年前に開発した「酸乳」飲料「カルピス」も安価な 「PAK遮断剤」である。 (去る11月15日に触れたが) カルピス water 250 ml ("紙パック" 24本入りなら、一本100円以下) を、毎日飲めば、健康長寿は間違いなし! (ただし、販売元 "朝日ビール" から広告料を "ビタ一文" 受け取っていない)
実際、ベルギーの首都ブラッセルに住む NF2 患者 (その母親は日本人) は、プロ ポリスに飽きて、我が輩からの "最新情報" に従い、日本から「カルピス」を大量輸 入して、朝晩"ガブ飲み"している!

2022年4月27日水曜日

親子桜: ワシントン 染めい吉野 散りぬるも
郊外に 咲く 八重桜花

風吹きて 桜散りぬる 4月末
遅ればせながら 咲く八重桜
「栄枯盛衰」を想起させる、こんな短歌/和歌を、我が輩はその昔、どこかで聞い たことがある。 最初の「桜」は、正式には「染めい吉野」と呼ばれる早咲の桜。 4月始め (新学期と共に) に咲き誇る。遅れて咲くのが、別名「関山」で知られて いる八重桜。 米国の首都ワシントンで咲き誇るのは、染めい吉野。 一説では、 この桜は、明治時代末 (1904年) の「日露戦争」後の講和条約を結ぶ際、米国の 大統領セオドール=ルーズベルト (1901-1909) が、日本側の為に色々と骨折ってくれたお礼に、 尾崎行雄 東京市長 (1903-1912) が、姉妹都市ワシントンに苗木を贈ったことが事始め。 実は、 不幸にして、横浜から船出した桜の苗木2000本は、シアトルで検疫検査の結果、 病虫害に犯されていることが判明して、全部「焼却処理」された! そこで、次 の大統領 (ウイリアム=タフト、1909-1913) の時代 (1912年) に、荒川土手の桜 並木から、健康な桜の苗木が再び贈られ、ワシントンへ無事に到着、根づいたのが、 今の「ワシントン桜」の祖先の一期生 (110歳以上!) 。
ごく最近 (復活祭=イースター) 、ワシントンの郊外 (ボルチモア) に住む我が家 の長男エリック から、久し振りにメールをもらった。 今春は異常気象 (寒冷) のため、近所の 「Kwanzan」桜が未だ開花していない、とぼやいていた。 実は、我が輩には、「Kwanzan」という名の桜は、初耳だった! そこで、「ど んな珍しい桜か」と、色々調べてみれば、それが、遅咲きの「八重桜」のことで あることが判明。 「おぶる子供に道を教えられ」である。実は、エリックは 米国/豪州育ちながら、日本語 (平仮名/片仮名) が読める。 そこで、日本では、 「Kwanzan」という桜は、「八重桜」(Multi-layered Cherry) と呼ばれている、 と蘊蓄 (うんちく) を傾ける機会を得た。 標題の川柳/和歌は、言わば、80歳を 迎える我が輩の世代は散り行く「染め吉野」、還暦を過ぎつつある息子/娘の世代は咲き 始める「八重桜」、という「世代交代」を歌ったものである。。。
最後に、モスクワで 「プーチン桜」 散りにけり という皮肉タップリの「川柳」の早期実現を大 いに期待している。。。 実は、モスクワ市内でも、日本 (北海道) から贈られた 「エゾヤマ桜」と 「チシマ 桜」が 5月上旬に咲き始める。。。皮肉な話であるが、安倍 晋太郎 (のちに「悪玉」首相になる「晋三」の父親) が 外務大臣の時、ロシアのゴルバチョフ首相に、北海道の桜を贈った。 前述したが、 1945年4月30日に、ナチス独の独裁者 (ヒットラー) の自殺に伴い、欧州戦 線は、5月9日に終結した。 ロシアの独裁者 (プーチン) は、この"戦勝記念日" (5月 9日) をめざして、南東ウクライナ侵略を進めているが、もしかしたら、この日に (千島ザクラの開花と共に) 「散る」(失脚/暗殺される) 可能性もある。。。ご期待を乞う!