"中性子" (アルファー粒子をバリウムに当てると生じる "中性" の粒子) は、 1932年
に英国 (ケンブリッジ大学) のジェームス=チャドウイック (1891-1974) によって、
発見された。 彼はその発見に対して、1935年にノーベル物理学賞をもらった。
1938年に、(前述したが) ドイツのオットー=ハーンが、ウラニウムに中性子を当てるこ
とによって、放射性のバリウムが生成することを発見した。 その現象を、「核分
裂」であると、(同僚だった) リーゼ=マイトナー女史が、最初に認識した。 それを
転機にして、「原爆開発への競争」が、ドイツと英米の間で始まった。
その競争の最中、最初 (1942年) に「原子炉」(核分裂の連鎖反応) に成功したのが、1938年
に ("中性子" の研究で) ノーベル物理学賞をもらって、そのまま米国 (シカゴ大学) に亡命したイタリ
ア人の "エンリコ=フェルミ" (原爆の父) だった。 その前後に、(アインシュタインらの進言に基づいて) 米国の大統領命令で、
悪名高き「マンハッタン計画 」(原爆の開発/製造) がニューメキシコ の "ロスア
ラモス" 砂漠で開始された! 危険な「火遊び」は、もう止めようではないか!!!
全く「皮肉な」話であるが、1938年の受賞現場で、フェルミ夫妻の「米国への亡命」
を助けたのは、同じ年に、ノーベル文学賞をもらった米国の作家「パール=バック」
女史 (名作「大地」などの著者) だった (実は、フェルミ夫人は「ユダヤ人」だった!)。バック女史は、フェルミの亡命が結局、「広
島と長崎への原爆投下」という悲劇を招いてしまったことに、大変後悔し、戦後
間もなく (1959年に) 、「 原爆を作った人々」(Command the Morning) と題する実在小説を出
版した。 しかしながら、その作品の「邦訳」は半世紀近く、(「原爆アレルギー」のためか) 日本では出版されなかっ
たが、ようやく2007年になって、我々は、その邦訳の出版を果たした!
実は、2007年に邦訳出版にこぎ着けた理由の一つは、この小説に登場する「ジェ
イン」という米国女性物理学者の「実在モデル」を偶々、北京郊外の農場で発見
したからである! この女性は、原爆の広島/長崎投下後まもなく、原爆使用に反
対して、米国から中共の北京に亡命した! その夫婦の長女と北京大学時代に同
窓だった女性 生化学者 (Dr. Yuan Luo) が、米国のバルチモアのメリーランド大学薬
学部で、「線虫」研究の専門家だった! 我が輩は偶々、その研究室で、2007年の夏
休みに、「PAK欠損株」の Phenotype (形質)、つまり少子化、熱耐性 などを、発
見しつつあった。 その後、間もなく、その老物理学者 (米寿) が (米国に住む長男と共に) (はるば
る) 北京から「車椅子」で、「原爆で被曝した広島」を初めて訪れ、その際、東京で我が輩は、その「伝説の女性」に初対面する機会を得た!
「原爆の父」フェルミは (恐らく、放射能の被曝のため) 53歳で他界した (自業自
得!)。 他方、原爆投下に反対した「ジェイン」のモデル女性は、幸い「米寿」を完うした! 皮肉にも、(広島/長崎へ「原爆投下」を命じた) トルーマン大統領に、「水爆開発」
を進言し、ソ連より半年早く水爆実験を成功させ「水爆の父」と呼ばれたエドワー
ド・テラー博士 (1908-2003) は、意外にも "長生き" (95歳、悪運強し)!
フェルミは「実験」物理学者、テラーは「理論」物理学者。この違いが、"寿命"にも
違いを生み出したか???
半導体の開発で、1973年にノーベル物理学賞をもらった江崎レオ 氏 (1925- ) は、
現在97歳! 「実験」物理学者でも、放射性アイソトープを扱っていないと、
「健康長寿」を楽しめるらしい。。。来年で、「受賞50周年」になる! 最近は
「受賞期が高齢になる」ので、「50周年」を存命で迎えるのは、なかなか難しくなっ
た!
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