2022年11月30日水曜日

「Arimoclomol」(BRX-220): HSP 遺伝子 を活性化する「ALS 治療薬」として、臨 床テスト (フェーズIII) 中。

PAKが (線虫の) HSP遺伝子の発現を抑制することを前述した。 従って、ひょっとすると、この薬剤も、"PAK遮断剤" かもしれない。 と言うのは、この薬剤は幾つかのキナーゼを阻害することが、 既にわかっている。 そこで、クリス=リンク に、早速メールを送って、線虫の "CL2070 株" で、この薬剤が HSP16.2 を活性化する かどうか、調べてみるように指示した。
彼は最近、(線虫離れして) 人間の脳内 疾患、例えば ALS にも、かなり関心を示しているそうだ。。。この薬剤は、分子量=314、元来、 20年前に、米国ロサンゼルスの製薬会社によって、糖尿病の治療薬として開発された が、結局、最近は 難病「ALS」向け治療薬として、(デンマークの製薬会社により) 臨床試験が順調に進んでいる。「プ ロポリス (PAK遮断剤) がALS に効く」という情報もその昔 (数年前に)、耳にしたことがあるので興味深い! 因みに、 この薬剤のデンマーク特許は2014年、米国特許は2020年だから、未だ十数年は "独占 権"が有効!

2022年11月28日月曜日

GM 線虫株 CL2070 でPAK遮断剤のスクリーニング:
GFP (蛍光蛋白) をHSP16.2 遺伝子の支配下に発現

1970年代に英国ケンブリッジ大学のMRC所長、シドニー=ブレナーが透明な線虫 (C. elegans 体 長 わずか1 mm) を、新しい実験動物として、紹介した。そのお蔭で、(動物の) 分子生物学 が急速に進み、2002年にブレナーとその弟子たちがノーベル医学賞をもらった。その直後、彼の自伝の邦訳「エレガンスに魅せられて」を、我々は琉球新報から出 版した。 当時、彼が、日本政府の内閣府の予算で、(英語が公用語の) "沖縄科学技術大学院大学" (OIST) を創立しつつあったからだ。我が輩もOIST に一時関心はあったが、彼が「創薬」研究に全く興味を示さなかっ たので、結局、この (難病の治療に無関心な) 「象牙の塔」からも、たもとを分かつことにした。 我が輩の「究極の目標」は、NF などの脳腫瘍の治療に役立つ "安全かつ安価" な薬 (PAK遮断剤など) を開発することだったから である。
さて、丁度その頃、米国コロラド大学のトム=ジョーンズらが、 線虫を使って、 寿命と熱ショック蛋白 (HSP16.2) 遺伝子との間に相関性を見い出した! そこで、 その弟子だったクリス=リンクが、新しいGM 線虫株 (CL2070) を開発した。 その株では、 GFP (グリーン蛍光蛋白) 遺伝子がHSP16.2 遺伝子のプロモーター に連結して、このプロモーターが活性化されると、GFPが産生され、透明な線虫が グリーンの蛍光に輝き、その蛍光量を測定することによって、HSP16.2 遺伝子が どれだけ活性化されたを「定量」できる仕掛けを開発した! 原理的には、CL2070を 使用することによって、GFP の蛍光量から、"線虫の寿命を伸ばす物質"を短時間 (24時 間以内) にスクリーニングできる! 因みに、GFP は1960年にプリンストン大学 の下村 脩 (博士) によって発見された。彼は2008年に、この功績でノーベル化 学賞をもらった。
2007年の夏休みを利用し、我々は、CL2070株を使用して、先ずプロポリス中のPAK遮断物質、CAPE (Caffeic acid phenethyl ester) やARC (Artepillin C) が、HSP16.2 遺伝子を 活性化することを発見した! つまり、これらのPAK遮断物質が、線虫の寿命を延 ばす可能性を強く示唆した。
同時に我々は、これらのPAK遮断物質が、線虫の産卵能を極端に低下 (野生株の7分 の1!) することを発見した。更に、PAK欠損株 (RB689) でも、産卵数が野生株の 7分の1 だった! 一般に動物界では、「寿命と産卵数が反比例する」ことが知 られていた! 従って、PAKを遮断/欠損すると、HSP16.2 遺伝子が活性化されて、 「長命」になることが予想された。数年後に、PAK欠損株が野生株に比べて6割も 長く生きることを、我々は実証した。2021年には、同様な現象が、マウスでも証 明された。
従って、"CL2070株"は "RB689 株" (PAK欠損、nobody knows who made this mutant) と共に、PAK遮断剤が長命 (及び熱耐性) をもたらす、と いう我々の画期的な発見へ、極めて重要な役目を果した!
ここで、一つ指摘しておきたい重要なポイントは、"熱ショック" (35度で2時間!) を与えなければ、 PAK遮断剤で処理しても、CL2070株は蛍光を発しない! 例えば、紫外線やその他 の (寿命を縮める) ストレスが、熱ショックと同様、それ自身のみで、HSP16.2 遺伝子を活性化し得る「可能性」 が未だ否定できない。 従って、PAK遮断剤のスクリーニングには、そのHSP16.2 遺伝子活性化が、「熱ショック依存性」であることを確認する 必要がある!
来年の6月末に、英国のグラスゴー (スコットランド) で、「国際 C. elegans (線虫 ) 学界」が開催される予定である。 もし、Chris Link (CL) もやって来るなら、彼に 初対面するため、我が輩も、この学会に初めて参加したいと思っている。。。この学会に初参加する最大の目的は、「線虫モデルが、究極的には、難病の治療に多大な貢献をする」典型的な例を紹介するためである。
動物の寿命は、一般に体重にほぼ比例する。体長が僅か1 mm の線虫は、20度で寿 命が僅か14日。片や、哺乳類で最小のマウスは寿命が2年半、人類に至っては、寿 命が80年以上! 従って、寿命を延ばす物質 (Elixirs, 例えば、PAK遮断剤) を短 時間にスクリーニングするには、線虫 (特にCL2070株) が最適! "時は金なり" だから、3年以上 もかかって、マウスでElixirs を探すいわゆる「太公望」 (「気長な」院生/ポスドク) は、 もう今世紀には殆んどいなくなった!
線虫と哺乳類の基本的な違いは、線虫には心臓と視覚がない! しかし、脳 (魂) はある! 従って、線虫の "AD" (認知症) モデルを使用すると、BBB を通過しうる(=脳腫瘍など の治療にも有効な) PAK遮断剤をスクリーニングし得る!

2022年11月26日土曜日

沖縄県民 (特に男性) の寿命は「米軍基地」文化と
「マイカー (運動不足) 」によって、極 度に縮まった!
健康長寿のために、基地を撤去し、努めて運動せよ!
「長命」には、PAK遮断剤で「熱耐性」を増強すべし!

戦前、沖縄 (琉球) は (男女とも) 「長寿の国」として、世界的に知られていた。 ところが、敗戦後、沖縄 (特に本島全体) が「米軍の基地」化に伴い、いわゆる 「ファストフード」(ガツガツ食べる) 文化が急速に氾濫し、更に モノレール以外に (まともな) 鉄道が無いため、「マイカー族」が町に氾濫し、県民全体 (特に、男性) が運動 不足のために、「肥満化」 と「糖尿病」に苦しむようになった。 果たせるかな、 21世紀に入って、長寿者が激減し、2019年の調査によれば、男性の寿命は、日本全国で「40位」(「どん底」近く) にまで、 転落した。 女性もトップから大きく「25位」に転落しつつある!
しかし、解決法は、至って「簡単」である。ファストフードを辞めて、PAK遮断剤 の豊富なゴーヤ (「ククルビタシン」源)、モズク(「フコイダン」源) 、魚 (かつおや鮭などの「D3 」源) を自宅で常食し、マイカーに頼らず、率先して "運動" する (自分の足で歩く!) こ とである。 実は、我が輩は、2015年から2017年までの3年間、"PAK遮断剤"研究のため、琉球大学 構内近くに住み、 「沖縄県民の一員」だった。 勿論、マイカーやファストフードに親 しんだことは全くない!
動物の寿命は、気温に反比例する (言い換えれば、「地球温暖化」は、寿命を縮める!)。 例えば、線虫の寿命は20度で14日だが、35度で は一日以下になる。人類でも同様だ。一般に (北極に近い) 北欧の人々は長命であ るが、(赤道に近い) 熱帯の人々は短命である。 従って、「亜熱帯に住む」沖縄の 人々が "(世界一) 長命だった"というのは、言わば、「例外」に近い。 その例外の 「秘密」の一つがゴーヤの「抗夏バテ」作用であることが判明したのは、もう20年ほど昔である。 その "メカニズム" の詳細が判明したのは、ごく最近 (数年前) である。ゴーヤの苦味成分「ククルビタシン」がPAKを遮断するからである。驚く なかれ、線虫のPAK欠損株は35度でも、野性株より "9倍以上" (少なくとも9日間) 長命である!
結論: 我々の生命に致命的な一連の蛋白が高温により変性する (卵焼の原理!) 。 その変性を修復するのは, "熱 ショック蛋白" (HSP) である。不幸にして、"PAKはHSP遺伝子の発現を抑制" している。 従って、"熱耐性になるためには、PAKを遮断する必要" あり。 即ち、寿命=熱耐性は、HSP遺伝子の発現量に比例する!(1)
参考文献:
1. G A Walker , T M White, G McColl, N L Jenkins, S Babich, E P Candido, T E Johnson, G J Lithgow (2001)。 Heat shock protein accumulation is upregulated in a long-lived mutant of Caenorhabditis elegans。J Gerontol A Biol Sci Med Sci; 56(7): B281-7.

2022年11月25日金曜日

海藻由来の「フコイダン」はPAK遮断剤:
メラニン合成抑制 (美白) 作用あり!
「COVID」感染による「肺炎」の治療にも有効!
「BBB」を通過し、脳腫瘍や認知症にも効き目あり!

市販されている沖縄産のモズク等の海藻由来の「フコイダン」(硫酸多糖類) に、 NF1 患者の皮膚腫瘍 (いわゆる「ブク」) の発生/増殖を (プロポリス以上に) 強 く抑制する作用がある、という最近の報告から、フコイダンがプロポリス同様、 天然のPAK遮断剤であることが、強く示唆されていたが、ごく最近のフコイダンの 薬理作用に関する研究報告を詳しく調べたところ、2年ほど前に、韓国の済州(島)大 学のチームから発表されていた報告によれば、フコイダンには、メラニン色素合 成を抑える (つまり美白) 作用がある事が判明した (1)。
我々は、2015年に、沖縄の 琉球大学の構内に「PAK Research Center」の支部を一時的に設け、「PAK がメラニン 色素合成に必須である」こと等を、世界で初めて、明らかにした。 従って、フコ イダンがプロポリス同様、強い (美白作用を持つ) 天然「PAK遮断剤」であること に、もはや疑いの余地はない!
勿論、「日焼け」 (つまり、紫外線により誘導される メラニン色素合成) の予防にも効果があり、という実験結果も、併せて報告され ている (1)。 従って、フコイダンを「日焼け止めクリームの主成分」として、活用するという、 画期的な化粧品企画も (韓国で) 誕生しつつある。。。
前述したが、新型コロナウイルス (COVID) 感染による肺炎は「PAK依存性」だから、勿論、フ コイダンは、この "肺炎" の治療剤としても、有効である (2)
なお、フコイダンは比較的 "高分子" であるが、「BBBを通過する」ので、脳腫瘍や 認知症などの治療にも効き目あり (3)! 病原/加齢酵素「PAK」を遮断して、「健康長寿」を楽しもう!
参考文献:
1. Lei Wang , Jae-Young Oh, Young-Sang Kim , et al. (2020)。 Anti-Photoaging and Anti-Melanogenesis Effects of Fucoidan Isolated from Hizikia fusiforme and Its Underlying Mechanisms。 Mar Drugs. ;18(8):427.
2. Shuang Song , Haoran Peng , Qingling Wang et al (2020). Inhibitory activities of marine sulfated polysaccharides against SARS-CoV-2. Food Funct. ;11: 7415-7420.
3. Mamangam Subaraja , Dhanabalan Anantha Krishnan , Varghese Edwin Hillary et al (2020)。 Fucoidan serves a neuroprotective effect in an Alzheimer's disease model. Front Biosci (Elite Ed). ; 12: 1-34.
もし、西村先生が未だ存命なら、早速、この「ビッグ」ニュースをメールすれば、 「丸田くん、それはでかした!」といって、諸手で喜んでくれるだろうが、その 先生が、最近先立れたのは、残念至極である。。。 もし、先生が「フコイダン」を経口していたら、"百歳" まで生き延びたかもしれない。。。

2022年11月23日水曜日

西村 暹 (理学) 博士 (1931- 2022):
「RNA から 癌研究へ」 (退官記念誌、2000年) より

我が "大先輩" (高校及び大学) の癌生化学者、西村暹 (すすむ) 博士がつい最近 (9月5日)、他界 (急死)されたことを知った。先ず、先生のご冥福を心から祈りたい。 死因は「くも膜下出血」! その原因の90% は「脳動脈瘤の破裂」だそうである。 来る"12月18日"に学士会館で「お別れ会」が催される予定 (メール情報) 。
(先生は) "ポスドク" として米国に留学中 (1961-1965) 、ハー・ゴビンド・コラナの研究室 (Wisconsin) において、"遺伝暗 号解読" プロジェクトで "中心的な役割"を果たした。1968年、コラナはこの仕事 (Triplet Codons) でノーベル生理学・医学賞を受賞した。 帰国後は、tRNAの研究に転じ、世界的な研究拠点を形成した。 東京の深川生まれ。
学歴: 1949年 都立日比谷高校卒業
1955年 (2年ほど、結核療養後) 東京大学理学部化学科卒業
1960年 東京大学大学院修了、理学博士 (指導教官は、丸尾文治教授)
職歴: 癌研究会癌研究所、オークリッジ国立研究所(ロックフェラー財団給費 研究員)、ウィスコンシン州立大学等を経て
1968年 国立がんセンター研究所生物学部長
1992年 万有製薬株式会社つくば研究所所長
1999年 所長を退官して、名誉所長
以後、筑波大学生命科学動物資源センターの客員研究員 
我が輩 (メルボルンの "癌研" 在職中) が、先生から特に ("抗癌剤開発"に関して) お世話になったのは、先生が「メルク万 有研究所 (筑波)」 の所長時代 (後半)。 先生と我が輩の接点は、両者が「RAS 」と呼ばれる発癌遺伝子に焦点を合わせたこ とに始まる。 先生自身は、抗癌剤開発には余り寄与出来なかったが、その言わば「バトンタッチ」 を引き受けたのが、(その後 "20年余り" に渡る) 「我が輩の役割」になった。。。
専門業績:
1。 "遺伝暗号の解読" 後、大腸菌tRNA中の修飾塩基の同定:
西村は米国から帰国後国立がんセンター研究所で、遺伝情報解読の要である転移 RNA(tRNA)の構造と機能の解明に取り組んだ。その過程で大腸菌、哺乳動物、古 細菌などから、10種に及ぶ新規修飾ヌクレオチドを発見し、Dr. James A. McCloskeyら との共同研究で、それ等の化学構造を決定し、またtRNAのアンチコドンやアンチ コドンの周辺に存在する修飾ヌクレオチドは、アンチコドン認識に重要な役割を 果たしている事を明らかにした。
2。 8-ヒドロキシグアニンの発見:
西村が、がんの問題に直接取り組むように研究室の体制をシフトするように なった転機は、当時生化学部長、兼研究所長の杉村隆を中心とする、魚や肉の加 熱調理によって生成する突然変異原物質の発見である。西村研究室は物質の分離、 精製、同定のノウハウがあり、研究室のスタッフ、葛西宏、山泉二郎が共同研究 に加わった。葛西が丸干しイワシのおこげから新規変異原物質を分離、同定する 過程で、焼けこげ中には、ミクロゾームによる活性化を要しない、変異原物質が あることに気がついた。これが、1983年に、活性酵素によってDNA中のグアニン残 基が"8-OH-G" (現在では、8-オキソグアニン、8-oxo-G とも呼ばれる) に変換され るという事実の発見につながった。 西村研究室はこの発見以来、この問題に集中 的に取り組むことになった。
西村研での成果が世界的に注目を集める様になり、以後多数の研究者が8-OH-Gの研究に参入する様になった。 その結果、"酸化ストレスにより生成する活性酸素による "8-OH-G" の生成"の生 物学的意義がさらに明らかになった。
3。抗癌剤「アザチロシン」の開発:
1989年、西村が国立癌センターの生物学部長だった頃、その助手である岡田信子 らが放線菌から、RAS癌の増殖を抑える「アザチロシン」という抗生物質を発見し た。その後、その抗癌メカニズムの研究を、「メルク万有研」で続けた結果、1996年 に、この薬物がチロシンの代わりに、蛋白質に取り込まれ、RASの下流にある種々 のチロシンキナーゼの働きを抑えることを発見! 残念ながら、この薬 剤はとうとう市販には至らなかった。 詳しくは、丸田 浩著「癌との闘い」(2001年) を参照されたし。
趣味: 西村氏の特筆すべき趣味は、1) ラジコンで自製の飛行機 (プラモデル) を飛ばす こと (少年時代以来の趣味) と 2) バラの品種改良 (後年始めた趣味)。 もう一 つは、「天下のご意見番」として、多くの弟子たちに色々な忠告を授けること。。。先生の有名な口癖は (皮肉にも)「癌の生化学研究は、生化学者の墓場」??? 我々 (生化学/分子生物学者) は、ようやく (21世紀に入って) 、 その "墓場" から抜け出しつつある。。。

2022年11月19日土曜日

今や「常識」: 75歳を過ぎたら、"運転免許を返上" せよ!

"97歳"の男性が、軽乗用車を運転し、"40代"の女性をはねて即死させる! 言語道断 (非常識極まる) ! この福島市内で発生した自動車事故は、(半年ほど前に) 京都市内で、本庄氏 (80歳、 ノーベル受賞者) が起こした衝突事故を想起させる。 ("ブレーキ"と"アクセル"の区 別ができなくなった= "とっさの判断"が鈍い) 「老いぼれ」は、車の運転を"絶対"するな! つまり、「小学生以下の頭脳 (判断力) 」の持ち主に運転資格なし75歳以上の老人は、自分の足で歩くか、「電動シニアカー」 (最大時速 「6km」!) を運転せよ!
我が輩は、つい最近 80歳を越したが、未だ (競歩や登山で鍛えた) 足腰が丈夫なので、ザックを背負って、 片道 2km 程にあるスーパーまで、殆んど毎日 (運動がてら) 買い物に出かける。し かし、(もし、近い将来) "杖" が必要になったら、電動シニアカー (四輪) を、初めて運転することを楽し みにしている。。。 もっとも、「天国からの "出迎え"」が先に訪れるかもしれないが。

「微積分」学は "ニュートンやライプニッツ" (17世紀の
大数学者) の発明! 即ち、それまでの庶民は、四則計算
(=算数) で、日常生活が可能だった!

(幸い) 我が輩は (小学生時代から) 少なくとも「四則計算」には長けていたので、今でも、"微積分" なしで、何 とか「医科学」研究をこなしている (勿論、"理系" の国大入試をこなすには、"一時的" に必要だが) 。日常生活では、 自転車もマイカーも運転せ ずに、自分の足か、電車かバス (あるいは船や飛行機) に乗って、(地球上を) 移動するので、 難しい「微積分」は必要なし! (道端の ) 木の枝から林檎やミカンの実が落ちれば、(重力や万有引力を想像せず) 衝動的に拾い上げ ("虫食い" を調べてから) 口に入れる。。。
万が一 (ロケットで) 重力に逆らって、地球圏外に出る場合 (操縦) には微積分の知識が多少 必要かもしれないが、我が輩 (80歳) が近い将来、「あの世」へおサラバする場合は、少なくとも 「火葬代」(日本国内なら20万円前後が相場だが、"人件費の高い" メルボルンでは最低 38 万円=3800AU$! ) さえ準備すれば、難しい微積分は必要ないと信じている。 (手先が器用な) 我が輩は、今でも "日曜大工" が好きなので、時間と体力に未だ余裕 があれば、好きな材質で「かん桶を自作」するという選択もある。 「墓穴を掘る」という表現は決して美しくないが、「棺桶を彫る」のは、(ミケラ ンジェロ等の) 芸術家 の最後に相応しい。。。 我が棺桶の蓋に彫り込むべきは恐らく、"15K" の「化学構造式」! 因みに、我が家では (神も仏も信じないので) ごく簡素な結婚式は挙げても、"葬式" はしない (太平洋へ散骨/灰する) 習慣である。。。
我々の愛するものは、「自然」とそれを客観的に理解する我々人類の「理性」 (=科 学) のみである。

2022年11月12日土曜日

「世紀の挑戦」: イベルメクチン分子上のPAK1 結合部位
及び E3-Ligase 結合部位の同定 ("Silicon" 3D-Analysis) !
BBBを通過しうる 新 "PROTAC" 構築 への先陣争い!

この「世紀の挑戦」については、米国のロスアラモス (ニューメキシコ州内の砂漠, ロッキー山脈の南端に位置した山岳地帯、 Mesa という台地の上にある標高 2,200m の街 ) にある国立研究所 (第二次世界大戦中は、極秘の原爆開発施設) に長らく勤務するRamesh Jha 博士 (3D Docking の専門家) の研究室に所属する卒業実習生 (Carson Gido) が、先ず挑戦してみる そうだ。 もし、有意義な結果が出たら、我が「PAK研究財団」から、いくばくか の奨学金 (PAK 奨励賞) を是非授与したい。。。 正確な "最小"「結合部位」が判明すれば、"より分子量の小さい" (=「BBB」を通過しう る) イベルメクチン誘導体を将来、構築し得る。。。 若者 (Boys and Girls) の才能を伸ばす最大の武器は、奨励することである!
(注): イベルメクチン (分子量=875) は、標的であるPAK に結合すると共に、(それをユビキチン 化する) E3-Ligase にも結合し、「PAK のプロテオゾームによる分解」をもたら す "キメラ" 、いわゆる 「PROTAC」の数少ない "医療向け" 市販製品の一つである。 詳しくは、「PROTAC」 (東大薬学の内藤教授は「Sniper」 と呼ぶ!) に関するブログ (March 6、2022) を参照されたし。
サリドマイドのアミノ誘導体 "Pomalidomide" (POM, 分子量=273) は 「奇形を誘導せぬ」かつ BBBを通過しうるPROTAC (PAKの上流にある「JAK」と呼ばれるキナーゼを、E3-ligase を介して分解する「キメラ」) であるが、(残念ながら) イベルメクチンに比べて、PAK遮断力が 弱い (水溶性の「MM」特効薬として市販されている) 。最近の研究報告(動物実験: 0.4 mg/kg) によれば、"喘息"にも効く(抗炎症作用もある)。 理想的には、イベルメクチ ン分子上の「PAK 結合」(最小)部位 (理想的には分子量=250以下!)に、POM の「E3-ligase 結合」部位 (既知! ) を連結した "強力かつ脳関門を通過しうる)" 「キメラ」分子の構築を、我々は秘かに狙っている。
閃き: 実は、イベルメクチンの結合部位を同定するいわゆる「シリコン」Project を考え出した折、ある新しいアミド誘導体 の合成が閃いた。ケトロラックのカ ルボン酸に、ある市販の「E3-Ligase 結合体」(試薬としては、かなり高価!) を連結して、細胞透過性を飛躍的 に高めると共に、ケトロラックの直接標的 である「RAC/CDC42」 (PAKの直ぐ上流 ) を「分解」し得る、言わば「一石二鳥」 (実際には、 一石で 三鳥!) の「魔法の弾丸」 を考えついた。 早速、ある有機化学者 (我 が輩の大学時代の後輩) に協力を求めて、そのアミド体の試作を依頼した。 このキメラの 生物活性、特に抗癌作用を調べるのが楽しみである。。。幸い、このアミド体の分子 量は (「15K」 同様) 500前後なので、「BBB」を通過可能、(脳腫瘍など) 様々な脳疾患の治療に も役立つはずである。。。
速報: CSHL から出版されている最新の "AO" 研究報告/総説 (61ページに渡る"特許申請書"のコピーのごとき論文: bioRxiv、残念ながら、"PUBMED" には収録されていない ) によれば、米国のFCCC とボストンにある癌研との共同研究 (Jon Chernoff: 我が輩 のライバル!) で、初のPAK1-特異的なPROTAC (BJG 539, 一石一鳥!) の合成に成功した模様。いわゆるPAKI 特異的阻害剤 (NVS-PAK1-1, 分子量=480、 Novartis が2015年に開発されたが、体内で分解され易い!) とPOMをリンカーで連結した産物 (分子量》750、 研究用試薬?)。IC50 (抗癌作用) は約100 nM。我々自身の目標は、先ず IC50 をこれ以下に、出来るだけ下げて、「臨床でも有効な」ものを開発すること。。。
Development and utility of a "PAK1-selective degrader":イベルメクチンについて一言も触れていない「変な」論文!
Hoi-Yee Chow, Sofiia Karchugina, Brian J. Groendyke, Sean Toenjes, John Hatcher, Katherine A. Donovan, Eric S. Fischer, Gleb Abalakov, Bulat Faezov, Roland Dunbrack, Nathanael S. Gray, Jonathan Chernoff (2022)
極めて皮肉にも、人類史上最古のPROTAC は、1950年代に奇形児をもたらした「サ リドマイド」である。 我々創薬学者は、過去の「苦い経験」から多くの貴重な英知を 学びつつある。

2022年11月11日金曜日

NF2 (Merlin) 遺伝子の欠損により起こる 病変は
「PAKの異常活性化」のみによるものではない!
(発癌キナーゼ) 「TOR 」の異常活性化も関与!

NF2 患者の寿命は、健常者の約6割に過ぎない、という話の科学的な根拠は、主に マウスモデルに基づいている。 野性のマウスの平均寿命は、約2。5年だが、NF2欠 損マウスの寿命は、約1。5年に短縮される。 我々は2003年ごろに、「Merlin が PAK阻害蛋白である」ことを初めて発見したが、実は、Merlin には、それ以外の (延命に繋がる "未知"の) 生物活性があるに違いない。
というのは、野性のマウスから、PAK遺伝子を欠損させると、平均寿命が 60% 程伸 び、4年程 (健康に) 生き続けるからである。 と言うことは、 NF2 (Merlin) 遺伝 子の欠損により起こる病変は、「PAKの異常活性化」のみではなさそうである!
実は (つい最近知ったが) 、2012年頃に、Jim Gusella の研究室 (Mass General) で、メルリンのもう一つの標的を見つけていた。 それは「TOR 」と呼ばれる発癌 キナーゼである (1)。 従って、メルリンは PAK 以外に、TOR を阻害しているよう である。 言い換えれば、TORの阻害剤 (例えば TORin 1 や ラパマインシン) によっ ても、更に、NF2 欠損のマウスの寿命を延ばす可能性がある。 実際、ラパマイン シンだけで、マウスの寿命を3割ほど延ばした、という報告がかなり昔にあった。 しかしながら、ラパマイシンには、免疫機能を抑えるという「副作用」がある。 実際、この薬剤は、臓器移植のために、患者の免疫機能を抑える為に、主として 利用されている。 従って、無菌の研究室では、(たとえ) 長生きしても、野外では、 COVID 等、様々な病原体によって感染死する可能性がある。 従って、免疫能を高 める「PAK遮断剤と併用する」必要がある。。。
参考文献:
1. MF James, E Stivison, R Beauchamp, S Han, H Li, MR Wallace, JF Gusella,et al (2012).
Regulation of mTOR complex 2 signaling in neurofibromatosis 2-deficient target cell types.
Mol Cancer Res.;10(5):649-59.