2016年12月27日火曜日

暴利をむさぼる中国系「学会屋」(BIT) が経営する 「IDDST」と称するエセ国際創薬学会をつぶせ!

http://www.iddst.com/iddstjapan2017/default.asp

数日前、「IDDST」 ( International Drug Discovery Science and Technology) と称する国際創薬学会 (年会) を大阪で初めて、来年7月25-27日に開催するから、講演をお願いしますというメールを受け取った。 そこで、 その学会のインターネットサイトを 開いて、学会のプログラムを閲覧してみると、"セクション2 " の講演者の中に、私の古い知人(大学の大先輩) の名前と写真が 載っていた。

戦後間もなく、米国に 「 頭脳流出」 したリボゾーム研究の大御所だった。 私自身も大学院修士時代にリボゾーム関係の研究をした経験があるので、名前や業績を良く知っている人であるが、奥さんと一緒に渡米して、フィラデルフィアにあるペンシルバニア大学の教授を長らくやっている。既に85歳を越えているはずであるが、夫婦共まだ「現役」で活躍しているという、嬉しい近況を伝えるメールを最近受け取った。

 ところが、驚いたことには、講演者も (例外なく) 全員、学会参加費 (1200 USD、約14万円) を支払わねばならないことが判明した。 これは「暴利」以外の何ものでもない!     そこで、私は講演をきっぱり断わった。 通常、国際学会に招待講演を依頼された場合、参加費は免除されるのが常識になっているからだ。

この教授も、講演を依頼された当初は、「ホテル代や参加費は全額免除される」 という条件で招待講演を受諾したという話である。 ところが、「そんな約束はしていない」という返事が、「BIT」 と称する中国系の「学会屋」から、最近かえってきた!  そこで、その教授にも講演を断わるように勧めている。

私自身、1990年代後半、ニューヨーク科学アカデミーの後援で、米国のロックフェラー大学で、癌治療に関する学会 (シンポジウム) を開催したことがあるが、(えり抜きの) 招待講演者には全員、参加費免除ばかりではなく、旅費を支給した。 少なくとも当時、それが 「まともな国際学会の良識」 になっていた。

この中国系の「学会屋」は、過去13年間、「モグリの国際学会」を主に中国国内でやっていたようであるが、「大阪では、そんな悪質かつ低級な学会はもう通用しないぞ」 と、私はインチキ学会を阻止せんと、立ち上がりつつある。

「金を出せば、講演させてやる」 (Only Money Talks)  という金権(商業) 主義の学会経営など、真っ平ごめんだ!  たった25分間の講演に、14万円を要求するのは、強欲以外の何物でもない!

 新しい「大阪市民の一員」 として私は、このエセ学会に会場を提供している 「大阪 Hyatt Regency ホテル」の非常識 (鈍感さ) にも、怒りを感じる。 「大阪住民の顔に泥を塗るな!」 と叫びたい。

 もし、このエセ学会をこのまま野放しにしておけば、恐らく、遅かれ早かれ、首都「東京」にも進出してくるだろう。 都知事の小池さんが実情を知ったら、「東京では、五輪の開催は引き受けるが、エセ国際学会の開催はお断りです!」 とキッパリ宣言するに違いない。大阪市長には、そういう気骨が一体あるのだろうか?

 さて、上述のようないささか「Old Timer」的な正論を吐くと、「お前は、時代遅れの"ドンキホーテ"に過ぎない!」と耳を傾けようとしない輩も多い。 しかしながら、神は「我が味方」のようである。つい最近、中国の青島 (チンタオ) で、有機化学の国際学会 (2017年9月中旬) を主催する団体から、学会の会長をやってくれないか、と言う申し出を受け取った。東京-青島の往復旅券 (勿論、エコノミークラス) を支給してくれれば、オーケーと受諾した。

2016年12月11日日曜日

脳内ホルモン 「GHRH」 の拮抗体 「MIA-602」 はPAK遮断剤

数年前、米国フロリダ州マイアミ大学の研究グループ (1977年のノーベル受賞者, Andrew Schally ら) により、「GHRH」 (増殖ホルモン分泌ホルモン、29個のアミノ酸からなるペプチド) の拮抗体の一つ 「MIA-602」抗癌作用を持つことが発見された (1)。

その詳しい作用メカニズムを研究した結果、このペプチドがPAKを遮断 (PAK遺伝子の発現を抑制) することが、最近判明した(2)。 従って、「MIA-602」は腫瘍の治療ばかりではなく、各種の脳内疾患、例えば、認知症、パーキンソン氏病、精神分裂症 (統合失調症)、鬱病、癲癇、自閉症などの治療にも役立つはずである。

逆にいえば、脳内ホルモン 「GHRH」 の過剰分泌は、脳腫瘍ばかりではなく、他の脳内疾患を引き起こす原因になりうると考えられる。

長寿(小人)マウス
脳下垂体の成長ホルモン(GH)の生産分泌を司る転写タンパク質「PIT」が欠損しているマウス (スネルマウス) は、成長が遅いため、小人であるばかりではなく、少子化 (生殖能が低下) する代わりに、寿命が長くなることが知られている (3)。このマウスに十分成長ホルモンを補ってやると、成長が促進され、体重が増え、少子化現象も止まるが、寿命は短くならない。ということは、この長寿マウスには成長ホルモン以外に何かが欠けているために、寿命が長くなっていることになる。一体何が欠けているのあろうか?  私の考えでは、恐らく「PAK」自身か、その上流にあるシグナル伝達因子(GHRH) が欠けている可能性が高い。 従って、(プロポリス同様)MIA-602を経口すればPAKが遮断され、我々の寿命は自ずから延びるはずである。


参考文献:

1. Bellyei S1, Schally AV, Zarandi M, Varga JL, Vidaurre I, Pozsgai E.
GHRH antagonists reduce the invasive and metastatic potential of human cancer cell lines in vitro. Cancer Lett. 2010 ; 293(1): 31-40.

2. Gan J1, Ke X1, Jiang J1, Dong H1, Yao Z1, Lin Y1, Lin W1, Wu X2, Yan S3, Zhuang Y2, Chu WK4, Cai R5,6,7,8,9, Zhang X5,6,7,8,9, Cheung HS5,6,10, Block NL11, Pang CP4,12, Schally AV13,6,7,8,9,11, Zhang H14,2,15. Growth hormone-releasing hormone receptor antagonists inhibit human gastric cancer through downregulation of PAK1-STAT3/NF-κB signaling. Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 Dec 7. 
 
3. Kinney-Forshee BA1, Kinney NE, Steger RW, Bartke A. Could a deficiency in growth hormone signaling be beneficial to the aging brain? Physiol Behav. 2004; 80(5): 589-94.