2022年12月10日土曜日

"可逆的" 燐酸化 (キナーゼとフォスファターゼ) の
発見 に対して 、ノーベル "医学" 賞 (1992年) !


12月10日は、「ダイナマイト」の発明家 Alfred Nobel (1833-1896) の「命日」だ そうである。彼の遺書に従って、1901年以来毎年、この日に、多くの人々が (雪降り しきる) 寒いストックホルムへ、"ノーベル賞" を受取りにやってくる。。。
1950年代に、シアトルのワシントン大学で、2人の生化学者が共同で、蛋白(Glycogen Phosphorylase=GP と呼ばれる酵素) の「燐酸化と脱燐酸化」のメカニズムを研究 し始めた。
この "2人" の学者は、Edmond Fischer (1920-2021) と Edwin Krebs (1918-2009) だった。 前者 (Fischer) は上海生まれ、スイス出身の移民で、コリ (Cori) 夫妻の下で、 "GP" の研究を始めた。
GP はグリコーゲンを分解して、グルコース-1-燐酸に変換する酵素で ある。 この酵素の活性化には、二種類の物質が必須であることが、先ず判明した。 一つはATP、もう一つは燐酸化酵素
(キナーゼ、GP Kinase)
である。
GP キナーゼは、ATP の「末端」燐酸を利用して、GPのセリン基を "燐酸化"する。
このキナーゼは、4つのサブユニットから構成された複合蛋白で、catalytic (キナーゼ) ド メインは、「ガンマー」サブユニットにある。 アルファーとベーターは、制御蛋 白で、(「PKA 」と呼ばれる別のキナーゼにより)、そのセリンが 燐酸化されると、 制御が解けて、デルタ (カルモジュリン) にカルシウムが結合すると、酵素全体 がフルに活性化される (詳しくは、右下の図式を参照) 。
更に、 GP Kinase を脱燐酸 化するフォスファターゼが存在し、 GP Kinase を失活させる。
上記のいわゆる「可逆的燐酸化」サイクルを解明した両者は、1992年にノーベル 医学賞を分かち合った。
以後 30年間、キナーゼやフォスファターゼの研究でノーベル賞をもらった研究者は 全くいない。 しかしながら、もし、種々の難病を起こす「病原キナーゼ」 (例えば、PAK 等) に対する遮断剤を開発することによって、「副作用」無しに、難病を治療 ("健康 長寿" を達成) できれば、ノーベル賞 (医学/化学) に値いするだろう。。。
なお、フィッシャー (Eddy) は "ピアノ演奏家" でもあり、「健康長寿」を楽しみながら、101歳 (「男性」のノー ベル受賞者として、最長寿!) で、最近 (COVID パンデミック中に) 他界した。
なお、孫娘の Elyse Fischer は、最近、英国のケンブリッジ大学=MRC (分子生物学研究所) で, Cell Cycleを制御するキナーゼ等の研究をし, 博士 号を取得。 ごく最近、シアトルのワシントン大学内にある「Monod Bio」 に転勤したらしい。 更に、彼女は、 IUBMB (国際分子生物学協会) "若い研究者賞" を2020年に受賞した!オメデトウ (with ベートーベン作曲のピアノ曲「エリーゼの為に」)!
実は、半世紀ほど昔 (1973年の真夏)、我が輩の初渡米の際、船 (米国の大型貨物船) で、横浜から太平 洋を渡って、シアトル港に初めて上陸した。 市外には、雪を頂く「レーニア山」 (別名「タコマ富土」、海抜 約4400 m) がそびえている。 その山麓を、(登山好きの) エリーゼ嬢の案 内で、散策して見るというアイディアは、決して悪くない。 「Multi-Cultural」同士は意志疏通が比較的容易。。。
"半世紀前" の渡米の前後で、北アルプスやスイス=アルプスを、山好きの「ガールフレンド」と一緒に、登山を何度か楽しんだ「懐かしい」思い出が、ふっと甦ってきた。。。

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