最近、「Breakthrough Prize」(2023) 受賞 に輝く「Orexin」と呼ばれるペプチドは、睡
眠を促する脳内 ホルモン「メラトニン」と正反対の作用、つまり 「覚醒」 作用
を持つ。 このペプチドには「覚醒」状態ばかりではなく、「食欲」を促進する作
用もある。
オレキシンの発見は、1998年頃に、2つの研究室で、独立に発見されたそうである。
その一つは、テキサス南西医科大学 (ダラス) に留学中だった柳沢 正史 (現在、
筑波大学教授) だった。 もう一つは、スタンフォード大学の Emmanuel Mignot
教授である。
従って、Orexin は、(メラトニンとは正反対に) 「病原キナーゼ 」(PAK) を活性
化しつつ、「肥満」を促進し、我々の寿命を縮める可能性 (?) がある。。。少なくとも"認知症"を促進する! 要
注意!
もう一言、疑問 (苦言) を発すれば、Orexin と、文字通り「陰陽」関係にある
メラトニンに関して、1970年頃以来半世紀に渡り、研究を続けている Russel Reiter
教授 (86歳、テキサス南西医科大学、サン アントニオ校) が、ノーベル賞も「Breakthrough
Prize」も受賞していないのは、極めて理解に苦しむ。。。メラトニンを含めて
「PAK遮断剤」に関する研究は、正に「日蔭 (陰)で」苦しんでいる!
更に、メラトニン販売に関しても、 苦言したいことがある。 日本では、製造販売/輸入が禁
止されている。 なぜか? 武田薬品がメラトニン類似体を販売しているため、(製
薬会社によって牛耳られている) 「薬事審議会」が、薬事法によって、禁止して
いる (「独占禁止法」に違反!!) 。 海外では、メラトニンが安価に入手できる。 薬事法は「消費者の敵」! 日本は全く "住み難い国"だ!
Russel Reiter 著「奇跡のホルモン: メラトニン」(1995年、講談社出版) に、
メラトニンの発見に関する興味深い一節がある。 科学研究で突破口を開く (Breakthrough
する) には、洞察力、努力、思いがけない幸運という3拍子が必要。 エール大学
の皮膚科の医者 (アーロン=ラーナー) が、1953年に、メラトニンを発見した時も
例外ではなかった。彼は美白(メラニン合成を抑える) 作用のある物質を探索して
いた。古い文献を調べている内に、「松果体に美白作用を持つホルモンがある」
という短報 (1917年) を見つけた! そこで、牛の松果体を摺り潰して、オタマジャクシが
沢山泳ぐ水槽に、それをばら蒔いてみた。驚くなかれ、30分以内に、オタマジャ
クシの体が無色透明になった! その後、美白作用を持つ物質「メラトニン」が
トリプトファンから、セロトニンを経て、生合成されることを突き止めた! 現在、市販されているメラトニンは全て「有機合成で 量産」されるので、極めて安価 (3 mg 錠剤 が10 円以下!)。
(Reiterの弟子で、30年ほど昔、米や麦にもメラトニンが "微量だが" 存在することを発見した) 服部 淳彦 教授 ら (東京医科歯科大学) による最近の研究 (2021年) によると、メラ
トニン (MEL) は脳内で、更に代謝されて、AMKになる。これが、AD (認知症) の
進行を抑える本体であるようだ。 少なくとも、MELから AMK (N1-acetyl-5-methoxykynuramine)
への代謝を Norharmane (Monoamine Oxidases 阻害剤) で抑えると、MEL の "AD 治療効果" がなくなる。 然も、AMK
の "抗AD作用" はマウス実験で、MEL の10-100 倍になる! 従って、ひょっとすると、MEL の「PAK遮断作用」の本体は、AMK なのかも知れな
い。。。 更に、2005年の Reiter らの研究によれば、AMK は (MEL 同様)、 COX-2 遺伝子の
発現を抑える。この遺伝子はPAK の下流にあり、痛みの原因である「Prostaglandin
」生産に関与している。 従って、Aspirin 同様、"鎮痛剤" としても使用しうる。。。
然も、(MEL の代わりに) その"酸化型"「AMK」を日本で安く "製造販売" 出来る可能性が出てきた。
「武田薬品、糞食らえ!」。
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