2022年10月11日火曜日

PAK 遮断剤 への "最後" の挑戦 ( "将棋" の詰め):
新しい "CC" で, ST-2001 の "Dimer" 構築!?

「K-252a 」は非特異性のキナーゼ阻害剤だが、そのDimer である KT D606 は、PAK/MLK 特異的な阻害剤と前述した (然も、MLK阻害は細胞の増殖に全く無影響、つまり「副作用」無し!) 。。全く同じ論理が (K-252a の千倍近い活性がある) ST-2001 にも、適用されるはずである。 問題は、いかにして、 (「幻」となった ) ST-2001 を再現するかである! そこで、一案がふっと湧いた。先ず、 ST の3位と9位を両方、(ほぼ定量的に) 水酸化して、ST (3, 9-OH) を"有機" 合 成する。前述したが、この化合物は、9位の水酸基のため、阻害活性が全く無くな る。。。
次に、9位の水酸基だけを、COOH を有する比較的小さな有機化合物 (例えば、HOOC-CH=CH- COOH) でエステル化する条件を探索する。 理想的には、このカップリング反応に よって、2分子のST (3, 9-OH) を同時にエステル化することによって、(C4 を架 橋とする) 強力なST-2001 のDimer を、9位 (あるいは3位) を介して、構築する。 この 「華麗な」有機合成 (新しい "CC") は、挑戦し得る価値が大いにある!
そこで、そのプロジェクトについて、旧友 (かつ専門家) のジョン=ウッド (60、 エール大から テキサスにあるBaylor Uni に転勤) にメールで相談したところ、かなり乗り気になっ てくれた。 実は、北里研究所の現所長 (砂塚さん、有機化学者) とジョン (更に その奥さんも!) は、ペンシルバニア大学時代、(ベンチ=実験机を共有した) 同僚同士だっ たそうである。 この世の中は意外に狭い!
ウッドによれば、最近の ("硼素" 触媒を使用する) 実験では、 ST の 9位 (又は10位) のみを水酸化すると、その誘導体 (ST-2020) の阻害作用が、PAK1 に対して (比 較的) 特異的になるそうである。 従って、(分子量の大きな) Dimer を構築せず に、 (ST-2020 などから) PAK1 遮断剤を開発出来る可能性も出てきた。。。
更に、大村さんらの1996年文献 によれば、ST の 3位 又は 9位 だけをアミノ化し ても、(PAK1 依存の) 「血小板の凝集」を抑える作用は余り衰えない。 従って、(例えば) 9位を適当なアミノ酸で、"アミド化" した後、3位だけを水酸化して、PAK1 阻害作用 を一気に高めるという新たなアプローチも、十分可能だろう。。。 悪玉酵素 (PAK1) に「王手」をかけるべく、最後の「詰めの一手」を摸索中!

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