2022年4月28日木曜日

利根川 (進) 氏による "PAK 阻害剤開発" 研究 ( 徒労?) :
自閉症の一種 (Fragile X 症) は PAK依存難病
開発中の新薬中、「市販」されるのは 百万分の1!
百年前に、モンゴール帰りの三島海雲 (僧侶) は、一発で
「酸乳」飲料「カルピス」 (=PAK遮断剤) を開発!

利根川 進 教授 (MIT) は、我々の母校 (日比谷) 出身の3年先輩である。 京大 (化学) に進学後、渡米し、UCSD (生化学) で博士号を取得後、スイスのバーゼルにあるロッシュ (Roche) の免疫研究所で、抗体遺伝子の進化/分化のメカニズムを解明して、1987年にノーベル生理/医学賞をもらった。 その後、専門を大幅に変えて、「脳の生理学」(特に、記憶に関する) 研究に専念し始めた。
2004年頃に、マウスモデルを使用して、脳内のヒポカンパス (海馬) 部位にある神経細胞のPAK 遺伝子に、ある種の操作を施すと、記憶が喪失することを発見した! それをきっかけにして、2007年に、自閉症の一種 "Fragile X 症" が、PAK依存難病であることを、突き止めた! つまり、PAK遮断剤により、この種の自閉症が治療しうる可能性が出てきた。
一方、(豪州メルボルンの) 我が研究室では、2000年前後から、固形腫瘍の増殖がPAK依存性であることを見つけ、更に、当時パーキンソン氏病 (PD) の治験 に使用されていた「CEP-1347」 と呼ばれる薬剤 (協和発酵 開発) が、実は「PAK遮断剤」であることを突き止めていた。 そこで、利根川氏は、治験を担当する 「Cepharon」 という米国の製薬会社に、試薬を提供してくれるよう、依頼したが、断わられた そうだ。実は、この会社は「排他的」で、我々にも提供を断わったので、エール 大学の有機化学者 John Wood に合成をわざわざ特注したという、過去の奇妙な「経緯」があった。。。結局、「CEP-1347」は市販には至らなかった。そこで、我々は2007年頃から、 主にNF やスイゾウ癌患者の救済を目的に、先ず (市販の) プロポリスやメラトニン等、数種の天然PAK遮断剤を同定し始めた。
他方、利根川氏は、ある起業家と共同で、サンディエゴに、「Afraxis」と呼ばれるBiotech 会社を立ち上げ、一連のPAK阻害剤を開発し始めた。 それから数年後 (2013年) に、PAK阻害剤「FRAX486」が、自閉症マウスの症状を軽減することを証明した。 だが、大変不幸にも、2011年頃、利根川夫妻の次男で、天才的な 「MIT」 (理系) 学生 (18歳) が、「自閉症」/アスペルガーのためか (?)、ヘリウム (窒息) 自殺を遂げてしまった!
2013年には、改良版「FRAX579」がNF2腫瘍の増殖を抑える、という報告が、マイアミの研究グループ (実は、我が輩のライバルで、然も "データ泥棒"!) により発表されたが、細胞培養系でIC50(細胞増殖を50%抑えるのに必要な薬剤濃度) は1micro Mだった。試験管内で、直接PAKを50% 阻害するのに必須な濃度 (IC50)がわずか10nM (100 分の1) であることから、この薬剤の細胞膜透過能がひどく悪いことは歴然。更に、NF2腫瘍をマウスに移植したのち、この薬剤が腫瘍増殖を強く抑える濃度を調べると、毎日100mg/kgの経口投与が必要! つまり、プロポリス「Bio 30」よりも、明らかに治療効果が劣る!
にも拘らず、一連のPAK阻害剤 "FRAXs" のUS 特許 に基づくライセンスが、米国の大手製薬会社 「Roche」/Genetechによって、200億円という高値で買い取られたが、阻害剤の水不溶性や乏しい細胞透過性 (あるいは副作用) などから、治療剤としては"不成功"に終り (200億円を超える投資が「水の泡」!)、 失望した「Roche」/Genentechは、自社開発のPAK阻害剤をも含めて、とうとう "PAK プロジェクト" 全体を断念した、と言う部内情報を (「Genentech」のPAK専門家から) 掴んでいる。
結局、彼らには (研究) 試薬を開発する (単純な) 頭はあっても、臨床的に役立つ「治療薬」を開発しうる頭 (深遠かつ柔軟な知識=Knowhow) が欠けていた!
そこで、この不幸な ("徒労"に終わった) 創薬エピソードを「他山の石」としながら、我々は (翌2014年, 沖縄の琉球大構内に「PAK 研究センター」を3年間だけ開設し)、”水溶性” でしかも “細胞透過性が「500倍以上」高い” PAK遮断剤「15K」を、「ケトロラック」と呼ばれる鎮痛剤 (Roche 販売) から、「クリック化学」# を駆使して、見事に開発した、というわけである。
然も、この芸術作品「15K」は線虫の寿命を延長するから、いわゆる「副作用」もない!
従って、「15K」(商標: インスピリン K) がいつの日にか、様々なPAK依存難病の治療/駆逐に役立つことを切に念願する。。。
# 注: Click Chemistry (CC) とは、2001年にMITの Barry Sharpless 教授 (2001年ノーベル化学受賞) らが開発した (2分子を高率で結合させる) 化学反応。2度目 のノーベル賞に値する!
因みに、"Genentech の PAK専門家"とは、 Sharpless 教授の弟子の一人! 世の中は実に狭い!
前述の和歌に順じれば、
早咲きの "FRAXs" 全て 散リぬるも 遅咲きの「15K」 開花を待たん
誠に "皮肉な話" だが、 三島海雲が100年前に開発した「酸乳」飲料「カルピス」も安価な 「PAK遮断剤」である。 (去る11月15日に触れたが) カルピス water 250 ml ("紙パック" 24本入りなら、一本100円以下) を、毎日飲めば、健康長寿は間違いなし! (ただし、販売元 "朝日ビール" から広告料を "ビタ一文" 受け取っていない)
実際、ベルギーの首都ブラッセルに住む NF2 患者 (その母親は日本人) は、プロ ポリスに飽きて、我が輩からの "最新情報" に従い、日本から「カルピス」を大量輸 入して、朝晩"ガブ飲み"している!

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