2019年1月8日火曜日

ビタミン (ニコチン酸) の化学的進化?

煙草を吸うと痩せるという説がある。 その根拠は、煙草に含れるニコチンに、脂肪を燃焼させる、あるいは食欲を抑える作用があるからである。しかしながら、喫煙すると、その煙に含まれるタールによって、本人ばかりではなく、周りの人々も癌 (特に肺癌や喉頭癌など) になり易くなる!   従って、喫煙で痩せるという方法は、余り推奨できない。 さて、ニコチンの誘導体であるニコチン酸 (NA) にも、痩せる作用がある。さらに鎮痛作用もある。痛みの要因になるプロスタグランジンを作る酵素 (COX-2) を抑える作用があるからである。前述したが、COX-2 の発現にはPAKが必須である。従って、NA がPAK 遮断剤である可能性がある。

 実は、ニコチン酸はビタミンの一種 (ビタミンB3) であり、これが欠けると、一連の欠乏症状  (ペラグラ) が現れる 。 その一つは、「メタボ」あるいは肥満症である。 いわゆる「腹八分目」( 節食) ができなくなる!  最近、もう一つの欠乏症状が、ストックホルムにあるカロリンスカ医学研究所の心理学者によって、明らかにされた (1)。統合失調症 ( 精神分裂症) である。 これも「PAK依存性の難病」として知られている。1945年生まれの患者 (Mr. P) を中心に、親子三代にわたって、自殺や鬱病を伴う精神分裂症を病む一家がある。この家族が慢性の「ビタミンB3欠乏症」であるらしいことが判明した。 この家族に毎食1g (=毎日3g) のNAを与え続けると、分裂症状が治まった!  ただし、 健康な人々の場合は一日20 mg のNA摂取で十分。 従って、この家族の場合は、何らかの遺伝的な理由で、NAの代謝 が非常に悪いと考えられる。。。

さて、NA にはニコチンとは違って、COOHがあり、細胞透過性が悪い。 そこで、その細胞透過性を飛躍的に増大させる方法として、(15K の合成に利用した) 例の「Click Chemistry」(CC) を介するエステル化  (「19N」 の合成) が考えられる。実現すれば、「ビタミンの化学的進化」としては、初めての試み (挑戦) になろう。。。

解説:  「ペラグラ」とは、顕著な慢性消耗性障害で、重度のナイアシン(ビタミンB3)欠乏症の末期段階である。古典的なペラグラの三徴候は、皮膚炎、下痢、痴呆 (認知症) である。初期症状として、倦怠感、虚弱、不眠症、軽い消化障害、精神的苦痛などが含まれる。ペラグラによる皮膚炎は、太陽に照射される部分の皮膚に左右対称にできる発疹である。ペラグラを治療しないと、多臓器不全により死に至る。ペラグラは、かつて先進国で流行した疾患で、18世紀に貧困や栄養的に乏しいトウモロコシ中心の食事と関連づけられた。1940-1950年代の生物化学の知識拡大に伴い、ペラグラはナイアシン (NA) やその前駆体アミノ酸「TRP」の欠乏症として再認識された。TRP が欠乏すると、睡眠剤「メラトニン」の合成もできなくなる。

ナイアシンの豊富な食物:  たらこ、鰹節 や その他の 魚類 (鮪、鰹、鰯など)


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