一連の発癌遺伝子 (RAS, SRC, TOR , PAK etc) の発見 (1980年前後) についで、その遺伝子の機能を抑える遺伝子 (抗癌遺伝子) 群として、一連の遺伝子(長寿遺伝子) が (1990年前後に) 発見された。後者の機能を加味した化合物 (天然あるいは合成) が、いわゆる「抗癌剤」 (副作用が皆無ならば「健康長寿の薬」) として、市販されるようになった。
さて、SRC は鶏の癌ウイルス遺伝子として、発見され、ノーベル医学賞 (1983年) の対象になったが、実は (皮肉にも) 、人類の癌には、殆んど関与していない!
逆に、RAS , PAK、TORは、人類の癌 (や様々な難病) に幅広く関与している。
さて、NF1 はRAS、NF2 はPAK、TSC はTOR を、 各々直接阻害する抗癌遺伝子産物である。
我々の研究室は、1993年以来、NF2 の機能研究に関与し、最終的には2003年頃に、NF2 産物 (メルリン) が "PAK" (キナーゼ) を直接阻害し、RAS 癌の増殖を抑える事を実証した。更に、2007-2013年には、線虫で "PAK" を完全に遮断すると、寿命が6割も延びる事を確立した。 2020年頃には、米国で、マウスでも全く同じ(長寿) 現象が確認された。 従って、少なくとも、NF2 (or PAK 遮断剤) は、健康長寿遺伝子(薬) という事が確立された。 さて、
TSC (or TOR 阻害剤 Rapamycin) については、癌の増殖を抑制するのみならず、免疫機能を抑えている事 (副作用!) が判明し、臓器移植の際以外は、使用されない!
従って、我が輩の見解では、今のところ、NF2 (or PAK 遮断剤) のみが、健康長寿遺伝子(薬) として、安全に使用しうる。 加えて、PAK 遮断剤は、「熱耐性」を著しく増強させるので、「地球の温暖化」に対抗出来る (冷房=エアコン代用) 手段でもある! よって、(30年以上に渡る) NF2 (or PAK 遮断剤) に関する一連の発見は、元来 ("稀少難病" NF2 対策として)、細々として進められてきたが、結果的には "飛躍的な発展" を遂げ、"ノーベル医化学賞" に値する研究が完成した!
References:
1. MacCollin M, Mohney T, Trofatter J, Wertelecki W, Ramesh V, Gusella J. (1993)。
DNA diagnosis of neurofibromatosis 2 (NF2). Altered coding sequence of the merlin tumor suppressor in an extended pedigree. JAMA. 270(19): 2316-20.
2. Tikoo A, Varga M, Ramesh V, Gusella J, Maruta H. (1994).
An anti-Ras function of neurofibromatosis type 2 gene product (NF2/Merlin).
J Biol Chem. 269: 23387-90.
3. Y Hirokawa, A Tikoo, J Huynh, T Utermark, CO Hanemann, M Giovannini, GH Xiao, JR Testa, J Wood, H Maruta (2004).
A clue to the therapy of neurofibromatosis type 2: NF2/merlin is a PAK1 inhibitor. Cancer J. 10: 20-6.
4. Yanase S, Luo Y, Maruta H. (2013).
PAK1-deficiency/down-regulation reduces brood size, activates HSP16.2 gene and extends lifespan in Caenorhabditis elegans. Drug Discov Ther. 7: 29-35.
5. E Hawley, J Gehlhausen, S Karchugina et al (2021).
PAK1 inhibition reduces tumor size and extends the lifespan of mice in a genetically engineered mouse model of Neurofibromatosis Type 2 (NF2). Hum Mol Genet 30:1607–1617.
極めて幸運だったのは、NF2/メルリンが RAS 癌の増殖を抑える事を我々が発見した "丁度同じタイミング" で、RAS の下流に存在する「PAK 」なるキナーゼが、シンガポールの ED Manser のグループによって、発見されたことである: 2つの支流が合流して、"大河" になった!
Manser E, Leung T, Salihuddin H, Zhao ZS, Lim L. (1994).
A brain serine/threonine protein kinase activated by Cdc42 and Rac1.
Nature. 367(6458):40-6.
驚くなかれ、この哺乳類「PAK」は、我が輩が1977年に "土壌アメーバ" で発見した「ミオシンキナーゼ」と同類だった! "見えない糸" が、半世紀ほど, 我々のユニークな研究をずっと支えてきた、という訳である。。。「エベレストへの道」は、なお狭く険しい。。。
つい最近、槍が岳で、70歳の登山家/医師が滑落して死んだ。 足元に十分気を付けよう!
"ヒラリー卿" (NZ) は"米寿"を全うした。我が輩も、出来れば同様, 全うしたいものである。。。
彼はヒマラヤ探検前、養蜂家だった。その "スタミナ" は, NZ「プロポリス」(PAK遮断剤) に起因する!
我が輩自身は「CAPE アレルギー」なので、プロポリスの代りに、紅茶、ビタミンD3 (錠剤)、納豆 (K2 源)、チーズ (酪酸) 等の "PAK遮断剤" で、スタミナを養っている。
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