2020年8月23日日曜日

生薬「セファランチン」: COVID-19 感染を阻止する「PAK遮断剤」("血管脳関門"を通過する)!

セファランチン (Cepharanthine, 略称 CEP) は、ツヅラフジ科の植物タマザキツヅラフジ(学名: Stephania cepharantha)の根茎から抽出したアルカロイド 成分である。その製剤 (メーカー: 化研生薬) は白血球減少、エイズ (HIV)、脱毛症等の治療に用いられている。
タマザキ(玉咲)ツヅラフジは中国・台湾/沖縄に自生する植物で、民間薬として用いられていた。これを台北帝国大学の早田文蔵が Stephania cepharantha Hayata の学名で1914年に発表、1934年に東京帝国大学の近藤平三郎が有効成分を抽出し、「Cepharanthine」 と命名。1950年頃から、主に日本で、結核治療薬として用いられ始めたが、一時期ハンセン病患者に対しても用いられている。
ごく最近、北京大学の研究グループによれば、細胞培養系で、COVID-19 の感染 を強く抑えることが判明した (IC50= 1 micro M). そのメカニズムに関しては、 (i)AMPK を活性化し、NF-KB を抑制すること、(ii)プロポリス同様、育毛作用もあること、(iii) PAKによって抑制される p21 (CDK 阻害蛋白) の発現を高めること等から、CEPが "純品"としては (世界史上初の) "PAK遮断剤" であることは確実! 更に、肺炎などの炎症にはPAK が必須であるが、CEP は LPS によるマクロファージの活性化を阻止し、PAK の下流にあるERK などを遮断することが数年前から知られている。 "CEP" は少なくとも、JAK-PAK-COX-2 シグナル経路を遮断し、"鎮痛作用"を示す。何と20年も前に、京都薬科大学のグループにより、CEP が PAK の上流にあるチロシン-キナーゼ (PDGF Receptor) を直接阻害することが、発見されていた! 詳しくは: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0014299999009139?via%3Dihub
築地 (国立癌センターの近所) にある "銀座東京クリニック" の院長 (福田一典医師) によれば、 "CEP"1錠(1 mg)を30円(税込み)で処方し、1日服用量は3~6 錠。従って、1日分が90~180円、1ヶ月分が2700~5400円。https://www.1ginzaclinic.com/cepharanthine.html
極めて興味深いことには、(20年近く前の鹿児島大学医学部による研究論文によれば) イベルメクチンと違って、"CEP" は "血管脳関門" (BBB)を通過する PAK 遮断剤 なので、"NF" などの脳腫瘍にも効くはずである。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11551520/
参考文献: Hua-Hao Fan, Li-Qin Wang, Wen-Li Liu, et al. Repurposing of clinically approved drugs for treatment of COVID-19 in a 2019-novel coronavirus-related coronavirus model. Chin Med J (Engl). 2020 May 5;133(9):1051-1056.
注: 近藤 平三郎(1877年 - 1963年)は、日本の薬学者、薬化学者。薬学博士。
静岡県松崎町生まれ。本郷のドイツ語学校から東京帝国大学医科薬学科に進み、長井長義に師事。帝大卒業後は大学に籍を置きながらも陸軍薬剤官として入隊し、 日露戦争に薬剤師として従軍。陸軍医学校教官を経て、ベルリン工科大学に留学して有機化学を専攻した。
1911年に帰国すると塩野義商店の塩野長次郎の懇請を受け、塩野義商店顧問に就任。この関係が発展して1915年には塩野の援助によって乙卯研究所を東京市に設 立して所長となると共に、東京帝国大学教授にも就任した。以降はアルカロイド関係の薬剤開発に専心し、1928年学士院賞を受賞。日本薬学会会頭、日本薬剤師 会会長を歴任した。1953年日本学士院会員。1958年文化勲章受章。

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