2020年12月16日水曜日

水虫の塗薬「ラミシール」などは "PAK" 遮断剤:
NF1 の皮膚腫瘍 (ブク) にも効くはず!

「水平思考」というものは、「意外な発見」への機会をしばしばもたらす。例えば、リンゴの実が木から落ちるのをみて、ニュートンは「万有引力の法則」を発見した。ダーウインは、ガラパゴスに生息する様々な動物を綿密に比較観察した結果、「進化論」に到達した。 それほどの大発見ではないにしても、我々も日常、水平思考により意外な発見に到達しうる。。。
さて、その昔、京大薬学出身の島田恵年 (1929年生まれ 薬剤師の息子) が修士号を修得した後、母親の「ナマコの煮汁が水虫に効く」という言葉をヒントに、(実家の物置を改造した実験室で) ナマコ (海鼠) の煮汁を作り、 エキス中の "サポニン" 成分 (ホロトキシン) からある「水虫の薬」(商標: ホロスリン) を発見/開発して、1969年頃に「サイエンス」誌にたった一ページの論文 (letter) を発表: S Shimada (1969). Antifungal steroid glycoside from sea cucumber. Science;163(3874):1462.
その後、ホロスリン製薬を大阪に設立し、ようやく2006年になって、ホロスリンの本格的な発売に成功したという逸話を、数年前、(我々が) 沖縄の琉球大学構内で "PAK" 研究をしている時分に耳にした: https://www.yakuji.co.jp/entry7185.html
その後まもなく、我々も種々の海鼠から、抗癌作用/ "PAK" 遮断作用を持つサポニン (ステロイド配糖体) を発見する機会に恵まれた。 つい最近、韓国プサンの東亜大学のグループにより、ロシア (ウラジオストック) 産ナマコ由来のホロトキシン A1 が強い抗癌作用を示すことが明らかにされた (IC50=60 nM)。因みに、ナマコ業者の話では、ナマコの煮汁は一般に「化粧石鹸の製造」原料に使用され、出し殻が「美食」として、中国などに輸出されるらしい。。。従って、"ナマコ汁入り" 石鹸で洗足すると、水虫が治るばかりではなく、肌が白くなるはずである: https://trip-s.world/gamat-soap
我が "水平思考": ごく最近、 韓国のある研究グループがPAK遮断剤から、真菌 (水虫かび など) に効く誘導体を開発したという論文を偶然見つけた。 実は、カビ類には (植物やバクテリアと違って)、PAKが存在する。そこで、例えば、水虫の薬 「ラミシール」(1990年頃にスイスのNovartisで開発) に "PAK" 遮断作用があるかどうか、文献調べをしたところ、何んと2003年に台北の研究グループが、ラシミールの抗癌作用及び "PAK遮断作用" を報告していた!
Wen-Sen Lee, Rong-Jane Chen, Ying-Jan Wang, et al. (2003). In vitro and in vivo studies of the anticancer action of terbinafine in human cancer cell lines: G0/G1 p53-associated cell cycle arrest. Int J Cancer.; 106: 125-37.
Maruta, H. (2021). Marine PAK1-blockers for Therapy of COVID-19. Nov. Appro. Drug. Des. Dev. 5, 70-72 (555667).
ということは、NF1 患者にしばしば観察される良性の皮膚腫瘍 (俗に「ブク」と呼ばれている) は、PAK 依存性なので、ラシミールなどの水虫塗薬は、ブクの治療に有効に違いないという、結論に達した。少なくとも「試してみる価値」はあると思う! ラミシール (水虫塗薬) は、元々「ブルー」シールだったが、女性向けに、近年「ピンク」シールも販売されるようになったそうである。ただし、水虫の薬は原則として「皮膚や爪に塗る」もので、経口はせぬこと!
ついでながら、アルニカ (Arnica) 精油 (クリーム) にも、"PAK" 遮断作用があり、水虫にも効くようなので、「ブク」にも効くかもしれない。。。更に、沖縄産海藻(もずく) 由来の「フコイダン」錠を (朝晩、各々2粒ずつ) 経口すると、「ブク」の数やサイズが減少するという良報を最近、複数のNF1 患者から受け取っている。
ついでながら、ビタミン D3 もPAK遮断剤であるが、NF1 患者では、しばしばD3 が欠乏している。その理由は、D3 (ステロイドの一種) の24位が体内で水酸化されて、不活化されるからである。水酸化酵素 (CYP24) はPAK依存性である。 従って、PAK遮断剤 (プロポリス、フコイダン 、ラミシール等) をD3 と併用すると、(CYP24 による) D3 の代謝が抑えられ、"相乗効果" が期待される。。。蛇足になるが、NF1 患者に典型的な「カフェオレ斑」 (黒いシミ) はメラニン色素であるが、その生成も "PAK依存性" である。従って、種々の "PAK遮断剤" により、黒斑を除くことは可能である。。。

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