2021年9月12日日曜日

ベストセラー: エディー=ジェイク著「最も幸運な男」(The Happiest Man on Earth) : アウシュビッツ収容所で
生き残り、豪州に移住したユダヤ人の手記

著者は、百歳を越える豪州人であるが、その昔、ドイツの"文豪ゲーテ"や"作曲家バッハ" 等を生んだライプチッヒで育ったポーランド系のユダヤ人だった。 1938年にヒットラーがドイツで政権を取るや、ナチスによる全国的な「ユダヤ人の迫害」が開始され、著者を含めて、家族全体がいわゆる「ユダヤ人狩り」に遭い、ポーランド南部 (チェコとの国境近く) にあるユダヤ人強制収容所に送られ、著者自身とその妹以外の家族は、両親を含めて全て、ガス室で殺害された。 しかし、幸い、機械工のエディーは、過酷な強制労働を強いられながらも、辛うじて殺害されずに、数年間を収容所で過ごし、終戦を迎えて、いわゆる「ナチスによる死の行軍」から解放された。
その後、ベルギーで結婚して、豪州のシドニーに移住して、息子たち、 孫、曾孫を得て、幸せ、かつ健康な生涯を送った。 この手記は、迫害されて死亡していった数百万人のユダヤ人に代って、ナチスによる残虐な犯罪行為を暴露すると共に、その中で、ユダヤ人やその他の友人や赤の他人の助けによって、エディーが辛くも生き残って、最終的に幸福を掴むことができた 涙ぐましいいきさつを、我々読者に語りかけるものである。 最後に、如何なる困難下にも、常に希望を捨てないこと、他人に親切を施すことに喜びを感じることが、結局、自分たちの幸福に繋がることを、力説している。。。
今年7月に、この邦訳 (金原瑞人の訳書) が河出書房からようやく出版されたようなので、詳しくは、邦訳を参照されたし。「スガーリン」圧政下、コロナ慢延下に 苦しんだ多くの日本の人々にも、大いに共感 (参考に) できる作品 (表紙を比べると、邦訳のほうが原書より幸せそうに見える) 。。。恐らく、このベストセラーを読み終わった読者の大部分は (私自身を含めて)、 「私自身の方が、エディーよりずっと幸せだった) と、気付くだろう。
エディーは去る10月12日に、遂に101歳で、「自伝の表紙のような微笑み」をたたえながら、永眠したそうである。

0 件のコメント:

コメントを投稿