2020年3月12日木曜日

漢方薬や花椒による新型コロナウイルス感染の防御

中国及び韓国内のCOVID-19 感染者の半数以上は、既に全快しているそうである。ワクチンの全く無い状態で、如何に患者は(奇跡的に) 回復したのだろうか?  欧米や日本と違って、これらの極東の燐国では、2千年以上昔から、種々の伝統的な漢方薬で、色々な病気を治療してきた。 ごく最近、中国医学院から出版された中国語の論文によると、COVID-19の治療には、主に「センシンレン」と呼ばれる苦い漢方薬 (King of Bitters) とか朝鮮当帰の根など が使用されているようだ (1)。

センシンレンは、様々の病気の治療に古来から使用されてきたが、その病気の一つに胃潰瘍が挙げられる。この病気は主にピロリ菌の感染による炎症であるが、ピロリ菌の感染にも、炎症にも宿主のPAK が必須である。 実際、センシンレンの主成分である「Andrographolide」 と呼ばれるステロイド/トリテルペンはPAKを燐酸化するチロシン=キナーゼ「JAK」を直接阻害することが、かなり昔から知られている (2)。従って、センシンレンによって、COVID-19の感染自体も、それによって引き起こされる肺臓の炎症 (肺炎) も、抑制することができるわけである。

さて、1984年にエーザイから市販され始めた胃潰瘍の薬「セルベックス」も、センシンレンとほぼ同様なメカニズムで、胃腸の炎症/潰瘍を抑える。従って、センシンレンの代わりに、安価なジェネリック薬「セルベックス」でもCOVID-19の感染を撃退することができるはずである。 (発熱などで) 感染の疑いがある場合には、重症になる前に、自己責任で、センシンレンやセルベックスを試してみることをお勧めしたい。 現在、日本の医療界は "水平思考力" に乏しく、(ワクチンとAvigan 以外に) このウイルスによる肺炎の治療法を思い付かないらしいからである。

日本では、山椒の実を調味料として、ウナギの蒲焼きなどに振りかける習慣がある。中国南部、特に四川省では、マーバ (麻婆) 豆腐に欠かせない調味料の一つとして、山椒の代わりに、花椒 (Hua Jiao) を使用する習慣がある。実は、花椒の実をアルコールあるいは熱湯で煎じて得られる赤っぽいエキスには、山椒の実エキスに比べて、数倍ほど強いPAK遮断作用があることを、我々は15年ほど昔、偶然に見つけた (3)。マウスに移植したスイゾウ癌やNF腫瘍などの増殖を良く抑制したので、勿論 コロナウイルスの予防/治療にも、一定の効果があることが期待される。
しかし、その主成分の化学構造が長らく不明のままだったが、ごく最近、そのPAK遮断剤が「WGX-50」(Lemairamin) という「アミド化合物」と判明。
花椒エキスに関する我々の研究は元来、NF (神経線維) 腫瘍という遺伝性の稀少難病の治療をめざして、開始したものだが、結局、市販に至らなかった主な理由は、2004年頃にNew Zealand のマヌカヘルスという会社が市販し始めたプロポリス (Bio 30、 alcohol-free liquid) が、花椒エキスとほぼ同程度のPAK遮断作用を示すことが、我々の手で判明したから。 従って、それ以来、主にNF 腫瘍やスイゾウ癌の患者さんに、Bio 30 を勧めてきたが、最近、コロナウイルス患者が世界的に激増したため、マヌカヘルス社では、Bio 30 が瞬く間に「在庫切れ」になってしまった。 そこで、この急場をしのぐため、「花椒エキス」市販案が再登場。
参考文献:
1. Wang ZF, Wang YP, Zhang HM, Fan YP, Lü C, Wang YY. [Thinking on Clinical rational use of TCM injection in the treatment of novel coronavirus pneumonia (COVID-19)]. [Article in Chinese; Abstract available in Chinese from the publisher] Zhonghua Yi Xue Za Zhi. 2020 Mar 3;100(0):E016.
2. Ding Y, Chen L, Wu W, et al. Andrographolide inhibits influenza A virus-induced inflammation in a murine model through NF-κB and JAK-STAT signaling pathway. Microbes Infect. 2017; 19: 605-615.
3. Hirokawa Y, Nheu T, Grimm K, Mautner V, Maeda S, Yoshida M, Komiyama K, Maruta H. (2006). Sichuan pepper extracts block the PAK1/cyclin D1 pathway and the growth of NF1-deficient cancer xenograft in mice. Cancer Biol Ther; 5: 305-309.

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